細田守監督、是枝裕和監督に最新作の進捗明かす「うまくいけば再来年公開」
2016年10月27日 12:00

[映画.com ニュース] 細田守監督作「おおかみこどもの雨と雪」(2012)が10月26日、第29回東京国際映画祭内の特集企画「映画監督 細田守の世界」で上映され、細田監督と「海街diary」などの是枝裕和監督がTOHOシネマズ六本木ヒルズでのトークイベントに出席した。
約1時間にわたりトークが繰り広げられたが、大部分を占めたのは両監督作に共通する「父親の不在」というテーマ。細田監督は「『おおかみこども』でも、オオカミ男の父親が早々にいなくなってしまいます」と述べ、是枝監督に「『そして父になる』『海街diary』『歩いても 歩いても』『誰も知らない』『幻の光』。考えてみると全部が父親の不在ではないかと。意識的なテーマ設定ですか?」と問いかけた。
是枝監督は「父親がいないほうが自分にはリアルで、単純に『父親がいる』を描けないんです」と回答。自身の父について「存在感の希薄な父親でした。最後まで、父親はよくわからない対象でした」と話した。
さらに、是枝監督の「2人でどこかで飯を食って、というのをしないうちに死んでしまった。ある種、不幸だよね」という言葉に、細田監督も「僕の父親も、一緒にお酒を飲んで語ることがなく、亡くなった」と同調。続けて「父親が不在のまま止まっているのは居心地が悪く、宙ぶらりんになっている。その思いが作品に出ているのかもしれない」と分析すると、是枝監督は「細田さんの映画は、不在の“父親”を違う存在が埋めていくのが面白い」と評していた。
近年は親族、家族、疑似家族というモチーフが続いた細田監督だが、「家族というよりは、子どもの成長を描きたいんですが、その環境を描くと結果的に家族映画になってしまう」という。一方で「おおかみこどもの雨と雪」には母への強い思いが込められている。「母は『サマーウォーズ』の仕上げ途中で亡くなりました。自分としてはつくらざるを得ない、これ以外の題材がないというか、そういう気持ちで『おおかみこども』はできています」と振り返り、「映画を通して母に謝りたいような、自分と母が過ごした時間を違う形で表現したかった」と感慨深げに説明していた。
そして、細田監督は最新作について「脚本が決定稿になりました」と告白し、「うまくいけば再来年に公開できればいいなと」と明かす。是枝監督は脚本執筆中だそうで、「書く前は『違う話に』と思ったけど、バーっと書いてみたら結局父親がいない話なんだよね」と苦笑い。そして、「ひょっとしたら同じ年度に公開かもね。また一緒に映画祭をまわれるかも」(是枝監督)、「去年トロント映画祭でお会いしたんですよね」(細田監督)と互いに笑みを浮かべていた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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