チェリン・グラック監督、「杉原千畝」は戦争を知らない世代にこそ見てほしい
2016年6月2日 07:00

[映画.com ニュース] 第2次世界大戦時、危険に身をさらしながらもユダヤ難民にビザを発給した外交官・杉原千畝氏を描いた「杉原千畝 スギハラチウネ」のチェリン・グラック監督が、本作のブルーレイ&DVDの発売を前に、映画.comのインタビューに応じた。
リドリー・スコット監督の「ブラック・レイン」、ロバート・ゼメキス監督の「コンタクト」などで助監督を務め、「サイドウェイズ」のメガホンをとったグラック監督。本作の主演を務めた唐沢寿明とのタッグは、USユニットを担当した「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」に続いて2回目だが、「僕が『太平洋の奇跡』の仕上げが終わって日本にいる間に、唐沢さんから『監督と話したい』と連絡をもらったんです。唐沢さんは『サイドウェイズ』がすごく好きらしく、一緒に何かできないかと話している間に本作の話が唐沢さんにきて、『チェリンとやりたい』と言ってくれた」と経緯を明かす。
グラック監督もまた「カメレオン俳優っていうけど、唐沢さんは役によって演技がまるで変わる」と唐沢の才能にすっかりほれ込んだ様子を見せる。本作では、ポーランドでオールロケを行い、スティーブン・スピルバーグ監督の「ブリッジ・オブ・スパイ」(15)と同じ場所でも先に撮影。「(杉原が日本の敗戦を知る)収容所のシーンでも『あそこで泣く?』と驚かされた。杉原はずっと『このままだとひどい目に遭うよ』と言っていたのに、やっぱりそうなってしまうと悔しいんだな(と気づかされた)。日本のために自分の人生をささげてきた人の感情としては正しいと思います」とうならされたそうだ。
本作では6000人分以上のビザを発給した杉原氏の功績だけでなく、日本のスパイとして諜報活動を行い、当時のソ連(現ロシア)から“ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)”と警戒された一面も描いている。観客は主人公の姿を通じて当時の世界情勢を知ることができるが、「ビザを書いた男の話だけだったら、20分で終わってしまう。杉原さんが誇りを持つべき人物だというのはベースにあった上で、日本はあんなときでもちゃんと世界に出ていたんだよ、という歴史も描いているんです」と強調する。
「本作は、戦争を知らない世代に見てほしい。この映画を見たら、(誰しも)何かを考えざるを得ないと思う。1人ひとりに違う“持ち帰り”があるだろうし、それぞれが違うことに興味を持って、『ネットで調べてみよう』とか『私だったらどうしただろう』と考えてくれるのがうれしいんです」。
グラック監督は、裏話として「今は時系列順で出来上がってるけど、本作は最初はもっとごちゃ混ぜだったんです。(中盤で描かれる)カーチェイスから始まって、ピクニックのシーンにつながる」と明かし「ブルーレイとDVDには、そのバージョンのオープニングも入れてあるし、未公開映像やメイキング映像も入っているので面白いんじゃないかな。オーディオコメンタリーは、2、3回見終えたあとに聞いてほしいけど(笑)」と笑顔を見せた。
「杉原千畝 スギハラチウネ」は、小雪、塚本高史、濱田岳、滝藤賢一、小日向文世らが脇を固める。ブルーレイ&DVDは、発売中&レンタル中。
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