岸惠子、「きれいなお姉さんじゃダメ」市川崑監督の演技指導語る
2016年1月16日 16:04

[映画.com ニュース]故市川崑監督の生誕100年特別企画「市川崑映画祭 光と影の仕草」が1月16日、東京・角川シネマ新宿で開幕し、この日上映された「おとうと(1960)」の主演女優・岸惠子が舞台挨拶に出席した。
「黒い十人の女」「悪魔の手毬唄(1977)」「細雪(1983)」など、市川監督作に数多く出演した岸。特に「おとうと(1960)」は思い入れが深く、出演当時を「『スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜』という映画を撮っていて、出番がなかったのでホテルにいたら、ノックをされました。ドアを開けたら市川先生が立っていたんです。ポンと『おとうと』の台本を渡してくださって、『市川です。これはあなた以外ではやれません』と。すごく感動して、すぐにお受けした」と懐かしそうに振り返った。
しかし同作では、1週間ほど撮影を進めたものの、市川監督がチェック後にそれを破棄したというエピソードが残っており、岸は「ラッシュを見ている時に、先生が来て『(この映画を)やめようか』とおっしゃった。『(岸が演じた主人公)“げん”は、こんなにきれいなお姉さんじゃダメなんだ。もっとギスギスで、センスがない、頭が悪い、ただ弟だけを愛している健気な女だ』」と苦笑い。ショックを受けた岸が「どうしたらいいか」と問いかけたところ、市川監督は「いつも口をポカンと開けていてごらん」と答えたという。岸は当時の演技指導を思い返し、「その一言でふわっと“げん”が入ってきた気がして、それからはすべて先生のお気に召すようになりました」と目を細めた。
そして最後に、「市川崑とはどんなタイプの監督か?」と問われると、「演出の仕方が変わっていて、『もう少し具体的に、はっきり言った方がいい』と言ったことがあります。でも不思議な魅力があって、心が優しいんです」とニッコリ。さらに「あの方はすごく甘党なんです」といい、「すき焼きにも、お砂糖をお菓子のように山ほど入れるので、一緒に食べられないんですよ」と愉快そうに思い出を語っていた。
「市川崑映画祭 光と影の仕草」は、ヒット作「ビルマの竪琴(1985)」や、総監督を務めた記録映画「東京オリンピック」、金田一耕助シリーズ「犬神家の一族(1976)」などがラインアップ。市川監督がこだわり続けた映像美や、あくなき探求心に迫る。角川シネマ新宿では、2月11日まで開催。
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