おとうと(1960)

劇場公開日

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解説

幸田文の原作を、「キクとイサム」の水木洋子が脚色し、「ぼんち」の市川崑が監督した、若い姉弟の物語。撮影は「切られ与三郎」の宮川一夫。この作品では時代の雰囲気を出すために彩度を落としコントラストを残す現像方法「銀残し」が生み出された。

1960年製作/97分/日本
原題:The Quick Draw Kid
配給:大映

ストーリー

げんと碧郎は三つちがいの姉弟である。父親は作家で、母親は二度目であり、その上手足のきかない病で殆ど寝たきりだった。経済状態も思わしくなく、家庭は暗かった。碧郎が警察へあげられた。友だちと二、三人で本屋で万引したのが知れたのだ。しばらくたったある日、げんは鳥打帽の男に呼びとめられた。男は警察の者だと名のり、碧郎や家のことを聞いた。男は毎日のようにつけ始めた。そんなげんを碧郎は「親がちょっと名の知られた作家でよ、弟が不良で、お母さんが継母で、自分は美人でもなくて、偏屈でこちんとしている娘だとくりゃ、たらされる資格は十分じゃないか」というのだった。転校してからも碧郎の不良ぶりははげしかった。乗馬にこりだし、土手からふみはずして馬の足を折ってしまった。碧郎はその夜童貞をどこかへ捨てた。二年たった。十七になった碧郎に思わぬ不幸が訪れた。結核にやられたのである。湘南の療養所へ転地し、げんが附きそった。死が近づいてくるのを知った碧郎は、げんに高島田を結うよう頼んだ。「姉さんはもう少し優しい顔する方がいいな」といいながらも、げんの高島田を見て碧郎はうれしそうだった。父が見舞いに来た時は、治ってから二人で行く釣の話に夢中だし、足をひきずってきた母には、今までになく優しかった。夜の十二時に一緒にお茶を飲もうと約束して寝たげんは、夜中に手と手をつないだリボンがかすかに引かれるのを感じて目を覚ました。医者が来た。父や母も飛んできた。「姉さんいるかい」それが碧郎の最後の言葉だった。風のある晴れた寒い夜だった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第14回 カンヌ国際映画祭(1961年)

受賞

フランス映画高等技術委員会特別表彰 市川崑

出品

出品作品 市川崑
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映画レビュー

3.5宮川 一夫 日本映画の底力を示すカメラマンです 記憶されなければならない名前です

あき240さん
2019年10月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

日本映画界を代表する映画カメラマン宮川 一夫

本作は、その彼の撮影作品ですが、特にその彼が「銀残し」と呼びばれる特殊な現像手法を編みだし本作で使ったことでことに有名です

果たして彩度を落とした深みのある映像が美しく撮られています

それは冒頭の雨のシーンだけで明らかで感嘆させられます
桜並木の堤防の道のシーンは桜の淡い桃色が柔らかく本当に美しく撮られています
春風の生暖かさまでを感じることができるのです
ラストシーンの病院では寒々しい中に暖かみを見出だせるものでした
正に撮影が演出を行っているのです

気の強い姉役の岸恵子の美人顔はその落ち着いた色彩の中で良く映えて最も美しく撮れていました

田中絹代の初老の陰険な継母ぶりもはまっており
沈んだ色彩の中に淀んでいます

ハイライトたる姉弟があの桜と同じ桃色のテープで手首を結んで眠るシーンも、そのテープの色は彩度が落とされており鮮やかさは少しもありません

本作の一切合切が姉げんの記憶の中のものであったということなのだと思います
映画に於いてカメラマンの腕とは如何に重要なのもなのかを思い知らされるものでした

銀残しの手法は世界の手本となり、セブンとかプライベートライアンなどで今も観ることができます

宮川 一夫
日本映画の底力を示すカメラマンです
記憶されなければならない名前です

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あき240

4.0鍵と同じ市川崑。宮川一夫コンビの作品。 鬱々とした色調、アンバラン...

ちゆうさん
2019年8月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

鍵と同じ市川崑。宮川一夫コンビの作品。
鬱々とした色調、アンバランスな画面構成と突飛な色使い、まさに市川ワールドの傑作である。碧郞君は罪深き人間の存在そのものとして描かれていて、短き人生を人の一生を凝縮している。

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ちゆう

4.0山田洋次が市川昆作品の中で最も尊敬する作品。腕にピンクのリボンを結ぶなどというオマージュもささげられている。

kossyさん
2019年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 互いに支え合う家族というより、姉が一人で絆を保っているような気がした。父親(森雅之)は碧郎の素行については無関心で、ピンポン、ビリヤードなどに興じることも「何かに打ち込むことはいいことだ」などと遠くで見ている雰囲気。だけど、退学になっても金を出して他の学校へ、骨折した馬の弁償金も払ったんだろうな。 クリスチャンの継母は嫌な性格だったけど、人付き合いが苦手にもかかわらず内には家族の幸せを願っていたことだろう。そんな個々の絆を窺うことができる。特に碧郎が入院してからはそれぞれの想いが一気に溢れ出す見事な演出だ。

 カンヌ映画祭にも出品されているのは、この宮川一夫の撮影のおかげだろう。“銀残し”という色褪せた中に際立たせる色がまぶたに焼き付くようだ。ストーリーも細かな編集にも不満を感じるけど、観てしばらくすると色彩だけが思い出されるのかもしれない。

 岸恵子も田中絹代もいい演技。森雅之の抑えた演技も申し分ない。一番気になったのは、看護婦の江波杏子!胸もでかいし、色っぽすぎる。こんな病院に入院したら若い男は色狂いで死んでしまうぞ。

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kossy

5.0前半のやりとりが後半に入って脳に戻ってきて琴線にふれる。リボンのシ...

くすりさん
2018年4月14日
iPhoneアプリから投稿

前半のやりとりが後半に入って脳に戻ってきて琴線にふれる。リボンのシーンほど美しいシーンがあるのだろうか。

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くすり
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