映画化に至るまで70年!「フランス組曲」が“奇跡”の映画たるゆえん
2016年1月5日 12:00
[映画.com ニュース] アウシュビッツで命を落としたユダヤ人女性作家イレーヌ・ネミロフスキーの未完の小説を、「マリリン 7日間の恋」(2011)のミシェル・ウィリアムズ主演で映画化した「フランス組曲」。原作者の死から映画化までの70年強で、原作小説が“奇跡”とでも言うべき数奇な運命をたどってきたことがわかった。
処女作「ダヴィッド・ゴルデル」がジュリアン・デュビビエ監督により1930年に映画化(「ゴルダー」)されるなど、作家としての地位を確立しつつあったネミロフスキーは、第2次世界大戦のさなかアウシュビッツに収容され、42年に39歳の若さでその生涯を終えた。残された2人の姉妹は逃亡生活を余儀なくされ、母から「どんなときも決して手放してはいけない」と託されたトランクを必死に守り生き延びたという。そのトランクの中に保管されていたのが、映画の原作小説だ。
つらい過去と向き合うことを避けた姉妹が原稿を発見したのは、母の死から約60年後のこと。その後04年にフランスで出版されるやベストセラーを記録し、同年にはフランスの4大文学賞の1つ「ルノードー賞」を受賞。死後の受賞は創設以来初めての快挙だった。なお、日本ではフランス文学者の野崎歓氏と平岡敦氏の共訳により12年に刊行された。
世界中の多くの読者をひきつけた小説が映画化されるのは当然の成り行き。だが、未完の物語を完結させる上で必要不可欠な存在だったネミロフスキーの長女ドニーズが、志半ばで死去。幾多の困難を乗り越えて完成した映画には、原作にはない生き別れたユダヤ人母子のエピソードが追加されたという。製作陣がネミロフスキー母子に贈ったはなむけといえるかもしれない。
「フランス組曲」は、40年のフランスを舞台に、夫の帰りを待つフランス人女性とドイツ軍兵士の許されざる恋の行方を描く。「イングリッシュ・ペイシェント」(97)ほか多方面で活躍するクリスティン・スコット・トーマス、オスカー獲得も期待される「リリーのすべて」(15)の公開が控えるマティアス・スーナールツ、「マレフィセント」(14)のサム・ライリー、DCコミックスの悪役が勢ぞろいする「スーサイド・スクワッド」の公開が控えるマーゴット・ロビーらが出演する。1月8日から全国公開。
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