イングリッシュ・ペイシェント
劇場公開日 1997年4月26日
解説
1930~40年代の戦時下を舞台に、2つの大陸にまたがって繰り広げられる愛の物語を壮大なスケールで描いた人間ドラマ。ブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの小説「イギリス人の患者」を原作に、アンソニー・ミンゲラが監督・脚本を手がけた。1944年、イタリア。砂漠の飛行機事故で全身に火傷を負い、記憶を失った男が野戦病院に担ぎ込まれた。その男アルマシーは徐々に記憶を取り戻し、看護師ハナに断片的な思い出を語り始める。ハンガリーの伯爵家に生まれた冒険家の彼は、アフリカのサハラ砂漠で地図製作に没頭していた。1938年、アルマシーはイギリスから来た人妻キャサリンと激しい恋に落ちるが……。アルマシーを「シンドラーのリスト」のレイフ・ファインズ、キャサリンを「ミッション:インポッシブル」のクリスティン・スコット・トーマス、ハナを「ポンヌフの恋人」のジュリエット・ビノシュが演じた。第69回アカデミー賞で作品賞を含む9部門を受賞。
1996年製作/162分/G/アメリカ
原題:The English Patient
配給:松竹富士
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
午前10時の映画祭で鑑賞しました。
上映開始からの5分。観客の心をつかむ演出が素晴らしいです。
砂漠が創り出した幾何学的にも見える造形美と雲一つない空のコントラスに目を奪われていると、かすかな音と共に現れる複葉機。操縦している男性が何者なのか、前に乗っている女性は気を失っているのか、そもそも二人はどこにむかっているのか。そうした想像力を掻き立てられる中、複葉機は地上からの掃射により墜落していまいます。このシーンがどういう状況なのかががエンディングで明らかになるわけですが、その構成・脚本はお見事でした。
162分の映画なので中だるみ、退屈もありました。でも見事な伏線回収のおかげでアカデミー賞もうなずけます。「不倫の話なので評価しない」という感想も目にしました。不倫でも私は気にしないのですが、この映画のシチュエーションでは不倫になっていく過程がよくわかりませんでした。キャサリンは良い旦那さんがいるのになぜアルマシーに魅かれてるの?というところが疑問符だらけなのです。そこが丁寧に描かれていると私の中での評価も最高レベルだったと思います。
そんなツッコミを超えた美しさのある映画だと思います。それは映像として現れるだけでなく、洞窟の中でひとりで手紙をかいていたキャサリンを想像させる演出も含めてです。このシーンは涙腺がゆるくなりますね。
2022年3月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
若き日のレイフ・ファインズがブラッドリー・クーパーにみえました。
顔面の熱傷はあの時代で生きているのが不思議。抗生物質もない時代だし。
あんなケロイドになるのにはものすごく時間がかかるから、時間経過もちと合わないかと。北アフリカのアラブの商人恐るべし。春巻きの生地みたいのを焼けただれた顔に被せていました。アラブの商人にはミステリアスな超能力があったのかも。
「泳ぐ人の洞窟」の壁画絵はワディ・スーラ という遺跡で、人気の観光地とのこと。「泳ぐ人の洞窟」は、1933年にハンガリーのラシロ・アルマシー伯爵が発見し、その後、この映画をきっかけに広く知られるようになったとのこと。
英国人の研究者に混じって複葉機を操縦できる元軍人のハンガリー人の探検家が参加していたわけはよくわかりませんでしたが、航空写真を撮るのが仕事だったのでしょうか。
ところは変わって、イタリアの破壊された修道院で献身的に彼の面倒をみるカナダ人の看護婦を若き日のジュリエット・ビノシュがとてもキュート。
躍動感があります。
クリスティン・スコット・トーマスのお風呂シーンでのプロポーションの美しさもたまりませんでした。
その、夫役はコリン・ファース。
今観ると実に豪華なキャストです。
2022年3月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
午前十時の映画祭にて。全くの初見です。
ハリウッドの「大作」の類ですよね、これって。製作費は、2,700万ドル。今のレートで33億円。アカデミー賞とゴールデングローブ賞の作品賞をダブル受賞。すごいな、おい。
これは個人の嗜好の問題ですが、この手の貴族階級の人のベタベタな恋愛ものが苦手なもんで、そこまで入り込めず。ジュリエット・ビノシュってかわいかったんだねぇ。くらいなもんで。去年かおととしの、フランスの花嫁学校の時も、美人さんでしたもんねぇ。
って、感想は、そんなもんかよw
第二次世界大戦下の激動の時代を背景にした、文芸メロドラマ大作です。何よりも映像が素晴らしく、オープニングの複葉機で飛ぶ砂漠の美しさはどこか艶かしく官能的ですらあります。泳ぐ人の洞窟やカイロの上流階級の様子等、過去の映像は美しく魅力的なのに対して、現在の修道院のシーンが殺風景なのも、主人公の心象風景を表しているようです。お話しは、開戦間際のカイロと終戦間近の北イタリアの二つの時代を行き来しながら、主人公二人の道ならぬ恋と『英国人の患者』の秘密が明かされる過程が上手く描かれています。とは言え、ジュリエット・ビノシュ演じる従軍看護婦が英国人の患者に献身的な理由がイマイチあいまいだし、彼女とインド人将校とのロマンスも本筋とは関係なく、後半は間延びした感じですっきりしませんでした。役者では、レイフ・ファインズが身勝手でありながら情熱的な男を熱演していて、特に現在のパートでは寝たきりの状態だけの演技と言うのがすごいです。相手役のクリスティン・スコット・トーマスもクラシックな美しさが際立っていたのとは、裏腹にジュリエット・ビノシュは地味な印象。
すべての映画レビューを見る(全38件)