京都国際映画祭2015「牧野省三賞」は野上照代氏、「三船敏郎賞」は仲代達矢が受賞
2015年10月15日 18:25
[映画.com ニュース] 吉本興業グループが企画推進する京都国際映画祭2015が10月15日、京都・祇園甲部歌舞練場で開幕し、オープニングセレモニー内で「牧野省三賞」「三船敏郎賞」の授賞式が行われた。
日本映画の父である故牧野省三監督の名を冠した「牧野省三賞」は、日本映画の発展に寄与した映画人に贈られる。今年は「羅生門」以来、故黒澤明監督作品でスクリプターを務めた野上照代氏が受賞。同賞選考委員の中島貞夫監督は「今年は文句なく、野上さんに差し上げたい気持ちでした」と満場一致だったことを明かし、「映画人の在り方を語り続けてくれています。我々にとっても大変貴重な語り部で、尊敬すべき先輩でございます」と講評を述べた。
野上氏の自伝的小説を映画化した「母べえ」に主演した吉永小百合からビデオメッセージも届き、「これからも私たちのあこがれのミューズとして、日本映画に対して温かいまなざしを頂けると、大変うれしいです。そしていつまでもお元気でご活躍されることを、切に願っております」とコメントを寄せた。さらに、牧野監督の孫である津川雅彦がプレゼンターとして登場し、野上氏にトロフィーを授与。これを受けた野上氏は「ちょっと褒めすぎで、いただきすぎでございます」といい、「88年間ずっと幸運に恵まれてここまで来まして、これが最後の幸運じゃなかろうか。ほかにいいところがあるわけじゃないので、運がいいとこういうことがあります」と謙そんしていた。
また、国際的な影響力を持つ俳優に贈られる「三船敏郎賞」は、戦後日本を代表する名優で、現在も第一線で活躍し続ける仲代達矢が受賞した。感無量の面持ちの仲代は「この世界に18歳の時に入りました。もうそろそろ83歳ですから、60数年間、この世界にご厄介になっています」と語り、「俳優になる前から、強烈な三船敏郎ファンでございました。黒澤明さんと三船さんのコンビで作った『醉いどれ天使』(1948)を見て以来、それを12回続けて見ました」と告白。そして「たまたま俳優になり、三船さんと共演させていただいた。これも私の、俳優としての勲章です」としみじみと振り返り、「三船さんの名が付いたこの賞を頂いたことは、たいへん感慨深い。私も83歳なのでそろそろだとは思いますが、この賞を頂いたことをきっかけに、頑張りたいと思います」と力強く宣言した。
前身の京都映画祭から伝統と志を引き継ぎ、昨年初開催された京都国際映画祭。第2回を迎える今年も「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに、映画のみならずアートやパフォーマンス、工芸など京都ならではの新たな文化を創造する。10月18日まで、よしもと祇園花月、祇園甲部歌舞練場、大江能楽堂ほかで開催。