「自分の住む街を破壊したいのは永遠のテーマ」押井守が実写版「パトレイバー」を語る!
2015年5月2日 13:30

[映画.com ニュース] 1988年に発表され、コミック、アニメで人気を博した「機動警察パトレイバー」が、完全オリジナルの劇場版実写映画としてスクリーンに登場した。昨年4月から1年間をかけて展開された実写シリーズの総監督を務め、その完結編となる今作「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」のメガホンをとった押井守監督に話を聞いた。
「準備から含めると3年近い。アニメだと割とあるけど、実写でこんなに長い仕事をしたのは初めて。途中で飽きちゃうんじゃないか、疲れちゃうんじゃないかと思っていたけど、それはなかったですね」と押井監督は振り返る。
同作は、自衛隊から強奪したステルス戦闘ヘリ「グレイゴースト」を擁する謎のテロリスト集団と、人型警察ロボット「イングラム」を運用する警視庁・特車二課の攻防を描くアクションドラマ。グレイゴーストの攻撃によってレインボーブリッジや東京都庁、警視庁が破壊され、首都上空で戦闘ヘリ同士によるドッグファイトが展開するなど、スペクタクルなシーンが見ものだ。
「だからこその“怪獣映画”なんだよ」と、押井監督は「自分たちが知っている建物が破壊される、実写フィクションならではのだいご味」を分析する。「自分の住んでいる街をなんでぶっ壊したいんだろうっていうのは、永遠のテーマだよね。(お客さんは)明らかに、日常とは全然違う街の姿をお金を払ってでも見たいんだよね。独自のこういう日常ではないものをのぞきたいってこと。日常が壊れてしまうという震かん、ゾクゾクする感じっていうのは、実写映画に限らないけど、(エンタテインメントの)本質だと思うんだ」。
その意味で、全高約8メートルのロボットが登場する「パトレイバー」の世界観は、日常と非日常のバランスが保たれるギリギリのライン。押井監督は「『パトレイバー』を作るだいご味は“日常の地続き感”をどこまで伸ばせるかというところと」と明かし、「普段は焼きそば食ってる(警察の)連中がさ、ドンパチをやるわけじゃん。そういう意味では、どこまでベタベタな日常の風景からはみ出していけるかっていうね。それがこのシリーズの、他にはない面白さだと思ってる」と続ける。
今作は、実写版の完結編でもあれば、93年に公開された劇場アニメ第2作「機動警察パトレイバー2 the Movie」の後日談にもなっている作品。予習が必要なのではないか? と疑問をぶつけると、「好きに見ればいいんじゃないですか」と即答。「(以前の物語が)気になるんだったら、お客さんがさかのぼって見ればいいだけの話。小説だって、その作家の処女作から順番に読まないと読んだことにならないって、そんなことありえる? 今売っているものを読んで、この人の作品面白いなって、さかのぼって探すのが楽しいんじゃないですか。それは映画だって同じ。原作を読まないと映画を見られないということもないんだから」と言い切った。
「頭から見せないと分からないってことはありえないですよ。最初からこちらが全部説明して、お客さんの楽しみを邪魔したくないんです」という言葉に、自信の程がうかがえた。
「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」は筧 利夫、真野恵里菜、福士誠治、太田莉菜、千葉繁らシリーズのキャストに加え、森カンナ、吉田鋼太郎、高島礼子がゲストとして出演。公開中。
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