クリストファー・ノーランが明かす「インターステラー」とスピルバーグ映画の関連性
2014年11月17日 19:10

[映画.com ニュース] SF超大作「インターステラー」で、科学的考証に基づくリアルな宇宙旅行の描写と、普遍的な親子のドラマを両立させたクリストファー・ノーラン監督が、同作に込めた思いを明かした。
かねて「子どもの頃に見たジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグの映画のような作品を目指す」と宣言していたノーラン監督。「僕は7歳のときに『スター・ウォーズ』を見て、とてつもなく感動して大きな影響を受けた。それから『2001年宇宙の旅』を見たんだ。こうした映画を通じて、現実とは極端に違った別世界を体験できたことが何よりも感動的だった。SF映画とはとても野心的で、楽観主義に満ちたジャンルだ。だから、とても難しいけれど、あえてその挑戦に挑もうとしたんだ」と、製作の発端を振り返る。
そして「僕は惑星間旅行を真っ正面から描きたいと思った。そのためには、多額の資金が必要となるから、一度その方向で行くと決めたら、その過程をフルに楽しまなくてはいけない。中途半端ではダメなんだ」と、原作ものやシリーズ作が幅を利かせる映画市場で、まったくのオリジナル作品にも関わらず、超大作として世に送り出した決意を明かす。
舞台は、異常気象と穀物の不作によって、人類滅亡のカウントダウンが始まった近未来。人類が移住可能な惑星を探し出そうとする宇宙飛行士たちの決死のミッションが描かれるが、その中心には、探査船のパイロットとして外宇宙に飛び出す父クーパー(マシュー・マコノヒー)と、地球に残してきた幼い娘マーフ(マッケンジー・フォイ)との絆のドラマがある。
ノーラン監督は、その真意を「スピルバーグ映画に関連している」と明かす。「(『E.T.』や『未知との遭遇』などの)あの感動作が見事に機能しているのは、まずは共感できる家族関係を準備し、彼らの内面や葛藤を描いてから、途方もない冒険に話を持っていくからだ。だから、非現実的な出来事が起きても、観客はその展開についていくことができる」と言い、「スピルバーグはこの手法の達人で、最近の『宇宙戦争』でも同じことを繰り返している。共感できるキャラクター(トム・クルーズが演じるバツイチの父親)を最初に描いているから、(宇宙人が襲ってくる)唐突な出来事が起きても、観客はそのまま見続けることができる。これはとてもパワフルな手法で、特にSF映画を作るうえで効果的だと思うんだ」と続ける。
事実「インターステラー」でも、ミッションの成否とともに「クーパーは果たして無事に娘と再会できるのか?」という疑問が、見る者の心を結末へとぐいぐいと引っ張っていく。それも、子どもたちの健全な成長を願い、学校の進路指導に一喜一憂する「ごく普通の」父親の姿が描かれているからだ。
劇中で、アン・ハサウェイ扮する生物学者アメリアが「“愛”こそが、時空を超えた力を知覚できる能力だ」と語るシーンがある。ノーラン監督は「愛の力を信じている、というよりも明白な事実だと思うよ」と前置きし、「アメリアは『愛は時空を超える』と言うが、シンプルに言い換えれば、『人は誰しも死んだ人を愛し続けることができる』ということだ。僕の父は数年前に他界したが、彼が生きていた時と全く同じ気持ちを今も抱いている。時間によって、自分の気持ちが変化していないんだ。愛というものの力はとても力強く、よく分からないものだけれど、少なくとも時間によって変わっていくものではないんだよ」と愛についての持論を明かした。
「インターステラー」は、11月22日から全国公開。
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