高良健吾、駆け抜けた10年は「全部、僕」 ドラマ「平成猿蟹合戦図」で新たな決意
2014年11月14日 06:00
[映画.com ニュース] 「悪人」「さよなら渓谷」などで知られる人気作家・吉田修一氏の長編小説をWOWOWが連続ドラマ化した「平成猿蟹合戦図」。同氏原作の「横道世之介」(13)でも好演を見せた高良健吾が、今作ではお調子者の歌舞伎町バーテンダーに扮している。俳優デビューから早くも10年、全速力で走り続けてきたこれまでを今振り返る。
東京・歌舞伎町で起きたひき逃げ事件を発端に、鈴木京香演じる敏腕芸能マネージャー・夕子、高良演じるどこか憎めない歌舞伎町バーテンダー・純平、独り身のチェロ奏者、冴えないホストと子連れホステスらが、日本の将来を決める“戦”に巻き込まれていく。
「台本には爽やかな風が吹いていて、読んでいてすごく気持ちがよかった。昔話の『さるかに合戦』にもあるように、正義は勝つ。だけど悪も生き残る。純平の単純さが人を巻き込み、みんながどこかでつながっている。スポーツなどもそうだけど、一生懸命な人って見ているとすごく力をもらえるもの。そういう色々な人の一生懸命さが詰まってると思います」
BeeTVの「女たちは二度遊ぶ」で、吉田原作&行定監督の現場を経験している高良。初共演となる鈴木京香とは、あうんの呼吸でコミカルな掛け合いを見せる。「鈴木さんをはじめ、先輩方がすごく楽しそうに現場にいるんです。僕は考え込んじゃうタイプなので、そういうことを見せずに現場にいられることってすごくカッコイイ。自分も40歳になった時にそういう人でいたいし、周りで10~20代の子が楽しそうにいてくれたらうれしい」と語る。
高良といえば、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「白夜行」「軽蔑」など、暗い影のある青年役のイメージも強いが、最近では「横道世之介」など陽気な青年役も増えてきた。「今ふと思うのは、なんであんなに暗かったんだろうってこと(笑)。当時演じていた役柄の影響もあって、20代前半までは毎日がつらくて重かった。仕事はありがたいことにもらえていたけれど、『人を殺したり殺されたり。なんでこんなことばかり考えなきゃなんないんだ!』って思ってた。でもそれはきっと、演じる自分が役を一番わかりたいと思っていたからなんです」と振り返る。
今なら「全部、僕だと思う」と言い切れる。「熊本の高校生だった『M』(07)の時は、廣木隆一監督に事務所で会ってその後、オーディションに呼ばれたけれど、自分のことを話すのも苦手だった。『お前の18歳の“今”を撮りたい』って言われ、必死にさらけ出さなきゃと思っていた。だから、“その時の自分”がどの作品にもいるんです」。
そうして愚直なまでに一歩一歩踏みしめてきた10年があるからこそ、過去の自分ともきちんと向き合える。「最初の頃は何も知らないからこそ強かった。でも、自分はやりたい芝居ができているのか、自分は役として“そこ”にちゃんといられているのだろうかって、今でも自問自答を繰り返しています。今も『まだまだ!』って思うことがたくさんありすぎて満足できないし、他人がよく見えちゃうこともある。『もっと飛べたのに!』と思った時に監督にオッケーをもらったとしても悔しいんです。だから気持ちだけをだだ漏れさせるのではなく、それをきちんと指の先まで行き渡らせていきたい。もっともっとできる気がする。まだまだ違う表現を模索中だし勉強中。自分はまだまだ“途中”です」と真っ直ぐ先を見据えていた。
そして、「現場には精一杯いる。僕は一生懸命やるしかないんです。でも、もうそれだけじゃだめなんです」と自分に言い聞かせるように語り、「下手なりに気持ちを込めて現場にいる。それはずっと守ってきたつもりだし、そうやって死ぬまでやり続けたいです」と新たな決意をにじませた。
土曜オリジナルドラマ「連続ドラマW 平成猿蟹合戦図」は、11月15日からWOWOWで放送開始。(第1話無料放送)
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
【推しの子】 The Final Act NEW
【忖度なし本音レビュー】原作ガチファン&原作未見が観たら…想像以上の“観るべき良作”だった――!
提供:東映
物語が超・面白い! NEW
大物マフィアが左遷され、独自に犯罪組織を設立…どうなる!? 年末年始にオススメ“大絶品”
提供:Paramount+
外道の歌 NEW
強姦、児童虐待殺人、一家洗脳殺人…地上波では絶対に流せない“狂刺激作”【鑑賞は自己責任で】
提供:DMM TV
全「ロード・オブ・ザ・リング」ファン必見の超重要作 NEW
【伝説的一作】ファン大歓喜、大興奮、大満足――あれもこれも登場し、感動すら覚える極上体験
提供:ワーナー・ブラザース映画
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
ハンパない中毒性の刺激作
【人生の楽しみが一個、増えた】ほかでは絶対に味わえない“尖った映画”…期間限定で公開中
提供:ローソンエンタテインメント
【衝撃】映画を500円で観る“裏ワザ”
【知って得する】「2000円は高い」というあなただけに…“超安くなる裏ワザ”こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。