ジブリ新作「かぐや姫の物語」、主演に21歳新進女優・朝倉あきを抜てき
2013年9月17日 17:14
[映画.com ニュース]高畑勲監督が14年ぶりにメガホンをとるスタジオジブリ最新作「かぐや姫の物語」の中間報告会見が9月17日、都内で行われ、主人公の“かぐや姫”役に新進女優の朝倉あきが抜てきされたことが明らかになった。声優初挑戦となる朝倉は「こうした機会はめったにないこと。うれしく幸せな気持ちと同時に、すべてを注ぎ込もうという気合いも大きかった」と心境を語っていた。
現在21歳の朝倉は2007年に女優デビューを果たし、10年放送のNHKドラマ8「とめはねっ! 鈴里高校書道部」に主演。映画「神様のカルテ」(11)、「神様のカルテ2」(14年公開予定)で水無陽子役を演じるほか、現在大ヒット公開中の「風立ちぬ」でヒロインを務める瀧本美織主演の連続テレビ小説「てっぱん」にも出演していた。
朝倉は2011年に行われたオーディションで大役を勝ち取ったが、「その日はボロボロで、高畑監督の前で演技をした瞬間『ダメだな』と思い、泣きながら帰った」と述懐。その後、高畑監督からは「悲しみ方が良かった」と合格の理由を聞かされたという。
会見には朝倉をはじめ、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、本作を手がける西村義明プロデューサーが同席し、「朝倉さんが声を発した瞬間、高畑さんは『彼女なら可能性がある』と言ったんです」(西村プロデューサー)。まだ、アフレコ作業が残されている朝倉に対し、鈴木プロデューサーは「この作品は、高畑さんが作った(アルプスの少女)ハイジとすごく関係があるんですよ。オマージュを捧げたシーンもあるし。ぜひ、見ておくといい」とアドバイスしていた。
日本最古の物語文学「竹取物語」をモチーフに、かぐや姫が地球に姿を現した理由と、やがて月へ去らねばならなかった波乱の運命が描かれる。当初は、「風立ちぬ」と同時に7月20日公開の予定だったが、製作の遅れのため公開延期が発表されていた。西村プロデューサーは「お騒がせしましたが、完成のメドが立ちました」と報告。ただ、鈴木プロデューサーから「完成するの?」と念を押されると、「できあがったフィルムは、全体の3分の2で。アフレコや音響など作業としてはあと2週間かかるので……。完成すべきですね」とまだ予断を許さない状況のようだ。
また、鈴木プロデューサーは先日行われた宮崎駿監督の引退会見についても言及し「あの日、一生分しゃべったからもうしゃべりたくないって(笑)。いまも毎日会社に来て、ブラブラしています」と近況の報告も。西村プロデューサーは、今回の引退劇について高畑監督と話したといい「高畑監督は『宮さん(宮崎監督)は区切るのが好きだから、また作りたくなるんだから、そのとき作ればいい』と言っていた」と明かしていた。また、本作について「スタッフは最高傑作だと確信しているし、(高畑監督も)新しいアニメーションを始めようとしているはず。ひとつの到達点であり、エポックといえる作品になる」と完成を前に自信たっぷりだった。
この日は、6分間に及ぶプロモーション映像が初公開されたほか、高良健吾(かぐや姫の幼なじみ・捨丸)、故地井武男さん(かぐや姫の育ての父・翁)、宮本信子(かぐや姫の育ての母・媼)、高畑淳子、田畑智子、立川志の輔、上川隆也、伊集院光、宇崎竜童、中村七之助、橋爪功、朝丘雪路、仲代達矢の出演も発表された。
「かぐや姫の物語」は、11月23日から全国で公開。