50~60年代名作へのオマージュをちりばめた「タイピスト!」監督&主演女優に聞く
2013年8月16日 18:00
[映画.com ニュース] 今年のフランス映画祭で観客賞を獲得した「タイピスト!」が、8月17日に公開される。1950年代のフランスを舞台に、タイプライター早打ちの世界大会に挑むヒロインの奮闘と恋を描いた異色のエンターテインメント作品だ。来日したレジス・ロワンサル監督と主演のデボラ・フランソワに話を聞いた。
ノルマンディーの田舎で小さな雑貨店を営む父親から、お見合い結婚を強いられそうになるローズ。自分の人生を自力で切り開きたいと、得意のタイピングを生かして街の保険会社の秘書の座を手に入れる。かつてスポーツ界で活躍していた雇い主のルイは、コーチとしてローズの才能を開花させ、タイプライター早打ち大会への出場を目指す。ルイが厳しい指導を進める一方、ローズはルイへの恋心を芽生えさせていく。
ヒッチコック作品などを手がけたデザイナーソール・バス風のタイトルバックに、ノスタルジックなメロディ。50年代の雰囲気満点のオープニングから始まり、本編では音楽、衣装、インテリアなど当時のカルチャーを再現。全編にわたり監督の名作への愛がちりばめられている。この日、ヒッチコックの「鳥」モチーフのTシャツで現れたロワンサル監督は、自他共に認めるシネフィルだそうで「オマージュ以上ですね。50~60年代のアメリカ、フランス、イギリス映画に対してのラブレターのようなものです」と語る。
アカデミー賞に輝いた「アーティスト」のスタッフが参加、撮影監督のギヨーム・シフマンとともに驚くべき経験をした。「映画をご覧になって気付かれると思いますが、アルフレッド・ヒッチコック、ビリー・ワイルダー、ダグラス・サーク、ジャック・ドゥミ、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、ミケランジェロ・アントニオーニ、50年代の小津のカラー作品『お早よう』などにオマージュを捧げています。あるシーンで私とギヨームは、気付かないうち『めまい』と同じシーンを撮っていたのです! ヒッチコックに似すぎているからやめようかと迷ったんですが、ヒッチコックの雰囲気で包み込むことを選びました」と明かす。
社会派ドラマで知られるダルデンヌ兄弟のカンヌ映画祭パルムドール受賞作「ある子供」で注目を浴びたフランソワ。今作ではこれまでの作品とがらりと雰囲気が変わった新たな魅力を振りまいている。「実生活では私はそれほどシリアスな人間ではないの(笑)。だから違う一面を見せたいと思っていたし、ローズという役に出合ったのはシャンパンの泡が立ち上るような、絶好のいい機会だったわ」と笑顔を見せる。見せ場となるタイプライター大会のシーンのために、本物のコーチをつけて6か月間毎日3時間特訓したという。
最後に監督は本作のテーマをこう語る。「50年代はウーマンリブの萌芽の時代だと思います。ただ、ローズの場合は単なる女性の解放ということ以上のものを達成するのです。ローズは何に関しても不器用でしたが、タイプライターという不思議なスポーツにかけては才能がありました。私はどんな人にも隠れた才能があるんだということを描きたかったのです」。ファッションや恋愛ドラマが好きな人はもちろん、監督のこだわりからもわかるように映画通も様々な角度から楽しめる一作だ。
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