池松壮亮、吉田大八監督と挑む舞台「ぬるい毒」に決意新た「堂々と殴り込みたい」
2013年8月13日 13:40
[映画.com ニュース] 近年めざましい活躍を見せる若手実力派・池松壮亮が、「桐島、部活やめるってよ」で一躍日本映画界注目の的となった吉田大八監督の初舞台「ぬるい毒」に立つ。発表時には「池松、また舞台やるってよ」と冗談めかしたが、「僕らがふだん映像でやっていることを、舞台に合わせるというのは違う気がしている。ケチョンケチョンに言われてもいいから、堂々と殴り込みたい」と静かな闘志を燃やす池松に、本舞台へかける意気込みを語ってもらった。
2007年の「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でも吉田監督とタッグを組んだ本谷有希子氏が、第33回野間文芸新人賞を受賞した同名小説が原作。自分のすべては23歳で決まると信じる女の子・熊田(夏菜)が、謎多き男・向伊(池松)と出会い、やがて24歳を迎えるまでの5年間の物語。「劇団、本谷有希子」の番外公演とし企画が実現した。
今夏公開の「上京ものがたり」をはじめ、人気劇作家・三浦大輔主宰の劇団「ポツドール」の代表作で、06年に第50回岸田國士戯曲賞に輝いた傑作「愛の渦」の映画化、石井裕也監督のもと妻夫木聡と兄弟役を演じる「ぼくたちの家族」など、話題の待機作が目白押しの池松。初舞台「リリオム」から1年、正直苦手意識もあったという舞台への2度目の挑戦となるが、「今吉田さんとやれるなら選んでいる場合じゃないなって思った」と決意は固い。「あれだけの桐島フィーバーが起こって、みんなが『次は何をやるんだろう?』って吉田さんに期待している。吉田さんは『がっかりさせたいんだよね』と言っていたけど、僕はその言葉に何となく納得できたし、吉田さんらしいなって思った。ふだんと違う場所、舞台っていう別フィールドに飛び込む。それはもう殴り込み。“新しさ”を期待されているんだと思う」と受け止めていた。
原作者の本谷も「『ぬるい毒』は舞台化不可能な小説」と言い切るほど、戯曲化はハードルが高かった。池松も、「明らかに面白かったのは確かなんだけど……何て言ったらいいんだろう。ワケが分からないけれど、その得体の知れなさが面白かった」と目下手探り中で、これから始まる稽古を通して役をつかんでいく気構えだ。
ほとんどが夏菜との2人芝居となるが、夏菜のキャスティングにも「なるほどなって。夏菜さんて良い意味で“器用ではない”感じで、何をやるにしても悩みそうだなって(笑)。吉田さんが『腑抜けども』で佐藤江梨子さんを起用したことに通ずるものを僕は感じた」と納得の表情。そして、「夏菜さんとも吉田さんとも駆け引き。準備期間が1カ月あるのできついんじゃないですかね(笑)。きついことも全て含めて楽しめればいいと思う」と期待に満ちた笑顔を見せた。
「ぬるい毒」は、東京・新宿の紀伊國屋ホールで9月13日から26日まで公演予定。チケットは現在発売中。
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