ディズニー長編アニメに“第3の黄金期”到来 最新作「シュガー・ラッシュ」
2013年3月20日 18:35
[映画.com ニュース] 長らく不振が続いていたウォルト・ディズニーの長編アニメが、再び輝きを取り戻そうとしている。近年「プリンセスと魔法のキス」(2009)、「塔の上のラプンツェル」(2010)といった秀作がファンや批評家の間で高く評価され、興行的な成功も収めているのだ。そんな“ディズニーアニメの復権”を決定づける最新作「シュガー・ラッシュ」が、いよいよ日本に上陸。来日を果たしたリッチ・ムーア監督が取材に応じ、「ご指摘の通り、現在のディズニー長編アニメは非常に好調だ。“第3の黄金期”を迎えつつあるといえるし、その一部に名を連ねるのは光栄なこと」と誇らしげに語った。
「白雪姫」をはじめ数々のクラシックを生み出した黎明期、「美女と野獣」「アラジン」「ライオンキング」といったメガヒット作を連発した90年代前半の絶頂期に続く、ディズニー長編アニメの黄金期。その起爆剤となったのが、2006年にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオを統括することになったジョン・ラセターの存在だ。「環境が一新され、あらゆる面で急速に進化を遂げた。ディズニーならではの趣と、モダンな要素がうまく融合し、現代の観客にアピールできる良質な作品が生まれている。才能あふれるスタッフがたくさんいるし、今後がますます楽しみだよ」とムーア監督も目を輝かせる。
映画はゲームの世界を舞台に、ヒーローにあこがれる悪役・ラルフが活躍を描く冒険ファンタジー。主人公がレッテルを嫌い「自分は何者なのか」「輝ける場所はあるのか」と苦悩しながら、成長するというテーマ性は往年のディズニー長編アニメ、そしてラセター率いるピクサーが放つ傑作群に共通している。「キャラクターがブレない。それが一番大切にしたことだよ」(ムーア監督)。
さまざまな伏線を張りながら、「他のゲームへの無断侵入は禁止」「アイテムの持ち出し禁止」といったゲームの世界ならではのルールがメリハリを与え、最後まで飽きさせないストーリーテリングも秀逸。「試行錯誤の連続で、シナリオが固まるまで2年を要した。絵コンテ、ラフ、試写を繰り返しながら、現場で有機的なディスカッションを重ねたんだ」と、“まずストーリーありき”というディズニーの伝統が発揮された。
誰もが共感できるキャラクターと、感情を揺さぶるストーリー。そこに最新のCG技術と胸弾む音楽というフレーバーを加えて完成した「シュガー・ラッシュ」は昨年11月に全米で公開されるや、ピクサー作品以外では、ディズニー長編アニメ最高のオープニング興収を記録。批評家からも絶賛され、アニメ界のアカデミー賞といわれる第40回アニー賞で、長編アニメ映画賞、監督賞を含む最多5冠に輝き、第85回アカデミー賞では長編アニメーション部門候補になった。ムーア監督は「とても光栄だよ。完成に至る4年間は、悩んだり、挫折しそうになったり、とにかく大変な思いをしたからね。でも今は頑張って良かったと思えるよ」と胸を張り、「日本はゲーム発祥の地でもあるから、作品を紹介できるのはうれしい限り。ぜひ日本の皆さんにも楽しんでほしい」とアピールした。
「シュガー・ラッシュ」は3月23日から全国で公開。第85回アカデミー賞で短編アニメーション部門を受賞した「紙ひこうき」(ジョン・カーズ監督)が同時上映される。
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