大滝秀治さん死去 高倉健「本当に素晴らしい先輩」
2012年10月5日 14:34

[映画.com ニュース] 俳優の大滝秀治さんが10月2日午後3時17分、肺扁平上皮がんのため、東京都内の自宅で死去した。87歳だった。
大滝さんにとって遺作となったのは、高倉健の主演最新作「あなたへ」。長崎・平戸の薄香港で暮らす頑固な漁師を演じ、高倉が涙を流したという「久しぶりに、きれいな海ば見た」という同作を象徴するセリフで、物語に大きなアクセントを加えた。
今回の訃報を受け、高倉は「大滝さんが今年に入り体調を崩され、入院なさっている間、お手紙の遣り取りを続けておりました。大滝さんの最後のお仕事の相手を務めさせていただき、感謝しております」と述懐。共演回数は11度を数えただけに、「今までにご一緒させていただいたいろいろな場面が思い浮かびます。本当に素晴らしい先輩でした。静かなお別れができました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。合掌」とコメントを寄せている。
大滝さんは、1948年に民衆芸術劇場(第1次民芸)付属養成所に入所し、50年の滝沢修ら率いる劇団民芸創立に研究生として参加。「風の吹く一幕」で初舞台を踏んだ。70年、東京裁判を描いた木下順二の舞台「審判」で注目を浴び、劇団の中心俳優となった。
幅広い役どころを演じきる存在感は、映画界でも存分に発揮。「不毛地帯」「あにいもうと」「お葬式」「居酒屋兆治」「たんぽぽ」「マルサの女」など、代表作は数多い。また、ドラマでも「うちのホンカン」や「特捜最前線」などに出演した。
88年紫綬褒章、2011年文化功労者。奈良岡朋子とともに劇団民芸代表。種田山頭火役で主演予定だった今年6月の民芸舞台「うしろ姿のしぐれてゆくか」を体調不良のため降板し、病気療養中だった。
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