「八日目の蝉」キーマン3人が舌を巻いた真央、永作、小池の熱演
2011年4月4日 07:30

[映画.com ニュース] 角田光代の人気小説を井上真央主演で映画化する「八日目の蝉」の成島出監督、脚本を手がけた奥寺佐渡子、プロデューサーの石田雄治がこのほど、公開を記念しててい談を行った。
「ミッドナイトイーグル」(07)、「孤高のメス」(10)などのメガホンをとってきた成島監督とともに、脚本の奥寺は「サマーウォーズ」、石田プロデューサーは「告白」などを手がけてきた。常に話題作を発表してきた3人が、今作で強力タッグ。映画化のきっかけは、成島監督が原作を読んだことにあるそうで「主人公のふたり(希和子と薫=恵理菜)と一緒に逃避行をし、旅に出たい。そういうシンプルな気持ちが動機でした」と語る。
原作を読んでいた石田プロデューサーは、構成の点で映画化は難しいと感じていたそうだが「監督から『恵理菜の目線』で撮りたいという構想を聞き、それならば映画として成立するかもしれないという気持ちになった」という。石田プロデューサーからの依頼で脚本を引き受けた奥寺は、「心理描写の多い小説は映像化が難しい場合もありますが、この作品はそういうこともまったくなかった」と原作の印象を説明した。
「八日目の蝉」は、第2回中央公論文芸賞を受賞し、昨年3~5月にNHKが檀れい主演でドラマ化。映画では、井上扮する恵理菜のパートを軸に描かれる。父親の不倫相手だった誘拐犯・希和子(永作博美)に育てられるという数奇な運命を背負った主人公・恵理菜が、月日を経て自らも不倫相手の子どもを妊娠。かつて希和子と暮らした思い出の地・小豆島におもむき、過去と向き合いながら母性とは何かを問いかける。
石田プロデューサーは、成島監督の演出にも舌を巻き「恵理菜を、世をすねた頑(かたく)ななだけの人物には描かないし、特殊な場所で育ったという設定の千草も、小池さんがこれまで演じてきた役どころとはずいぶん違う演出でした」と話す。当の成島監督は、「ちょっとオドオドした感じを出したいと……。小池さんも悩んだと思いますが、最後は『私、胸を小さくします』とまで言って(笑)、頑張ってくれました」と述懐。新境地を開拓した井上についても「恵理菜には、うつむくでもなく上を見上げるでもなく、真っすぐ前を見て相手から目をそらすなと指示しました」と話し、称えた。
さらに、3人が口をそろえたのは希和子役の永作の演技について。成島監督が「希和子になりきっていた」と絶賛したほか、「すごかった。お子さんを産んだばかりだし、役にすっかり入ってしまって」(石田)、「どのシーンでも希和子はずっと薫のことを見つめていますよね。表情からでも希和子の気持ちが伝わってくる」(奥寺)と賛辞をおくっている。
このてい談の模様は、原作小説の文庫版の帯に掲載されている。
「八日目の蝉」は、4月29日から全国で公開。
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