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想像以上の難産だった塚本晋也の根性SFX「鉄男 THE BULLET MAN」

2010年5月21日 17:23

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ボロボロになりながらもようやく完成
ボロボロになりながらもようやく完成

[映画.com ニュース] 平凡なサラリーマンがある日突然、金属に肉体をむしばまれていく恐怖を描いた、塚本晋也監督の出世作にして代表作「鉄男」(1989)が、約20年の時を経てバージョンアップ。海外公開を視野に全編英語で製作された「鉄男 THE BULLET MAN」として帰ってきた。5月22日の日本公開を前に、塚本監督がインタビューに応じた。

同作は、現代の東京で日本人妻とひとり息子の3人で幸せに暮らす会社員のアンソニーが、何者かに息子を殺されたことによって体に異変をきたし、徐々に鋼鉄の塊へと変ぼうしていく姿を描いたサスペンス・スリラー。製作を依頼された当時(90年代後半)はアメリカ資本での製作が予定されていたため、ニューヨークを舞台にしたストーリーを構想していたという。

「せっかく全編英語で作るわけですから、ニューヨークを舞台にしたかったんです。ただ、大きいビル(ワールド・トレード・センター)が2つ倒れてしまったので、ここでまた鉄男がニューヨークでビルを壊してしまったら、不謹慎ということもあるし、僕の中の『鉄男』のテーマや作ることの意義が決定的に違ってくるんです。僕が描く暴力は、戦争とは無関係の平和ボケした世界で起こってしまう暴力なので、9・11のようなテロが本当に起きた街が舞台ではいけないと思ったんです」

そこで、塚本監督は「もし自分がアメリカ人だったら、舞台としてバーチャル・リアリティ的な街をどこにするか?」と考え、最終的に自らのホームグラウンドである東京を選び、前2作と同じような自主製作のスタイルで作り始めた。

「いろいろ考えるうちに、巨大なバーチャル・リアリティのハチの巣のような街である東京に、アメリカ人を送り込んだら面白いと思ったんです。ストーリー上は、そこで育ったような感じがないといけないので、東京生まれのアメリカ人という設定にしましたが、ソフィア・コッポラ(「ロスト・イン・トランスレーション」)やギャスパー・ノエ(「エンター・ザ・ボイド」)が東京を撮るようなイメージで、都市としての東京を描ければと思いました」

鉄男II BODY HAMMER」(93)から16年が経過し、塚本監督自身、久々の「鉄男」となったが、表現方法は前2作同様に「すごくレトロでアナログだった」とか。

「今は、20年前と違って、3DやらCGもあるからそれを使うのかというと、それは違う。というのは、僕としては顔に金属がくっついていくのを見るのが好きだから『鉄男』を作ったようなところがあるので、すべて後処理で人間が鉄になっていくのを見ても興奮しませんからね。ただ、『アバター』を見てしまったので、今現在、あれに負けないような気持ちだけは出さないといけないと思い、心意気だけは注入しました。だから、今回の映画は『根性SFX』と呼んでいるんです(笑)」

昨年9月のベネチア映画祭コンペティション部門への出品後、さらに3カ月をかけて大幅に作り直したという同作。自らのライフワークを作り終えての感想は?

「あまりに難産で産道を傷つけながら出てきた映画で、その傷がまだ癒えていません(笑)。壊滅的ダメージを受けたので、この傷が癒えるまでには時間がかかるでしょうね。かといって、これで『鉄男』とお別れかというとそんな気持ちはありません。かつて『鉄男II』を作ったあとすぐに『また、やるぞ』と言って、みんなに嘘つき呼ばわりされたので(笑)、今後は何も発言せずに心の中で自分の大事な楽しい遊び道具として温めておきたい気分ですね」

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