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「トニー滝谷」の映画監督、市川準さん急死

2008年9月22日 12:00

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[映画.com ニュース] 「禁煙パイポ」「タンスにゴンゴン」「ヤクルトタフマン」のCMディレクターで、スイスのロカルノ国際映画祭審査員特別賞受賞作「トニー滝谷」で知られる映画監督の市川準(本名・純)さんが、9月19日未明、脳内出血のため東京都渋谷区の病院で死去した。59歳だった。18日夕方から東京・五反田のスタジオで短編映画の新作「buy a suit」の編集作業を行った市川氏は、作業を終えた深夜に、都内の飲食店で食事中に昏倒したという。

1948年11月25日生まれ。CM演出家を経て、87年の富田靖子主演作「BU・SU」で映画監督デビュー。翌88年に、ハナ肇とクレイジーキャッツの7人が勢揃いした最後の作品「会社物語 MEMORIES OF YOU」で中年サラリーマンの悲哀を描いた。89年「ノーライフキング」(原作いとうせいこう)、90年「つぐみ」(原作吉本ばなな)と話題作を連発。95年の緒形直人主演作「東京兄妹」でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞、97年の長塚京三主演作「東京夜曲」でモントリオール世界映画祭最優秀監督賞を受賞。三谷幸喜の舞台を映画化した「竜馬の妻とその夫と愛人」(02)、イッセー尾形宮沢りえ主演で村上春樹の小説を映画化した「トニー滝谷」(04)などを手がけた。

遺作となった「buy a suit」は、東京国際映画祭(「日本映画・ある視点」部門)で10月22・23日に上映され、舞台挨拶も予定されていただけに、関係者の衝撃は大きかったようだ。同時進行で、プロではない周囲の人物を使ってHDカメラにより風景を撮影した自主製作映画「レンダンリング詞」も作っており、また次回作として太宰治原作「ヴィヨンの妻」の製作準備に入っていたようだ。関係者は「コンテや脚本をいじっている時が“至福の時”とおっしゃってました」とその死を悼んだ。最後まで映像と格闘した人生だった。

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