押井守が初めて挑む“恋愛映画”で、宮崎駿に勝利宣言!?
2007年6月21日 12:00
[映画.com ニュース] 押井守監督(「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」)の最新劇場用アニメーション「スカイ・クロラ/The Sky Crawlers」(08年全国公開)の製作発表会見が、6月20日、東京・内幸町のワーナー・ブラザース本社にて行われ、押井監督が新作に向けた“決意表明”を行った。
「スカイ・クロラ」は人気作家・森博嗣による同名小説の映画化。永遠に若い姿のまま生きることを宿命づけられた“キルドレ”と呼ばれる若者たちが、大人たちの作り出した“ショーとしての戦争”に戦闘機パイロットとして参加し、戦い続ける物語。SFやミリタリーものが得意な押井監督は「また戦争ものかと思われるかもしれないが、それはあくまで物語の背景であって、中心は16~17歳の少年少女の愛と生と死の物語。今回は“恋愛映画”です」と、自身初の“若者向け恋愛映画”になると表明。そのため「これまでの自分のスタイルは一度捨てる」と語り、脚本にも「世界の中心で、愛をさけぶ」「春の雪」など行定勲監督の恋愛映画を手掛けた若手女性脚本家の伊藤ちひろを登用した。
これまで大人を主人公にした物語を主に描いてきた押井監督が、あえて若者を主人公にした恋愛映画を描こうと思ったきっかけについて、「僕も55年生きて、自分なりにやっと生きていることを実感できるようになった」と自身の変化を語るとともに、「現代は生き方の選択肢というのは実は少なくて、若者は全てを留保しておきたいと思っているように感じられるが、『とりあえず生きてみる』ということに価値はあると思う。生きることがつらいことなのは間違いないが、不幸になることも(人生の)醍醐味だと思って恐れなければ、人生は情熱の対象にもなる。若者に説教しようとか、希望を託そうというつもりは毛頭ないが、愛犬が死に、別れて暮らしていた娘と再会したと思ったらすぐに(娘が)結婚して離れてしまったりで僕の人生も一巡し、これからもう一度生きてみようと思っている時だからこそ、若者に向けて発言するチャンスかもしれない」と熱弁を振るった。
一方で、やはり戦闘機アクションにはこだわりがあるようで、「空中戦といえば宮さん(宮崎駿監督)と言われてるけど、こっちも自信あります。紅い飛行機のやつ(『紅の豚』のこと)よりいいんじゃないでしょうか」と早くも勝利宣言。さらに来年は宮崎監督の最新作「崖の上のポニョ」が公開され、04年の「イノセンス」対「ハウルの動く城」に続いての“対決”となることについても、「不思議とよくバッティングするけど、そういう縁だと思ってます。お互い、この歳になってまだ監督をやっていて、向こうもかなり転機になる作品みたいだし、そういう意味で『スカイ・クロラ』と『ポニョ』は似ているかもしれない」と、常に動向が注目される巨匠同士、多少のシンパシーも抱いている様子だった。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。