キリエのうたのレビュー・感想・評価
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岩井俊二さんの作品を見たのは、この映画が始めてです。
岩井俊二さんの作品の世界観を知らなくて、始めて見たこの作品は、「楽しい」「嬉しい」など、眩しいような明るさはない作品で、こんな世界観なんだなぁーと、感じるものでした。
日常で感じるような「楽しさ」を感じることはあるものの、人の内側の醜さ、哀しさのようなものも同時に感じる作品でした。
岩井俊二さんの作品に触れるのはこの映画が始めてで、
後からキリエのうた、ラストレターと小説を読んだ上で思うのは、キリエのうたのテーマに震災があるからという事ではなくて、
岩井俊二さんの世界観が、少し重みのあるものなのかなと感じています。
心から叫んでいるように聴こえるアイナさんの歌は、特徴的な歌声で、被災を体験した女性の歌だと思いながら聴くとどこか、泣きたくなるような歌でした。
決して明るい映画ではなかったけれど、世界って楽しいだけではないので。登場人物から感じる人間らしさ、色んな人の物語がある中、どこかの誰かの一部の世界を見ているような世界観。
小説を先に読んでいた人とではまた、感じ方は違うのかもしれませんが、
小説で後から答え合わせが出来て良かったです。
夏彦との電話の最中、希(姉のキリエ)が風呂上がり服は着ていなくて、映画なのに何故?と感じつつ、震災や災害というものは予期せぬタイミングで起こるものだし、現実感を追求した結果なのかなと、感じもしたのですが、
いくら現実の世界のような雰囲気を感じる映画とはいえ、キリエは映画の中では妊婦の女性で、演じてるアイナさんは、妊婦ではない。
まじまじとお腹を眺める余裕などないような状況での映像ではあったものの、
もし現実感を追求した結果でのことだったとしても、お腹が見える描写をしてしまったら、「見た目での違和感」を、生み出さないかなと、映画を見ながらそこが少し気がかりだったので、
監督に、どういう理由での事だったのか、その部分に関しては少し聞いてみたくなりました。
※追記・・・
調べたら6つに割れた腹筋を、妊婦12週のお腹に見えるように映像の修正をしたという内容のものが出てきて
もう一度見て確認してみたくなりました・・・笑
映画の後、キリエのうた、ラストレターと読んで感じるのは、辛さ、重さもありつつ、人の温かさ優しさも感じる岩井俊二さんの世界観が、私はそこそこ好きみたいです。
1人の女性の進む道の先
1人の少女の数奇な運命。
その主人公と触れ合う3人の人々を通して彼女の過去と現在、未来へと繋ぐ物語。
ただ寺石先生のパート部分は少なく3人なのかな?と思いたくなるほど少ない様に感じた。とても重要な人物なのだが。
そして悲しみを直接表現するのではなく、見せない部分を観客に想像させ、それを背負って生きる彼女のまっすぐな姿勢と歌声にとても心を震わされた。
その道に光が照らされることを願う。
そもそも岩井監督作品っていうこと以外よく調べずに映画館に行った自分が悪いのですが
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歌う方の岩井監督作品でした
もともとCHARAとかもあまり好きじゃなかったけどキリエも生理的にちょっと
そういう中で彼女の歌と舌足らずな声と成り行き任せの行動をずっと見続けなければいけない…広瀬すずと黒木華の箸休めが用意されているにしても苦行でした
ラストレターと違っておねえちゃんも同じキリエだなんて…悪夢でしかない笑
岩井監督は結局女の子二人を画面に並べて寝転がせたシーンを撮りたかっただけやん
それは悪くない
(だから星は半分)
アイナ・ジ・エンドよりカールスモーキー石井の歌がほうが好き
2023年映画館観賞66作品目
11月19日(日)イオンシネマ新利府
6ミタポイント0円
監督と脚本は『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』『スワロウテイル」『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ラストレター』『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井俊二
あらすじ
東日本大震災の津波で母と姉を失った石巻の小学3年生の路花
大学進学で引っ越した姉の婚約者に会うため石巻からトラックに忍び込み大阪へ
自宅に泊めてくれた地元の小学校教師寺石風美に調べてもらい夏彦に会うことができた路花
しかし児童相談所によって路花は夏彦や風美と引き離されてしまう
帯広の里親に育てられた路花は高校生となり牧場で働く夏彦と偶然再会し同棲を始めるがやはり児童相談所に引き離されてしまう
夏彦は牧場主に頼まれてスナックの娘の真緒里の家庭教師を務めることになった
夏彦から妹として紹介された路花は一学年上の真緒里と親しくなる
なんやかんやで高校卒業後里親の家を出て路上生活をしながらストリートミュージシャンで生計を立てていた路花は偶然新宿で真緒里と再会
路花はミュージシャンとして姉の名のキリエと名乗り真緒里は真緒里の名を捨て一条逸子またはイッコと名乗った
イッコはキリエのマネージャーを買って出て音楽プロデューサーの根岸を紹介
ところがイッコはなぜか結婚詐欺の疑いで警察に遭われる身でキリエにもなにも言わず逃亡行方不明に
キリエの歌声に惚れ込んだミュージシャンたちが次々と集まりやがて新宿中央公園でフェスが開催されることになった
1番の問題は178分
およそ約3時間
120分でも長く感じる最近の若い子はなんでもかんでも早送りして鑑賞するらしいがそれで高倉健なんて観たら台無しだ
そんな時代に178分
でも苦痛には感じなかったし眠くはならなかった
それこそ岩井俊二の映像マジックであり主演俳優の歌唱力のチカラが大きい
2番目の問題
自分はアイナ・ジ・エンドの歌声があまり好きではないということだ
稲葉浩志や椎名林檎のようなクセのある歌声でも快く受け入れることができたのに
林檎だって彼女のことを高く評価してるにも関わらず
背中がゾクゾクっきて聴いた後は拍手する気にはなれなかった
なにが良くてなにが悪いか極めて微妙だが生理的に無理なんだろう
鑑賞するのに迷ったが比較的地元感覚の仙台石巻も舞台となっているのでは観ないわけにはいかなかった
アイナ・ジ・エンドって芸名はプロレスラーでいうとバッドニュースアレン的な意味合いがあるのだろうか
元BiSHらしいがあそこはみんな変な芸名でたけし軍団をリスペクトしてるんだろうか
3番目は大きく分けて3つの時系列があっちに行ったりこっちに行ったりと忙しく順番通りじゃないこと
自分は頭が悪いせいかこういう映像作品は苦手
4番目の問題は広瀬すずの風貌
警察などに遭われる身で身を隠す意味合いがあったのだろう
数種類の色々な色したウィッグも茶色いサングラスも
生理的にあまりああいう格好の女は嫌いだ
国産車のCMやっておきながらあの格好で外車を乗り回してたら彼女の愛車ミニにこっそり傷をつけたくなるだろう
なにかといえば児童相談所関係と警察が邪魔をする
イライラする
子供の頃から威張っている奴をみると懲らしめたくなるが実際は懲らしめることはない
ただいかりや長介が他のメンバーから懲らしめられると涙を流して腹が捩れほど大笑いするのは確かだ
松浦祐也が今回もゾッとするほど気持ち悪い
男の自分でも嫌なんだから女はもっと嫌だろう
これが怪演というやつだろうか
キリエの母親役が「もういっかい」さくらんぼの大塚愛とはエンドロールを見終わったあとでも気づかなかった
地元のエキストラかと思っていた
そのくらいオーラがなかった
イオンモール石巻のフードコートでお昼時に丸亀製麺の前で並んでいても違和感は無いと思う
カルディで子供にお菓子をねだられ「高いからダメ」と言ってそうな庶民丸出しのお母さん感が溢れていた
役作りがはまったのかもしれないが大塚愛も少し綺麗めな昔はモテたかもしれない普通のおばさんになっていた
岩井俊二監督作品の一番の売りはやはり映像につきる
駅のホームで夏彦と姉の希(きりえ)がイチャイチャしてる少し後方でバレエを踊る路花のシーンが特に好き
どちらかといえば岩井俊二監督とはあまり相性が良くない
その点でいうと『花とアリス』は奇跡的といえる
蒼井優と鈴木杏の演技力表現力のコンビネーションと設定が見事にはまった名作
岩井俊二監督作品には珍しくユーモアがたっぷり溢れていた
ああいう作品をまた作ってくれないかな
配役
キリエと名乗る住所不定の路上ミュージシャンの小塚路花にアイナ・ジ・エンド
路花の姉の婚約者で真緒里の元家庭教師の潮見夏彦に松村北斗
石巻から大阪にたどり着いた子供の頃の路花を自宅で保護した小学校教師の寺石風美に黒木華
キリエのマネージャーを買って出た帯広愛国高校時代の路花の1学年先輩の⼀条逸子またはイッコこと広澤真緒里に広瀬すず
夫を海の事故で亡くした路花と希の母の小塚呼子に大塚愛
路花の姉で夏彦の子を宿した石巻白百合女子高校2年の小塚希にアイナ・ジ・エンド
宮城県の児童相談所のベテラン児童福祉司の沖津亜美に安藤裕子
トラックに忍び込み夏彦に会うため石巻から大阪にやってきたイワンこと幼少期の路花に矢山花
夏彦と風美が路花に会うことを拒否する藤井寺の児童福祉司に光法
夏彦と風美が路花に会うことを拒否する藤井寺の児童福祉司に寺尾毅
希が受診する産婦人科医に三木美加子
石巻の小学校教師で路花のクラス3年2組の担任柳にたれやなぎ
3代続くスナックのママ3代目で真緒里の母の広澤楠美に奥菜恵
真緒里の祖母の広澤明美に浅田美代子
楠美のスナックの常連客で牧場経営者の横井啓治に石井竜也
真緒里の高校の担任教師の小笠原に林雄大
イッコの元恋人に豊原功補
イッコの元恋人のガールフレンドに松本まりか
しばらくのあいだ路花と真緒里を自宅に住まわせたナミダメことIT会社社長の波田目新平に松浦祐也
新宿駅前の路上で飲み会に行く途中グループから離れる真緒里に声をかけるイッコの仲間の女性に村中暖奈
夏彦の伯父で石巻にて塩見外科を経営する院長の潮見加寿彦に江口洋介
加寿彦のパートナーのマーク・カレンにロバート・キャンベル
夏彦の母の潮見真砂美に吉瀬美智子
夏彦の父の潮見崇に樋口真嗣
夏彦の祖父に鈴木慶一
夏彦の祖母に水越けいこ
イワンをザリガニ釣りに誘う風美が担任のクラスの男子児童の岡田に小尾颯
帰ったばかりの息子を叱る岡田の母に土井玲奈
キリエを応援しているギタリストの風琴に村上虹郎
キリエや風琴の協力者で「路上主義・新宿中央公園フェス」を企画したストリートミュージシャンの松坂珈琲に笠原秀幸
キーボード奏者の日高山茶花に粗品
天王寺公園で小学生の路花とコラボして歌ったストリートミュージシャンの御手洗礼に七尾旅人
イッコの仲介で音楽プロデューサーとしてキリエにいろいろとアドバイスする根岸凡に北村有起哉
根岸の以来でキリエの歌を聴く鬼頭に米本学仁
松坂珈琲と「AM11:00」を歌うミュージシャンにacanea(本人)
「あなたとのキス」を歌うミュージシャンに集団パラリラのジン(本人)
「春の音」と「マリーゴールド」を歌うミュージシャンに橋本桃子(本人)
イッコの結婚詐欺事件についてキリエと夏彦に事情聴取をする新宿南警察署の刑事の堀田に鳥谷宏
イッコの結婚詐欺事件についてキリエと夏彦に事情聴取をする新宿南警察署の刑事の沢井に足立理
他の子供達と一緒に路花にカレーをご馳走する教会のスタッフにサヘル・ローズ
騒音苦情でフェスの中止を求める新宿中央公園の警官に新井敬太
騒音苦情でフェスの中止を求める新宿中央公園の警官に細井学
幼い路花と一緒にいた御手洗礼を取り押さえる天王寺公園の警官に村角ダイチ
幼い路花と一緒にいた御手洗礼を取り押さえる天王寺公園の警官に馬塲由貴
根岸の無茶ぶりでキリエがアカペラで歌うカフェの店員に円井わん
キリエと橋本桃子の路上ライブを配信するユーチューバーにもっちゃん(本人)
暴漢に刺されて倒れ込んだイッコに駆け寄る通りすがりのキックボクサーに武尊
フェス会場の近くで「真緒里!」と叫んでイッコを刺した暴漢に豊満亮
ネットカフェの女性に畦田ひとみ
これはあと少しでもの凄い傑作になり得たと思う。
本当にあと少しのことで5.0つけられたよ!!!
だから、総じて良かったし、好きではあるの。
でもこーゆう映画ならもうちょっと
オシャレな画がほしいし、ちょこちょこ出てくる
大物俳優さんたちが、気になるし
3時間だったらもう少しすずちゃんパートも丁寧に出来なかったのかなぁ。
すずちゃんお芝居本当に上手だった!
アイナちゃんはBiSHの時が大好きだったけど
この作品会ってるようで合ってなかった感じ。
フラッシュ・バック・キリエ・ディス・娘
撮影4/5
脚本5/5
編集5/5
美術3/5
音響・音楽4/5
演出4/5
ミュージシャンの演技5/5
モブの演技5/5
俳優の演技2/5
天使の式日5/5
涙が出なかった自分の魂の穢れ5/5
☆庵野監督の式日を観てない方は鑑賞をオススメします。岩井さんが監督役で出演してます。自分も見直します。
☆良かった所
①4コの時間軸が交差して話が進んで行くが、脚本のお陰か、編集で神繋ぎをしたのか、難しい話を上手に纏めてます。
②ミュージシャンの方、モブの方の演技や表情がよく、切り取り方も良かったです。
③優しい嘘の突き方が勉強できます。
☆イマイチな所
①俳優陣の演技、演出がイマイチで足を引っ張ってたかな〜スケジュール的に撮影時間厳しかったのか?
②2023年のシークエンスでのいっことの出会いのシーンで、広瀬すずの演技を意図的にクサくしてるが、違和感が凄かったので、その前に前振りがあった方が良かったかな、イマイチ①とも重なって心配になりました。
これぞ岩井監督
登場人物がみんなそれぞれに、後悔や忘却したい過去の想いを抱えていて、
今、このまま過去の想いを抱えながら生きていていいのか、生きるしかないのが伝わる映画でした。
みんな幸せになってほしい..
「何度でも 何度だっていく」理由がある
公開初日に2度観て、原作を読み終えて3度目、それから3週間ほどおいて4度目の鑑賞。
喫茶店で根岸プロデューサー(北村有起哉)に挑発されてKyrieが歌うシーンは、何度観ても心が震える。挑発に真っ向応えるKyrieの表情もいい。この歌の凄みは、「Kyrie/路花が歩んできた日々」があったから生み出されたものだったと、映画が終わるときには深く納得することになる。そして、その納得した気持ちをしっかりもって、もう一度あの喫茶店のシーンを観たくなる。
そんな、一度観て知った上で、登場人物たちの心情を思いながら確かめたいシーンが、書ききれないほどある。原作を読むことで世界観が深まれば、やっぱりまた観たくなるし、Kyrieの気になるその後として、「プロデビューを果たせたんだね、良かったね」と妄想しながらファーストアルバム『DEBUT』を聴くと、デビュー前のKyrieに会える貴重な機会だとワクワクソワソワして、また映画館に行きたくなる。
公開から1カ月が経って、上映終了となる映画館が増えてきて、寂しい気持ち。何度でも観たくなる、映画館の音響で浴び続けたい歌声があるからこそ、1日1回でも3日に1回でもいいのでまだまだ継続的に上映し続けてほしい作品。
優しい雰囲気の映画
若者の自由を阻害する、規則で動く大人たち
自由を求めた結果失敗して堕ちていく若者たち
自分勝手に行動する人、人に翻弄される人
周りの嫌な人たちをやや過剰に悪く描いて、そんな中周りからは理解されないものの自分を見失わず生きてきたルカを優しく包む物語。
しょっちゅう時勢が変わるから混乱しそうと思ったけど、意外と飽きずに展開してすんなり世界にはまれた。
東北震災が急に出てきて一瞬、映画の趣旨変わっちゃった?と思ったし、災害が安易に扱われてないか構えてしまう。でもなんであれリアルに思い出すという意味はやはりあるんだなと納得。その時のキリエの言動は奇怪だけれど。
元は村上虹郎見たくてチェックしてたけど出番は少なく、松村北斗の演技初めて良いと思った。暗くて弱い役柄がすごく上手い。
広瀬すずはあの七色ウィッグどれでも似合うってどういうこと?奔放キャラ素敵でした。
そしてアイナの歌声はやっぱり唯一無二であり、好きかどうかはともかくここまでのインパクト出せる歌手は他にはいないんだろうな。。あれで路上生活ってあり得るんか。
親の都合で進路を変えられ、自分で軌道修正できなかったイッコ、規則で子どもの気持ちも考えず連れ去る役人たち(多分子どもにたかる大人の悪意も見てるんだろう)、それに何も言えないトラウマを抱えたなっちゃん、腹いせでキリエを襲うおっさん、みんな胸糞悪いけど、珍しいケースでもなく、環境によっては自分だって翻弄されてた側なんだろうなと思える。でもこういうのが映画として成り立つということは、日本ではまだまだ中流以上で平和に生きていられる人が多いということなのかな。
アイナさんが主役でした
内容は重くてリアルでした。アイナさんの表現力に圧倒されました。すずさんの演技も個人的に好きで、やはりよかったです。松村さんも、言葉にはしていなくても思っていることが動作から伝わってきましたし、ちゃんと夏彦で、いい意味で全くかっこよくなかったです。震災のときの表現もリアルで胸が痛いではなく、心が本当に痛みを感じているようで、早く終わってほしいと思うほどでした。ただ、この作品は3時間と長いですが、見る価値があると思います。個人的に終わり方が好みと少しずれていましたが、キリエのうたはあの終わり方がいいのだと思います。本を読んだらまた観たくなりました。
アイナジエンドの歌声
・轟音鑑賞
・アイナジエンドの歌声が素晴らしい
※広瀬すず、松村北斗等固める俳優が俳優なので、演技中は食われている印象だが、歌ったらすごい迫力、かっこいい!!
・岩井俊二監督っぽいしずかにゆったり流れていく映画。
・長いので疲れてくるが、まあお得と考えれば(笑)
岩井俊二監督の佳作
ユナイテッドシネマ浦和にて鑑賞🎥
「円滑に話すことは出来ないけど歌は歌える女性」を軸に据えて様々な人間模様を描いているのだが、時空が現在と遠い過去・近い過去など行ったり来たりするので、最初は「何これ?」と戸惑う。
しかし、約3時間の本作を観ていくにつれて、「お~ぉ、そういうことか!」と次々とエピソードがリンクする素晴らしさが光る岩井俊二監督作であった✨
よく通る新宿駅南口で“キリエ”という路上歌手(アイナ・ジ・エンド)と過去と名前を捨てた女性イッコ(広瀬すず)が出会うところから始まる。
この時の広瀬すずの髪が「綾波レイ」や「アデルブルーのレア・セドゥ」的な“ブルーの髪”なのが素敵な感あり。萌えたりするわけではない…😄笑
十勝での子供時代、大阪弁を喋る黒木華と子供の風景から「これは大阪場面?」と思える場所、石巻や仙台での震災エピソード、そして現代……と時間軸や場所が次々と変わるので「これも最後には繋がるんだろうな…」と思って観てしまう(^^)
また、黒木華って大阪弁上手いなぁ~と思ったら、大阪出身だったのか。本作も『リップヴァンウインクル…』など岩井俊二監督作の常連として出演していると思ったら、適材適所だったようだ。
さて、肝心の「キリエの歌」については、1970年代からずっとHR/HM好きな自分には、アコギで歌われてもチョット乗り切れない曲が多かった(^^;
また、アコギでカポタストを使うのも好きではないので気になったところ。
ただ、監督の世代から選ばれて劇中で歌われた昭和の曲の数々……久保田早紀の『異邦人』、由紀さおり『夜明けのスキャット』、オフコースの『さよなら』は、耳に馴染んだ曲だったので良かった。特に『異邦人』はシングル盤EPを買うほど好きだった曲なのでナイス‼️🙂✌️
あと登場人物がとても多いが、岩井俊二監督は「人間関係を明確に描こうという意図はなかった」みたいで、チラリチラリとベテラン俳優が次々と登場する不親切さはあったものの、このあたりは大雑把で良かったのかも知れない。
なかなか素晴らしいドラマを見せてもらって、「やっぱり岩井俊二監督作は上映されたら観に行くべし!」と再認識させられる佳作であった🎥✨✨
<映倫No.124070>
アイナジエンドさんという才能の塊。
レビューで好みが分かれるって言われてるのを見て、自分はどうか確かめたくて観に行った。
この映画の公開前にたまたまYouTubeで岩井監督の過去作の配信やってるの見つけて、リリィシュシュのすべてを見たけど、そこまでハマらなかったから、またハマらなかったら嫌だなーと思いつつ。
けど、始まってすぐの歌声に完全に心掴まれた。
割と引き込まれてたから3時間も長く感じず。
映画館で観てよかった。
オリジナル曲ほとんどアイナさんが作ってるの純粋にすごすぎる。BiSHを全く知らなかったから、凄い才能に圧倒された感じだった。
他のキャスト皆さんよかった。脇がうまいからアイナさんが引き立ってる感じ。けど、いちばん気になったのはルカの子役さん、可愛いのはもちろんだけど歌声がなんだか耳に残る感じ。よかった。私は初めましてだったけど、ミュージカルに出たりされてるみたい、これからもっと見れるかな。
総じて、私は好きだった!
広瀬すず&松村北斗くんが良かった
岩井俊二監督の最新作ということで見に行きました。広瀬すずちゃん、イッコと真緒美の演技分けがすごく良かったです。
松村北斗くんも直接的なセリフがなくても、心情がすごく伝わってきた。特に希の家に行って路花の異邦人を聞いている所。本当に産んでほしいと思ってるのか?自問自答してる感じ、良かったです。
感動したことはなんといってもあなたの歌ですよ
歌は歌えるが上手く声が出せない路上ミュージシャンのキリエは奇抜な服装の女性イッコと出会い、マネージャーとなったイッコの元、話題の路上ミュージシャンとして有名になっていく。
そんな彼女には悲しい過去があった。
運命に翻弄された4人の男女の13年に及ぶ群像劇。
私の愛が溢れるばかりにめちゃくちゃ長文Love Letterになってしまっているから覚悟しな!
敬愛する岩井俊二監督最新作だったが、最近は映画への熱も以前ほどではないため、公開前に期待値を上げるということはしなかった(その方が映画を楽しめるし)。
予告もほとんど見なかったし、アイナ・ジ・エンドがキリエとして色々な場所で楽曲を披露していてもなるべく観ないようにした。
そうして臨んだ3時間の岩井トリップ。
鑑賞直後「ありがとう」その言葉しか出てこない。
もうね、いいですか語彙力を失いますよ。
はい、はい、はい。大きく頷いて深呼吸。
余韻を噛み締めながら帰途に着いた。
それからレビューを書くためにも思いを巡らせて、気付けばキリエの楽曲を聴きつつ常に映画のことを考える毎日。
鑑賞から3日経ってようやくちゃんと言葉に残すけれど、とりあえず言いたいのは岩井美学の最高傑作だということ。
好きな映画って語りたいけど語りたくない、語る必要もないとさえ感じる。
とりあえず観ろ!(語るけど。)
他の人のレビューとかもざっと観ていると賛否両論あることが分かる。
そりゃあって当たり前。賛否あるための映画だから。
だってこれはリリイ・シュシュじゃないか。
賛の意見はもちろんだが、否の意見も物凄くよく分かる。
特にレイプシーンやラストシーンへの言及なんかが多い。
評価をしてくれていることだけでも感謝したい。
そもそも今作は評価されなくていい。
もちろん評価されてもいい。
何を言っているんだ。
まあ、ともかく評価云々の前に映画として存在してくれたことに意味があると思う。
冒頭で岩井美学の最高傑作と述べた。
だが、岩井映画の最高傑作だとは思わない。
それぞれの心に残る岩井映画はそれぞれ違うだろうけど、正直この作品が1番っていう人はあんまり多くないんじゃないかな?
この映画は岩井俊二30年の歴史の集大成だ。
打ち上げ花火であり、Love Letterであり、スワロウテイルであり、四月物語であり、リリイ・シュシュであり、花とアリスであり、リップヴァンウィンクルであり、ラストレターなのだ。
過去作品のセルフオマージュがあちこちに散らばっている。
そして新たな一面も見ることができる。
さらに、未来への可能性も秘めている。
どこまで進化してくれるのか分からないが、この映画が全身を使って岩井俊二のすべてを体現している。
これは岩井俊二の人生そのものと言っても過言ではないかもしれない。
2011年〜2018年〜2023年。
宮城→大阪→北海道→東京。
時間と場所を移して、キリエ(路花)を中心に登場人物のそれぞれの人生が交差するように描かれる群像劇。
原罪を背負った彼女たちは運命に翻弄される。
ある時には運命に導かれて出会い、またある時には運命に見放され引き裂かれる。
自分はキリスト教には詳しくはないが、ルカ、キリエといった名前から分かる通り、根底にあるキリスト教的観念が物語に大きな厚みを持たせているように感じた。
キリエの物語、それは幻想的なファンタジーのように始まるが、現実は残酷に無情に彼女たちへ襲いかかる。
ただその中で歌だけが救いであり、その歌声はどこまでも純粋で真っ直ぐ。彼女の歌こそが福音なのだ。
「キリエ」という言葉は「主よ」という意味のギリシア語らしい。
十字架を背負い、苦しみに耐えながら、希望を込めた歌で人々に光を与えていく。
キリエを名乗り歌うことは、希から路花に与えられた使命なのかもしれない。
これはあくまでもファンタジーだ。
いや、ファンタジーであってくれなければ困る。
それでも何故他人事のように感じられないのかといえば震災を扱っているからであろう。
現代日本人の悲しみの記憶、その最たるものが東北の震災だ。
現在でもあの震災で味わった傷は癒えないし、直接失ったものがあるわけではない自分でさえも、このテーマはタブーにしたいほど辛い。
そんな取り扱いにくいテーマを今作は長尺でしっかりと描ききってくれた。
レイプシーンもそうだが、昨今ではこういった描写を配慮から注意書きをした上で曖昧にすることも多い。
しかし、今作は長尺で描いているのがかなり印象的だ。
批判はあって当然。
ただ、真正面から敢えてヒール役に徹してまで描くこと、それは御涙頂戴ではない。
特に、宮城県出身の岩井俊二監督は非被災者の中では人一倍震災への想いが強いと思う。
だからこそ、あのシーンには命が宿っている。
恐ろしかったし、苦しかった。
生半可なものではない。犠牲となった方々、そして未だ見つからない方々への最大限の鎮魂を込めて。
この映画の最大の功労者、アイナ・ジ・エンド。
後述するが本当にどの役者も素晴らしかった。
ただ、この作品はアイナがキリエをやってこその映画だと思う。
アイナ・ジ・エンドを初めて知ったのはドラマ『死にたい夜にかぎって』の同名エンディング曲。
天才だと思った。
それから少し聴くようになって、BiSHは未だに詳しくないけれど彼女の存在は割と前から知っていた。
自分の悪い特徴の一つで世間的に知名度上がると離れてしまうのだが、アイナの歌のヤバさはそんなこんなで有名になってしまったので少し離れていた。
そんな時にやって来たのがこの『キリエのうた』だった。
何故なのかは本当に説明できないけれど、彼女の唯一無二の歌声を聴くと胸が締め付けられ自然と涙が滲み出る。
今回の悲しみのような、はたまた喜びのような、魂の叫びにも似たキリエの歌声に適した人物なんて彼女以外考えられない。
Chara、Salyuの系譜を継ぎ、新たな岩井映画のミューズに選ばれたアイナ・ジ・エンド。
引き込まれるような演技力も含め、正真正銘のアーティストなのだと実感し、さらに興味が湧いた。
本当に無駄がないのよ。
映画的な側面もそうだが、役者が総じて本当に素晴らしい。
広瀬すずと気付けないほど(衣装のせいではなく)登場シーンからイッコそのものだった広瀬すずの俳優魂。
真緒里もしっかり演じ分けていたし、何より25歳であの制服の違和感のなさは流石としか言いようがない。
それから、松村北斗の適応力。
とても現役アイドルとは思えない俳優としての貫禄。
実力派若手俳優と言っても全く驚かない。
黒木華の安心感、村上虹郎の透明感、松浦裕也のキモさ、笠原秀幸のいい意味での浮き加減……etc
褒め出したらキリェがない。
七尾旅人や安藤裕子、大塚愛に石井竜也といったアーティストの積極的な起用も作品に間違いなくプラスに働いている。
そして、ルカの幼少期イワンを演じた矢山花がとにかく素晴らしかった。
教会で天井を仰ぐシーンでの彼女の目は1番印象に残っているかもしれない。
ただ一点だけ。
粗品は粗品すぎた。まあ、苦しい世界でちょっと浮いてるキャラも必要かもしれないが……
この作品への想いはまだまだ書ききれないが、ひとまずこれくらいにしておく。
3時間だからとか賛否分かれてるからとかで避けている人がいたら騙されたと思って劇場へ行って欲しい。
とにかくあっという間だし、どんな感想を持つかは分からないがとんでもない映画であることは間違いない。
岩井俊二の作品を映画館で観る体験を是非して欲しい。
って言っても、もしここまで読んでくれている人がいたら多分鑑賞済みだと思うけど。
上映しているうちにまた観に行きたい。
いやこれはもう一度観に行かないとダメだ。
今年のベストはほぼ間違いない。
あと1ヶ月でこの感動を上回ることは難しいだろう。
予告編の雰囲気に流されての観覧
岩井俊二監督作品は、良い雰囲気の残る映画なんだけど…道中飽きる場面が……、という印象の作品が多いイメージだった為、長丁場どうかな?……との懸念抱きつつの観覧。
ツッコミどこは有るものの、悪くないんだけど…のめり込む要素に欠けてた感じ…。
音楽的にも豪華なキャストだったので、それぞれが音楽家としての色を出し合うのかといった作品かと変な期待も有ったのかも。
石井さんがちょっとハミングしてたけど、せっかくなので石井さんだけじゃなくキリエ母とかにも……などと、ちょっと勿体ない気がした。
音楽をメインとした作品として、アイナの歌唱力を中心として、周りの俳優陣は豪華だった。
相棒イッコ演じるすずの大人ぽさに、アリスに激似!と感じた。(ルカが姉キリエにそっくりな様に)
最後まで観ての雰囲気は悪くないが…
も少し短くしてもよかったかな?
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