劇場公開日 2023年10月13日

「アイナ・ジ・エンドよりカールスモーキー石井の歌がほうが好き」キリエのうた 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アイナ・ジ・エンドよりカールスモーキー石井の歌がほうが好き

2023年11月21日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

2023年映画館観賞66作品目
11月19日(日)イオンシネマ新利府
6ミタポイント0円

監督と脚本は『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』『スワロウテイル」『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ラストレター』『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井俊二

あらすじ
東日本大震災の津波で母と姉を失った石巻の小学3年生の路花
大学進学で引っ越した姉の婚約者に会うため石巻からトラックに忍び込み大阪へ
自宅に泊めてくれた地元の小学校教師寺石風美に調べてもらい夏彦に会うことができた路花
しかし児童相談所によって路花は夏彦や風美と引き離されてしまう
帯広の里親に育てられた路花は高校生となり牧場で働く夏彦と偶然再会し同棲を始めるがやはり児童相談所に引き離されてしまう
夏彦は牧場主に頼まれてスナックの娘の真緒里の家庭教師を務めることになった
夏彦から妹として紹介された路花は一学年上の真緒里と親しくなる
なんやかんやで高校卒業後里親の家を出て路上生活をしながらストリートミュージシャンで生計を立てていた路花は偶然新宿で真緒里と再会
路花はミュージシャンとして姉の名のキリエと名乗り真緒里は真緒里の名を捨て一条逸子またはイッコと名乗った
イッコはキリエのマネージャーを買って出て音楽プロデューサーの根岸を紹介
ところがイッコはなぜか結婚詐欺の疑いで警察に遭われる身でキリエにもなにも言わず逃亡行方不明に
キリエの歌声に惚れ込んだミュージシャンたちが次々と集まりやがて新宿中央公園でフェスが開催されることになった

1番の問題は178分
およそ約3時間
120分でも長く感じる最近の若い子はなんでもかんでも早送りして鑑賞するらしいがそれで高倉健なんて観たら台無しだ
そんな時代に178分
でも苦痛には感じなかったし眠くはならなかった
それこそ岩井俊二の映像マジックであり主演俳優の歌唱力のチカラが大きい

2番目の問題
自分はアイナ・ジ・エンドの歌声があまり好きではないということだ
稲葉浩志や椎名林檎のようなクセのある歌声でも快く受け入れることができたのに
林檎だって彼女のことを高く評価してるにも関わらず
背中がゾクゾクっきて聴いた後は拍手する気にはなれなかった
なにが良くてなにが悪いか極めて微妙だが生理的に無理なんだろう
鑑賞するのに迷ったが比較的地元感覚の仙台石巻も舞台となっているのでは観ないわけにはいかなかった
アイナ・ジ・エンドって芸名はプロレスラーでいうとバッドニュースアレン的な意味合いがあるのだろうか
元BiSHらしいがあそこはみんな変な芸名でたけし軍団をリスペクトしてるんだろうか

3番目は大きく分けて3つの時系列があっちに行ったりこっちに行ったりと忙しく順番通りじゃないこと
自分は頭が悪いせいかこういう映像作品は苦手

4番目の問題は広瀬すずの風貌
警察などに遭われる身で身を隠す意味合いがあったのだろう
数種類の色々な色したウィッグも茶色いサングラスも
生理的にあまりああいう格好の女は嫌いだ
国産車のCMやっておきながらあの格好で外車を乗り回してたら彼女の愛車ミニにこっそり傷をつけたくなるだろう

なにかといえば児童相談所関係と警察が邪魔をする
イライラする
子供の頃から威張っている奴をみると懲らしめたくなるが実際は懲らしめることはない
ただいかりや長介が他のメンバーから懲らしめられると涙を流して腹が捩れほど大笑いするのは確かだ

松浦祐也が今回もゾッとするほど気持ち悪い
男の自分でも嫌なんだから女はもっと嫌だろう
これが怪演というやつだろうか

キリエの母親役が「もういっかい」さくらんぼの大塚愛とはエンドロールを見終わったあとでも気づかなかった
地元のエキストラかと思っていた
そのくらいオーラがなかった
イオンモール石巻のフードコートでお昼時に丸亀製麺の前で並んでいても違和感は無いと思う
カルディで子供にお菓子をねだられ「高いからダメ」と言ってそうな庶民丸出しのお母さん感が溢れていた
役作りがはまったのかもしれないが大塚愛も少し綺麗めな昔はモテたかもしれない普通のおばさんになっていた

岩井俊二監督作品の一番の売りはやはり映像につきる
駅のホームで夏彦と姉の希(きりえ)がイチャイチャしてる少し後方でバレエを踊る路花のシーンが特に好き

どちらかといえば岩井俊二監督とはあまり相性が良くない
その点でいうと『花とアリス』は奇跡的といえる
蒼井優と鈴木杏の演技力表現力のコンビネーションと設定が見事にはまった名作
岩井俊二監督作品には珍しくユーモアがたっぷり溢れていた
ああいう作品をまた作ってくれないかな

配役
キリエと名乗る住所不定の路上ミュージシャンの小塚路花にアイナ・ジ・エンド
路花の姉の婚約者で真緒里の元家庭教師の潮見夏彦に松村北斗
石巻から大阪にたどり着いた子供の頃の路花を自宅で保護した小学校教師の寺石風美に黒木華
キリエのマネージャーを買って出た帯広愛国高校時代の路花の1学年先輩の⼀条逸子またはイッコこと広澤真緒里に広瀬すず
夫を海の事故で亡くした路花と希の母の小塚呼子に大塚愛
路花の姉で夏彦の子を宿した石巻白百合女子高校2年の小塚希にアイナ・ジ・エンド
宮城県の児童相談所のベテラン児童福祉司の沖津亜美に安藤裕子
トラックに忍び込み夏彦に会うため石巻から大阪にやってきたイワンこと幼少期の路花に矢山花
夏彦と風美が路花に会うことを拒否する藤井寺の児童福祉司に光法
夏彦と風美が路花に会うことを拒否する藤井寺の児童福祉司に寺尾毅
希が受診する産婦人科医に三木美加子
石巻の小学校教師で路花のクラス3年2組の担任柳にたれやなぎ
3代続くスナックのママ3代目で真緒里の母の広澤楠美に奥菜恵
真緒里の祖母の広澤明美に浅田美代子
楠美のスナックの常連客で牧場経営者の横井啓治に石井竜也
真緒里の高校の担任教師の小笠原に林雄大
イッコの元恋人に豊原功補
イッコの元恋人のガールフレンドに松本まりか
しばらくのあいだ路花と真緒里を自宅に住まわせたナミダメことIT会社社長の波田目新平に松浦祐也
新宿駅前の路上で飲み会に行く途中グループから離れる真緒里に声をかけるイッコの仲間の女性に村中暖奈
夏彦の伯父で石巻にて塩見外科を経営する院長の潮見加寿彦に江口洋介
加寿彦のパートナーのマーク・カレンにロバート・キャンベル
夏彦の母の潮見真砂美に吉瀬美智子
夏彦の父の潮見崇に樋口真嗣
夏彦の祖父に鈴木慶一
夏彦の祖母に水越けいこ
イワンをザリガニ釣りに誘う風美が担任のクラスの男子児童の岡田に小尾颯
帰ったばかりの息子を叱る岡田の母に土井玲奈
キリエを応援しているギタリストの風琴に村上虹郎
キリエや風琴の協力者で「路上主義・新宿中央公園フェス」を企画したストリートミュージシャンの松坂珈琲に笠原秀幸
キーボード奏者の日高山茶花に粗品
天王寺公園で小学生の路花とコラボして歌ったストリートミュージシャンの御手洗礼に七尾旅人
イッコの仲介で音楽プロデューサーとしてキリエにいろいろとアドバイスする根岸凡に北村有起哉
根岸の以来でキリエの歌を聴く鬼頭に米本学仁
松坂珈琲と「AM11:00」を歌うミュージシャンにacanea(本人)
「あなたとのキス」を歌うミュージシャンに集団パラリラのジン(本人)
「春の音」と「マリーゴールド」を歌うミュージシャンに橋本桃子(本人)
イッコの結婚詐欺事件についてキリエと夏彦に事情聴取をする新宿南警察署の刑事の堀田に鳥谷宏
イッコの結婚詐欺事件についてキリエと夏彦に事情聴取をする新宿南警察署の刑事の沢井に足立理
他の子供達と一緒に路花にカレーをご馳走する教会のスタッフにサヘル・ローズ
騒音苦情でフェスの中止を求める新宿中央公園の警官に新井敬太
騒音苦情でフェスの中止を求める新宿中央公園の警官に細井学
幼い路花と一緒にいた御手洗礼を取り押さえる天王寺公園の警官に村角ダイチ
幼い路花と一緒にいた御手洗礼を取り押さえる天王寺公園の警官に馬塲由貴
根岸の無茶ぶりでキリエがアカペラで歌うカフェの店員に円井わん
キリエと橋本桃子の路上ライブを配信するユーチューバーにもっちゃん(本人)
暴漢に刺されて倒れ込んだイッコに駆け寄る通りすがりのキックボクサーに武尊
フェス会場の近くで「真緒里!」と叫んでイッコを刺した暴漢に豊満亮
ネットカフェの女性に畦田ひとみ

野川新栄