パスト ライブス 再会のレビュー・感想・評価
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「視線」を見つめていた映画。 最初のシーンは、NYのバーにいる物語...
「視線」を見つめていた映画。
最初のシーンは、NYのバーにいる物語の主要人物3人を、たまたま居合わせた他人の視点で3人の関係性をあれこれ予想する場面から始まり、その視点は女の視線と交わった瞬間に切り替わる。
交わりそうで交わらない視線、そして一度交わると離れられない視線。
シーンとシーンの間、時間や距離を、緩やかに繋いでいくような音楽がかなり好み。
後半、男がやっとNYに来た場面のシークエンスは、ギターの音色が旅情を誘う。
男は終始女々しくて、見た目もダサいけど、くしゃっとした笑顔やその実直さが憎めない。
2人とも結論は最初から出ているのに、感情は揺れ動き、しかもラベリングできない。
ラスト2分間の長尺、たまらない緊張感。
廻る回転木馬。蛇足に見えた邦題も、込められた意味が分かると、悪くないかなと思えた。
アメリカを選んだ女
もしも経験値のある映画監督だったら、ラストあんな不粋なエンディングには持ち込まなかったことでしょう。ウディ・アレンの『マンハッタン』のように雨に濡れるNYを舞台に、24年ぶりに再会した幼なじみの韓国人男女を、リチャード・リンクレーターの『ビフォア・シリーズ』のような演出で描いてみせた本作は、アングロ・サクソン系の評論家筋にはなぜかすこぶる評判がよろしいのです。
確かに現在の韓国映画界は才能ある女流作家がてんこもり状態なのですが、アメリカ配信ドラマのシナリオに多少携わった程度のキャリアしかない本作監督セリーヌ・ソンを、それと同列に考えるのは無理があると思うのです。過去の恋愛映画から部分的にいいとこ取りをしただけで、本作にはオリジナルの演出やシナリオの捻りをまったく感じなかったからなのです
ではなぜ、他の映画祭ではほとんど無視された本作がアカデミー作品賞にノミネートされるまでの評価を受けたのでしょうか。本作が公開された2023年度は、コロナ開けをまって巨匠系がこぞって賞狙いの作品を出してきたため、アジア系の著名監督がバッティングをおそれ出品を控えたといいます。多様性を何よりも重んじるアカデミー賞にあっては、対面的にバランスをとるために仕方なく、ほとんど経験値のないアジア系女流作家のデビュー作品を無理やりノミネートに押し込まざるを得なかったのではないでしょうか。
そしてもう一つ、本作にはあざといプロパガンダが隠されているのです。本作は基本的に、韓国系アメリカ人のノラが、ユダヤ系アメリカ男アーサーと韓国人男ヘソンの間で揺れ動くメロドラマなのですが、そのヘソンのファッションのダサさ、ならびに、ヘソンがアメリカよりも中国にビジネスチャンスを見出だしていることにまずは注目したいのです。つまりこのノラに未練タラタラの優柔不断男ヘソンを北朝鮮または中国のメタファーと考えると、本作はまったく別の見方をすることが可能なのです。
つまり、過去(Past Lives)に8000のイニョンによって結ばれた北朝鮮または中国(ヘソン)ではなく、現世のパートナーであるアメリカ(アーサー)との友好関係を選んだ韓国(ノラ)のお話に置き換えることができるのです。映画としてはラスト、長い間見つめ合った2人が動いた瞬間にカットする、余韻を遺すエンディングがベストだったと思うのですが、政治的にはっきりと韓国=ノラがアメリカ=アーサーを選択したことをみせる必要があったのでしょう。
見終わった後、いろいろ考えさせられる。
女神の自由の裏側
過去は生きている。
撮り手が観客を信頼している。それが嬉しい。
後戻りできないことを確認するが如き
これは結構好きだった。
韓国、ソウル、12歳の少女ノラと少年ヘソン、互いに恋心を抱く幼なじみの二人。ノラが家族と海外へ移住し離れ離れになった。
ずっと一緒にいたんだろうなぁ。
二人でどれだけの時間を過ごしたことだろう。
12年後の24歳、ニューヨークとソウル、偶然SNSで再会したが「距離」を克服する術はなかった。連絡は途絶えた。
ノラは間もなく結婚し、ヘソンにも彼女ができたようだが、、、
更に12年後の36歳、ニューヨークで24年ぶりの再会。愛おしくもクールな再会だった。決して後戻りすることができないことを確認するが如き。
観る自分は何故か涙が流れた。
清々しい涙だった気がするが果たして?
ノラの旦那さんがナイスガイ過ぎて。そう、「ファースト・カウ」、「ショーイング・アップ」に続きジョン・マガロが美味しいところを持ってった感じ。
いろんな種類のイニョンがあるよね
抑えのきいた渋い大人な映画だった。イニョン(縁)という言葉の響きが可愛い。ラブストーリーと言われてるけど24年後の再会、すごく嬉しいけど、なんか…話すことない…みたいな空気を二人の間に感じたから今の夫アーサーに「大丈夫だよ。君が運命の人よ」と言ってあげたくなった!
ビバ!アーサー!
この物語、僕には刺さった
映画を観る前に眺めたレビューの評価は今一つでどうかなと思いながら映画館に足を運びました。で、僕には…見事に刺さりました。
僕もそれなりに長く生きているので、自分の体験やら昔感じた心の動きやらを思い出しながら映画を観ることが多いのですが、実際この映画では過去のいろいろなことが思い出されました。過去に関わりがあった女性に会ってみたい、また相手の気持ち(自分の気持ちも)を確かめてみたい衝動(実際に行動に移したかは別として)やら、妻の元彼(夫)や初恋の人の存在が気になったり(これはアーサーの心の動き)など。また関わりのあった女性と長い時を経て再会したときの感覚、感情の高まりとか。
優等生だったはずのヘソンのあの拙い英語(韓国の人って日本人より英語に強いんじゃないの?)はヘソンという男の今を表現している。野心ある強い女のノラからすれば物足りなさを感じたんじゃないかな。アーサーはノラを深く理解しようと韓国語を勉強しているのとは対照的。結局ヘソンは韓国という枠から出ることのない平凡な男。ニューヨークで自分の人生を切り拓こうとしているノラには合わない。
最後にヘソンがタクシーに乗り込み別れるシーンで12才の二人の階段での別れの場面がフラッシュバックする(映像)、強い女を演じていたノラが泣きながらアーサーの胸に飛び込む。二人の永遠の別れ(少なくとも結ばれることはない)を暗示していて胸が締め付けられた。
✡️最後のノラの涙をどう考えるのかはこの映画の理解の仕方に関わるんじゃないかな。
久しぶりに出逢えた、大人っぽいビターなラブストーリー
ダイナミックで美しいニューヨークの街並み、そして雑多でエネルギッシュな韓国の街並みをバックに綴られる、切なくてほろ苦くて、すごくロマンティックな作品
セリーヌ・ソン監督、これが監督・脚本デビュー作でしかもオスカーの作品賞と脚本賞ノミネートとは、またとんでもない才能が生まれました、素晴らしかったです
ノラを演じたグレタ・リーさん、全身から出る雰囲気が何とも魅力的、特に表情が良くてすごく素敵でした
そんなノラが偶然facebookで幼なじみのヘソンと12年ぶりに再会するも、ニューヨークとソウルの距離は遠く直接会うことができず、想いがつのり過ぎて辛すぎて、本音とは裏腹に引き裂かれる想いで自ら関係を断ち切ってしまう、たぶん自分も同じタイプなのですごく共感できて、観ていて一番 辛かった展開です
ノラのアメリカ人の夫アーサーの存在がまた切なすぎる、演じるジョン・マガロさんがめちゃくちゃ味があって良かったです
妻の幼なじみへの想いを感じ怯えるも彼女の全てを受け止めて優しく接しようとするアーサーが観ていてとても辛かった
韓国語で寝言を言うノラに“自分には君の中で永遠に理解できない部分があるんだと不安になる”と伝えるシーンは涙ものでした
ノラとアーサー、そしてヘソンの3人がバーカウンターで話すくだりは何だか緊張感たっぷりで、観ていてものすごく疲れました・・・
本作、ノラとヘソンの関係に目が行きそうな所ですが、私はどちらかと言うとノラとアーサーの関係、特にアーサーの心持ちの方に感情移入してしまいました、やけに辛かったです
ラスト、夜のニューヨークの住宅街、ノラがヘソンをウーバーに送って行くロングショットがとても切なくて印象的
さらにノラが1人で同じ道を帰って行くロングショットがもっと切なくて、最後に家の前で待つアーサーが泣いてしまったノラを抱き締めるまでの一連の流れが自分の中で久々に忘れられない名シーンとして刻まれました
観てよかったなと思えた秀作でした
苦く切ない
グリーンカードのために結婚した女性と大人になりきれない男性の物語
どっちも失いたくないけど…
選ばなかった人生の方が、
キラキラして見えるのかな…
選ばなかったから、妄想するしかなく、それは都合の良い妄想になるかもだし…魅力的に見えるのかな。
選んだ方は現実だから。
辛いことも起きる…。
アーサーが
階段に座って待ってて…
泣けた…
どんな気持ちで待ってたの…
もう戻ってこないかも…て思ったりしたかな。
こんなに愛し、大切にしてくれる人、いないよね。
どうかこの先、アーサーを泣かさないでください、と切に思った。
微妙なバランスで成立した、良い作品
日本のプロデューサーが作ったら、つまらないモノになっていたと思う。
ビックリするようなストーリではなく、何なら話の先は読めてしまう。プロモーションのように、大傑作とも思わないし、感涙する様でもないけれど、登場人物それぞれの心情をずっと考えさせる、よき映画体験でした。
日本でこれを制作すると、キャストありきで進行する、いちいち途中で泣く、キーとなるセリフが繰り返されプロモーションでも使われる、マンハッタンの観光地を巡る、ここぞとばかりに劇版が流れるなどが予想されます。
衣装は取り上げるような特徴はないし、米国っぽい食事も出てこないし、ジャズもヒップホップもかからない。地下鉄やUberも全体像をみせない、モントークもただの原っぱしか出てこない、エンパイアステートビルやクライスラービルは遠景だし、ブルックリンブリッジの空撮はなし、自由の女神も横から移す。このため、キャストの表情に集中できる様になっている。
アーサーがユダヤ系というのも良かったのかも知れない。ボーはおそれているのフォアキン・フェニックスみたいにおたおたしている。(日本人が想像するステレオタイプの)WASPとかだと嫉妬して怒っちゃったりして、ぶち壊しになっちゃいそう。クリスマスも出てこないし。
タイトル通り、『縁』がテーマなわけですが、他の国の方がどのような感想なのか興味があります。輪廻ではないけど、『(500)日のサマー』やそれこそ『エターナルサンシャイン』だって『縁』の話しだし、ハリウッド作でも『クラウドアトラス』は輪廻の話しだし(韓国の話が出てくるけどね)。
鑑賞動機:抑制の効いた大人のラブストーリーって最近守備範囲に降ってこない気がする10割
トニー賞かな、と思ったらトニー賞だった。『エターナル・サンシャイン』はよい映画ですよ。
単純な二択で割り切れない心情の揺れ動きを、セリフを抑えることで逆に強く印象づけられたように思う。ただあまりにももどかしく感じられるところもあり、それをストーリーとして楽しめないと、焦ったく感じてしまうかもしれない。それでも終盤のロングカットは息を呑んで見入ってしまった。
グリーンカードは永住権のこと
悪くいえば恋に恋してる女々しい男の話だが
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