劇場公開日 2024年4月5日

「微妙なバランスで成立した、良い作品」パスト ライブス 再会 Lhowonさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0微妙なバランスで成立した、良い作品

2024年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本のプロデューサーが作ったら、つまらないモノになっていたと思う。

ビックリするようなストーリではなく、何なら話の先は読めてしまう。プロモーションのように、大傑作とも思わないし、感涙する様でもないけれど、登場人物それぞれの心情をずっと考えさせる、よき映画体験でした。

日本でこれを制作すると、キャストありきで進行する、いちいち途中で泣く、キーとなるセリフが繰り返されプロモーションでも使われる、マンハッタンの観光地を巡る、ここぞとばかりに劇版が流れるなどが予想されます。

衣装は取り上げるような特徴はないし、米国っぽい食事も出てこないし、ジャズもヒップホップもかからない。地下鉄やUberも全体像をみせない、モントークもただの原っぱしか出てこない、エンパイアステートビルやクライスラービルは遠景だし、ブルックリンブリッジの空撮はなし、自由の女神も横から移す。このため、キャストの表情に集中できる様になっている。

アーサーがユダヤ系というのも良かったのかも知れない。ボーはおそれているのフォアキン・フェニックスみたいにおたおたしている。(日本人が想像するステレオタイプの)WASPとかだと嫉妬して怒っちゃったりして、ぶち壊しになっちゃいそう。クリスマスも出てこないし。

タイトル通り、『縁』がテーマなわけですが、他の国の方がどのような感想なのか興味があります。輪廻ではないけど、『(500)日のサマー』やそれこそ『エターナルサンシャイン』だって『縁』の話しだし、ハリウッド作でも『クラウドアトラス』は輪廻の話しだし(韓国の話が出てくるけどね)。

Lhowon