劇場公開日 2023年6月2日

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怪物のレビュー・感想・評価

全944件中、241~260件目を表示

4.5保利先生と湊

2023年7月23日
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うーん、この先生可哀想すぎると鑑賞直後は思った。
この先生の「罪」は少ないと思うし、それどころか、このストーリーに置いて、かなりまともな人だ。
先生があんなにも追い詰められたのは、湊が「先生に豚の脳と言われた」と母に嘘を告げてしまうからだが、なぜ湊は先生についてそんな破壊的な嘘を言ってしまったのだろうか?
それは湊と保利先生が、もうひとりの自分といえるほど相似的な人物としてあるからだと思い至った。

保利先生は、ある種の弱さを抱えている人物だ。
それは、付き合っている女性の、シングルマザーに対する偏見に満ちた価値観を無批判に受け入れたり、緊張する場面で状況も考えず、彼女のアドバイス通りに飴を舐めてしまったりする所に現れている。
自分に強く影響を与える人物が言う事を、自分の感情や経験よりも上位に置き鵜呑みにしてしまう弱さ。
その弱さは、過去に「誰にでも手に入るものが幸せ」という価値観を自分の感情を抑えて受け入れてしまったことから来るのではないだろうか?そして、それに沿って積み上げてきた自身の立ち位置は、何かの拍子にいとも簡単に崩れ去ってしまう危険なものであることも描かれていたと思う。

「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わないんだよ。誰にでも手に入るものを幸せって言うんだよ。」こう言う校長先生は、まさしく「怪物」と言っていいほどの恐ろしい人物だ。
息子を心配して学校を訪れた早織に、どこかの国会答弁もあわやといった木で鼻を括ったような対応をして、かえって問題を大きくしてしまうし、先生のいじめを確信した早織が弁護士まで雇うと、先生一人を悪者にして、学校というシステムを守る事を優先する。
システムを守る事に真摯であるが故に、何らかの犠牲を生んでも虚偽や隠蔽を厭わない。だが、そんなシステムの元では、「子供は死んでしまう」のだ。

湊と依里のパートは、ふたりが供にいることで生まれる美しさが説得力をもって描かれて、この映画の得難い魅力の多くを担っている。
湊はこの美しさが、「誰にも手に入れられる」ものとして世間一般で語られる時は、未だに歪められて表現されがちな事に対して苛立ち、自分を大事にしてくれている母ですら、それを理解してくれなさそうな様子に困惑している。
依里への気持ちを罪であるかに受け取ってしまいつつ、彼との関係を深める中でちぐはぐになってしまった行動が母の不審を生み、それが頂点に達したとき「先生に豚の脳と言われた」と嘘が口をついて出てしまうのである。
わかってくれそうな人に対するSOSなのか?弱さを抱える保利先生に子供ながら付け込んでしまったのか?依里を愛する事は罪ではないが、これは明らかに湊の罪である。この罪は償われる事があるのだろうか?

「本当の事はどうでもいい、忘れたい事はこうやって吹き飛ばしてしまえばいい」と校長先生は言う。言われた湊もほっとしたような顔をする。でも、子供を守っているようで殺してしまう、というのはこういうことではないか?
かくて湊と依里は、嵐に導かれるように、ふたりの道行に旅立ってしまうのである。

ストーリーの中の死が象徴的なものなら、ラスト、二人はぎりぎりのところで死を免れ、この後、依里と別れた湊は、自分の気持ちを隠したまま「誰にでも手に入るもの」を求める大人になり、あのきらきらした世界を抑圧した生を選ぶのかもしれない。だが、それがどれほどの損失であるかをこの映画は描く事に成功している。

校長先生の言葉だけが統べる世界なら、あの二人は死んだと私は思う。だが、依里の作文に折句で隠された二人の名前を見つけたことから、全てを悟った保利先生が、嵐の中を湊の家に駆けつけるのだ、「お前たちはそのままでいいんだ」と言うためだけに。この時点で保利先生は湊が行方不明になっていた事を知らなかった。どんなに罵倒されても仕方ないのに、駆けつけざるを得なかったのは、依里への気持ちを間違ったものとして抑圧し、弱さを抱えようとしている湊の姿に、かつての自分を見たからだと思う。ここで保利先生もLGBTQであったという解釈は浅薄だろう。

構成を「羅生門スタイル」として、かの名作と対比される本作だが、内容も共通点があると思う。『羅生門』のラスト、戦で荒れ果てた羅生門に捨てられた赤ん坊は、それぞれ自分に都合のいい主張をする、虚勢を張る男や貴族の男女ではなく、最も弱い一介の庶民の手に渡った。今また、子供たちが生きるためのよすがは、全てを失った男と、シングルマザーの手に委ねられた。なんら政治的な力を持たず、ともすれば権力者によっていがみ合うように仕向けられてしまう彼らが、子供たちを思って我を忘れて駆け寄せる先にこそ、あのきらきらしい世界がこの世に立ち現れる可能性があるのだと感じた。この映画を見て、これからの子供たちの生きる世界が、あのラストシーンのように輝かしい素晴らしいものである事を祈らない者がいるだろうか。

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レキシントン

4.5心が揺れました。

2023年7月23日
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感想は~個人的には凄く良かったです☆彡

泣けたり、笑ったり・・・した映画では個人的には無かったですが♫

凄く心が揺れ動く、考えさせられる映画です。

静かな映画なんですが。凄く良かったです。

瑛太さんに田中裕子さん、安藤サクラさんは秀逸だし。

東京03のあの人や高畑さんも素晴らしい演技でした。

しかし・・・なんといっても。。。是枝さんの作品。。。

子役二人が・・・素晴らしくて。

尚且つ、制約が限りなくあるであろう中で、

見事な表現だったと感じました( ;∀;)

そして、最後に言わずもがなで・・・音楽は静かですが。。。素晴らしいです✨

ほんとに観に行ってよかったわ~✨

という事で~明日も仕事だぁ~♫早く寝ますzzz

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hiro

4.0見えたもの見たいもの

2023年7月22日
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ムービー好き

5.0子どもの世界を描く

2023年7月22日
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泣ける

難しい

是枝監督、子どもの世界を描くのがうま過ぎる。
子どもにもいろいろあるよな。
そしてそれは、大人から見たら謎だらけだ。

坂本龍一のhibariは2012年サガミオリジナルのCMの曲だ!と反応できた。

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hnxxxx

3.5怪物とは

2023年7月22日
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怪物ってフレーズで怖い内容なのかなと単純に想像してたらホラーとかサスペンスの怖さとは全く違う内容でした。日常生活に潜む誰もが怪物になりうるようなシーンを描いていたのが印象的でした。

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Kozo Oshika

4.0怪物だ〜れだ

2023年7月22日
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よっちゃんイカ

4.0すきだけど、少し残念なところもある

2023年7月22日
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悲しい

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タヌキ

2.0うーむ…

2023年7月21日
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ひかる

3.0私は苦手…

2023年7月21日
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単純

難しい

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浅見探偵

5.0全員怪物

2023年7月20日
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難しい

シングル経験者です。見てない部分、見えてない部分、知らない部分を子供だけではなく気がつく映画でした。誰に対しても上手く人付き合いをしたいって感じました。難しいですねぇ😥

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梅酒!

5.0よく知らない理解できないものを怪物という

2023年7月20日
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噂話と目にした出来事だけを信じ、さらに凝り固まった固定観念によって、人がより恐ろしい怪物に見えてしまう。
不穏なストーリーが進む中、子供たちが現実社会から離れて無邪気に遊ぶシーンは切なく美しい。
「立派な大人になって家庭をもつ」「男は男らしく」という何気ない言葉が人を追い詰めてしまうことがある。
生まれ変わらなくていい、君はそのままで生きていいんだよ。と言いたい。

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arom

4.5タイトルなし(ネタバレ)

2023年7月20日
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うみぶどう

4.0解放感とアハ体験

2023年7月20日
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これから見る人は何も前知識入れずに観に行ったほうが楽しめるかと思います。

多視点といえば客観的な事実はそのままで断片的な情報をつぎはぎで全体が見えてくるというような手法がよくありますが、記憶の中の映像のように、主観入りというか人ごとの見え方の違いをそのまま映像にしているので全体をみるには見る側の解釈が必要になってくるのが面白い手法だと思います。

不信感があると見えてないものが見えてしまうとか、
自分が熱中時代並みの教師像だったりとか
女子にモテるだけでちょっとしたイジメにあうとか
人の思考過程とかあるあるを通してうまい具合に人間を描けてるなあと思います。

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アモルフィ

3.5この映画の弱点と感銘

2023年7月20日
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komagire23

4.5直後は何も語れない映画

2023年7月18日
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泣ける

悲しい

難しい

事前の情報無しに観に行きました。観た直後(エンドロール)では「この映画は何を伝えたかったのか?何を感じさせたかったのか?」理解が追い付きませんでした。感想を言葉に出来ませんでした。※それは決して退屈な作品と言う事ではありません。
またエンドロールではじめて「あの先生って瑛太だったの」とわかりました。どこかの実力派舞台役者かと思ってましたがそれ程、瑛太は怪演でした。いや、みんな役者は素晴らしかったです。やっぱり是枝監督は「素材を活かすのが上手いな」と思いました。
自分の感想を整理出来ないまま、ネットやユーチューブなど様々な考察を見聞きする中で、徐々に整理され、考察を聞いてく中で映画のラストシーンを思い出して涙してしまいました。感性が低い人には理解は難しい映画ではないでしょうか。

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ron

3.0ラストは

2023年7月18日
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yumeko

4.0少年時代

2023年7月17日
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大人は誰もが通過している時代の描写はさすがでしたね。
第一次反抗期が終わり、独自のアイデンティティを獲得しようと、混沌の中で出会うお互いに寄り添える友達。
集団社会との関わりに戸惑う気持ち=自分の正義の前で足掻く少年。
我々も社会の一員になり初めはあの場所にいたのかもしれんなと思い鑑賞しました。
忘れてしまった心を思い出すには老いてしまったようだけど。

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suukaz

5.0子供たちが絡むいくつかの出来事、 誰の目線で観るかによって見え方が...

2023年7月17日
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泣ける

怖い

知的

子供たちが絡むいくつかの出来事、
誰の目線で観るかによって見え方が全く異なる、保護者/教員/子供ら自身…
終わりまで見て、あとでもしばらく考え込んで、やっと合点がいく、緻密で深い映像でした。
納得感があった物語、最後の坂本龍一教授のピアノ、沁みました。彼の最後のサントラですね。

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woodstock

4.5いつまでこんな事が続くのか。

2023年7月16日
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こんな切ない話ってあるのか。

映画が始まってから中盤までとにかく気分が悪くなるシーンが続く。息子ラブな拗らせシングルマザー、組織対応を勘違いしている学校、切り抜き取材のマスコミ、どこを切り取っても「怪物」しか現れない状況にウンザリしていると、ストーリーは意外な展開に転がり始める。

大人の汚れた手で汚され始める少年たちの心を洗い流すような嵐。そして嵐の向こうに広がる眩しい景色。

ふたりの未来が光に満ちていたらいいけれど。

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にゃす

5.0傑作

2023年7月15日
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ゆうすぎ