怪物のレビュー・感想・評価
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今年観た中で1番好き
かなり浅い言葉で言うと何度観ても泣ける。思い出しでも泣ける。
なんてことない場面で涙が出てきてしまう、そんな作品だった。
(音楽室のシーンで毎回泣いてしまう。)
正直是枝監督の作品は「物語が良質なのはわかるが人情味が重い(押し付けがましい)」「退屈」といった感じで苦手な部類だったのだがこれはエンタメとして最後まで先が気になる展開だったし人情味が心地良かった。
その上後から思い返した時にどのキャラクターも良い人に見えたり怖い人に見えたり嫌な人に見えたり、誰でも「怪物」になり得るなと考えることもできた。
伏線も細かく繰り返し見る事で新しい発見がありそういった部分も楽しかった。
ただ普段作品を観ることに慣れていない人、あまり物事を考えないタイプの人からすると「よくわかんない」という感想になるだろうなとも思った。わかりやすい話が好きな人にはオススメしない。
とりあえず個人的にはかなり心に刺さる良い作品に出会えた。あと音楽良すぎる。
真実に辿り着く難しさ
坂元さんというよりも是枝さんの作品だなあという感想を持ちました。是枝さんの映画はいつもすべてを完全には語らない。時にもどかしいくらい。すべてを語らずに鑑賞者の想像に任せている。この映画もラストシーンとかそうだったように思います。私は悲観的に見ましたが、楽観的に見る方も多いでしょう。まるで自分の心のあり様を試されている、心理テストのよう。俳優さんたちは子役も含めてすごく上手いと思いました。
安藤サクラさん演じるお母さんの怒り・苛立ちもよくわかるし、永山瑛太さんの教師の追い詰められ感も秀逸。そして最も理解を必要としていたのは湊君でした。彼についての真実こそがこの物語の核心ですが、親でも教師でも本人ですら正しく理解していくのは難しく、だから皆が表層的事実・現象に振り回される。大人の事なかれ主義・組織防衛論みたいなものが、ますます事態を混沌とさせる。ここらの脚本は、さすが坂元裕二さん。同じ時間軸を3回見せても混乱しない。うまく描いてます。こういうことは色んな局面で起こり得る。真実に辿り着くのは存外難しいものだとあらためて感じさせられました。
★追記--怪物について
この映画に「怪物」はいませんでした。苦悩する人々がいただけ。そこに至る環境があっただけです。いや、あれこそが怪物だという人はいるでしょう。ここらの感じ方も人それぞれ。心の持ちようだと思うのです。心を映す鏡のような映画だったのかもしれません。
見ているものは、見えているものではない
予告編で何度も聞いた「怪物だーれだ」という子供の声。
この言葉が発せられるシーンを見た時、このお話しの構造というか、私たちが見ているもの(或いは見えていないもの、という方が正しいかもしれない)が何か、という事が決定づけられる。
スクリーンの中にいる登場人物たちの言動は、安藤サクラ演じる母親、保利先生、湊がそれぞれの視点で見えた・聞こえた・感じた事を視覚化しているだけなのだ。見ているものは、見えているものではない。
誰しもが怪物になり得る、けれども誰も怪物じゃない。物語の視点が移り変わるにつれ、そう気づかされ、台風の日には、あいつも、あの子も、不器用でどこにでもいる、自分と同じ人間だと知る。星川くんの父親も、クラスのガキ大将も、みんなだ。
そんな自分となんら変わらない登場人物たちが、自分自身や大切な人を守りたいが故に、本心を隠したりさらけ出したり、それらの言動によって少しずつ人間関係がズレていき大事に発展していく様には、苦々しさと可笑しみがあった。
嵐の中、子供達を探しに行った母親と先生が、彼等の秘密基地である廃電車両の窓の泥を拭い去ろうとするシーンは、何度掻き分けても泥が拭えず「見えないものを見ようとする」もどかしさを感じさせる、象徴的なシーンだった。(是枝監督自身もひとつの名場面だったとラジオのインタビューで語っていた。)
台風が去り、子供たちがある境界線を越えて進んでいく姿には、「成長」という言葉では括ることのできない「生まれ変わった」瞬間を見たような気がして、果たしてこれはハッピーエンドなのか、そんな風に考えるのは野暮かもしれない。何故なら彼等の物語は続いていくのだから…。幾通りもの捉え方ができる間口の広い終わり方は、こういったテーマを扱う作品にはベストな選択だったように思う。
是枝監督作の中でもかなり好きな作品。脚本・坂元裕二のオリジナルシナリオ本も購入したので、ゆっくり読みたいと思っている。
怪物だーれだ
親、教師、子供の三つの視点でだいぶ印象が変わりました。
最初はホリ先生なにあれ、って思ってたけど、飴をなめるのは恋人からのアドバイスを受けて極限のストレス状態からなんとか自分を守ろうとした行動でしょうし、周りの教員が味方してくれないならそらあんな腐った態度になるし、恋人はあっさり自分を見限るし、腐るのも無理はないかなと思う。
親からしてもそんな背景は知りもしないから自分の子供を守るために戦うし、子供は子供で親を傷つけたい訳ではないから堪えるし嘘をつくし…
なぜこうも噛み合わないかな…と悲しくなった。
「普通」を定義するのもどうかと思うけど、皆と違うからって「異常」とされるのもどうかと考えてしまう。
校長は、心壊れてるけど、「誰でも手に入れられるものを幸せと言う」(うろ覚え)や、楽器に気持ちをのせさせた行動は湊を救ったんだろうな。
「生まれ変わるかな?」「生まれ変わりなんてないよ、そのままなんだ」(またうろ覚え)っていうラストの台詞とあの二人の楽しそうな駆けっこ&ピアノでちょっと泣いた。
ほんと、なぜこうも噛み合わないかな…
あと、途中聴き取れないところがあって悔しかった。ナチュラルな演技過ぎて大事なところ聴き逃す…
近年の邦画で最高傑作かも。
すぐに感想を言語化できない映画。
とてつもないものを見てしまった衝撃で席を立てませんでした。
「わかりやすさ」至上主義の邦画業界に、この作品のヒットが与える影響は大きい。
おそらく本家アカデミー賞にもノミネートされることでしょう。
映画好きの評価したいレビューは参考にするべからず
久しぶりによくわからないつまらない映画を観ました。
意味不明とはっきりしない事が多過ぎて、最後に監督に内容の解説をして欲しかったです。
感じた事
高畑充希はやっぱり性格の悪い役が似合う。
最後のシーンでのお涙頂戴演出はズルい。
もうこの監督の映画は2度と観ない。
以上
話が本当にリアル。一つ一つの言葉に注目!
怪物とは、、、奥深い、、、。
坂元裕二作品はいいぞと勧められ、もともと気になっていたため鑑賞。
内容としては、すごいリアルでありそうな話で心にくる。一応3部構成?なのかな?視点が変わるだけでこうも見方が変わるのかと驚き。様々なことが解決というか明かされていくのを見て納得し、ワクワクする。
何気ない一言も名言級に響いていたり、何よりみんな演技が上手い。こういう風に見せたいんだろうなっていうのがしっかり分かりそう見える。
完全な善人や悪人はいないと言うけれどこーゆー事かと。何かのために悪人にもなれ、人によっては善的行動でもある。全てを見て知った上でもう一度見返したいと思える作品。あとは、これが全てか分からないけれど物足りないとこもある。読者に呼びかけているのか、本では説明しているのか、、、とりあえずメッセージ性があるのは確か。
色々言ったけれど、これは見ないと分からないところがある。どういうものなのかは是非見て確かめて欲しい。なんとなく賛否も分かれそうな気はするけど。
圧倒
脳みそと心臓が震える、そんな感覚だった。
上手く言葉にできず浅い言葉しか出ないけど、天才たちが生きている時代に一緒に生きれることが嬉しい。
生きてる限りこういう作品を観て、人間って人生って何かずっと考え続けたい。
怪物のひとつは、誰の心にもある残酷性だと思った。彼らは残酷性を捨て、自分の気持ちに正直になれた。
終わり方に関しては、まだまだ現世では思うように生きれないということか、こどもたちの未来ではそれが叶えられているということかどちらにも感じられた。
難しい
いろんな視点で話が進んで、途中から理解し繋がってくる部分は多いけど…
どうしても巻き込まれた先生が不憫すぎて、他に気持ちが寄り添えなかった。
物事は一つの見方だけでは分からないことが多いし無意識にみんな相手を傷つけたりもするのも確か。でもやはりやっていい事と悪い事はハッキリしているので、今回その部分は置いといてってなってるのが感情移入できなかった要因かな…
最後の解釈もどっちか分からないけど悲しいことには変わりない。
是枝裕和監督最新作というだけでなく、坂本龍一の遺作としても心して鑑賞したい一作
非常に見応えある作品であることはもちろんですが、まずは触れておきたいのは本作のパンフレットです。やや控えめなサイズながら、内容が非常に充実したパンフレットには、闘病しながら書き綴った坂本龍一の文章(絶筆?)が掲載されており、それだけで手元に置く価値は十二分すぎるほどにある読み物となっています。
流石に坂本龍一本人が本作のために作った劇中曲の全て演奏することは不可能だったようですが、静謐で美しい、しかしどこか不穏なメロディーは、映像の雰囲気と絶妙に絡まって、耳から離れなくなるほど印象的です。
映画本編では、思わず演技であることを忘れるほどに観客の感情を高ぶらせる是枝監督の演出が冴え渡っていて、序盤の小学校における理不尽なやりとりでは、教員たちの丁寧だが非人間的な対応に思わず安藤サクラと同様、つい声が出そうになるほどです。
しかし是枝監督は時系列と視点が変えて、同じ場面の全く異なった側面を見せることで、さきほど観客が心で振り上げた拳の置きどころをなくしてしまいます。このように本作では、観客の単純な予断を許さない登場人物の内面(中村獅童演じる役は除く)を、独特のリズムを伴った映像の積み重ねで表現しています。
なお本作では映像と同じくらい、言葉の使い方も重要な意味を帯びています。多くの台詞は、決して説明的ではないものの、ほんのちょっとした抑揚のつけかたや間合いで、一聴しただけでは取りこぼしてしまうそうな、話し手が込めたほんのりとした悪意を表現してみせます。巧みだけど、良い意味でいやらしさの漂う演出であるとも言えます。
なお作中には、主人公の二人の少年の関係性に関する、ちょっと気になる要素も含まれるんだけど、監督ももちろんその問題は認識していて、そもそもそうした描写を含めることが妥当なのか、適切に演技指導するためには何を配慮すべきなのかについて、専門家を交えて綿密に検討したとのこと。こうした制作における丁寧な問題の洗い出しと対応の積み重ねが、本作を傑作たらしめた、と言えます。
モヤモヤ
是枝裕和監督の話題作ということで鑑賞してきました。
凡人には難しかったです。
シングルマザーの視点、教師の視点、子供の視点の順で描かれていきます。
物事は、見方によって様々な見え方をするというのはよく分かるのですが、見るものに問いかけ、見るものに委ねる作品は読解力のない私はどうも苦手だなあ。
他の方のレビューを読んでようやく理解できた部分もあります。
何回か見ればもっと理解が深まり映画の良さが分かるのかなあ。
すっきりしたいです(笑)
この時代、どうすべきか
すごくいい映画。最初の30分と次の30分、その次の30分と最後の30分で感情が全く違う。喜怒哀楽の怒と哀がかなり多めだけど、嫌な気持ちではない。分かっていたはずのことを再認識、というか今生きている人たちが一番大切にしなければいけないことを描いているような気がする。それは自分も常日頃から注意していたことなんだけど、この映画を見て、全くできてないじゃん、自分、まだまだじゃん。という気持ちになった。全体的な感想としてはそんな感じ。
細部について述べるとするなら、本当に秀逸だったのは学校の描き方。自分が小学生だった時ってこんな感じだったよなという気持ちになった。人と違うことでからかわれたりからかったり、大人に対して素直になれなかったり、テレビや大人の影響を多く受けたり、、、そこの描き方が非常に秀逸で、私たち大人は色々気をつけなきゃいけないよね。ただ一つ、気になったことは、かなり学校というものを悪く描いている感じではある。教職を勉強している人間としてはとても気になった。学校に勤める人たちはこんな人たちばかりじゃないということは知っているし、今多くの学校がそうであると信じたい。
最後に、役者さん全員の演技が素晴らしく、特に子役の子達がすごい!将来有望だと思う。故・坂本龍一さんの音楽も素晴らしかった。星5。
ストーリー 5.5 芸術 6 演技 6.5 エンタ 6 総合 5....
ストーリー 5.5
芸術 6
演技 6.5
エンタ 6
総合 5.5
伏線多すぎて、疑ってかかったらやっぱり的な。
そういう狙いで作ったのかも知れませんねー。
怪物だーれだ
映画が進むにつれて色々な視点から物語が映し出されるが、とても惹き付けられ圧巻だった。怪物というのは客観的に見た「誰か」ではなく、自分の視点からしか見えない決めつけや偏見によって生み出されるものだと思いましたね〜。片親はモンスターペアレントになりやすいなど現代社会直結するような偏見めも多く見られ、この社会に対して新たな視点を与える映画でもあるでしょう。
カンヌで賞を取った作品の中では面白い方だと思う。
怪物というタイトルと言い、藪の中スタイルの展開と言い、賞を取りに行ったのだろう。目的は達せられ、結果僕も劇場まで行った。色々突っ込みたい所はあるが脚本はよくできていると思った。2人の主人公の子供たちが遊んでいるシーンは自分が5年生の頃一緒に遊んだ友達の顔を思い出しながら観ていた(僕はマイノリティではないが)。子役は2人とも演技が素晴らしく、星川君役の男の子は本当に可愛らしかった。いつもながら安藤サクラは素晴らしい。そして結末は哀しい。
納得できないのは
ー保利(永山瑛太)は真面なのに何故安藤サクラが学校に来た時あんな対応をしたのか?勿論我々をミスリードするためであろうが無理がある
ー湊は何故あそこまで保利を貶める嘘をついたのか?
ー小学校の教師は酷いのもいるだろうがここまで揃いも揃ってということはないだろう(特に好調は最悪)。少なくとも僕の小学校時代の担任は皆良い先生だった(なので僕は名前を覚えている)
ー父親が酷いのは事実だが星川君が無罪放免???死んだから仕方ないということか?
万引き家族の時も感じたがこの監督は(そして脚本家も)はだいぶ左に偏っている(賞を取るにはその方が良いのだろうが)と思う。
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