あしたの少女

楽しそうに踊り笑顔が可愛くてキラキラと輝いている普通の高校生。学校に研修先を斡旋されたときも目を輝かせていた。

いざ職場に行くと、数字に囚われた大人たち。壁にはたくさんの数字。就業早々に放たれる ″ ノルマ ″ という言葉。学校にも張り出される数字ばかりの数枚の大きな紙。

後半にかけて、輝いていた目は光を失い、入社前の説明会で言われていた ″ コーラルピンクのリップ ″ も塗らなくなり、少しずつ身も心も疲弊していく姿が見ていられなくなった。

女性刑事が遺体を見た時、親が解剖してくれと懇願した時
他の人が「 すごく惨いもので… 」と説明する間を割って
さっさと書類にサインするくらいクールだったのに、
後半では同じ場所に座り、同じ景色を見て、
大人に喝を入れる姿にグッと来た。

最後のダンスシーン、あんなに笑顔で踊っていた彼女は
どんな未来を想像していたんだろう。

この映画を公開した後 ″ 次のソヒ防止法 ″ が成立した。
韓題の ″ 다음 소희 (次のソヒ) ″ が再び現れない事を心から祈ります。

ブラック企業に就職したら？
韓国の高校では実習と称して実際の職場で働くんですね、驚いた。
前半の主人公が、企業だけでなくあらゆる方面からどんどん追い詰められていくのが恐怖。ホラーよりよほど怖い。
後半のフィクション部分も安易なハッピーエンドに走らずよい。見終えた時の何とも言えない喪失感たるや。すごい映画だった。
本作がきっかけに韓国🇰🇷社会が少し良い方向に向かったという、実に素晴らしい。
日本🇯🇵でも似たような事例があるのかも。

周囲の期待に応えるために自分をすり減らしていくソヒ。社会の中で心の壊れていく過程がリアルだった。
誰のためにあるのかわからない社会の矛盾や腐敗を正したいけどどうにもならない様子が自分の生きている世界と重なってやらせない気持ちになった。