ちひろさん
劇場公開日:2023年2月23日
解説
「愛がなんだ」の今泉力哉監督が有村架純を主演に迎え、安田弘之の同名コミックを実写映画化。
海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く女性・ちひろ。元風俗嬢であることを隠さず軽やかに生きる彼女は、自分のことを色目で見る男たちも、ホームレスのおじいさんも、子どもも動物も、誰に対しても分け隔てなく接する。そんなちひろの言葉や行動が、母の帰りをひとり待つ小学生、本音を言えない女子高生、父との確執を抱える青年など、それぞれ事情を抱える人たちの生き方に影響を与えていく。ちひろ自身も幼少時の家族との関係から孤独を抱えて生きてきたが、さまざまな出会いを通して少しずつ変わり始める。
共演は「都会のトム&ソーヤ」の豊嶋花、「街の上で」の若葉竜也、「万引き家族」のリリー・フランキー。ロックバンド「くるり」の岸田繁が音楽を手がけた。Netflixで2022年2月23日から配信。一部劇場で同日公開。
2023年製作/131分/PG12/日本
配給:アスミック・エース
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2023年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
この映画を観て、一番心に響いた言葉。
そして、人と人とが心の底から分かり合うことができない真実が、すとんと腑に落ちる。
人種や民族や宗教や、遺伝子や育った環境の問題ではなく、魂の出自かー。
何だかすごく、心が軽くなった。
ちいろさんは、おそらく家族との関係で、幼い頃にこの感覚を体得したんだろう。
言葉によるコミュニケーションはもどかしく、本心は半分も伝わらない。
聡明な彼女は、他人に期待をせず、孤独に居心地の良さを見出す。
時々、何も言わなくても、ふわりと自分の心に触れる人に出合う。
彼女は本音を言い、その一瞬の触れ合いになごむ。
でも、それは一瞬の邂逅だと知っていて、心は別れの時を探し出す。
ネットで常に他人と繋がる時代に、この作品かあ。
肩の力が抜けて、自分のペースで生きていこうと感じた。
有村架純さん、外見のかわいさとほんわかした雰囲気にごまかされるけど、いい女優さんだな。
今泉力哉監督、一筋縄でいかない作品を創るなあ。
半世紀以上生きてきて、私はまだ同じ星の魂の人には出会っていないので、2人も出会っているちひろさんが羨ましかった。
エンドロール後のワンシーン、レアなちひろさんが見れてクスリと笑った。
言葉の受け取り方は、ホント、受け取る側次第なのだ。
2023年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
2023年。今泉力哉監督。元風俗嬢の「ちひろさん」は誰にでも真摯に向き合い、子供や老人など弱い立場の人たちを自然に助けて生活している。肩の力を抜いた生き方をしながら癒しようのない孤独を抱えて生きる主人公とその周囲の人々の話。
無理に孤独をなくそうとしない主人公が、他者への自然な心遣いの結果として人間関係ができあがっていくと、そのできあがった関係からも逃れたくなってしまう、という「ハリネズミのジレンマ」のような孤独の宿痾を上手に描いている。主人公の孤独は宿命的なもので、誰かと一緒にたら癒されるという程度のものではないのだ。だから「埋葬」が繰り返し描かれて、孤独の深淵を垣間見せている。やさしさから埋葬しているわけではない。
豊かな抒情性をたたえた映像で、主人公の有村架純がとても魅力的に映っている。いい映画。
最初はちひろさんの人との関わり方が、すごく憧れるなあと思っていた。あんな風に人と話せたらなあと思った。
でも観続けるうちに、わたしは人に執着しすぎてるから、ちひろさんのように軽やかに関われないのかもと思った。
ちひろさんは周りの人に愛されていて、気持ちが通じ合える人もみつけられたのに、そこから離れてしまう。
大事になれば、その分別れが辛いからなのか、なぜなんだろうと気になった。
彼女の抱える孤独が、あの笑顔と対照的に暗く大きくぽっかりとした穴になっているんだろうなと感じた。
百万円と苦虫女を思い出したりもした。
元No.1風俗嬢のちひろさん。
不思議な雰囲気と魅力、歯に絹着せぬ物言いで関わる人々に寄り添い、受けれ入れて、何気なく諭していく。
原作漫画は読んだことがなかったのでそれも良かったのかもしれない。
有村架純さんの醸し出す"普通さ"と圧倒的な懐の深さのバランスがとても良いキャラクターになっている。
変に孤独にめげる事もなく、誰にでも優しい訳でもない。のらりくらりと男をあしらう事もできるし、自分自身の影を受け止める事もできる。
今の世の中、生き急いで色んなことを受け止めて、互いを理解しないと置いて行かれそうな雰囲気に飲まれそう。そんな風に感じることが増えた様に思う。
そんな時、もがけばもがくほど苦しくなって沈んでいってしまう。深く、深く、深く。
沈んでたって、それはそれで良いんじゃないかと教えてくれたように感じました。じっと今を見つめてみる。そうすると沈んでても良いし、心が軽くなればまた浮き上がって来てもいいよって。そんな風に思わせてくれたのが今の自分にとってとても居心地のよい優しい作品だった。
昼からビールを飲んで優雅に見たり、
早く起きた静かな朝にひっそりと見たり、
ふと寂しい深い夜に見てみたり。
いつでも受け入れてくれそうなちひろさん。それは孤独の大切さを身思って体感してるからなんだと。
だからNetflixという配信スタイルに作風もマッチしていたように思う。
出演され居る役者さんたちもまた良いところづくめで、若葉竜也さん、佐久間由衣さん、リリーフランキーさん、平田満さん、風吹ジュンさんと好きな役者さんが出てて良かった。
子役の嶋田鉄太さん、豊嶋花さんもハマって居たのが本作のより良いところだと思いましたねー。LOVE LIFEの嶋田鉄太さんは子だったとは気づきませんでしたが、人気監督の2作に出演してるの凄すぎる。
劇場鑑賞だとオマケムービーが見れたそうで、見たかったけど見れませんでした。近くの映画館でやってたら会いに行ったのに。
ちひろさん。
良い作品。
ちひろさんにまた会いたいと思いました。