線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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水墨画の迫力と繊細さと奥深さ
奥深いタイトルの意味
あまり触れたことのない水墨画の世界を舞台に、熱い展開が予想される予告に興味をひかれて鑑賞してきました。期待どおり胸が熱くなる良作でした。平日の仕事帰りに鑑賞したので、キャパ300人のスクリーンを独り占めでき、周囲を気にすることなく気持ちよく泣いて帰りました。
ストーリーは、ひょんなことから水墨画の巨匠・篠田湖山に声をかけられた大学生・青山霜介が、水墨画に魅了され、真剣に向き合うことで自身の生き方を見つめ直していくというもの。内容はもちろんですが、日本文化のすばらしさを改めて伝えてくれるという点でも素敵な作品でした。
圧巻だったのは、篠田湖山と弟子の湖峰が魅せるライブパフォーマンス!あまりの感動に思わず涙を流してしまいました。水墨画の知識が皆無でその良さもまったくわからないのに、なぜ涙したのか自分でもわかりません。できばえの素晴らしさだけでなく、そこに込められた魂や言葉では表せない圧倒的な迫力が伝わってきたような気がします。
作中で湖山が語る「自分の線は自分で見つける。その線が、自分を描く。」という言葉が、とても深いと感じました。「線」はその人の生き方、「自分を描く」とは自分自身を作り上げていくこと、だからこそ「自分の線は自分で見つける」ことがとても大切なのだと受け取りました。
水墨画に打ち込む若者を描きながら、水墨画の世界だけでなく、そこから自然への接し方、自身の生き方などを描く構成が見事です。開幕からラストまで、惹きつけられっぱなしでした。変に恋愛要素を持ち込まなかったおかげで焦点がボケなかったのも好印象でした。紙に墨が染みるが如く、やさしく繊細に広がっていく展開のおかげで作品世界に没入し、心地よく何度も涙してしまいました。
主演は横浜流星くんで、表情や筆づかい等の微妙な変化で霜介の変容を繊細に表現しています。共演は清原果耶さんで、凛とした佇まいの千瑛は適役でした。この二人を前に抜群の存在感を放っていたのが、湖山役の三浦友和さん。最近観た作品の強盗役なんかよりも格段にハマっていて、包み込むような優しさの中にも妥協なき厳しさのある巨匠役がすばらしかったです。そんな師匠と若い弟子たちの間をとりもつ湖峰を江口洋介さんが好演。この二人があれだけのライプパフォーマンスで魅せたのだから、ラストも横浜流星くんに期待していたのですが、そこは残念でした。あと、エンドロールで流れる曲も、作品の余韻が急激に冷めてしまってちょっとだけ残念でした。とはいえ、広く日本人の心を打つ良作なのでおすすめです。
予想とは違ってたけど良かった
真っ直ぐに自分と向き合い壁を乗り越える
全部持ってくのね江口さん
auマンデー『線は、僕を描く』
約1ヶ月ぶりの劇場鑑賞は、TVサイズかなと思いつつも仕事柄気になった作品
墨絵というジャンルとは、やってるレベルも全く違いますが(^◇^;)
筆に伝える力加減や押し引きで、線の表情を変えるって技法は、筆ペンで文字書く時にも自然と使う技術です。
ある事で心を閉ざしてる横浜流星(主人公)が、三浦友和(墨絵の師匠)と出会い墨絵の世界へ
その孫娘・清原果耶(女流墨絵師)と切磋琢磨しながら成長する物語ですが・・・
江口洋介演じる"頼りになる男"の存在感が、全部持っていく(^◇^;)
いい作品でしたが、起承転結駆け足だったので・・・
配信ドラマで、墨絵の世界含めてもっとじっくり描いた方が、作品のクオリティも面白さも上がったと思います。
なんか横浜流星が
生命を描く
素晴らしい!
僕が、線を描くのではない
芸術の秋に、すばらしい映画
映画の予告編をたまたま見て「水墨画の映画ってどんな感じだろう?」とあまり期待も予想もなく観に行きました。
結果、すごく良かった。
映像と音楽の合わさり具合がすばらしく、役者さんの演技もじんわりと沁み入るような味わいがあります。
水墨画というテーマのせいか、派手な映画ではありません。展開もそこまで驚くような展開はない。でも今流行りの超展開ではないからこそ、きちんとそこに人が生きて考えて動いている感じがあります。
三浦友和さんをはじめ、役者さん皆さんが本当に水墨画の巨匠っぽい。手元見せながらスッとほれぼれするような線を描くので、皆さんすごいです!あれどうやって撮ってるの? ご自分で描いてるんですかね? どちらにせよすごい!!
→気になって調べてみたら、役者の皆さんすごい時間かけて水墨画の修行をしたそうです。もちろん絵のすべてではないようですが、きちんと向き合って特訓されている姿勢に改めて感動しました。
水墨画って初めてちゃんと見たのですが、素晴らしい世界です。いつか生で書いているところを見てみたい、あわよくば習ってみたいなと思いました。
この感じ何か似てるなと思ったら、前に見た映画「日日是好日」。あれを見た時もじんわりと胸があたたかくなって、お茶を習ってみたいなぁと思ったものでした。
追記:
映画で描かれた水墨画を直に見たくなり、目黒雅叙園でやっている企画展に行ってきました!
映画で登場した作品のほとんどを間近で見ることができます。
素晴らしい文化的価値のある百段階段という会場です。墨汁とお香の匂いのただよう美しい空間で作品が見られました。
役をイメージした作品などもあり、この映画が好きな方ならかなり楽しめると思います。
目黒雅叙園で11/27まで。おすすめです!
泣けた・・・!すごくいい映画
しまった、こんな日に限ってハンカチを忘れてしまい、
涙でぐちゃぐちゃに。
これも高レヴューに惹かれて観てみたら。
横浜流星くんめちゃくちゃいいやないの。
(ついこの間「アキラとあきら」出てたよね?寝る暇ある?)
清原果那ちゃんも上手い!
江口洋介と三浦友和もめちゃくちゃイイ!
・・・水墨画、やりたくなる⁇
大学生の主人公が著名な水墨画名人と出逢い、水墨画の世界へ足を踏み入れ、自分の生き方を見つめる話。
「君の生きる力になる」
「できるか、できないか、じゃなくて
やるか、やらないか、でしょう」
優しい物腰だけど力強い言葉で見守り導いてくれる名人に三浦友和。
兄弟子に江口洋介。
名人の孫に清原果那。
水墨画というのは一つの手段であって
これがスポーツでも絵画でもなんでもいいわけです。
要は、自分の居場所、自分を解き放てる場所を
見つけれるかどうか。
若い2人の演技に引き込まれて、気づいたら涙こぼれました。
これからも楽しみな2人です。
江口洋介さんの役、自由でめちゃくちゃ素敵です。
料理美味しそうだし、やる時はやる凄い人。
この映画ぜひ観てください
黒一色の濃淡に己のコスモを賭ける森羅万象絵画!! 水墨画を題材に主人公の人生再生を描くヒューマンドラマ作品
"水墨画"という一般になかなか馴染みの薄い題材ですが、原作者の砥上裕將先生が水墨画家でもあるということで己が身を窶すフィールドを生かした小説家デビュー作とのことです。
主人公とヒロインが様々な問題にぶつかりながら切磋琢磨する姿はまさしく青春小説、という瑞々しさを感じさせますが、とみに主人公が過去の悲痛なトラウマに苛まれ、それに向き合うことでしか人間としてのみならず水墨画家としても前に進めない苦悩、命を削るようにして人生を再生させていくジレンマは他のアイドル映画・スポーツ映画には観られない"痛み"が有りました。
全体として登場人物を絞ってそこからさらにフォーカスするまではよかったものの、各エピソードが厳選する止まりで濃縮まで行き届いておらず、道を究める芸術の煌めきよりも、心を抉る痛みのほうが印象として重めに残ってしまったのが玉にキズではあると思います。
ともあれ、若手とベテラン双方の実力派俳優陣の魅力は伝わりましたし、そういう意味では青春映画としてだけでなく俳優目当ての需要にもきちんと応えた旨味もきちんと味わえる作品でした。
「ちはやふる」の出来に比べると…
ほどけてゆく瞬間
ことばには力があると思う。言霊というように呪いでもある。
小さい頃は将来ナニにナリタイノという洗礼を受け、おそらく誰もが大きくなったらナニカになるのだと思い、子どもでいられなくなる頃ナニになろう、なれるんだろうと考える。そして世の中で成人とされる頃にはナニカのなんたるかに惑わされたり、見ないようにしたり、見つけたり、見つけた気になったりして、ナニカをかかえて流れてゆく。まさに「ナニカ」と「ナル」、言霊、呪い。
それを「かわっていく」「ある」にかえたとたん、言霊、呪いがほどけてゆく瞬間をみせてもらった、ような気がした。
咲く椿に、艶やかな薔薇に、昇る龍に、深い山々に、線に、今は会えない人たちや過去の自分、そして自分が、「かわっていく」「宿る」のが描かれていた。
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