LAMB ラムのレビュー・感想・評価
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呆然とした打ち切り感
淡々と見せていく映像づくりと演出はすごい。
だけど、主人公視点の物語としては「これから」ってとこで尻切れトンボ。
「これから本編が始まるんだよね?」
という狐につままれた感。
「何これ? 何を見せられたの?」
と呆然としてしまう。
このままでは、「俺たちの戦いはこれからだ・完」の打ち切り漫画ですよ。
アイスランドは、いわゆる「北欧神話」と「キリスト教」が混じった地域の話だから、「バフォメット」(キリスト教外の神。キリスト教徒にとっては悪魔)や「トロル」のイメージが合体した「何か」なんでしょうね、「アレ」は。
ポスタービジュアル自体が宗教画のパロだし、主人公の名前はマリアだし。
好意的に見れば、宗教寓話の一種なのかも。
個人的には「元羊飼いの女性怪異ハンターが、羊頭の怪物を探して、悪魔・怪獣を倒しまくる、女性版『ベルセルク』」という続編を、是非ともお願いしたい。
なぜ冒頭のラジオにだけ字幕訳が付いているのか?
冒頭のシーン。
羊舎の扉が開き、羊が画面のほうをじっと見つめている。
“なにか”が入って来たのだ。
ラジオが鳴っている。
アナウンサーは、この日がクリスマスイブだと告げる。
鳴っているラジオに字幕の訳が付くのはここだけである。
なぜか?
クリスマスはキリストの誕生日である。
そして、キリスト教における羊は犠牲の象徴だ。
キリストは人類の罪を背負う者とされ、その象徴が羊なのである。
たびたび映るアイスランドの大自然。
そのカメラは単に自然を映していたのではない。
その中に棲む人智を超えた存在を映していたのだ。
自然の中に棲む“なにか”は雌羊を孕ませ、自分の子を産ませた。
ところが、雌羊が産んだ“なにかの子”は人間が奪ってしまう。
その雌羊を飼っている人間の夫婦のイングヴァルとマリアは子どもを早くに亡くしていた。その埋め合わせをするかのように、夫婦は、その“なにかの子”を自分たちの子どもとして育て始めてしまったのだ。
亡くした子どもと同じ「アダ」という名前を付けて。
アダを産んだ雌羊は、我が子を返せと夫婦の家の近くに来て、訴えるように鳴く。
思い余ったマリアは、その雌羊を殺してしまう。
やがて、夫婦の家に夫の弟ペートゥルが現れる。
彼はマリアに言い寄る。
すなわち、この映画には聖書にある十戒のうちの3つの罪が描かれている。
汝、盗むなかれ。
汝、殺すなかれ。
汝、姦淫するなかれ。
上に書いた疑問に戻ろう。
なぜ、冒頭のラジオにだけ字幕訳がつくのか?
それは、その内容が本作に関係するからだ。
つまり、この映画はキリスト教の知識を念頭に置いて読み解く必要がある、ということである(妻の名前がマリアであることにも注意)。
夫婦の家は、大自然の中に抱かれるように建っている。
そして、彼らが飼っている羊もまた、自然の一部だ。
イングヴァルは、アダのことを不審に思ったペートゥルに対して「あれは幸せだ」と説明した。
だが、それは人間の側の勝手な都合に過ぎない。
その勝手で犯した罪を、自然は見逃さなかった。
そう、本作のテーマは「罪と罰」なのだと思う。
ラストを「羊の復讐」と捉える向きもあるだろうが、僕は違うと思う。
あの「なにか」は、人間や羊も超越した存在で、むしろ自然に近い、神のようなものだろう。
だから、神の存在を「見せる」ために、たびたびカメラは自然の風景を映し、嵐の中の儚い存在として彼らの家を描いた。
だから、あのラストは犯した罪に対して、罰が下ったのだと解釈したい。
いや、現実に雌羊を殺したのはマリアではないか、という指摘があるだろう。
いや、だからこそ、「犠牲」というモチーフが生きるのではないか。
羊から生まれた子を可愛がり、暮らしたイングヴァルとマリア。
だが、その過程では盗み、殺すというおぞましい罪を犯していた。
繰り返しスクリーンに映される美しい自然。
だが、それはいつでも人間を超えた存在であり、人の暮らしの都合など気にも留めない。
人間は、自然を開発し、破壊し、奪い、文明を発達させてきた。
それらすべては、どこまで行っても人の身勝手に過ぎない。
イングヴァルとマリアのしたことは、冷静に捉えれば身勝手としか言いようがない。
身勝手が度を越したとき、罰が下ったのだ。
さて、本作。
上記のメッセージを伝えるにあたり、この不気味さと可愛らしさのミックス具合が絶妙だ。
アダ、そして、アダと日常生活を送る異様なビジュアルはインパクト十分。
しかも、それはペートゥルが現れて初めて描かれる。その異常さを見せるために、ペートゥルの視点が上手く使われているのは巧みだ。
夫婦を演じた俳優の演技には、狂気を帯びながら淡々と日常生活を送る不気味さを感じさせた。特に妻マリアを演じたノオミ・ラパスが素晴らしい。
ホラーやスリラーというよりも、どちらかというと「怖い民話」のような味わい。
本来はアダも、羊たちも、そして何よりこの夫婦も相当不気味なはず。
それだけに、アダの異様なビジュアルや、群れでいる羊の気持ち悪さも活かしきれていないのが残念。
どうでもいい事だけど気になった点
ホラーとして期待して観たが
怖さはまったくなく
ほのぼの不気味なダークファンタジー。
ただ、アダにはラム肉を食べさせていたのかがとても気になった。
幼児に成長して家族で食卓を囲むシーンでは
当然、肉を食べていたはず。
主人公の夫の弟が好奇と侮蔑の意味を込めて
アダに草を食べさせようとした時に、夫は激怒していたことからも、人間として普通に育て食べさせていたという事は、、、。
その1点が後からジワリと不気味だった。
スリラー
ホラーではなく雰囲気を楽しむサスペンスになってむす。突如生まれた何か。それを子どもとして育てていく夫婦の話。
かなり説明がなく察したりしないと?になるかもしれない。アイスランドのお国柄ももしかしたら出ているのかもしれない。
ホラーにお決まりのエッなシーンがあるのでR15になってるのかな?って思いました。
ラストに呆然としてしまった。残虐な描写も急な大きい音でビックリしたりがないので見やすいサスペンスになってます。
癒しの映画
アダちゃんの可愛さと大自然の美しさに驚かせる癒しの映画。
内容もいい意味でA24って感じで、満足でした。
難解な所もなく、
心理描写を見せるのがとても上手いと感じました。
アダちゃんに会いに何度も足を運びたくなる映画です。
だっちゃ
ザ・北欧の映画。是非とも「ボーダー」も観て頂きたい。土曜でファーストディという事もあり「えっ?大丈夫??」って位に混雑してましたが、終わったあとの空気感で「大丈夫じゃなかったね」ってのが伝わってきました笑。
北欧の風土や宗教観みたいな事はざっくりでも腑に落としておかないと困惑するであろうシリーズでしたね。でもまぁ、洋画ってそもそもソコ(日本ではない)を横に置いちゃうと、感じ方がおかしくなるから気を付けたい所とは常に思っています。でもさすがにラストはしっかり困惑しましたが(爆)。
白夜のアイスランドがとにかく美しく、それだけでも印象に残る映画。弟くんの登場シーンが一番好きだったなぁ。突然シュールなコントが始まったみたいで。しかも残念ぽい弟くんが一番マトモという奇妙さが良い。牧羊犬と家猫の対比も良かったな。てかあの牧羊犬賢くて愛おし過ぎる。
ちょっとしたトリップには最高の一本でございました。
奪ってはならない。って話だったんだと思う。
マリアの、
過去に失った子どもを求める気持ちは、
分かる気はする。
それでも、
奪っては駄目だったんだと思う。
「幸福な未来は訪れないだろう」という気配が、最初から結末まで作品全体を包んでいて、
それでもこのまどろみの中にいたい気持ちも、
分からないとは言えなくて、
自分達の子では無いアダを、奪って、
自分達のものにするために、アダの母親を殺して、
その上での生活を幸福だってことにして、
アダも
旦那も
失ったマリア。
マリアのアダの母親に向けた殺意が、作品内で、浮き上がって見える様が、すごくよかった。
我利私欲。という感じで。
ぼんやりと、事実の言及を避けて、夢の中みたいな感じにしてて、でも、それはどこから始まってるか、って言ったら、私欲なんだっていうのが、
あのシーンで、避けがたく浮き彫りになってしまってて。
禁忌。
って、多分、アレのことだな。
って弟とのやりとりを見て、思った。
多分弟は、そのモチーフだったんだろな。って。
羊面人の呪い?
多分、そうかもしれないけどそうではなくて、妻を殺され子供を奪われた夫の復讐かも、と推測すると少ししっくり来る。羊側から見ると。人間側から見ると、幸せになるために多少の犠牲を払って何が悪いんじゃ~っていう風になるんだけれど。このね、人間VS羊の戦い…決着つかずに終わってしもた
北欧ダークファンタジーの中では中の中レベル。
何かと話題の北欧ダークファンタジー。つい最近も「ハッチング」という作品を鑑賞。
北欧ダークファンタジーのマスターピースとして作家性、エンタメ性でバランスが取れていた秀作「ボーダー」を基準に本作を評価すると、かなり評価は厳しくならざるを得ない。
「ボーダー」は社会的マイノリティーの孤立と危険性という相反する性質の描き方が絶妙でダークファンタジー作品として得られる教訓が多かった。続く「ハッチング」も人間のエゴを重視して描いた点は評価に値する作品。
では本作はどうかというと、正直前二作ほどの深みは感じられなかった。作り手が羊飼いの夫婦の間に半羊半人の子供を授かったらどうなるか、という単純な発想で生まれた作品としか思えない。つまり出オチ作品である。
ラストに出て来た異形の存在はキリスト教で言うところの悪魔の化身バフォメットのようにも見える。しかし、本作をどう見てもキリスト教的示唆に富んだ作品とも思えない。あ、バフォメットは山羊だったか。
演出や役者の演技は一級品だが、いかんせん作品に深みは感じられなかった。
不思議な世界観
とある羊飼いの夫婦が、顔が羊で体が人間の
子供の出産に立ち会う。
一瞬戸惑った表情をするもすぐに受け入れ、自分たちの子供の様に育てる。
理由は娘を失った過去があるからと判明。
本当の母羊が鳴いて子供の元へくるも、妻が射殺。
夫の弟が一緒に暮らしに戻り、違和感を指摘するも、聞く耳持たず。
弟は子供を射殺しようとするも、愛情が湧きできない。
最後は屈強な羊人間が現れて犬を殺し、夫も射殺して子供を連れ去っていく。
ラストシーンは妻のひとりの映像で終わる。
前半はなかなか掴みきれない印象だった。
そんな簡単に受け入れる?(子供のこととか)とか
そういう感情がよく湧いてしまった。
終始セリフが少なかったことが印象的。不思議な世界観を醸し出していた。
3人の大人が子供に愛情注ぎ出した中盤は、
不思議な家族の違和感に包まれながらも幸せな感じが不思議で面白く感じられた。
最後の羊人間はCG丸出しでちょっと冷めた。
姿出さなくてよかったのになーとも思った。
えっ えっ えっ。
なんで!!
動物たちがすごく良い演技をしている
(若干痛いシーンがあるので、苦手な人は注意)
しかし……
ラストは母親が殺されたんだから当然の報いか?
結局、何だったんだ!?
みなさん、オシエテー!!
気味悪さ100%
淡々と続く羊牧場の日課描写から既に「羊が一匹羊が二匹、、、」
テレビが告げるクリスマスの話題から彼女の誕生で「ん?」と湧き起こる予測は見事に裏切られ
地の果ての様な寒々しさの中繰り広げられるファミリードラマ
ガネーシャ バフォメット そして
蛇足ながら 兄弟を演じた俳優の名前も気味悪く見えてくる 覚えられないし、、
荒寥とした大地で育まれるものとは
雄大というにはあまりに寂しいアイスランドの大地、二人きりで羊を飼い、緑の少ない土地を耕して暮らす夫婦。近隣に家はなく他人との交わりもほとんどなさそうな暮らしを淡々と営むふたりに、唐突に訪れた異形の「幸せ」。それを疑問すら抱かずに愛し、育む妻。そして、ふたりの脆い世界を守るため、すべてに目を瞑り受け入れて共に静かに狂っていく夫。
個人的には、空気の冷たさが感じられるような寂寞とした風景が好きだし、異形ものは好物だからトータルでは嫌いじゃないし、なかなか印象深い作品だった。特に、異形たちの眼の表情がちょっと忘れがたい。
でも、設定だけでほぼすべてが終わってしまっている映画、と言えなくもないんだよね。冒頭から思わせぶりな、伏線的要素が散りばめられている割に、収束のさせかたとエンディングに関して映画としてはもう少し練ってほしかった気がしてしまう。インパクトのある設定を活かし切ってないというか…つまりは印象的なのに、説明しようとすると微妙な映画。その微妙さ、つまり居心地や後味の悪さが狙いなのかもしれないけれど。
全283件中、181~200件目を表示