ハウス・オブ・グッチ

劇場公開日:

ハウス・オブ・グッチ

解説

巨匠リドリー・スコット監督が、ファッションブランド「GUCCI(グッチ)」の創業者一族の崩壊を描いたサスペンスドラマ。サラ・ゲイ・フォーデンのノンフィクション小説「ハウス・オブ・グッチ」を原作に、グッチ一族の確執と3代目社長マウリツィオ・グッチ暗殺事件を描き出す。1995年3月27日、GUCCI創業者グッチオ・グッチの孫にあたる3代目社長マウリツィオが、ミラノの街で銃弾に倒れた。犯人の特定が難航する中、犯行を指示した驚きの黒幕が明かされる。マウリツィオの妻で、グッチ家の崩壊を招くパトリツィア・レッジャーニを「アリー スター誕生」のレディー・ガガ、夫マウリツィオ・グッチを「マリッジ・ストーリー」のアダム・ドライバーが演じ、アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジャレッド・レトが共演。

2021年製作/159分/PG12/アメリカ
原題または英題:House of Gucci
配給:東宝東和
劇場公開日:2022年1月14日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第94回 アカデミー賞(2022年)

ノミネート

メイクアップ&ヘアスタイリング賞  

第79回 ゴールデングローブ賞(2022年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) レディー・ガガ
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(C)2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

3.5豪華キャストで描く同族経営の黄昏

2022年1月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 顔ぶれを見るだけで、濃厚な人間ドラマの予感に胸がざわつく迫力のキャスティング。予想に反して比較的大人しい展開だが、演技合戦とグッチのゴシップネタを楽しむノリで観れば退屈はしない。
 グッチの御曹司マウリツィオとパトリツィアの出会いから、一族が崩壊してゆくまでの概ね四半世紀、それなりに長期間の出来事が描かれる。

 一癖ある役者たちの競り合いの中、レディー・ガガ演じるパトリツィアの押しの強さが際立つ。
 彼女のキャラクターは、巨万の富への欲望だけでなく、個人的な野心やマウリツィオへの愛、一族の一員としてのプライドなど、様々な強い感情を抱えている。
 最初にマウリツィオがグッチと名乗った時は、確かに彼女の目の色が変わったように見えた。しかし、父に結婚を反対された彼が、家も財産も捨ててきたと言い荷物を持って転がり込んでも、彼女は受け入れて結婚し、家業を手伝わせた。家を出たと言っても遺産くらいはもらえるだろうという計算があったのか、それともその頃の彼女はまだ純粋だったのだろうか。
 義父のアルドが偽造品に無頓着だったのに対し、ブランド価値の毀損を恐れてパトリツィアは怒った。一族の一員としてのブランドへの誇りを感じた一方、強く口出しする態度に彼女の驕りもかいま見えた。
 ただ、最終的にあのような行動に至ったということは、根底には最後まで、いびつで自己中心的ではあるものの、打算ではない愛があったのだろう。典型的毒婦でお近づきにはなりたくないが、どいつもこいつも……という感じの登場人物たちの中で、ひときわバイタリティ溢れる生き方にはスクリーンで映える魅力があった。

 私のお目当てアル・パチーノは期待通りの貫禄だった。帝王の威厳があって、ふてぶてしくて時にチャーミング。日本市場に目をつけたアルドが「コンニチハ!」「御殿場!」などと連呼するのは笑ってしまった。
 そして、……誰?え、ジャレッド・レト?
 アレッサンドロ・ミケーレが携わるグッチコレクションではランウェイの常連であるジャレッドは、パオロ役を自ら志願し、毎回特殊メイクに6時間かけたそうだ。そんなご縁があるのにあのお馬鹿っぷり(褒め言葉)。アル・パチーノとの絡みがちょっとコントっぽくて微笑ましい。
 ご縁と言えばよく当たる占い師、ある意味一番罪深いピーナ役のサルマ・ハエックは、実生活ではグッチを傘下に持つコングロマリット、ケリングの会長の妻。失礼ながらパトリツィアとちょっとだけイメージがかぶる。
 最初はうぶそうだったマウリツィオがパトリツィアに取り込まれ、ブランドの経営に関わる中で運命に翻弄される様をスマートなたたずまいで演じたアダム・ドライバーもよかった。

 豪奢なお屋敷やめくるめくファッションが出てくるのに、全般的にちょっと画面が暗い感じがしたのが残念。気のせいかな。

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ニコ

3.5面白いんだけど、オスカー案件になり損ねちゃったヤツ

2022年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず、何が面白かったかって、客層ですよ。六本木ヒルズで見たんですが、お客さんが見るからにお金持ち風で、グッチとか普通に持ってそうで、新宿や日比谷のTOHOシネマズとは全然違うというね。客席眺めて「へー」ってなりました。あと、映画も想像と違ってて面白かった。

しかしこれ、レディー・ガガとジャレッド・レトはオスカー獲りに行った案件だと思いますが、2人とも見事にノミネートから漏れましたよね。ノミネートされたのは、「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」1個だけというしょっぱい結果に。オスカー案件となり得なかった原因は、観客の共感が集めにくいストーリーだってことじゃないでしょうかね。感情移入できるキャラもなかなか不在でした。でも、この事件のことは知らなかったので、とても勉強になりましたね。公開からだいぶ経ってましたけど、見といてよかった。

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駒井尚文|映画.com編集長

4.0怪物ぞろいの色彩をキャンバス上で大胆に使いこなす

2022年1月16日
PCから投稿

こちとらブランド物とは縁もゆかりもない人間だが、本作の筆運びにグイグイ引き込まれた。名門一家の物語といってもヴィスコンティ映画のように格調高くはならず、愛憎サスペンスと言っても目を覆うほどではない。全ては適度に品位を保ちながらグッチ家の内情へとテンポよく迫っていくが、何より刮目すべきは怪物ぞろいの俳優陣だろう。レディ・ガガの凄みもさすがではあるものの、彼女が一人で暴れるというよりは、むしろ一人一人と対峙し彼らの真価を十二分に引き立てていることを高く買いたい。そしてここで最も怪物性を発揮するのは、やはり出演者の個性を自在に配色するスコット自身だろう。自転車、車、ボート、バイクなど”乗り物”や、随所に現れる”水に浸る”イメージ(それは時として雪や泥になる)を用いた表現も実に効果的。かくなる語り口の鮮やかさゆえ、観賞後は愛憎劇のドロドロに増して、単純明快な「楽しかった」という感情の方が上回った。

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牛津厚信

4.5レディー・ガガ、アダム・ドライバーらの演技が光る、リドリー・スコット監督による「GUCCI(グッチ)」創業者一族の30年間を描いたサスペンス映画。

2022年1月14日
PCから投稿

私は「GUCCI(グッチ)」というイタリアのファッションブランドは社会常識としては知っていましたが、正直そこまでの関心はなく今回の創業者一族の話も知りませんでした。そのため結末なども全く知らず、興味深い「巧みなドキュメンタリー映画」のように見ることができ純粋に面白かったです。
本作は2000年に発売されたノンフィクション小説「ハウス・オブ・グッチ」という原作がベースの実話で構成されていますが、1970年から30年間という期間が描かれているため、さすがに映像表現も含めディテールで誤差があるのは当然のことでしょう。
そのため、本作はGUCCI一族から非難されています。
とは言え、アメリカでは「バイス」のように実在の政治家らがノンフィクションで描かれている作品も多く、「さすがにここまで描いたら問題が起こるのでは?」という作品も少なくありません。ただ、意外と文句を言われずに済んでいるケースが多いのは興味深い点です。
「アリー スター誕生」で才能を開花させたレディー・ガガの演技は本作でも健在で、他の役者陣を含め演技でも見応えがありました。
個人的には、作中で「日本語」が出てきて、これらのシーンは単純に面白いのですが、「当時の日本とGUCCIの関係性」をよく表していて、日本向けの作品でもあると感じました。

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細野真宏

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