鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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おもしろい
ゲゲゲの鬼太郎については鬼太郎などのキャラクターを知っている程度で、原作などは全て未視聴。公式サイトの予告編は全て視聴済み。
水木の戦時中の体験と今回のストーリーを重ね合わせて考えているところがとても興味深く、決して美化しないありのままの戦後日本を描いているところがとても好印象だった。戦後日本という時代背景に妖怪というフィクションの要素がうまく混ざりあっていて、とても引き込まれる内容だった。とてもおもしろかった。
全体のストーリーは分かりやすかったが、その分かりやすさが良くも悪くもな感じがした。予告編を見た際に得られた情報は「村」に「一族」が住んでいて、その村の謎を水木が解きに行く内容であることと目玉おやじになる前の鬼太郎の父が妻と思わしき女性を探すこと。今まで色々なアニメやドラマを見てきた経験から「村」と「一族」の2つの要素があったら考えられる展開は2つだけだと個人的には思っている。1つ目は一族全員が自分もしくは一族の繁栄しか考えていないクソ人間たちでそれが成敗されるストーリー、2つ目は一族全員がいい人たちだが悪役による被害に悩まされているから助けるというストーリーである。SNSを見た感じとても好評だったので、私のこれらの固定概念を打ち崩すような第3のストーリーが出てきてくれるかと期待したのだが、見事に1つ目のストーリー展開にピッタリはまっていて「またお決まりのパターンね」と残念に感じると同時に、ストーリー展開もある程度予想できるため大きく感情を揺さぶられることも無く余裕を持って楽しむことも出来た。
2回目を映画館で見たいかと問われると微妙だが、初回を映画館で見る分にはとても楽しめて素晴らしい作品だと感じた。
秀逸な胸クソ脚本で描く水木先生の無念
鬼太郎アニメでありながら水木先生のエッセンスが非常に多めの救いのない日本という国の病理が濃度濃い目で描かれた秀作でした。
世間で評判になるのもなるほど納得の作品でした。
とにかく脚本の出来が素晴らしかったです。
日本のムラ社会の不気味さ、現在に連なる強いものたちが全てを奪っていく社会構造、家族の醜さ、それを薙ぎ払う人間以外のものたちによるカタルシス。
自作以降にアクションシーンのレベルアップが加わると、これは本当にキラーコンテンツになってしまうんではないでしょうか。
きっとこの作品の評価と評判から次作もあるでしょう。
今から楽しみです!
ストレートに「情」に訴える物語
時は戦争の記憶がまだ生々しかった昭和31年。舞台は外界から孤絶したような山奥の哭倉村。一代で製薬会社を興し巨万の富を築いた龍賀家当主、 時貞が死ぬところから物語が始まります。本作の脚本の設定は横溝正史原作市川崑監督の「犬神家の一族(1976)」をそっくり借りています。
- 自分の影響力を後の世まで残したいという時貞の欲望
- 莫大な資産を少しでも多く引き継ぎたいという子どもたちの欲望
- 古い因習に縛られず新しい生き方をしたいという孫たちの欲望
- 龍賀製薬社長である克典に取り入って昇進を目論む帝国血液銀行のサラリーマン、水木の欲望
人間たちの欲望渦巻く哭倉村。そこに幽霊族の生き残りである「ゲゲ郎」がやってきます。彼の目的は行方知れずとなった妻を探すこと、彼の行動原理は「夫婦の情」と「親子の情」。欲望に支配された人間たちとは対照的に描かれます。戦争の帰還兵でもある水木は「ゲゲ郎」とのやり取りを通して正気を取り戻していきます。
徐々に住処を奪われ、人間たちに狩られて数を減らした幽霊族たちの姿を見て、かつて人類と同時代に存在していた旧人類であるネアンデルタール人のことを思い出しました。ネアンデルタール人はホモ・サピエンスより大きな脳と身体を持ちながら姿を消して行きました。我々の存在は、幽霊族やネアンデルタール人にとっては「災厄」だったようです。
欲望に振り回され正気を失う人間の姿と虐げられし弱き者たちの声なき声。そんな漫画が描ける漫画家は今後出てくるはずがありません。こんなにストレートに情に訴える物語はもはや、人類が主人公では描けません。
見事なまでに世界観が一致じゃ!鬼太郎っ
史上初、水木プロの監修を受けずに製作された鬼太郎らしいね
ラスト、水木ファンならば、鳥肌が立ち身の毛がよ立つくらい感動するよ🥺
水木ファンの端くれですが
古賀豪監督に拍手喝采させてください👏
エピローグで再度泣かされました
水木しげる生誕100周年記念作品。
SNSで話題になっていてずっと気になっていました。
"ゲゲゲの鬼太郎"アニメ第6期の前日譚とのことですが、そちらは未視聴。
何も知らない状態で鑑賞しましたが、全く問題ありませんでした。
評判通り、とてもおもしろかったです。
まず昭和31年戦後の日本という時代設定が良い。
閉鎖的な山奥の村が舞台なのですが、まぁかなり陰惨な物語でした。
横溝正史や犬神家などと言われているのは知っていましたが、鑑賞して納得。
これを典型的と言ってしまえばそうなのですが、今作はそこに上手く妖怪あれこれを絡めているので、あまり違和感も感じずに楽しめました。
主人公の一人である水木の、時代背景に絡んだバックボーンがしっかり描かれている点も良かったです。ただの上昇志向の野心家というだけでないのだなと。明かされる前後ではキャラクターへの印象も変わりますからね。
ゲゲ郎がようやく愛する妻に会えたシーンが感動的で…。
ずっと妻を探していたゲゲ郎も、愛する夫の子を何年も身篭って守り続けてきた岩子も、二人の夫婦愛がとても深くて愛おしい。お腹の中の鬼太郎が泣き叫ぶ事で結果的に父を手助けするシーンも、めちゃくちゃ良い演出でさらに涙が…。
それにしても、鬼太郎の黒黄色のちゃんちゃんこにあんな秘密があったとは。
単に鬼太郎の服装としてしか認識していなかったので、今作を鑑賞してあのちゃんちゃんこに対する意識が全く変わりました。笑
エピローグ。
水木のバックボーンがあるからこそ、より感動的なものになっていると感じました。一人の孤独な男が、この新たな命との出会いによって良い意味で変化し、愛を知って生きていくのだろうなと思わせてくれました。なので個人的にはハッピーエンドですね。
それにしても、生まれたばかりの鬼太郎が可愛くて…。
そして水木が鬼太郎を抱きしめるまでを眺めている、目玉おやじの姿となったゲゲ郎。
いや、もうこんなの泣いちゃうよ〜。
それにしても、沙代と時弥は可哀想でしたね。
憧れの東京の喫茶店でクリームソーダを飲んで、野球観戦もしたかったよね。
現代で、鬼太郎が最後に会った狂骨がまさかの時弥だと分かってからも泣かされました。
劇場ではあちこちからすすり泣きが聞こえていました。
まさかレビューがこんなに長くなるとは…!笑
一人で鑑賞したので、誰とも気持ちを共有できずに長くなってしまいました。
機会があったら原作やアニメも観てみたいと思います。
でもその前にもう一度、劇場へ足を運ぶかもしれません。
醜悪
「ゲゲゲの鬼太郎」は子供の頃にテレビアニメを見ていたものの、最近の作品は見ていません。
この映画もさほど興味はなかったのですが、評判を聞いて観てみようと思ったものです。
戦争の影が色濃く残る時代、異様な因習のある村、陰惨な殺人事件、横溝正史のようなテイストで予想以上に暗く不穏な空気。
戦時中の人体実験を連想させるような場面もあり、戦争の残酷さ、大義名分をかざして命を蔑ろにする権力者の醜悪さ、そういったものをきちんと突き付けてくるストーリーはとても良かったです。
興味本位の軽い感じかと思っていた記者が、報道魂を持っていたのも好感が持てます。
現代日本の姿、子供の未来に対する真摯な想いも伝わりました。
子供たちが理不尽な目に遭うのはやはりやるせないです。
アニメーションの面では、昔のテレビシリーズを見ていた者としては、猫娘の、今風というか萌えというか、このデザインはちょっと苦手な感じで、絵柄も全体的に子供向けのキャッチーなものであまり好みではないのですが。
テラスでの鬼面集団とのバトルシーンなどは見応えがありましたが、急に線のタッチが変わったな…とも思いました。
この絵柄なので、逆にシュールで醜悪さやグロテスクさが際立ったのかも、という気もしますが。
惨殺場面なども予想以上に陰惨な描写で、鉄パイプの描写など、かなり悪趣味(誉め言葉)だなと。
とは言え、こういう物理的なグロ描写よりも、権力者や集団の理不尽な抑圧がよっぽど醜悪でグロテスクだと感じさせられました。
全体的に中途半端な感じ
アニメシリーズ未視聴。
「全体的にオール3」といった感じ。
ミステリー色・ホラー感ともに弱めで、全体的なストーリーに破綻はないもののそのまま流れていってしまった印象。
アクションはアングルや色合いなどの工夫が見られたが、そもそもの技の地味さも相まって、迫力不足は否めない。
原作者をオマージュした人物が主人公という構成の妙は感じたが、ほかに特筆すべき長所は感じられなかった。
本作品というより、このシリーズ自体が劇場版とあまり相性が良くないのかも…と思ってしまった。
p.s.あれ?目玉おやじって鬼太郎自身のじゃなかったっけ??
最後どうなったのかよくわからず…
話題になっていたため鑑賞しました。
昭和の描かれ方が変に美化されておらず、好感が持てます。ゴジラ−1.0(綺麗過ぎ)で不足に感じていたものが埋め合わされたように感じました。
たいへん面白かったのですが、終盤どうなったのか分かりにくく、味わいきれない部分がありました。
想像を超えて面白かった! 内容もしらず、見たけど人間の欲深さや愚か...
想像を超えて面白かった!
内容もしらず、見たけど人間の欲深さや愚かなところ。水木とお父さんとのタッグ
話もしっかりされてて見てよかった!!
アニメーションでも面白く、一族のドロドロした感じとホラーサスペンス感もあった
期待しすぎた…?
SNSで大盛り上がりしていて気になり、ワクワクでほぼ満席のなか座席をゲットし見に行ってきました。
テンポはいいし、バトルシーンもかっこいい、鬼太郎ってこう生まれたのか〜ってのがわかる。けど、私にはそれだけでした…
映画の時間の中で説明するのは無理でしょうが、あの一族の成り立ちや、それぞれの人物の心情を掘り下げてくれたらもっと面白かったなと。
パンフレットは買えてないのでそこに解説とかあったらいいな…
乙女様の亡くなり方、狂骨に村人が殺されるシーンもただ人を殺してるだけというか。そりゃ恨みもあるかもしれないけど人殺しシーンをエンターテイメントにしてるのかなぁ捻くれてるかもしれませんが感じてしまいました。
紗代さんも救われはしなかったけど最期くらい少し救いがあっても…
水木とゲゲ郎のアツい絆というか、そういうのは良いですが…うーん…物語の作りは子供向け、表現は大人向け(グロテスクさ、近親相姦など)と感じました。
私は考察厨なので、登場人物ひとりひとりにどんな人生があったか考えるのが好きですがそれを考えるにも情報量が少ない(次女、三女とかはモブ扱い?)のと、殺し方が雑すぎる、意味のないグロテスクさを出しているところにうーんといった感情を抱いてしまいました。
難しいかもしれませんが当主がなくなるまでの一族の生い立ちを書いたスピンオフ小説とか出ませんかね。そしたらもっと奥行きが出ると思います。
とてもベーシックな良作
過去にアニメ(3期)を見たことがあり、漫画のゲゲゲの鬼太郎も読んだことがある人間です。
なんというか無駄が少なく、非常にまとまった良作。
横溝的なドロドロしたお家騒動と妖怪の話が詰め込まれているが、乱雑な印象は受けない。ストーリーラインがとてもシンプルなのでとてもわかりやすい展開。
血液銀行の水木とゲゲゲの鬼太郎の親父の交流がメインだと思うが、仲良くなるのがやや早急かなという気もするがそのへんもなんというか想像の余地があると言える。
創作をする人たちに受けているというのも納得できる。
映画のお話はオリジナルなので、鬼太郎本人をなんとなく知っていて、目玉の親父がいるというのを知っていれば鬼太郎シリーズを詳しく知らなくても楽しめる出来になっている。強いて言うなら「鬼太郎誕生」というこの映画の原作ではないが関係がある漫画を読んでおくと映画試聴後ある程度のなるほど感がある。
個人的には、アニメ映画であまりにも動きが凄すぎると何が起きてるかわからんとなりがちだけど、このくらいの動きがちょうどいい。アクションもかっこよかった。
横溝正史版・ゲゲゲの鬼太郎
あまりに横溝正史っぽい世界観に、いつ池の水面から足だけ出てる死体が登場するのかと思っていたが、最後はきちんと妖怪バトルへと繋げてくれるのでご安心を。
この映画、ストーリーはもとより昭和の解像度が高いのが素晴らしい。電車の中で平気で喫煙する大人。咳き込む病弱な子供。閉鎖された村社会。地元の有力者の跡目争い。ひとつひとつの肌触りが心地よく〝昭和〟している。
主人公の水木が、無気力で利己的な男から、仲間のためにと、覚醒する姿には胸が熱くなった。
予想以上の映画の出来に、私の妖怪アンテナはビンビンだった。
なかなか骨太
細かい脚本で普段聞き慣れない言葉が多い点や、展開がややスピーディーな点もあるため、大人ですらストーリーを全て理解するのは難しいが、難しいからこそ何度も見応えがある作品だと感じた。
そして子供がいたら泣いたり目をそらしたりするようなシーンもあるが、振り切って作っていた点が好感が持てた。
子供向けではなく、あえて大人向けの今作は、アニメ業界の一つの道標となる気がした。あえて内容をハードに作ることで、大人でも視聴に耐える作品となり、長い年数楽しめる作品となっていた。
タバコを吸うシーンが多かった点もその当時の時代背景を忠実に再現しており良かった。コンプライアンス的に喫煙シーンがアニメでは減りつつあるが、個人的には好きなので、今後もこういった作品が増えてほしい。
そしてラストの展開は原作にも繋がるように工夫されており、従来の鬼太郎ファンも満足のいく作品だった。
グロいシーン多めなだけに地上波放送は絶対にされないと思うので、映画館で鑑賞することをオススメします。
見応えあり!
新宿バルトほぼ満席、若い方が多い。
声優さんがよい。
戦前から戦後のドロドロ話。
戦争中悪いことした奴らは守旧勢力でこの映画の頃の戦後も今でものさばっているから、妖怪の話も妖怪でなく怖い。
アニメーションはとても綺麗で物語に引き込まれる。
鬼太郎のお父さんとお母さんの悲恋悲運身勝手な人間たち。地獄を作り出すのはいつだって人間様。
全部のせ・バランスよいエンターテイメント
オカルト、ミステリ、バディもの、家族愛、活劇。
いろんな要素がバランスよく盛り込まれていると思います。
PG12とあり胸糞な展開がありますが、しっかり成敗してくれますし、終盤の主人公・水木が男ぶりよく清々しいです。
水木しげる作品の戦争マンガとも絡めたシナリオのようで、個人的にはこの点が印象的でした。
人間の所業
鬼太郎誕生までの経緯を人間のもつ恐ろしさを絡め描く。
上昇志向の強いサラリーマンの目を通して、閉鎖的な村で起こる人間の欲望のとてつもない深い闇に触れることで観てる観客にその恐ろしさと底知れぬ欲望を、目を逸らすことなく描き切る。
そしてゲゲゲという語源もさらりと語られる点も心をくすぐられる。
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