ミナリのレビュー・感想・評価
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2時間ドラマのような映画
アカデミー賞6部門ノミネートという宣伝広告をきっかけに
観た。
日本人には「移民」の苦しみとか無情さを肌で感じる機会が少ないので、
共感する部分が少ないかもしれない。
ただ、差別ということで考えると
コロナ感染でもアジア人は強烈な差別を受けているので、
理解が進む。
映画というより。2時間ドラマを見ているような感覚があり、
家族というものを考えさせられた。
年寄りと同居した時に、感じる子どもの素直な気持ち
(韓国臭い、母親と違う料理を作る、漢方とか飲ませるなど)に
すごく納得した。
家族の中のスパイスになっていくおばあさん。
その姿は、湿地に生え、独特の臭みのある「ミナリ」に似ている。
家族の在り方を上手に描かれた作品だと思う。
スピード感がない映画なのでそこが勿体無いが、
自宅で2時間ドラマを観ている感覚で楽しめばいい。
館内は、30、40、50代の男性が多かったように思う。
小津安二郎+倉本聰
アメリカで農場を始めるという内容だけで、「北の国から」ファンの自分のテンションはだだ上がり。しかし、意外に淡々とストーリーは進む。
終わった瞬間に「ダメだ、こりゃ」と思ったが、今になってじんわり効いている。
他のレビュアー同様「小津安二郎」っぽい。
川辺のセリが象徴する家家族の姿が眩しい韓流『大草原の小さな家』
アーカンソー州に広大な土地を購入した韓国系移民のジェイコブは妻モニカ、長女アンと長男デイヴィッドを連れて引っ越してくる。荒れた土地を開拓して野菜栽培を成功させようと意欲的なジェイコブだったが、汚いトレーラーハウスでの生活にモニカは不安を抱く。二人は孵卵場でヒヨコの選別の仕事で生計を立てながら暮らし始めるが、留守中の子供達の世話、特に心臓に病を抱えるデイヴィッドが心配なモニカは母スンジャを呼び寄せることにする。スンジャに初めて会うアンとデイヴィッドはその大雑把で大胆な性格に最初は戸惑うが少しずつ心を通わせるようになる。一方ジェイコブが仕事の合間に淡々と進める野菜の栽培はなかなか思うようにいかず、その苛立ちが慎ましやかな生活の中で雑音を立て始める。
夢想家の父親に振り回される家族の物語というのは決して他人事ではなく、自身の幼少期と数十年前の自身にも、様々なところで出会った移民の方々に聞かせてもらった昔話とも被るもの。突然現れた祖母が持ち込んだ流儀にあからさまに拒否反応を示すデイヴィッドの無邪気にも程がある悪戯も微笑ましい。様々な困難に揺さぶられる家族を象徴するのがスンジャが河原にそっと植えるセリ。様々な事情で祖国を捨てた世代から祖国を知らない世代に受け継がれる逞しさが余りにも眩しいドラマでした。
セリの様にも青臭さも苦味も感じる滋養溢れる作品です。
この時期になるとアカデミー賞エントリー作品が上映されますが、やはりエントリー作品となると、そんなにハズレは無いかなと思い、鑑賞しましたw
で、感想はと言うと、良いです。
但し、荒ぶった気持ちの時はもっと刺激が欲しい感じもありますが、穏やかな気持ちの時に観ると沁みわたる様な優しさが気持ち良いですw
韓国からアメリカでの農場成功を狙って移住した韓国人の家族の奮闘記ですが、戦後まもなくにブラジルに移住した日本人の方を連想しました。
1980年代に韓国からアメリカに移住すると言う社会情勢は全てを理解している訳ではありませんが北朝鮮との冷戦が続き、夜間の外出時間が制限され、軍人がデモ隊に催涙弾や銃を向け、言論の自由も制限されていたと聞きます。
明らかに日本より数十年遅れて感じで、戦前から戦後の日本の様な感じでしょうか?
現在も治安維持法である国家保安法が存在し、独立した公安組織である国家情報院が存在する事を鑑みると今から30年以上の前の韓国は自国民ですら住みづらかったと思います。
ジェイコブ一家はそんな韓国を抜け出し、新天地のアメリカ・アーカンソー州に移住して来ます。
アーカンソー州と言う州は個人的にはそんなに馴染みの無い州なんですが、自然が豊かで農業にはうってつけ。
ジェイコブがこの地で一山当てようとしますが、やっぱりそんなに甘くない訳でほぼゼロからスタートに一苦労どころの騒ぎじゃない。
一番の問題は妻の理解がなかなか得られない事。
息子のデビッドが抱える心臓の病で何かあった時に病院に行くのも一苦労の地での出発は納得が出来ない。
ジェイコブの気持ちも分かるし、妻のモニカの気持ちも分かる。どちらかと言うとモニカ寄りな感じですがw
そこからモニカの母親で祖母のスンジャおばあちゃんが孫達の面倒を見る為にアメリカに来る訳ですが、このスンジャおばあちゃんがかなり破天荒。
そんなスンジャおばあちゃんが巻き起こす大騒動!かと思いきや、そうでもなかったw
粗暴で口が悪くて何処かこズルい感じですが、孫想いの良いおばあちゃん。
なかなか懐かなかったデビッドがおばあちゃんにオシッコを飲ました辺りからなんか打ち解けていった感じw
物語は割りと淡々としていて、ジェイコブの農作もなんとなく上手くいきそうな感じでありながらも、モニカは常に仏頂面。
スンジャおばあちゃんが倒れた辺りから物語が動き始めますが、そこまではかなりスローでロハスな感じ。
ちょっと中弛みは個人的に感じます。
全体的には夫婦間のモヤッとした空気感がありますが、出てくる登場人物で嫌な奴がいないのが個人的には良い。
デビッド役のアラン・キム君が良い感じなんですよね。
お姉ちゃんのアンは些か割りを食ってる感じはあるのがちょっと残念。家族が弟に構いがちになるといつも割りを食うのはお姉ちゃんなんですよねw
スンジャおばあちゃんの孫想いの気持ちがじんと心に染み入ります。
最初は孫嫌いなのかな?と思いましたがそうじゃなかった。
デビッドを想う無償の愛情にウルッときますね。
でも、教会での寄付のお金をくすめ盗るのにはビックリもし、些か笑ってしまったw
ただ、十字架オジサンの存在はそれ以上でもそれ以下でもなく、単に田舎にいる変なオジサン的になってたのは面白いけど意図が分からんw
でも、信心深くてちょっと変なオジサンのポールも実は良いヤツで、実は一番変なのは…ジェイコブなんですかねw
自分の夢と理想を叶え、家族の為に突き進む姿は力強い父親像ではありますが、ちょっと頑な。
ヒヨコのオスメスの見分け方が瞬時に出来るとかの特技なんかも割りとスルーされている感じも勿体ない。
ここまでアーカンソーで農業に殉じて身を立てようとする過去の体験や背景をもう少し入れた方がジェイコブに感情移入が出来たかと思いますが如何でしょうか?
制作・配給のA24は近年話題の作品を世に出している気鋭の会社で「ムーンライト」「レディ・バード」「聖なる鹿殺し」「mid90s ミッドナインティーズ」と言った話題の作品から「ミッドサマー」「ヘレディタリー/継承」「スイス・アーミー・マン」「Mr.タスク」と言う話題でありながらいわゆる「変」な作品も輩出w
良い作品も変な作品も玉石混淆な感じもしますがw、異様に攻めている会社なイメージ。
この作品は「ムーンライト」「レディ・バード」系の良い作品でありますが、A24は話題の作品を常に提供しているのでそのブランドがこの作品でも活かされているかと思います。
あと、劇中に出てくるダウンジングだけが、何故かA24らしい感じで「ミッドサマー」感を感じさせますw
タイトルのミナリは韓国語で日本ではセリの事。
春の七草の一つで「七草粥」の中に入れるので有名ですが個人的にはササッと湯がいてドレッシングや梅肉と和えたのなんかが好き♪
水田の畔道や湿地などに生え、雑草として捉えられがちですが、食べても良し、薬効もあると言う万能食。
それでいて栽培にも手間が殆ど掛からない。
このセリの効能を理解するとタイトルがかなり深いんですよね。
どんな土地に行っても雑草の如く逞しく根を張り、しっかりどっしりと生きる姿勢はまさにセリその物。
いろんなトラブルがあっても「雨降って地固まる」かの如く、トラブルを乗り越えるラストは若干尻切れトンボの様にも感じますが、いろんな想像を掻き立てますが、いろんな未来を暗示する流れとしては良いんではないでしょうか。
家族愛とおばあちゃんの優しさ、そしてセリの野性味溢れる美味しさを味わった様な清々しさ。
昨今の刺激的な作品に慣れていると物足りなさを感じますが、噛み締めると苦味を感じる滋養溢れる味わいは癖になる。
あ~セリの和え物やサラダなんかが食べたくなってきた♪
そんな気持ちになれる作品です。
テーマの曖昧さは残念だが、異文化交流・移民文化・ユン・ヨジョンワールド満載◎
アカデミー賞ノミネートされた作品ミナリを観てきたが、アメリカA21制作映画でいわゆる米韓合作映画でもこういう形の映画が今後増えてくるのかなと実感した。ただ、題がミナリにしては結局、この映画は韓国産セリの事をミナリというのだが、このミナリを通じて観客に何を伝えたかったのか感じられなかった。家族のあり方にしてもありきたりな内容でマイナス2点。この点は残念だった。しかし、この映画はミナリを通じて異文化との付き合い方、移民文化をアメリカの農家を通じて
勉強になるし、何と言っても韓国ドラマ、女優でお馴染みのユン・ヨジョンワールドの演技は健在。これは見事。1点プラス。しかし、アメリカのA24スタッフと監督のユン・ヨジョンの活かし方をもう少し上手く活かしてほしかった。ただ、ミナリは日本版北の国から、アメリカのホームドラマ「大草原の小さな家」の現代バージョンというレビューも見られたが今の時代にこういうタイプの映画は観客に受け入れられるだろうか?アカデミー賞作品賞ノミネートされた作品を加味したらやはり合格点はあげられない。ただ、移民文化、異文化交流の在り方は勉強になった映画だった。
あらゆる事柄の繋ぎ方繋がり方が良かった
映像の繋ぎ方、映像と音楽の繋ぎ方、人と人との繋がり方、家族の繋がり方、あらゆる事柄のつなぎ目が素晴らしく感じた作品。
人種とか移民というものをテーマにはしているけれど、ありがちな差別とか迫害・苦労ということよりも、純粋に夢を追って生きる家族の日常に焦点を当てているところに好感を持てました。
少しずつ期待と想像を裏切るような内容が、その作風と相まって、実に気持ちの良いものでした。
郷に従えって事?
期待が大きすぎたのか?
前半はとても良い流れだったのに後半は何なんだ、どう終わらすのかって気になり出した。結局不幸な運のない家族の話なのか?懸命に生きているが中々幸福になれない家族の話ならラストは違うんじゃないか?また再起をはかるのはわかるが、結局ダウジングしたり、おばあちゃんが脳卒中になったら祈りやおまじないをしたり。韓国から来たならアメリカ式の生き方を学べってメッセージにとれた。
セリが多く育ったからおばあちゃんの手柄って?売りものになって一発逆転までは行かなくてもそこそこの希望があるなら良いが。火事でおばあちゃんが家と反対に行くシーンが??子供たち帰ろうって言ってるけど当たり前じゃない、どうして火事になったか知らないんだから。とりあえずそう言うでしょ。
一家が火事のあとに四人で寝ていておばあちゃんが見てるシーンは何?火事を起こしてバラバラ寸前の一家を一つにした顔?
劇的にする必要はないが感情の乗せ方はやらないと。
唯一、妻役の役者が凄くうまかったのは良かった。
もし私が監督ならラストは。
四人で寝ている家族。泣きながら見ているおばあさん。
起きる家族が火事の現場を見に行く。
父が火事の中から野菜を取り出すが焼けている。焼け残ったジャガイモとかを取り出す家族。家族が食べ始める。「うん、上手い」と長男。頷く父。
後日、長男とおばあちゃんがセリの沢へ。長男「セリ凄いね、一杯生えてる」
おばあちゃん「セリは強く、何処でも生きれるから」
ナイスな子役
観終わったあとにじんわりと心地よい余韻が残る感じ。俳優は一人一人個性があって、おばあちゃんと孫のやりとりは引き込まれる。子役の男の子は映画の中でもとても重要なポジションなのだが、見事に演じていて今後も楽しみだ。
まるでドキュメンタリーな家族の話
アメリカ映画でメインキャストは韓国人家族。どんな展開が気になるよね。
アーカンソーに引っ越してきた韓国人家族は、父、母、姉、弟の4人家族。70年代の話かな?お金がないのでトレーラーハウス。父がどうしても農業をしたくて安い土地を買ったようだ。
そこへ、お婆ちゃんも同居にやってくる。
人種差別とか自然災害とか、大変な困難を乗り越えて成功する話かと思っていたら、そんなイベントは一切なし、淡々と生活を描いた、ドキュメンタリーもどき。どちらかと言うと、お婆ちゃんと孫、夫婦の価値観など、家族の問題がメインだった。人種は関係なしのヒューマンドラマでした。ちなみにミナリとは日本語で芹の事。キレイな水があればどこでも育つらしい。
是枝監督の様な感じだった。
リアルな家族の物語、心に残る。
農業で成功するためにアメリカ移住した韓国人一家の物語。生活苦と将来についての考え方の違いによる夫婦の諍い、それが決定的になった時点で大事件が起こり、結果として家族が再生する。脚本がよく出来ていてストーリーに破綻がない。パラサイトは面白かったけど一種のダークな寓話。この作品は地味だけど家族の愛情が心に残る。途中から同居するお祖母さんがキーとなる。孫である男の子から嫌がられ、ひどいイタズラをされるけど、それでも愛情をそそぐ。心臓病のその子に「お前は強い子」と言い続ける。アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされているがそれも納得。ラストは希望がありさりげなく終わる、そこも良かった。
不器用だが懸命に生きるどこにでもある家族の風景
これは特別な家族の話ではない。80年代にアメリカに移住した韓国人の家族という設定ではあるが、イ家族はごくごく普通の家族であり、人たちだ。みな、不器用だけど家族思いで、自分本位だけど優しい。
夢aka呪いによって家族を翻弄してしまう父ジェイコブの「男・父・主人たるもの、こうあるべき!」と全部独りで成し遂げようと、背負ってしまっている姿。
(おそらく病気の子を産んでしまった事への責任を感じているのだろう)過保護すぎるほどに息子デービッドの身を案じ、子供達の将来と家計を心配する母の苛立ちと疲れ切った表情。
そんな父母と弟の間で感情を抑え冷静に振舞おうとする姉アンのどこか寂し気な眼差し。
父も母も姉も自分の立場・役割を全うしようと、理想としている人間になろうと懸命に生きているだけなのだ。
彼らを見ていると、自分の中に、家族や親戚や友人に、どこか見覚えのある姿が投影されるだろう。
そんな中で唯一自然体で生きているように見えるのが、韓国からやってきた祖母だ。
口が悪くても文字が読めなくても料理ができなくても、不自由なはずの暮らしにあっという間に馴染み、悠々と暮らしている。アメリカで生まれ育ったデービッドは、自分が移民である(外からやってきた)という認識が薄く、家族という自分の知っている世界の外から訪れる祖母やポールの存在に戸惑いを隠せず、挨拶もできないほどだ。兎角、祖母に関しては「おばあちゃんらしくない」としきりに言うように、アメリカ社会ですりこまれたのかもしれない「理想」(いや「空想」と言ってもいいだろう)が邪魔をしている。
そうでなくても、おばあちゃんというのは、子供からすると、なんだかとても面倒で、風変りで、でも愛嬌があって面白い存在だ。自身の幼少の頃を思い出しても、そんな風に感じることが多々あったように思う。妙な薬湯を飲ませたり、しきりに可愛いと言ってきたり、でもいつの間にか父母姉とは違うその自然体な言動をデービッドは少しずつ許容していく。
デービッドに一緒に走ろう、と言ってくれたのは、おばあちゃんだけだった。教えてもらった花札で友達との距離を縮めることができた。水道水の代わりになる水汲みで家族の役に立つことができた。農場を手伝うポールと家族の距離を縮めたのも、病気になってしまったおばあちゃんかもしれない…。
ポールという人物もまたイ家族とは違うが、不器用に一所懸命に生きている。奇妙な程に信心深い彼は穏やかな目元にどこか狂気のような絶望のような深い闇を携えている。おそらく彼は、戦争の傷跡が残り、妻や家族を亡くした独り身で、もしかしたら農業でも失敗したのかもしれない。文字通り十字架を背負い、神を信仰し、悪を祓い、人を赦し、人に感謝して生きている。ジェイコブと対のような人間だ。彼も一度は理想を追い求めたのかもしれない…けれど今は雲の隙間から太陽の光が漏れただけで目を潤ませる…。
人は正解かも間違いかも分からない道を進んでいく。
おばあちゃんはとんでもない事故を起こしてしまった。
途方に暮れ、行く当てもなく、ただどこか遠くへ消えてしまいたいようなおばあちゃんの茫然とした姿、それまでたくさん笑っていたおばあちゃんからは想像も出来ない表情に胸が引き裂かれそうになる。そのおばあちゃんに駆け寄り、一緒に家に帰ろうと、デービッドは優しく言った。それは、デービッドが初めて意思を持って走った瞬間だった。
その夜、疲れ果てたイ家族4人は、リビングで川の字になって、ぐっすりと寝ていた。アーカンソーのトレイラーハウスに着いたその日に父ジェイコブが提案した「ここで雑魚寝しよう」はスルーされ、いつもバラバラに寝ていた家族。デービッドはそれまで半ば強いられて行っていた祈りを捧げることもなく、深い眠りについていた。最悪な事態が起こった夜に、家族は一つになった。
その姿を見つめながら一人眠れずにいたおばあちゃんは何を思っていたのだろうか・・・。
父が一人船頭を切って「始めた日」、家族は同じ方向を向くことができなかった。最悪の事態、いわゆる「終わった・・・」の日。でもそれは言い換えれば、これ以上の最悪は無いと信じたい、新たな「始まりの日」だった。
不器用だった家族たちは、各人が抱いていた理想という呪いが少しだけ解けただろうかと、想いを馳せるエンディングだった。人に頼ることを覚えた父は、ポールにサンキューと言えているだろうか。母はデービッドに走ってもいいよ、と背中を押せているだろうか。姉はもっと子供らしく無邪気に笑っているだろうか。デービッドはミナリ(セリ)のように逞しく成長しただろうか。おばあちゃんはまた笑って自由に振る舞っているだろうか…。
人生とは理不尽で、人間とは不器用な生き物で、家族という集合体は面倒だ。
また嵐が来て、夫婦は喧嘩して、親に説教され、水が出なくなっても、窓から朝陽がさして一日が始まるー。その繰り返しかもしれない日々は続いていく。
それでもやはり、人は愛おしく、家族と生きていくことは尊いのだと思う。
エンドロールの虫の鳴く音に故郷を、家族を、祖母を思い出し、涙した。
”To All Our Grandmas." 「全てのおばあちゃんに捧ぐ」
この言葉で締めくくられた本作。
鑑賞後にじわじわと様々な感情が沸き起こる。
キャスト・脚本・演出・撮影・音響・美術・・・全てが良かった。
A24配給、PLANB制作らしい本当に素晴らしい作品だった。
家族の物語
「北の国から」的な展開と、韓国から移住してきたおばあちゃんが巻き起こすヒューマンコメディを期待したら、違っていた。異国の地で身を寄せあって、貧しくも懸命に生きていく家族の生活を淡々と描いていた。上手くいきそうなとこでまたゼロになって、家族で川の字になって寝て、朝を迎えて、また土地を耕す。豊かにはならない。物語として成功しないし、不幸にもならない。ただばあちゃんの蒔いたセリだけが順調に繁殖していた。また生活をしていく、という物語。北の国からに似た音楽が心地良かった。
家族あるある映画
父親のなんで家族持ったの?感、
母親の頭の悪さと視野の狭さ、
おばあちゃんは自分なりに頑張るけど裏目に出る、
一人一人の描写がしっかりしてて面白い
よくいる家族と家庭問題を第三者視点からみる
ミナリ(セリ)というタイトルは絶妙
アメリカに移住し農園で成功しようとする韓国人家族の物語。
夫婦ともひよこの性別鑑定で収入を得ながら、夫が自宅の土地で農園づくりに励むという話。俺が成功してる姿を子どもたちに見せたいというメンタリティを自分が持っていないので若干のついて行けなさを感じてしまった。
でも、途中から同居することになる祖母(妻の母)のキャラクターの濃さで惹きつけられてしまった。強烈なのに憎めない。いや、実際に孫として同居していたら嫌悪していただろうな。で、大人になった今となっては懐かしむことができるようになるというそんなキャラ。
で、その祖母が話の展開のポイントとなる。倒れたり、火事を引き起こしたり。悲しくもあり、苛立たしくもあり、切なくもある。そういう意味でとてもつらい映画だった。あの夫婦のすれ違いは男女のすれ違いとしてかなり難易度の高いもののような気がする。夫がんばってるのに!でも家族のことを見てもらっていないという彼女の言い分も理解できる。自分でも同じような流れになってしまう気がする。
色々あったがラストではなんとなく丸く収まったのかな?という雰囲気で終わっていくことに若干の物足りなさを感じてしまったのも正直な感想。
誰かの実体験を映画脚本にしたのかなと思う。火事という事件はあったが意外と淡々と進んだことにも納得できる。
観る価値あり。アカデミーは獲れない。
別にアカデミー賞を獲れないからどうという訳ではないですけど、公平にみて、凄くいい作品なのは間違いないとしても、あまりにも抑揚がなさすぎる。意図的に抑制されたと言えば聞こえはいいかもしれないが、単に脚本と監督の描写力が充分ではないだけ。何と言うか、凄くもったいないです。男の子は可愛いし、志も高いんだけど、何かが、何か大事なものが不足している。
年配の方向け韓国ホームドラマ
Netflixで韓流ドラマばかり観ているが、また違った面白さ。イマイチテーマが分からなかったが、お婆ちゃんが途中途中に笑いをくれた家族ドラマ。どちらかと言うと年配者向けかな。観客も50.60代の方が結構多く見られました。中にはイビキかいてるお爺ちゃんも(笑)
ちょっと疲れた時にお勧め映画でした!
うーむ…
賞レースに名前を連ねるほどなので、駄作ではないんでしょうけど、いかんせんストーリーの起伏の無さに退屈感が否めない…
きっとあの時代に実際にあった、どこかの家族の物語的なんだろうけど、アメリカンドリームのような「超ハッピーエンド」でもなく、韓国映画によくある「超バッドエンド」でもなく…
最近よくレビューで書く「場外ホームランか?三振か?」てもなかったなぁ。
久しぶりに「自分には合わない(好み)ではない」作品でした。
全235件中、161~180件目を表示