ミナリのレビュー・感想・評価
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日本人なら北の国からでいいんじゃない
ミナリってセリの事なんだ
とわかった途端に結末までの筋がわかってしまった
アメリカは移民の国だし
当時のキリスト教徒の様子はヨーロッパとは違って特殊だったろう
十字架担いでるオッサンみたいな変な人達もよくみかけたんじゃないかな
苦労した人達にとっては懐かしいシーンも多いんでしょうね
韓国の移民の人にはなおさら刺さるだろう
韓国では日本以上にセリを食べるのかな
しかし移民の記憶のあるアメリカ人ってまだそんなにいるのかなぁ
時間的制約があるので仕方がないが、うわっつらをさらぁと流された感じ
日本人には“北の国から”の方がはるかに面白い
北海道の開拓は歴史でしか知らないけれど、日本人にしか感じられない事は多いですよね
だから、この映画
日本人がわかったように高評価できるものではないような気がします
観光客気分の感動しかできませんよ
ウォーキングデッドのグレンが頑張って役者続けてるのが見れて良かったくらいかな
セリは本当にワンダフルなんだよ
映画「ミナリ」(リー・アイザック・チョン監督)から。
邦題ではわかりにくいので、原題を検索したら「Minari」、
内容より先に、タイトルが気になり、もっと調べたら、
原題のMinari(미나리)は韓国語で「セリ」を意味する語であった。
作品中には、こんな会話がある。
「韓国から「ミナリ」の種を持ってきた。
この先の水辺に「セリ」を植えたら、よく育ちそうだよ。
セリは最高の食べ物だよ。
雑草みたいにどこでも育つから誰でも食べられる。
お金持ちも貧しい人も、食べて元気になれるんだ。
セリはキムチやチゲに入れたり汁物に入れてもいい。
具合が悪い時は薬にもなる。セリは本当にワンダフルなんだよ」
作品とのセリの関係性が分かりにくかったが、
公式サイトによると「セリは、たくましく地に根を張り、
2度目の旬が最もおいしいことから、この作品には子供世代の幸せのために、
親の世代が懸命に生きるという意味が込められている」とあり、
妙に納得させられた。
もう少し、分かりやすいタイトルはなかったか、と思いながら、
貧困な生活からなんとか抜け出そうとする移民家族の逞しさは、
伝わってきた気がする。
個人的には、煙突の煙を見ながら「オスのヒヨコ廃棄してんだ」と呟き、
「廃棄って何?」と訊く息子に「難しいよな。オスはおいしくない。
卵も産めないし役立たずだ。俺たちは役に立たないとダメだ、わかった?」
と父親が諭すシーンが印象的だったなぁ。
郷にいれば?
ど田舎にあって、案外、周囲は温かく描かれている。その分、夫の無計画ぶりが際立っているように見えてしまう。息子の役に対して娘の役回りがいかにも軽いのも、バランスを欠いているように思えてしまう。
タイトルの意味が序盤で示され、ストーリー全体の興味が盛り下がる。祖母の演技は確かに活きている。
わからん…。これを観て何を思えばいいのか分からなかった。 全体は面...
わからん…。これを観て何を思えばいいのか分からなかった。
全体は面白いんだけど、「で?」となってしまった。おばあちゃんの女優賞もイマイチ納得できなかったな。
やっぱりアジア人には下駄履かせられない自分が悪いのかも…。
未来を信じて助け合う家族
1980年代、アメリカに移民した韓国人の家族。
南部アーカンソー州の田舎で農場を開くが、農場は前の持ち主が自殺したいわくつきの物件でうまくいかない。さらに病気、火事が家族を襲う。家族は思いをぶつけあいながら、それでも、家族と農場の未来を信じて助け合う。
祖母が韓国から持ってきたミナリ、芹の種は、アメリカの土地で芽を出してしっかり茂った。祖母、両親の努力は子どもたちの未来に花を咲かせるのだろう。
2本立て、2本目。韓国映画? 韓国では子が悪さすると、手を上げさせ...
2本立て、2本目。韓国映画?
韓国では子が悪さすると、手を上げさせ棒でしばくようだ。夫婦喧嘩が激しい(笑)
おばあさんが最高と思ってたら、どうやらこのおばあさんが主役だったようだ。
なぜか夢中で見てしまうが、結局どうなったの?のエンディングには疑問が残る。
何とも、中途半端な感じがするにだが‼️❓
多分、キリスト教根本主義みたいなもんがあるとは感じるけど、私にはピンと来ない。
半端な不幸と、半端な努力、半端な差別、半端な現実。
なんか、アメリカに配慮して、おもねる賞もらいのインテリ映画のような気がする、なんかいわゆるクサイ演技と展開、私の偏見だろうか。
婆さんと子供が良い演技だ、多分、万引き家族みたいにセリフを覚えさせないのだろう、演出はさすがだ。
この映画の世界観には、最後まで理解が追いつきませんでした。
でも、共感出来ない自分を大事にしようとは思う。
評価される人を非難はしません。
韓国と米国を理解するために、是非。
アメリカンドリーム
韓国からアメリカに越してきた家族を描いた物語。
夫はアメリカドリームを夢見て
農場を作るが取引先に裏切られたりと
苦労が伝わってるが
妻はそんな夫に半ば呆れている
2人は夫婦ではあるが
別の道をそれぞれ見ていた
うまくいって欲しいと願い
ホッとした矢先不運がやってくる
ラストはその不運が2人を
同じ方向に向けさせ
上手く行く気配を感じさせる
まだ宗教観の違いなど垣間見える
親近感があった。
1980年代。アメリカ南部。韓国人移民。
全く接点がないはずなのに、
夢見る夫。
呆れ疲れ果てる妻。
どこでも無邪気な可愛い子どもたち。
口の悪いお母さん。
どこにでもある家族環境にとても親近感が湧いた。
特に漫画家と言う職業柄、
畑に生き甲斐を見出して周りの意見を聞かず
自分の力だけで何とかしようとする夫に感情移入しました。
周りを全く信じないのではなくて、
自分の力で家族を守りたいんだよな!分かるぞ!と
分かってやってよ奥さんと思いながら観てたので、
川辺に根付くミナリと、ダウンジングに頼るところから
始める夫の隣にいる妻を観てとても安堵しました。
家族4人でも完成してるんだけど微妙なバランスの所に
口の悪い空気を読まないおばあちゃんがいる事で
フッとみんなの肩の力が抜ける感じが良かった。
映画を観てる時は息子がおばあちゃんに嫌いだの臭いだの
言う事に、そんな事言ってやらんとってくれよと思ってた
けど、思ってる事を口に出来る相手はおばあちゃんしか
いなくて、それこそがおばあちゃんのいる意味なんだなと
思ったら2人の関係性がとても愛らしく思えました。
観てて僕も頑張ろうと思える映画でした。
大地に逞しく根を張る私たち家族(ミナリ)の物語
本作はハリウッド作品ではあるが、いよいよハリウッドまで席巻し始めてきた韓国。
『パラサイト 半地下の家族』に続き、本作も米アカデミー作品賞にノミネート。
『パラサイト』のような強烈インパクトの作品ではないが、どちらかと言うと『フェアウェル』(中国系アメリカ人だけど)のような家族物語。
いや、あちらは笑って泣けるホームドラマであったが、こちらは厳しい困難が幾度も訪れる監督の半自伝的の家族物語。
アメリカに移住した韓国人家族。父ジェイコブ、母モニカ、娘アン、息子デビッド。
カリフォルニアで暮らしていたが、片田舎のアーカンソーへ。
農業で成功を夢見るジェイコブに連れられ、半ば強引に。モニカは不満を募らせ、早速暗雲が…。
幼いデビッドは心臓に疾患を抱える。
そこでモニカの母スンジャを韓国から呼び、一緒に暮らして子供たちの面倒を見て貰う。
夫婦は共働きが出来、これでやっと夢見た新天地生活が始まったかと思いきや、農業や家族間にまだまだ困難が続く…。
農業にのめり込むジェイコブ。固執と言っていい。
無論ジェイコブは農業初心者。上手くいく筈がない。
農場の水が干上がった時は、家であるトレーラーハウスから引っ張る。家では水が出なくなる。
やっとの思いで育て、心血注いだ作物が売れない。
すると男というものは、イライラしてくる。さらに仕事に没頭する。
ジェイコブの気持ちも分からんではない。
一家の大黒柱。家族を支えなければならない。
序盤のひよこの選別場。煙突から出る黒い煙を見るジェイコブが印象的。役に立たないオスは廃棄される…。
あんな風にはなりたくない。
家庭を顧みない妻と喧嘩が増え、溝が。
いつの時代、何処の国も同じ。
そんな時夫婦間の接着剤になってくれるのは、子供…と言いたい所だが、まだ幼い。それに、デビッドは病持ち。
年長者。
口が悪く、毒舌家。
不味い飲み薬は作れるけど、料理は出来ない。
じゃあ、何が出来るの?
花札。プロレス好き。
ユーモアたっぷり。
その一方、戦争で早くに夫を亡くし、独り身。読み書きも出来ない。
哀しさも滲ませる。
当初デビッドは会った事無かったおばあちゃんが苦手。嫌い、韓国臭い。子供は時々痛いほど正直。
デビッドがおばあちゃんに“アレ”を飲ませる。父親でなくとも、コラ! しかし怒られている時、おばあちゃんは孫の味方。
ある夜の子守唄…。
そんなおばあちゃんを、デビッドは次第に…。
包み込むような優しさ。
韓国人俳優で初の米アカデミー演技賞受賞の大快挙も納得。
日本で例えるなら故・樹木希林のような存在感と名演。
ユン・ヨジョンがひと度画面に出れば、作品が締まり、グッと面白く魅力が増す。
先におばあちゃんの方を紹介してしまったが、
スティーヴン・ユァンも一家の大黒柱としての苦悩、身勝手さ、哀しさを体現。
妻ハン・イェリも良かった。いや、非常に良かった。良妻賢母。それ故の悩み、孤独、苛立ちを見事に表していた。ユァン、ヨジョンと共にオスカーにノミネートされても良かったと思う。
2人の子役もいい役回り。特に、デビッド役のアラン・キムが可愛らしい。
農業を手伝う地元民のポールを演じるウィル・パットンも好助演。個人的に、彼については色々な意味合いが込められている気がした。
自身も移民2世である監督のリー・アイザック・チョン。
自身がデビッドに反映されているのは一目瞭然。
農場での出来事や引っ越して来てトレーラーハウスを見た時の両親の対照的な反応はほぼ実体験なんだとか。
それ以外にも父親から怒られた時の「棒を持って来い」、おばあちゃんからの褒め言葉「驚いた。頭のいい子だね」なんかもそんな気がした。
不便な田舎ではあるが、アメリカ高原の美しさ。
舞台設定は80年代。
世代も違う、異国の家族の話なのに、不思議とノスタルジーやシンパシーを感じる。
さっきは苦い意味であったが今回は、いつの時代何処の国も同じ。
監督が思いを込めて、丹念に綴る。
普遍的な家族の物語…ではあるが、根本には深いものが込められている。
アメリカと韓国。ジェイコブらは英語名で呼び合い英語で話すが、おばあちゃんは韓国名で話すのは韓国語。長らく離れて暮らしていた為生活様式も考え方も価値観も違う。アメリカと韓国、相容れる事が出来るか…?
農業手伝いのポール。見た目はちと変質者っぽいが(失礼!)、親切で働き者。信仰心が厚く、イエスのように十字架を背負って歩く彼を地元民は変人扱い。偏見。
一家に対して直接的な迫害は無いが、馴染めぬよそ者感が…。
アメリカで高く評価された点の一つに、信仰が巧みに織り込まれている。これは見ていてすぐ分かる。
作品の端々に聖書や信仰への問い掛け、言及。
元々信仰心があったモニカ。
が、一方のジェイコブは…。
目の前の見えるものしか信じない。
それが悪いという訳ではない。大半の人も同調しそうな現実的な生き方。
これまでにも何かの作品レビューで言ってきたが、別に私は信仰心がある訳ではない。
でも…
辛い時、苦しい時、挫けそうな時、もう一人じゃ無理な時…
何かにすがりたくなる。
一抹でも、信じる者は救われる、と。
これは、ジェイコブが真に“信じる”までの物語でもある。
シンプルな単語にして、聞いた事の無い“ミナリ”。
意味は韓国語で、“セリ”。
セリは何処でも育つ。富裕層から貧民層まで誰でも食べる。
セリの種を持ってきたのはおばあちゃん。
その種を森の中の綺麗な自然水の近くに植え、見事なセリが育った。
そのセリと通じているような自然水を飲み続けているデビッドの身体に、奇跡が起こった…!
喜ぶモニカ。
時を同じくしてジェイコブの作物も売れ、何より喜ぶ。
これが遂にモニカの限界となる…。
家族より仕事。自分中心、自分の事だけ。
家族にとって苦難の末のやっとの明るい道が拓けた矢先、モニカは別れを決意する…。
またこんな時おばあちゃんが頼りになってくれれば…しかしこの時おばあちゃんは、脳卒中で倒れ、身体が不自由であった。
そんなおばあちゃんがある大失態を犯してしまう。
何やってんの、おばあちゃん!…と言いたい所だが、これが結果的に家族に大切なものや初心を思い返させる。
チープな言い方かもしれないが、
全てを失って、また始めからやり直す。
が、今度は自分勝手な夢ではなく、家族と共に、信じて。
ミナリのように逞しく大地に根を張って。
ずっと続く私たち家族の物語。
最強タッグならではの作品
個人評価:4.0
A24とプランB。このタッグならいい作品に違いないと思い見た結果、やはり素晴らしい作品。
冒頭の自然豊かな田舎に引っ越してくる場面や、変わったおばあちゃんの登場など、なんだかジブリを見ている様でほのぼのする。
見る側によって、色んなテーマを感じとれる作りになっていると思い、いずれにせよ家族の絆と人生を感じた。
スティーブン・ユァンもとても良い味を出している。
A24 × PlanB
とても地味な映画なのですが、「移民」「家族」「ジェンダー」を描いた良作でした。
A24 × PlanBで制作した作品です。←Bはブラピ。
う~ん、もう時代の流れですね。生物学的「男」は弱者。「女」は強い。
特に「ひよこ」のシーンは、観ていられなかったよ。あんなことになっているのね、、、。
「ミナリ」は、植物「セリ」の事。水気の多い場所で逞しく成長します。
このメタファーは、こころにグサッときます。
そしてラストシーン🥲
平坦な、ストーリーゆえに、退屈してしまう人もいるかもしれませんが、映像的な美しさや、アメリカにおけるアジア人の映り方などなど、僕は最後まで楽しめました。
久しぶりに福岡では老舗の「中州大洋」で鑑賞しました。しかも結構混んでいたので、嬉しかったです。
家族と共に、
この映画を見始めてちょっと気になったことがある。イー家がどうしてカルフォルニアに移民したかが言われていないが、1983年、アーカーソンに移民した理由に韓国の農産物を大都市に流通させたく思っていたと。ビジネスマインドなのだ。1980年代の韓国人はアメリカでクリーニング屋やコンビニの経営者になっている人が多いらしい。それに、熱心なクリスチャンも多い。田舎に行くと小さいホテルを経営している人も見かける。ステレオタイプ化した独断と偏見かもしれないが、経営者たちは、学歴が高い。そこがまた偏見かもしれないが、日本からの移民と違う。
それに、私は馬鹿みたいに、この映画は農業移民の苦難を描いているのかと勝手に解釈していたが、いやいや、ビジネスを始めて、家庭を守ろうとする家族愛についてなんだと知った。
ジェコブとモニカ夫婦の亀裂も、火事によって、元に戻った。最後のシーンは4人の親子はこれからも、ここで生きていくが、お婆さんはなくなると暗示しているし、おばあさんの残したミナリがこれからの家族の収入として支えていくという意味だと思う。
韓国からの移民の家族をとても意識してながら鑑賞したが、これは韓国だろうが、日本だろうか、メキシコだろうか家族が一つになっていくというストーリーだ。また、これからも、苦難を乗り越え家族がそれぞれ助け合って生きていくだろうというのがテーマになっていると思った。
雑草魂
想像を絶する絶望映画であった…。無論「絶望」がテーマではないと思うが。ミナリ=セリのように、タフで根気強く生きてゆく韓国人移民。おばあちゃんの存在も大きいが、夢のためか、家族のためかという夫婦間の問題が個人的には一番胸を打った。デビットがとっても無垢で良かった。
「幸せとは何か?」とある家族を通して語られる、普遍的な問い。
【賛否両論チェック】
賛:移住先で奮闘する一家の姿を通して、成功や家族、幸せといったものの本質が、自然に問いかけられていくのが印象的。
否:物語そのものは非常に淡々と進んでいくので、興味を惹かれないと眠くなってしまいそう。
良くも悪くも、とある一家のとある暮らしを、とても淡々と描いた作品です。しかしその実、彼らの生活はまさに波瀾万丈。後半は思わず、
「えー!!?」
っと思ってしまうような、非常に不条理な展開が待ち受けています。
そんな中でも、絆を決して失わない一家を通して描かれるのは、“成功とは?”“家族とは?”そして“本当の幸せとは?”といった、普遍的な問いかけです。
タイトルに込められた意味も思わず考えさせられてしまうような、そんな不思議な作品でもあります。気になった方は是非ご覧になってみて下さい。
小津映画のような小品
ストーリーは
1980年代、米国南部アーカンソー。
アーカンソーに移住した韓国人夫婦が、がむしゃらに働いて自分たちの農地を買った。学童期の娘と息子がいる。息子は先天的な心臓病で、走ったり運動することができない。夫婦は移民してきた5年間のあいだ、町でヒヨコの雌雄選別の仕事をしてきたが、やっとお金をためて念願の土地を買ったのだった。父親の望みは、自分の農地を持ち、そこで韓国野菜を作り米国在住の韓国人の間で流通させることだ。アーカンソーで韓国人はみな食べ物が自分たちの育ってきた国の食べ物と違うので苦労している。韓国人の要求に見合う作物を作れば事業として成功間違いないだろう。
大きな夢を抱いて購入した農地に家族でやってくる。草ぼうぼうの広い野原と、掘っ立て小屋。雨漏りはするし、水も十分ではない。電機はモーターの自家発電で使える時間が限られる。さっそく、何もかも気に入らない母親と大喧嘩だ。父親は、妻のために国から妻の母親を呼んでやることにする。畑仕事に明け暮れる両親に代わって、子育ては、韓国からやってきた祖母が担うことになる。そして祖母と孫たちとの交流が始まる。
というストーリー。
夫婦してヒヨコの雌雄判別作業を5年間した、ということがどんなショボいものだったか、想像できる。映画に残酷なシーンは出てこないが、卵から孵化したばかりの愛らしいヒヨコは、ずらりと並んだ移民たちの手で判別され、オスはベルトコンベアーに乗せられて、羽毛や手足など生きた姿のまま粉砕機に放り込まれて燃やされる。オスは肉が硬いので食べられないし、卵を産まないからだ。オスは孵化されても殺されるために生まれてきた。なんともやるせない。だからヒヨコの入った箱にいくらと決められたわずかなお金をためて土地を買ったときは、夫婦はどんなに嬉しかったことだろう。
ミナリとはセリのことで、水辺に育つ野草。匂いの強い、韓国料理に多用に使われる野菜で、どこにでも根を張り繁殖する。韓国人家族が米国に根着いて生きていく姿を、象徴している。韓国から祖母が種を持ってきて、繁殖させ、彼女が倒れた後、父親がいとおしそうにこれを摘む。
家族の喜怒哀楽が描かれていて共感できる。でもそれにしても、母親はどうして怒ってばかりいるんだろう。家がボロだとか、畑が荒れ放題なのは当たり前だったと思うけど、当たり散らして子供たちを怯えさせるのは、止めて。いったん怒るとその気性の激しさ、一歩も譲らぬ論理性、感情表現の一刻さに、彼女の子供でなくても怖くなる。
アメリカ南部の農耕地帯の田舎町で教会を通して移民家族がコミュニテイーに入っていく様子が好ましい。牧師が模範的なキリスト者の態度で、片言しか話せない移民でも仲間として受け入れる。アーカンソーの自然の大きさ。自然災害の怖さもよく描かれている。
しかし、アメリカ人にとっての韓国人とは、どんな存在だったのかが、あまり描かれていない。どんな田舎に住んでいても、当時徴兵制のあったアメリカ人にとって、朝鮮戦争とベトナム戦争には関わらざるを得ないものだったはずだ。
その国のイメージは自分の父親や祖父から直接聞いた実話から印象付けられる。アメリカ人にとって朝鮮戦争もベトナム戦争も自分たちにとっては何の利益もなかったにもかかわらず、犠牲ばかりの多い戦争だった。1960年代、韓国軍はアメリカ軍と共に参戦したベトナムで、最大時5万人の兵を送り5千人の戦死者を出している。今もなお、徴兵制のある韓国で、彼らがなぜ米国に移民しなければならなかったのか、日米関係よりも米韓関係のほうが、ずっと複雑で密接な関係があったはずだ。
リー チョン監督は小津安二郎が大好きで影響を受けたと言っていることが、うなずける。家族は大切かも知れない。でも人間は社会的な動物だから、社会状況に関わりなく生きていくことはできない。映画では、小津の映画のように、あまり大きなことは起こらない。平穏と小さな幸せ。この映画は家族の結びつきを強調するあまり、人がどんな心を抱えて、どんな社会で生きたのかが十分描かれていないのが、残念だ。小津にないものねだりをしても仕方がないんだけれども。
まあ、普通
どこかで見たような、あったような物語だが、
これと言って悪いところはないが、さりとて他人に薦めるほどのものでもない。
移民一世となれば、その苦労は大変なものだろうが、あまり伝わってこない。
洗いざらしの服のように、贅沢ではないがそれなりの小奇麗さがあって、
泥土の臭いがしない現実感のないセットのような映像物語だった。
これが世界で賞を席捲したという宣伝文句には驚いたし
自分の感性の鈍さかなと思い返している。
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