ミナリのレビュー・感想・評価
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韓国映画というより移民から語るアメリカ映画
最後まで派手なエピソードもなく、淡々と進んでいくストーリー。
韓国からの移民だから起こる話というより、アメリカに新天地を求めてやってきた移民の人たちがぶち当たる、
貧しさや家族の崩壊、地域の人たちへどうやって馴染んでいくかの葛藤を
夫婦の関係や呼び寄せたおばあちゃんと孫の関わりなどから、韓国というフィルターから抜けて、語りかけてくるところがこの映画の良さなのかと思う。
移民という感覚が、元々、自分が住んでいた国にそのまま住んでいる人には、理解できるようで、感覚としては理解できないのかもしれない。
むしろ、外部からやってきた人たちを無意識のうちに排除してしまう感覚、それが習慣付いてしまっているのが、日本人の感覚なんだろうなあと思う。
そういう色々な国から、自分の居場所を求めてやってきた人たちが唯一繋がれるものとしてキリスト教や教会という存在があるのだとしたら、
他の国に比べて、日本でキリスト教が多くの人に根付かないのもよくわかる。
ミナリ(セリ)は、綺麗な水があれば、どんなところでも育つ植物。
孫のデイビッドの病気も綺麗な水によって、知らない間に少し良くなった。
井戸を掘る時にダウジングという怪しいものは信じられないけれど、自分の勘だけでは失敗してしまう。
おばあちゃんは、色々と問題も起こすけど、おばあちゃんがいなかったら、家族は本当にバラバラになってしまう。
「業に入れば、業に従え」とでも言うのだろうか。
なんでもかんでも最後うまくいくサクセスストーリーではないけれど、
どんなことが起きても生き抜いていける雑草のような強さというのが、今のコロナの世の中に癒しの感覚を与えてくれるのかも。
なるほどね
アカデミー賞候補というので、壮大なスケール? 社会問題? 差別? 心をえぐる? なんて構えてみると良くない。普通に見れば面白いが、ポスターの煽り文句につられて、変に展開の先を見てしまって逆効果だ。「大草原の小さな家」の現代版くらいで臨むと、観賞後にふわりとした爽やかさが残る良作かと思う。
表すれば、開拓をテーマにしたドラマ。その現実を、家族の息子であるデビッドを中心に、淡々と描く。心臓が弱く、走ることが出来ないデビッドとその家族が、アメリカの片田舎で、農業で一旗あげようと移住してきたところからはじまる。父のジェイコブは意気揚々だが、妻のモニカは移住先のトレーラーハウスを見て、意気消沈。姉のアンとデビッドは、満足もしてないが不満でもない様子。そんな家族のありようを、ドラマチックな演出は控えて描いていく。そんな家族に、妻の母親スンジャが加わり、物語のテンポが変わってゆく。
育ちのよろしくない感じのおばあちゃんに、最初は距離を取るデビッド。一緒に時を過ごすうちに、徐々に打ち解けていく。かたや父親の農業はなかなか軌道に乗らず、父母は喧嘩が絶えない。デビッドと祖母、夫婦の2軸を中心に、農業を手伝う熱心なキリスト教徒で風変わりなポールが加わり、微妙な関係の変化が丁寧に描かれる。
タイトルのミナリは、日本でいうセリとのこと。なかなかの厄介者である祖母が、同居を始めた時に近くの森の中に植えたのが、ミナリだ。韓国から来たこの家族と同様、このアメリカの大地に根付けるのだろうかと、イメージが膨らむ仕掛けだ。
観賞後、この家族がうまく行くことを、願わずにはいられない。
「ある移民の物語」では終わらない奥行きを持つ一作。
『バーニング 劇場版』(2018)の演技が印象に残るスティーブ・ユァンが韓国系移民家族の父親を好演。土壌は良いが他には何もない原野を購入して、これからここで一旗揚げると宣言するジェイコブ。その妻のモニカ(ハン・イェリ)は夫の言動に翻弄されつつも、懸命に土地を耕し、一家を養おうと奮闘する…。と、表面的にはある移民の奮闘記なんだけど、それだと十字架を背負って歩く知人の意味が良く分からない…。
一方で土地と奮闘する描写に、『天国の日々』(1978)や、『名もなき生涯』(2020)を連想していたんだけど、この連想はあながち間違いじゃなく、リー・アイザック・チョン監督はこれらテレンス・マリック作品から強い影響を受けて本作を制作したとのこと。その影響は作品のテーマに及んでいて、外形的には移民奮闘記である本作にも、マリック作品同様宗教的な要素が強く反映されていることが分かります。それは例えば、本作の主人公であるジェイコブの名前や、十字架を背負う男、そして何よりも土地を耕すこと、といった様々な形を取っていて、それらを注意深く見ていけば、全く別の作品のような側面が明らかになるという、奥深い作品。
映像的にもテレンス・マリック監督の影響が強いのか、光の写し方が非常に美しく、単なる原野、小川近くに群生しているミナリ(セリ)、ゆらめく炎など、どの場面も細部まで鮮やかに目に飛び込んでくるほど。
アカデミー賞の結果は本作の価値とは直接関係ないけど、やはりできるだけ多くの賞を獲得して欲しいと願ってしまいます!
見えないことの大切さ
個人的にだけれど、最近小津監督作品を追いかけているせいか
とても共通するものを感じた。
下から撮るローアングル
駐車場で話す2人を正面から撮るカットの喧嘩
それを遠くから車越しに見る魔のアングル
家族の物語なので、より一層感じたのかもしれない。
おばあちゃんがミナリ畑でいう言葉が心に引っかかった。
「見えるものは恐くないんだ
本当に恐いのは 見えないことだよ」
全体のストーリーを通してその一言に通ずるものはとてもよく感じる。
見えない神に対する想いや宗教観
子供に対する親の愛情
死に対する恐怖
家族の愛
そう言った目には見えない大切なものをひしひしと感じる作品だった。
個人的な解釈になるけれど、ミナリ畑でのおばあちゃんの言葉に付け足すとしたら「失った時」かもしれない。
目に見えるものはきっとどうにかなる。
本当に恐いのは、目に見えないものを失った時だ。
懸命に育てた農作物を失ったとしても、そこに家族という愛が1つあるならばきっとどうにかなる。
懸命に土地を掘って水を探すお父さんと、ある水辺に自然に育つようにミナリを植えるおばあちゃん。
自然と共存する意味も考えさせられる。
タイトルのミナリに込められた想いは
「たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味」
これを知っているだけでも、解釈はかなり変わるのではないだろうか。
思わずうっとりしたのは、真っ暗の不安な夜に歌ってくれたおばあちゃんの子守唄から、朝日が差し込むシーン。
あんな綺麗な温もりのある光、映画で観れるなんて 。
音楽や虫の音がとても心地よい作品だった。
うちの母にも見せたい
すべてのおばあちゃんへ捧ぐ、、、
いい映画でした〜。
私の祖母を思い出しました。
そして孫大好きでちょっぴりお節介で余計なことをしがちな私の母にも見せたいと思いました。
いたずらのくだりは最高♡
そして、スティーブン・ユアン、焼くよねー!
うーん面白くない
いとおしい
家族の絆の物語
この映画を見て最初に思ったことは、家族の物語に国籍はないんだなぁということだ。
子供達のために今を大切にしたい母親の気持ちはとてもよくわかる。女は生活の基盤が揺らぐのが1番不安になる。雨漏りする家も水道が止まるのも耐えられないと思う。
男は未来の家族の幸せを作ろうとする。本当に純粋に家族のために頑張ってるんだなぁ。なぜ伝わらないのかとらイライラもするだろう。
この映画を支えたのは韓国から来たお婆さんらしくないお婆さんだ。子供達は彼女の家族への想いをちゃんと感じとって成長していく。ミナリはこの家族の中での彼女を象徴していたと思う。名演だった。
映画全体としては、アカデミー賞候補とまでは言えない気がする。
しみじみしました。
アカデミー賞とかゴールデングローブ賞という大きい期待をひとまず置いといて観て正解。
是枝監督作品っぽい、割とこじんまりした話です。
おばあちゃんも気取りがなく、いや今回は結構品がないところも(笑)、でも悪戯にも寛容なおばあちゃん、分厚い封筒用意してる母親らしいところもあって、間違いなく樹木希林さんを彷彿とさせるし(笑)
最後、ミナリがあって良かった。
5時間かけて明日は摘みたてを納品するのかな。
移住韓国人一家を描いた小品
アメリカに移住し、南部アーカンソーに農場を開こうとする韓国人一家の苦闘を描く。全編ほぼ韓国語ながら、今年のアカデミー賞6部門にノミネートされたとのことだが、家族に焦点を当てて、淡々と描写を積み重ねていく小品の味わい。
光と風の揺らめき、一家の雑魚寝といったあたりは、日本の河瀬直美作品、是枝裕和作品と似た感じもある。
韓国から出てきて同居する妻の母親が、韓国らしいキャラクター造型で、作品のフックになっているが、ストーリー展開への絡ませ方は、ちょっとつらいものがある。心臓に持病を抱えた長男が走ることで、希望を感じさせるが。
十字架を運び、悪霊祓いのようなことをするポールの存在を含め、作者のキリスト教への想いは、よく理解できなかった。
家族の絆
Old is gold
韓流ドラマの方が面白い
オスのヒヨコは黒い煙になる
アメリカンドリームに賭けた韓国人一家の話
プランBとA24が関わってるとなると期待値がすごく上がる。
さらにゴールデングローブ賞も取ってるようでかなり見る前からハードルが上がってしまったが、期待通りのいい作品でした。
聖書からの引用を思わせる出来事や人物が多々出てくるけれども、まったく知識がないのでわからなかった。
でもそんなメッセージ抜きにしても、家族の絆がどれだけ深く、人間はどれだけたくましいかが伝わってきた。
映画を見てる途中にふと浮かんだ疑問
この映画の主人公は誰だろう?
父親か母親か姉弟、一家全体?
冒頭は母の運転を見つめる息子の後ろ姿から始まるから息子視点の映画なのかも知れない。
父のシーンが多めだけれど、あまり深堀されないし息子の知っている父の情報と観客が見ている情報がほぼ同じなので息子視点で見ればいいのかな。
なんて普段は誰視点で映画見ようとか考えたことないのだが、なぜか考えてしまった。
息子視点で見ていくと、父の立派な姿、祖母の異物感、夫婦喧嘩の恐怖、自分も経験した諸問題を色々思いだした。
父親役のスティーブン・ユァンは「納屋を焼く」以来の小屋焼きシーンがあり不思議な縁を感じましたね。
「納屋を焼く」も名作なので見てない人は是非。
離婚寸前からのラストの展開は普通に考えたら、妻が夫の支えになるための残ったと見れますが、私的には母の不始末の負い目を感じて残ったのかなと思いました。
夫婦って綺麗ごとだけじゃなくて世間体とか負い目とか色々なシガラミで繋がってたりするし・・・
試練の多い物語でしたが家族愛と希望のもてる厳しくも優しい作品でした。
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劇中セリフより
「タダの物に金を払うな」
知恵は盗めない財産。
知らなければ料金を払い、教えれば利益を生む。
シャイニング
人生の深い味わい
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