護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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お役所がますます嫌いになった
震災で辛い目にあったのに、生活保護申請でまた追い討ち。全てではないだろうが、職員の対応は事務的でマニュアル通りっぽくて好きになれない。
助かるはずだったのに亡くなってしまった、辛く悔しい感情が強く伝わってくる。ワルに見えて優しい佐藤健、物静かでも内に秘めた清原果耶、阿部寛も皆はまってた。
人災
足りない説得力
原作を読んでいないのだが、どうしても腑に落ちない。
震災で親を亡くしたという大きな癒えない傷を背負って生きている人が、殺人を犯すというところに至る感情や理由の描き方が薄く感情移入出来なかった。
とても漠然としている映画。何か訴えようとしているのだが、こちらに届いてこないもどかしさを感じてしまった。
「仕組み」ではなくそれを使う「人」の問題
劇中の役所の人間の言い分は、高いところ(安心安全な場所)からの言い分で、国連から言われただ・生活保護使用率1%なんだかんだと、日本国外のデータを元に日本国内に当てはめているセリフのシーンは、まっったく共感できない。その比喩なの
か、低いところ(震災被害を受けた人・貧困の人)がどれだけ助けを求めても、『救える人間は決まっている』という現実を突きつけている。
高いところは安全で、低いところは危険がある。
そして、助けられる人の数は限られている。と。
マクドナルドのMサイズ一つとってもアメリカと日本で1.5倍も大きさ違うのに、同じサイズだと勘違いしたまま議論をして、いざ施行してみると(あれ?思った大きさじゃない)(予算も1.5倍かかるな)(Sサイズを大きくして、前回のMサイズと同じ量を出せって声があがってるな)など、その国の現状や使用者の声、文化を無視してそのズレを認識できないまま・放置したまま進む。
利根の言い分は正しい。「なんでもっとちゃんと見てやれなかった」
震災で疲れている。我々も被害者だ。とはいえ、役所の人間には、仕事がある。途切れることがない。賃金も約束されている。役場の人間だけは「国に護られている」。そのアドバンテージがあるにもかかわらず、その揺るぎない後ろ盾があるからこそ仕事がいそがしくても遂行しなければならない。震災後もその先が見えたのは「仕事がある」からだ。仕事があれば、お金の心配も薄くなる、これから先が見通せる。未来が見通せる。
三雲の「お墓を1人で直した」のは、震災直後の気持ちの高揚から(自分に何かできないだろうか)という、震災を経験した人間には理解できる無力感からくる気持ちの動き。そのまま善人のほうへ向かえばよかったが、生活困窮者に対応していく日々に疲れたのか、自分が「護られている人間」である有難さを忘れた。
「生活保護は、自分から言わないとだめです」=「生活保護は、自分から護ってくださいと言わないとだめです」と同意。それこそ、上から目線だなあと感じます。そういう“言いにくい”環境や仕組みをどう言いやすくするか。そして悪用する人間をどう捌くかは、当然運用側の腕の見せ所のはず。
社会を動かす人間性のあり方を問題提起した映画。最後の伏線回収は映画的で素晴らしい。良い映画です。
良かった
痛く辛い
ずっと悔しい気持ちになった
生活保護をめぐる内容。
清原が言う通り、生活保護を申請しないように誘導して餓死させるなんて“人災”以外の何物でもない。
ただ、役所の人も国からの圧力、生活保護受給者を否定する世間の空気感に負けてしまい、そうせざるを得なかったのかもしれない。
登場人物の中に悪人がいたとは思えない。
本当に日本政府、とりわけ財務省が舵をとって進めてきた緊縮財政がクソであるかをつきつける作品。
そして、このクソみたいな現状から打開するために、何をすべきかを考えなければいけない、というメッセージをもらった。
圧巻の芝居。画面から伝わる熱量がすごい
護らなかった我々へ
生活保護をテーマにしたミステリ
ストーリーの意外性というよりは現代社会の問題を提起する社会はミステリの一つですね。
生活保護は国に助けてもらうと考えるのではなく、自分たちが自分たちでみんなを支えている制度だと考えるべきだと思う。支えられるべき人が支えられないのであれば、僕らは安心して生活できない。なぜなら自分たちがいつ働けなくなるかわからないし、苦しい思いをするかわからない。みんなが安心して暮らすためには、必要な人は必ず生活保護を使うべきだ。何も恥じることはない。むしろ、支えるべき人を支えられないことこそが我々の恥である。
この映画の結末自体は個人的には好きではないし、ミステリでしかこういうものを映画として描けないのは少し残念でもあるが、人々に広く問題提起するためとしてはお勧めしたい作品ではある。
東日本大震災を絡めたサスペンスドラマ
始まった途端、東北の大震災の際見た様な学校だったので、重い気分になった。もうこの様な映画が出来るのだな、早いなぁと言う思い。被災者の当時の状況はこういう感じだったのだろうな。寒くて暗い教室で身を寄せ合って、まだ自分の身内がどこでどうしているのかも分からず、寝付く事も出来なかっただろう。
映画については避難所で知り合った三人がお互いの欠けた心を補い合い励まし生活する様子、特に生活保護を勧めるシーンでは心打たれた。警視庁から来た林遣都の演技は気に入らなかったけれど、大物俳優が次々出てきて驚いた。吉岡秀隆は火葬場にまで駆けつけ良い人だと思ったのになぜ殺される側になるのか分からなかった。
最後にサプライズ。いつ阿部寛に「黄色のパーカーの子」がカンちゃんだと分かるかなぁと思っていたけどもうひと捻りありました。
原作と同じオチは使えない
原作ではカンちゃんの正体でどんでん返しがあるのだけど、それは文字だけの小説だから使えた手法だったので映画ではどんでん返しを前提にはしていない。どんでん返しなど無くても作品になるとふんでの採用だったのだろう。
本作のテーマは生活保護だが、震災後の東北という状況を被せることで、問題点がより際立っている。本当に救済を必要としている人は生活保護が受けられず、不埒なものたちが生活保護を受けていく。その現実から目を晒さずに向き合っていく必要があるのだろう。
絶大な佐藤健人気
佐藤健の凄まじい演技
サプライズを狙ってるんだけど…
重たい犯罪の話だが、
善と悪の真っ二つではない。いいところもあれば悪いところもある。光もあれば影もある。救いようのないことにも救いがある。
清原果耶さんと佐藤健さんの演技、特に表情に、魅入ってしまった。
余談ですが、【汚名挽回】というセリフ、気になって調べてしまった。実は、誤用ではないんですね。
倍賞美津子・・・流石です。
連続殺人事件を追う刑事が辿り着く、震災に見舞われた人々の悲劇の軌跡。
極めて私好みのシリアスな社会派サスペンスで、冒頭から引き込まれます。
俳優陣も見事な演技。主演格の阿部、佐藤、清原は勿論、圧巻は倍賞美津子。優しく、気丈で、でも古い固定観念に縛られた年老いた弱い女性。私の母も同年代なので、その演技の迫真さと迫力に驚きを覚えます。
ただ、映画としては高い評価は難しく感じます。
理由は簡単。社会派としても、サスペンスとしても、今一つだからです。
サスペンスで言えば、犯人が簡単に想像出来てしまいます。当初から犯人と目されていた利根からどんでん返しするのであれば、犯人は円山しかいません。それは捻りがなさ過ぎて、驚きがありません。
彼女を犯人にするなら、「何故、今なのか?」をしっかりと描くことが必要だと思います。遠島けいが亡くなってから数年経っています。その間円山は生活保護の窓口で立派に仕事をしているわけですから、今殺人を犯すにはそれなりの理由が必要です。逆に言えば、その理由が明示出来れば、物語はより一層深みを増すことが出来るのですが・・・それがまったく描かれていません。
社会派ドラマとしても今一つ・・・というよりは、不愉快。日本の生活保護の問題を描きたかったのでしょうが、一方的に窓口の職員を悪者にする描き方は納得が出来ません。法律や上位官庁の指示、予算・・・それらに苦悩する職員等を描ければ、これもより深い描き方が出来たのでしょうけど、それも殆どなし。こんな描き方をされたら、窓口で頑張っている職員が浮かばれません。
役者の皆さんが素晴らしい演技を魅せてくれていただけに、残念でなりません。
私的評価はやや厳しめにしました。
永山瑛太がムカつく!
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