ミニオンズ フィーバー : インタビュー
笑福亭鶴瓶が長く活躍し続ける理由は? 「球を空振りしないで打ち返す方法をずっと考えている」
「怪盗グルー」シリーズ最新作「ミニオンズ フィーバー」が7月15日から全国公開される。「怪盗グルーの月泥棒 3D」から始まり、グルーの声優を12年担当してきた笑福亭鶴瓶は、本作で少年グルーの声を担当。「僕はアフレコが下手」と話す鶴瓶に本作の裏話、そして幅広く長く活躍し続ける秘訣を聞いた。
本作の舞台は、1970年代。11歳の少年グルーが、ミニオンたちと出会った頃まで物語は遡る。グルーが最も尊敬する超極悪組織ヴィシャス・シックスが、伝説の悪党であるワイルド・ナックルズをリーダーから追放し、グルーは新しいメンバーになるために面接へとやってくる。しかし、根っからの悪党気質のグルーはヴィシャス・シックスを出し抜き、彼らの宿敵となってしまう。
日本語吹き替え版には、少年グルーの声を務める鶴瓶のほか、市村正親(ワイルド・ナックルズ役)、尾野真千子(ベル・ボトム役)、渡辺直美(マスター・チャウ役)らが参加している。
本作の会見では、「僕はアフレコが下手で長いことかかる」「監督にめちゃめちゃ怒られるんです」と話していた鶴瓶。その表情はどこか嬉しそうで、シリーズへの愛着も感じさせる。
――本作の会見では「12年やっているけれど、監督から怒られる」とおっしゃっていまいた。
監督とは仲良いからね。こっち(日本)で良くても本国にOKをもらえないと成立しないので、監督も厳しくなるんです。でも、自分の声には本当に今も下手やなーって思います。アニメじゃない、ストレートの芝居だったら、それでも下手ですがまだ理解ができる。アニメだと、自分と次の人のセリフまでが変な間があるように感じる。たぶん、自分だから気になるんやろなぁ。
こうやって自分の芝居を下手だと言うのは、謙遜でもなんでもないです。落語でもその時は良かったと思うけれど、聞き直すとまだまだだってなります。でも、僕は運が良いですよ。周りに恵まれている。心が周りに開けているから、今回一緒になった尾野真千子さんにしても市村正親さんにしても、来る人来る人みんな仲が良い。“ご挨拶”なしで入っていけるので、そういう意味では今回も芝居はやりやすかったです。こういう部分は親に感謝しますね。
――鶴瓶さんのグルーといえば、関西弁も大きな特徴です。関西弁ならではの苦労はありますか?
監督は関東の人で、台本は標準語です。「関西弁に直してください」と言われるので、僕がアフレコの場で直していきます。台本をじっくり読んで直すというわけではなく、その場で会話をして関西弁に変換します。その変換した言葉とキャラクターの口が合わなかったりもするので、そこは大変でした。
――現在70歳にして、多方面での活躍が続いています。長く活動を続ける秘訣はありますか?
どんな仕事も1回1回を楽しむことが1番大事です。あの番組行くの嫌やなとか思わないですね。仕事場に入ってからこうしようとかは考えるけれど、それも楽しいから今に至っています。
今はこうしてインタビューされているけれど、家に帰ったら物書きをしないとあかんのですよ。1つ書き上げるのにだいたい5時間くらいかかる。それを明日までにやりきるためには、どう時間を配分するのか。明日には人のYouTubeに出演するので、そこでどう楽しくやるのかっていうことも考えないといけない。その次には「A-Studio+」の収録があって、その次には長いことやっていなかった落語もしないといけない。どの落語をやるのか決めて、シミュレーションもしないと。いつもいろんな“物件”を抱えていて、球を打ったらどんどん新しい球が出てくるような状態です。その球を空振りしないで打ち返す方法をずっと考えているということが20歳くらいからずっと続いていて、それが今につながっていると思います。
――“楽しむ”ことが大事とのことですが、本作のアフレコではどんなことを楽しんでやりましたか?
ないですね(笑)。仕事に入ってから本を読んで打ち合わせをして、やっと終わりますってなったときはやりきったなと思って本当に嬉しいですよ。でも、そこからずっと監督がチェックして、あかんかったらまた呼び出されるんです。楽しいか?これ(笑)。だけれど、やりきらないとあかんし、完成した作品を見るとやっぱり何回見ても面白い。その時にやっと楽しさを感じます。
「ミニオンズ フィーバー」は、7月15日から全国公開。