星の子

劇場公開日:

星の子

解説

子役から成長した芦田愛菜が2014年公開の「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」以来の実写映画主演を果たし、第157回芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説を映画化。大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治したという、あやしい宗教に深い信仰を抱いていた。中学3年になったちひろは、一目ぼれした新任の先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、そんな彼女の心を大きく揺さぶる事件が起き、ちひろは家族とともに過ごす自分の世界を疑いはじめる。監督は、「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣。

2020年製作/110分/G/日本
配給:東京テアトル、ヨアケ
劇場公開日:2020年10月9日

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(C)2020「星の子」製作委員会

映画レビュー

3.5信じることとは

2020年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

親は子を愛し、子は親を愛する。当たり前のことだと思うかもしれないが、そこに新興宗教的なものが入り込むことで、独特の葛藤が生まれている。両親は腫れのひかない娘をなんとかしてあげたい一心で、「金星のめぐみ」なる水に手を出す。溺れるものはわらをもつかむ気持ちだったのだろうが、娘の腫れが引いてきたことから完全にその水に入れ込んでしまう。
長女はそんな家をうとましく思い、音信不通となる。主人公の次女は両親を少しおかしいとは思っているが、愛してもいる。他者の目が気にならないわけではないが、両親を突き放すには彼女は両親を愛しすぎている。
「金星のめぐみ」には何の効能もないかもしれない。しかし、人はそれぞれ何を信じるかを自由に決める権利はある。しかし、子どもはどうだろうか。中学生である主人公にはまだ完全な自由がない。彼女が将来をどう選ぶだろうか。家庭環境がその自由を狭めてしまうことはよくあることだ。
しかし本作を見ながら、自分が信じる常識も、それが正しいとは限らないよなと思った。結局、僕が信じているものを僕は自分の意志で選んでいただろうか。環境に選ばされていただけではないか。信じるとは何か、自由とは何かと深く考えさせられた。

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杉本穂高

4.0「信じるとは?」。タブーに近い宗教が題材だからこそ、逆に面白さも醸し出されている興味深い作品

2020年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

まず本作は単純に「面白かった」です。
笑いをとりにいっているシーンはほぼ無いのですが、新興宗教ならではの不可思議な言動を真面目に永瀬正敏や原田知世らが演じていて、その人間模様などを興味深く見入ってしまいました。
そして、芦田愛菜が演じる15歳の「ちひろ」も謎の水のペットボトルを学校に持ち込んでいるのですが、それを周りが自然と受け入れている状況が既にできています。そのため、殺伐とした人間関係を見せられるシーンも少なくなっていて、それが本作の面白さにつながっていると思います。
宗教関連はナーバスにならざるを得ず、かなり映画の中では扱いづらい題材です。
例えば、「針が止まっている時計でさえ、1日2回は必ず正確な時間を指し示す」ことと同じように、「偶然」は常に起こります。
ただ、それを「偶然」と捉えるのか「奇跡」と捉えるのかは、その人次第で、その解釈を変えることは、なかなか困難なものです。
本作でも、どんどん貧しくなっていく主人公の家族を見かねて、親族が、誰でも気付ける「矛盾」を示したりしますが、親の思考は如何とも変えにくかったりします。
そんな時、柔軟な思考を持ち合わせる子供はどう判断するのか、が本作の「興味深さ」だと思います。まさに「信じるとはどういうことか?」という問いかけに主人公がぶつかることになります。
この「信じるとは?」という問いかけは意外と深いのです。
主人公の「ちひろ」は、いろんな「矛盾」に気付ける柔軟な思考を持ち合わせています。
では、最終的に「ちひろ」はどう判断したのか。「信じるとは?」という問いかけの根源的な意味と共に考えてみる価値はあると思います。
ちなみに、本作でよく出てくる「エドワード・ファーロング」という名前は、名作「ターミネーター2」のジョン・コナー役の少年の役者のことです。

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共感した! 45件)
細野真宏

4.5天才子役から演技派女優へ、芦田愛菜の躍進に感嘆

2020年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

幸せ

天才子役と騒がれ幼くして世に認知された女優が、成長後そのイメージがつきまとい苦労する事例は、安達祐実、小林綾子、米国ならダコタ・ファニングとままある。芦田愛菜を「パシフィック・リム」(2013)で見たときはまだ子供の印象だったが、2016年のドラマ「OUR HOUSE」の頃は実年齢も中学生ぐらいだったか、若手女優への脱皮を予感させた。

そして、映画主演が6年ぶりとなる「星の子」。思春期の少女が(主につらい出来事を契機に)大人への階段を昇り始める過程を、精緻に的確に演じつつも作為を感じさせないナチュラルな佇まいで表現してみせた。カルト宗教を信仰する両親が世間から奇異の目で見られることに気づき、悩みながらも親への愛を失わない。難しい役を見事にものにした芦田の演技力に改めて感じ入るとともに、奇をてらうことなく俳優たちの感情表現を丁寧にすくい上げた大森立嗣監督の演出にも喝采を送りたい。

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高森 郁哉

3.5宗教は本当にむずかしいと思う。 映画では「いかがわしい宗教」感を出...

2024年5月6日
PCから投稿

宗教は本当にむずかしいと思う。
映画では「いかがわしい宗教」感を出す為に、異様な活動を行う新興宗教と
して表現されていたが、宗教にもともと真理性はない。
伝統があるから正しいとか、新興だから怪しいなどの区別は意味がないと思う。

オ〇ムほど社会悪であれば問題だが、アメリカで有力なモ〇〇ン教や、布教
熱心なエ〇バの〇人、日本でも〇〇学会など、信者の多い宗教は結構ある。
これら有名な宗教でさえ、外部から見ると奇妙に映る点が全くない訳ではない。
輸血の治療を禁止していたり、大規模な集会を開いたり、列挙してないが
見ず知らずの他人との婚姻させる宗教もある。

では、イスラム教、ヒンズー教、キリスト教(カトリック、プロテスタント、
正教会)、仏教はどうかというと、
まず、プロテスタントは、カトリックの信者からすると新興宗教。
・カトリックはかつて権力を背景に、民衆から寄進の名目で富を独占していたし、
 異端審問や魔女狩りなどの暗黒時代の加害者側でもある。
・日本の仏教も統治者の後ろ盾を受け、間接的に建造などの多大な労働を民衆に
 半ば強要していた。
・ある宗教は信仰のためにに生命、財産、言論 を捧げることを求めているが、
 宗教の観点では、正しいか誤りか、正気か狂気か問うことはできない。

宗教は本来、不安,不満,不幸感のための心の支えだと思う。
不安は死や恐怖、貧困などから他人への妬み,嫉み,憎しみなどありとあらゆる負の
感情からも湧き出していて、それを昇華させるキッカケとなるのが宗教だろう。
宗教団体には、教団の外部から見ても非常識と思われない 良識ある合理的な配慮を
是非考えてほしい。

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