猿楽町で会いましょう

劇場公開日:

猿楽町で会いましょう

解説

第2回未完成映画予告編大賞MI-CANでグランプリを受賞した児山隆が、同受賞作を長編監督デビュー作として映画化。鳴かず飛ばずの写真家・小山田と読者モデルのユカ。2人は次第に距離を縮めていくが、ユカは小山田に体を許そうとはしなかった。そんな中、小山田が撮影した彼女の写真が2人の運命を大きく変えることになる。「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD」の金子大地が小山田役、「イソップの思うつぼ」「左様なら」の石川瑠華がユカ役を演じるほか、栁俊太郎、小西桜子、前野健太らが脇を固める。

2019年製作/122分/R15+/日本
配給:ラビットハウス
劇場公開日:2021年6月4日

スタッフ・キャスト

監督
脚本
児山隆
渋谷悠
製作
長坂信人
エグゼクティブプロデューサー
神康幸
プロデューサー
利光佐和子
音楽プロデューサー
鶴丸正太郎
協力プロデューサー
井上潔
撮影
松石洪介
照明
佐伯琢磨
録音
桐山裕行
美術
三ツ松けいこ
装飾
山田真太郎
スタイリスト
JOE
ヘアメイク
中山有紀
編集
柿原未奈
音楽
橋本竜樹
主題歌
春ねむり
助監督
東條政利
キャスティング
新江佳子
制作担当
高橋恒次
写真
草野庸子
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(C)2019 オフィスクレッシェンド

映画レビュー

4.5逃げることは、進むこと

2021年6月25日
iPhoneアプリから投稿

 うわ、これは久しぶりにすごいものを観てる!と、かなり早い段階からぞくぞく。この瞬間が過ぎていくのが惜しい、終わってほしくない!と、ざわつく気持ちを抑えながら、スクリーンを凝視した。  予告編を観たときは、うわ、ベタだな、と正直引いた。渋谷の片隅で、ふわふわと夢を追う、若い男女の話…。けれども、なぜか気になる気持ちがふくらんでいき、終映日にすべり込み。結果、観て本当によかった!と思えた。  なぜ、よかった!のか。どこが、どうすごいのか。  この映画は、甘さを寄せつけない。出会って、近づいて、のステップはありがちで、きっとこの後はすれ違いや別れがある、そんな予感はあった。けれども、2章として彼女目線で物語が改めて語られたとき、そのあまりの落差に愕然とし、目が離せなくなった。  夢を追いかける、やりたいことをやる、ということは、いかに自他に犠牲を強いて、人に取り入り、蹴落とすことを必要とするのか。そんなずるさをユカは怯まず体現し、醜さを人前にさらす。ユカを取り巻く人々も、みんなずるく、醜い。それでいて、嫌なやつと切り捨てられない。一面では余裕綽々で人を惑わすものをちらつかせる人も、他方では必死で、なりふり構っていられない切実さがある(はず)だから。とても他人事とは片付けられず、もつれていく彼らの行く末を見届けたくなった。  小山田は、きっと早いうちからユカの嘘に気付いていたはずだ。けれども、似たような傷があるから(スマホを覗き見ている負い目があったから)、優しく物分かりのよい態度を保っていた。激情から彼女の嘘を暴いたとき、彼は自分の嘘さえも自身に突きつけてしまう。それは本当に優しさだったのか、と。好きだから、と相手をやみくもに信じようとするのは、目前の嘘(かもしれないこと)から、平然と目を背けることではないのか、と。  写真一枚を残し、彼は部屋を出ていく。淡々とした姿に、彼は逃げていく、と言い換えたくなった。  人は、何かから本気で逃げ出そうとしないと、前に進めないのかもしれない。

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cma

4.0【未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作】構成が面白い作品。リアルな「痛々しさ」が残る佳作。

2021年6月4日
PCから投稿

本作は、「未完成映画予告編大賞」という「未完成映画」の予告編映像(3分以内)でタイトルに具体的な地名が入った作品で競う映画賞において「グランプリ」を受賞した作品がベースになっています。 長編監督デビュー作で低予算での枠組みなので、キャスト陣は知る人ぞ知るという感じです。 つまり、内容が勝負な作品です。 内容は、割とリアルな設定のため、「痛々しさ」がまとわりついています。 思わず「これは実話としてもあり得るな」と思ってしまうなど、荒唐無稽とは思えない映画となっている時点で、「児山隆監督」が誕生した瞬間でしょう。 そして、本作は何といっても構成が面白く、まずは 【chapter1】として「2019年6月~2019年7月」を描いています。 次は、どこに進むのかというと、 【chapter2】として「2018年3月~2019年7月」を描くのです。 これは決して「トリッキーな時間軸いじり」ではなく、あくまで必然性を持ちながらの構成です。 この辺りの時間軸の構成力が上手く、一見すると交わりそうにない人たちがどのように交わっていくのかが自然と追えるようになっています。そして 【chapter3】では「2019年8月~」を描き、物語を進めます。 男女の恋愛模様に加えて、カメラマン、モデルとして業界あるあるな「売れる、売れない」という非常にシビアな世界を痛々しくもリアルに描いているので好みは分かれるかもしれません。 好みの問題はさておき、さすがはCMディレクターでの経験も生きていて、長編監督デビュー作では出来が良いと思います。

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細野真宏

5.0子供と大人の狭間で、無垢な永遠の天国を探したすべての人たちへ

2024年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

泣ける

悲しい

主題歌の歌詞までもが映画の一部となっており、エンドロール中に涙が止まらなかった。 あの頃僕たちは、大人になりたくて、でも大人になんかなりたくなくて、でももう子供じゃないんだって思ってて、でもいつまでも子供のように純粋でいたくて。 だからこそ誰かの愛が欲しくて、体温が欲しくて、ずっとずっとあるはずのない天国を探していた。 純粋さは時に何よりも残酷で、だからこそ自分でもコントロールできなくて、受けた痛みに生きている実感を感じたりした。 きっと今もこんな青年と女の子は、無理に住んでいる都心のアパートで、永遠を口にしては仮初の安心の中で震えているだろう。 渋谷の近くに住めば、何かになれると思ったんだろう? たった数ヶ月や1、2年のことでも、傷は深く、すべてが麻痺しまくった大人になっても、甘美な瘡蓋はまだ自分のどこかに残っている。 久しぶりに少し剥がして、中のぐちゅぐちゅが見てみたい。そんな人におすすめです。 これが刺さらない人、楽しい人生を歩んできたんだろうな。羨ましいです。 僕は、刺さりすぎてダメでした。また見てしまいそう。

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Gongping

3.5田中ユカは《こう生きる》以外に、どう生きれば良かったのか?

2023年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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琥珀糖