パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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予想を超えるような展開!
予備知識無しで観ることを進めていましたので、外的情報を遮断して鑑賞しましたが、笑いあり緊張感もあり、しっかり韓国社会の問題も取り上げた社会派映画とも呼べる映画で、数々の映画賞を受賞した理由もわかりました。
裕福で豪華な住居に暮らすパク一家、反して働き口も無く半地下のボロ家で暮らすキム一家の貧富の格差を非常にうまく対比させながらも、パラサイトとはよく言ったもので、キム一家が徐々にパク一家に寄生していく様子が面白可笑しく描かれており、全く飽きません。
その飽きない理由は、やはり誰でもお金持ちには妬みという感情は少なからずあると思いますが、本作はその妬み部分を貧乏な一家がスカッとさせてくれるような展開だからと思う次第です。確実に寄生されるパク一家に対する同情よりかは、寄生した貧乏キム一家の方を応援したくなります。
といいますかキム一家のこの寄生していく能力(というか技術)が、余りにも見事過ぎて、能力をもっと違うところにいかしたらキム一家確実に貧乏でないでしょ!って思う次第です。
そして飽きさせないもう一つの理由は、前半から中盤にかけてのお笑い要素から、中盤~後半にかけては一気にサスペンス要素が強くなり、緊張感を出してくるのも良かったです。ネタバレすると面白くないので書きませんが、完全に観る者の予想を超えるような展開には驚きすら感じ目が離せなくなります。
全体として、予想外の展開もあり終始楽しませてくれる要素が強く132分という割と長めな映画時間でしたが、ダレることなく突っ走って鑑賞出来きました。
ただ無能なだけでは?
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両親・息子・娘の4人家族がいた。息子の友達は金持ちの娘の家庭教師をしてた。
留学中に代わりに見て欲しいと言われた息子は、偽の身分証を作って潜り込む。
そこで家政婦や運転手を失脚させ、4人全員がその家に雇われることに成功。
主人一家が泊まりでキャンプに行った日、家族4人でその屋敷で酒を飲む。
すると首になった家政婦が突然来て、地下の隠し部屋に夫を匿ってたことが判明。
しかしアホミスから、4人が実はグルって分かる決定的証拠の動画を撮られる。
そしてその弱みを握った前家政婦は本性を現し態度が急変。
さらに奥様から、大雨でキャンプが中止になりもうすぐ帰ると連絡が来る。
焦ってもみ合ううち、前家政婦を階段から突き落として殺してしまう。
その夫を何とか地下に閉じ込めて、母が家政婦として何とか表面を取り繕う。
他の3人は隠れてたが、そこで父の体臭が酷いと言われてるのを聞く。
その日は何とか3人そろって脱出し、その数日後のこと。
息子は前家政婦の夫も殺すしかないと思い、地下室に行く。
そして復讐に狂う前家政婦の夫から返り討ちを食らう。
さらに男は他3人にも襲いかかり大騒ぎになる。娘は刺されて死亡。
この混乱に乗じて父は主人を殺して逃亡。世間を騒がせることとなる。
父の行方は不明とされてたが、当然その誰も知らない地下室に逃げてた。
何とか一命をとりとめた息子はいつか金持ちになってその家を買おうと誓う。
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何も考えず見るだけならそこそこ面白い。時間もすぐに経つ。
見終わった瞬間は4をつけようかと思ってたが、やっぱり2になった。
ってのはあまりにも自業自得過ぎて、この家族に何の共感もしないから。
不真面目でバカな奴らが詐欺を働いて、その報いを受けただけなのでは?
こんなのにヒガミ殺された屋敷の主人が不憫過ぎ。
家族4人とも性根の腐った人物ではないように描かれてたように思う。
でもやってることがクズなんだから、感情移入も糞もないわな。不幸で当然。
特に父親は家族全員を不幸にし過ぎ、その無能さは万死に値するって。
あとあの金持ちでバカ正直な奥様が、可愛いし色っぽ過ぎw
悲しかった
悲しくて、悲しすぎて笑えるけど、笑ってる自分に、笑っていいのか?と自問自答して、うーん……と考えこんでしまった作品。
映画を観た後も、一緒に観た人と何時間もこの映画のストーリーについて、どう思うか話し合って、「うーん」と考えこみ、「やだね格差社会は……」とため息をついてしまいました。
そういう意味では、格差社会に無関心な人達に「これでいいと思いますか?」と一石を投じて、見事に私(私たちの)心をざわつかせた作品だと思います。
人間社会の階層格差を、コメディタッチでシリアスに描いていて、下層の方の人生き様をソン・ガンホさんが、またこの方が映画に出演されると、説得力がハンパないですね。大泉洋さんのように陽気な側面もあるのに、彼が無表情で立ってるだけのに、なぜか胸の中に痛みがひろがって、悲哭の叫びが聞こえてくるような、うまいなあ。
この作品で、がっつりとソン・ガンホさんのファンになりました。
ポン・ジュノ監督の作品も今後チェックしていきたいと思います。
見る価値はあるが学ぶところはない
韓国のTV番組も映画も見たことがない。やはり初の外国映画でアカデミー賞となれば気になる。冒頭から、主人公の家族は卑しく、浅ましい感じが嫌な感じ。長男のギウが友人の紹介で、家庭教師に潜り込むまでは普通だが、その後、妹、父、母が、それぞれ家庭教師、運転手、お手伝いとして潜り込むのは、唐突感多し。家族で計画を立てるというシーンもあまりないし、その危険性について考えることもなし。大体にして、履歴書も身分証明書とかも書かせないで、家族とか出身とか聞かないで、その後も嘘をつき続けるには、さすがに無理がある。計画的だとしたら、あまりにも無茶すぎる。もし、違和感を感じないのであれば、あまりにも図々しい。それも、金持ち連中相手であれば、やっていいのか?
貧困なファミリーの、えげつなさ、浅ましさが半端なく、でも、それは、そういう生活をしていれば、当たり前っていう辺りがメッセージか?確かに韓国の富裕層のイメージもえげつなく、身勝手な事件がよく話題になっている。
金持ちの常識外れを揶揄する場面が多く、そういう所で留飲を下げているのだろうとも読み取れる。
しかし、嘘で入り込んだ家族も、最後には、より大きな犠牲を払うことになる。そんな方法では、決して、幸せにはなれないというところは、まともでした。
韓国人、そして韓国のことを知っている人には、いい映画なのではないでしょうか。日本人には、ちょっと違和感が大きいです。金持ちを騙して、家族が入り込んでという発想は、日本人には浮かばないと思います。これは、韓国の問題をクローズアップするためのCM映画でした。
格差問題を取り上げつつエンタメに昇華
韓国の映像作品で演技が下手な人なんてほとんど見ないけどこの映画も上手い人しかいません。日本の作品も見習ってほしい。下手な人が混ざるとノイズになる。
映像は重厚感あって美しい。音楽も演出もいい。半地下やバイトも争奪戦の失業率に驚く。韓国の平均賃金は日本より高いと聞くが。しかし監督はそういった格差については「世界のどこでもある話」としている。
困窮者同士が仕事を奪い合う。バレないかヒヤヒヤさせられた。
バレたら即クビと分かってて全員で部屋を散らかすなんて油断しすぎ!と思ってしまった。
奥さんの唐突な英語に笑わされた。エリート夫に合わせるため必死で覚えた的な感じ。
「金持ちはいい人が多いね」ということで確かに普段はマナーもよく上品でお人好し。
しかし結局、身分が低いと蔑まれ命も後回しにされるのがよくわかる。
台風が来たときの半地下生活してる人達、富裕層の暮らしの差を描いた演出に涙が出た。韓国も避難所は日本同様に男女一緒に体育館につめこみ雑魚寝なのだろうか。
しかし泣かせるヒューマンドラマでは終わらない。
ラストあたりはかなり怖い。韓国映画って怖くグロテスクが多い。怖いけど怖すぎて涙も引っ込む。そして「身分上な人の本音」がよくわかる。死にかけている従業員を放置し、ちょっと気分悪くなっただけの我がお坊ちゃまを優先させる。怖さと笑いと悲しみと色々混ざってる。
リアルさがぶっ飛んだオチもいい。振り切れておりもはやエンタメと昇華。暗く悲しいだけじゃない。その辺でアカデミー賞も納得でした。
ただとてもヒヤヒヤする、辛い話には変わらず何度も見直す気にはならないです。
序盤の展開が早くて楽しかった。
観る人を選ぶ
私はポン・ジュノ監督作品が好きで、観る前からある程度の覚悟はできている。
しかし、普段から韓国映画は観ない、
暴力描写は耐えられない、
グロいの無理、
そういった好みの方には辛い二時間となるだろう。
カンヌのパルムドールは暗くてどんよりしてるものが多いので、
賞を獲ったからと言って心温まる物語を期待したら
裏切られることになる。
くどくどと書いたが、この作品は
格差社会を扱いつつもエンタメな作りであり、
惨たらしい展開でありつつも
どこか間の抜けたところもあって
ジャンル分けしようとすると困難だ。
映画祭の受賞作品に疑問を感じる話もよく聞くが
人間というものを描ききってるかどうか、というところに
収束していると自分は理解している。
恐ろしい面もバカバカしい面も内包しているのが
人間なのだから、ジャンル分けがしづらくてもなんら不思議はないのだ。
全編の雰囲気からああいった展開へ行くとは
多少予測していた。
唐突ではないかという意見もあるだろうなと確かに思う。
最後に犯罪を犯すのが父親であるという点がポイントだと思う。
貧困だが家族思いで一家の家長として
子供達も彼なりに愛してきた父親である。
それが、子供たちの前でプライドを潰され、
さらに男としても差を見せつけられる。
極め付けに愛する家族たちが傷つけられて、
娘たちを救急車を呼んでいますぐ病院へ運ぼうと
金持ちが言ってくれるならまだしも、
自分たちだけ逃げるために鍵を要求し
臭いと鼻をつまみ、下層民への扱いが
犬畜生レベルであることを改めて知るのである。
あそこで刺してしまうのは、同じ人間なんだという
感情の発露であり、己が家族を馬鹿にするなという
父親ゆえの怒りでもあると自分は受け取った。
息子の書いた手紙は父に渡す術がない。金もないから大学へもいけないだろう。
金持ちになって、という将来の希望はきっと叶わないのだ。
親が下層だとその子供も浮上の望み薄。
半地下と地下の間にも大きな差がある。
貧困層の中でも格差が生まれてはいあがれないのではないか、という
悲しく息苦しいラスト。
無常感に苛まれる。
ポン・ジュノ作品の持ち味だ。
仲良い家族 家族愛のはなし
好きな家族だ
庶民的というか、貧困層のすれた感じの面白い集団が何故か高いスキルを持ち合わせていて友達からの紹介をきっかけに計画的に富裕層の家族に就職していく
リズム感、音楽全てがツボ
描写がリアルすぎて、ひゃっとかフフッとか一人なのに声出ちゃうんだよな
息子の描写とういか直接登場するシーンは少ないんだけど、なにをやらかすのかヒヤヒヤする存在感が凄かったな。
匂いについて言及されるのって1番きついよね。加齢臭とか生物的なやつじゃなくて地下鉄の匂いって生活臭だから、もうあの場所であの生活してること自体が否定されてる気がしてほんとに辛い気持ちわかった。あの後からお父さんの表情ずっと硬かったし、なんか色んなことを読み取ってる人の考察を後で検索しちゃうな。どうして社長を刺したのかも議論点になるよね。誰を守りたかったのかよくわからない。
何故みんなスキル高いのにニートなのか
邦画を全面的に凌駕し、誰もを韓流に落とす最高傑作
最高のエンタメ、そしてメッセージ性も内包した邦画を全面的に凌駕した映画史に残る傑作だと言えるでしょう。自分もこの映画を見て韓流に落ちました。。。
まずテンポがとにかく良い!!もう嫌でもこっちが楽しくさせられる、キム一家が乗っ取るまでのテンポが最高。でもそれだけならこのシーンが上手かっただけとも言えますが、乗っ取った後の展開も神としか言いようがない。
まさか
『前任の家政婦のおばさんも地下暮らし仲間で家の奥に旦那を飼ってました』
なんて面白すぎるだろと。乗っ取った後のキム一家の葛藤的なそっちかと思いきや、非現実的かつエンタメ的に裏切ってくるのです!
これだけならむしろホラーにも進みそうな展開ですが、本編では絶妙にコメディ色も有ったりして『うわあああ』ってよりもむしろニヤついちゃうような、『おんもしれえええ』って感情の方が勝つんです。不思議です。これが監督の技量なんでしょうか。
そして何より特筆すべきは俳優陣の演技力でしょう。イカゲームでもそうだったんですが、設定自体は別にそこまで複雑じゃありませんし、画面に映されている情報だけで理解が出来るくらい簡単な映画です。
でもそこに圧倒的な重厚感と満足感と面白さを追加しているのが、紛れもない俳優陣のクオリティでこれこそが邦画に足りないモノなのです。主人公はやや控えめだけど内面からは確固たる意志が伝わってくるようなそんな雰囲気を醸し出してますし、妹はしっかりしてるけど家族の中でも最も現状に嫌気を感じている人間味を感じさせる。
父親は抜けてるかと思いきやむしろ家族の前では脱力してるだけなタイプでなんだかんだしっかりしてる。母親も同じくで貧乏ながらに楽しく賢明に生きている家族のその息遣いが伝わってくるようなキャラ付けと演技なんです。
もしこれが邦画だったならお父さん役は小日向文世辺りが演じて、随所でボケをかますおっさんになりそうです。つい最近役所広司さんも言ってましたが、日本のドラマや映画って視聴者を笑わせようとするんだと。邦画を見ていてどことなく感じる腑抜け感はまさにそれだったって事なんですよね。
隙あらば俳優のお茶目的な感じで笑わせようとする。別に俳優に興味は無いんです、作品を見せてください。
やってる事は勿論犯罪なんだけども、そこに描かれているのは必死に今を生きているキム一家の活力なんです。そのパワーと知恵と時にユーモラスに観客は魅せられる。一見すると金持ち家族乗っ取りとんでもコメディなんですが、その内訳は韓国社会のリアルに紐づいた笑うに笑えない、けどどこか元気になる不思議なエンタメなんです。
この融合と重厚感、情報量の多さは最早邦画では再現できない領域です。ジャニーズやイケメン()俳優に甘えてる内に抜かされちゃいましたね~。
日本、オワコンです。
社会には集団間の見えない境界線が存在しており、その境界線を相互に見...
社会には集団間の見えない境界線が存在しており、その境界線を相互に見ようとする思考が及ばない為、不満や事件が絶えず生まれてしまう一つであると聴衆へ伝えているように感じました。
中盤までのコミカルなテンポから不安と恐怖へ急降下する終盤のストーリー構成は飽きずに最後まで観覧できる内容でした。
ストーリーの中では置物石、友人、半地下、便所コオロギ、時計回り、ペット、水、匂い、完全地下といった物や概念について随所にハッとするような思考をめぐらせるシーンがあります。
単なる富裕層と貧困層の対立話ではないことが多くの人に評価されてる作品なんだと私は感じました。
貧困家族が偽りのプロフィールと所属をつくり、富裕家族に潜り込む。まるで便所コオロギのように。
金持ちの旦那【上層】は匂いという目には見えないもので貧乏の旦那【下層】と境界線を引いている。偽りでは誤魔化せない「何か自分たちとは違う」といった境界線を自然と嗅ぎ取る嗅覚が上層にはある。
それは下層に直接的に(臭うことを)伝えなくとも、臭いを嫌悪する仕草や上層同士のふとした会話から、下層は自分が臭うということに気付き思い知らされる。
下層同士はその匂いに今までは気づきもせず暮らしていたのに、上層と馴染もうとした途端、そこに境界線があることに気づき自分の現在地を俯瞰して見えたりする。
家庭教師の息子が金持パーティーに自然と参加している人達をみて、金持の娘に対して「自分は馴染めているか?あの人たちと同じにみえるか」を問うシーンは心が痛んだ。
またこの作品は3つの階層対立がある。
①金持ち 対 半地下
②半地下 対 完全地下
③金持ち 対 完全地下
完全地下【最下層】に住む人は、金持ち【上層】に尊敬と服従をしながら、上層の目に見えないところで食料をむさぼり、生を繋ぐ。上層は最下層を見えないだけでなく、存在すら認知していない。
最下層は、上層のペットが歩いてる場所より下の完全地下に生活をし、誰に強いられた訳でもないのに現状を変えることはせず受け入れ、いつまでも現状の生活が続くはずが無いのに、いつまでも思考停止している。
それぞれの層が見えているものが異なるため、行動や考えも階層によって違う。下層になるほど、無計画を計画する、思考停止、夢想する。
まるで自己啓発本を読んで、希望する未来を想像だけするも、いつまでも現状は変わらない。不安がある人のほど、現状維持バイアスが強く、行動に移すのは難しい。それでも行動しなければ半地下の薄暗い部屋で大きな家を持つ夢想をして、人生を終えることになる。
見えないというのはとても不安定で、無限にある選択肢の中でなぜのその選択をするのかと見えてる側からは理解ができない。
こんな家を手にしたいと言葉するも、家政婦やアルバイトで得た収益で、バイキング料理に行くのでは無く、偽りのプロフィールを本当にする為にお金を使う行動は出来なかっただろうか。
ピザの箱を折るぐらいなら、ピザの箱を折らせる側になる行動をしたり、自分には見えない世界を見えてる人へ、どんな風に経験し、思考し、選択をしてきたのか境界線を越えれなくても見ようとする行動は出来なかっただろうか。
周りにヒントやチャンスは溢れているのに、言われたことだけを行い、気に食わないことは不満そうにする。
何が問題なのかがわからない。
問題解決をするための問題自体が見えない。
だから問題は相手にあると衝突や殺人が生まれてしまう。
映画の話ではあるが、実際現実社会にも溢れている問題でもあり、少しでもこういう衝突が減らすためにどうしたら良いのかと改めて考えさせられる作品でした。
偶然がすぎる
数ある映画レビューでも共通して書いてあることは、「ネタバレだから言えないんですけど、とにかく驚きの展開で最後は想像もしないことになるんですよね」って、たいていの映画はそうだろう。
アカデミー作品賞を獲得し、完全に後乗りで見に行った。すでに見た人は、自分の見識の高さにさぞ鼻が高いことだろう。夕方の回だというのに、そこそこ席が埋まっていた。これからロングランでヒットするんじゃないかと思う。それで見終わった感想は「正直どうしてこの映画がアカデミー賞で評価されたのかぜんぜんわからない」というものだ。
出来るだけネタバレを避けて感想を綴る。
劇映画のカタルシスは例えば敵対する二人が最後に決着をつけるといったストーリーの中にある。それは必然の流れであり、多少無理があったとしても観客もそれを望んでいるのだからそうなるように話を持っていく。
それでこの映画、偶然が3つも4つも重なってストーリーが進行していく。それがどうにも歯痒い。
例え話なのでストーリーにはぜんぜん関係のないことにはなるが、校長先生が誰にも内緒で裏金を作り、その事は誰にも発覚しないままある日いきなりクビになったとしたら、その金を学校に残しておくだろうか?
これがひとつ目の偶然。
後釜の校長にも、実は後ろ暗い背景があり、校長同士が本音で話しの出来ない関係のままでいる。ある日、学校行事で先生生徒が留守の中、校長室で家族と派手にピザパーティーを繰り広げている最中、前任の校長が突然訪ねて来たら、校長室に入れるだろうか?あわててピザを片付けながら。家族をロッカーに閉じこめながら。
これが2つ目の偶然。
そして初めて金庫の中の裏金に気付き、前任の校長が洗いざらいぶちまけ、土下座しながら「見逃して下さい。お金が必要なんです」と、情に訴えて来た時に、タイミング悪くロッカーの中の家族が倒れこみ、仕事そっちのけではしゃいでいたのが前校長にバレたとして、そのことをネタにゆすられたとしたら、相手の言いなりになるだろうか?よく考えたら、相手の方が不利だ。そんなことにも気付かずに、校長室を散らかした罪悪感に苛まれるのだろうか?
これが3つ目。
以後、なし崩し的に話が転がっていき、裏金は発覚しないまま次の校長もクビになったら、次の校長はなんとかして裏金を取りに戻るだろうか?
こんな調子で話が転がって行ったら、途中でアホらしくなって見る気を失うだろう。
偶然が過ぎる。
でもネタバレ禁止だから書けない。奥歯に物が挟まったような物言いになる。好意的なレビューの正体はこれだ。
格差社会を痛切に皮肉った内容で、『万引き家族』『アス』などに通じる。とか、アカデミー礼賛の書き込みが今後続くことが予想出来る。願わくば誰も何も知らない状態で、予備知識なしで見たかった。
アカデミー会員の忖度をうまく利用した韓国エンタメ産業のロビイストたちの勝利だと、半分以上本気で思う。日本映画界には逆立ちしたって出来ない芸当だ。
最後に、行政の失策を棚に上げて、こんな格差社会にあぐらをかいている大統領が、祝福のコメントを発表したのはギャグを通り越して背筋が寒くなった。
誇りに思うだって?
恥を知るの間違いだろ!
全編通して只々面白い!ポン・ジュノのクセを抜いて上手さが強調される...
逃走中見てる感じだった。ずっと追いかけっこしてるみたいでハラハラド...
韓国の格差社会を始め、人間の表裏を上手く表現している
今回鑑賞2回目です。
初めて見た時はあまり良いとは思わなかったのですが、今回再び見て、色々と考えさせられる作品でした。
まず、作品全体を通して見ることで、韓国の学歴社会、格差社会がとてもよく分かります。
また、家族の会話からも、韓国の文化を感じられる点がいくつかあり、新鮮な感覚がありました。
ネタバレに触れそうなので、あらすじは省略しますが、
単純かと思いきや話が複雑に進み、最終的には上手く完結されている、見やすい作品だと思います。
そして、コメディタッチな部分があり、内容的には重く作ることもできそうなのに、重くならないテンポになっています。
主人公一家が起こす出来事は、良くないと思われることが多々あるのですが、憎みきれない、同情してしまう部分があり、
逆に寄生される側の家族は、悪い事をしているわけではないが、なんとなく好きになれない要素があったりと、
ほんとにうまく作られています。
人間のキレイな部分と汚い部分がよく表現されています。
最後の最後まで楽しめました。
まるで、ジェットコースターのよう!
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