パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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邦画を全面的に凌駕し、誰もを韓流に落とす最高傑作
最高のエンタメ、そしてメッセージ性も内包した邦画を全面的に凌駕した映画史に残る傑作だと言えるでしょう。自分もこの映画を見て韓流に落ちました。。。
まずテンポがとにかく良い!!もう嫌でもこっちが楽しくさせられる、キム一家が乗っ取るまでのテンポが最高。でもそれだけならこのシーンが上手かっただけとも言えますが、乗っ取った後の展開も神としか言いようがない。
まさか
『前任の家政婦のおばさんも地下暮らし仲間で家の奥に旦那を飼ってました』
なんて面白すぎるだろと。乗っ取った後のキム一家の葛藤的なそっちかと思いきや、非現実的かつエンタメ的に裏切ってくるのです!
これだけならむしろホラーにも進みそうな展開ですが、本編では絶妙にコメディ色も有ったりして『うわあああ』ってよりもむしろニヤついちゃうような、『おんもしれえええ』って感情の方が勝つんです。不思議です。これが監督の技量なんでしょうか。
そして何より特筆すべきは俳優陣の演技力でしょう。イカゲームでもそうだったんですが、設定自体は別にそこまで複雑じゃありませんし、画面に映されている情報だけで理解が出来るくらい簡単な映画です。
でもそこに圧倒的な重厚感と満足感と面白さを追加しているのが、紛れもない俳優陣のクオリティでこれこそが邦画に足りないモノなのです。主人公はやや控えめだけど内面からは確固たる意志が伝わってくるようなそんな雰囲気を醸し出してますし、妹はしっかりしてるけど家族の中でも最も現状に嫌気を感じている人間味を感じさせる。
父親は抜けてるかと思いきやむしろ家族の前では脱力してるだけなタイプでなんだかんだしっかりしてる。母親も同じくで貧乏ながらに楽しく賢明に生きている家族のその息遣いが伝わってくるようなキャラ付けと演技なんです。
もしこれが邦画だったならお父さん役は小日向文世辺りが演じて、随所でボケをかますおっさんになりそうです。つい最近役所広司さんも言ってましたが、日本のドラマや映画って視聴者を笑わせようとするんだと。邦画を見ていてどことなく感じる腑抜け感はまさにそれだったって事なんですよね。
隙あらば俳優のお茶目的な感じで笑わせようとする。別に俳優に興味は無いんです、作品を見せてください。
やってる事は勿論犯罪なんだけども、そこに描かれているのは必死に今を生きているキム一家の活力なんです。そのパワーと知恵と時にユーモラスに観客は魅せられる。一見すると金持ち家族乗っ取りとんでもコメディなんですが、その内訳は韓国社会のリアルに紐づいた笑うに笑えない、けどどこか元気になる不思議なエンタメなんです。
この融合と重厚感、情報量の多さは最早邦画では再現できない領域です。ジャニーズやイケメン()俳優に甘えてる内に抜かされちゃいましたね~。
日本、オワコンです。
社会には集団間の見えない境界線が存在しており、その境界線を相互に見...
社会には集団間の見えない境界線が存在しており、その境界線を相互に見ようとする思考が及ばない為、不満や事件が絶えず生まれてしまう一つであると聴衆へ伝えているように感じました。
中盤までのコミカルなテンポから不安と恐怖へ急降下する終盤のストーリー構成は飽きずに最後まで観覧できる内容でした。
ストーリーの中では置物石、友人、半地下、便所コオロギ、時計回り、ペット、水、匂い、完全地下といった物や概念について随所にハッとするような思考をめぐらせるシーンがあります。
単なる富裕層と貧困層の対立話ではないことが多くの人に評価されてる作品なんだと私は感じました。
貧困家族が偽りのプロフィールと所属をつくり、富裕家族に潜り込む。まるで便所コオロギのように。
金持ちの旦那【上層】は匂いという目には見えないもので貧乏の旦那【下層】と境界線を引いている。偽りでは誤魔化せない「何か自分たちとは違う」といった境界線を自然と嗅ぎ取る嗅覚が上層にはある。
それは下層に直接的に(臭うことを)伝えなくとも、臭いを嫌悪する仕草や上層同士のふとした会話から、下層は自分が臭うということに気付き思い知らされる。
下層同士はその匂いに今までは気づきもせず暮らしていたのに、上層と馴染もうとした途端、そこに境界線があることに気づき自分の現在地を俯瞰して見えたりする。
家庭教師の息子が金持パーティーに自然と参加している人達をみて、金持の娘に対して「自分は馴染めているか?あの人たちと同じにみえるか」を問うシーンは心が痛んだ。
またこの作品は3つの階層対立がある。
①金持ち 対 半地下
②半地下 対 完全地下
③金持ち 対 完全地下
完全地下【最下層】に住む人は、金持ち【上層】に尊敬と服従をしながら、上層の目に見えないところで食料をむさぼり、生を繋ぐ。上層は最下層を見えないだけでなく、存在すら認知していない。
最下層は、上層のペットが歩いてる場所より下の完全地下に生活をし、誰に強いられた訳でもないのに現状を変えることはせず受け入れ、いつまでも現状の生活が続くはずが無いのに、いつまでも思考停止している。
それぞれの層が見えているものが異なるため、行動や考えも階層によって違う。下層になるほど、無計画を計画する、思考停止、夢想する。
まるで自己啓発本を読んで、希望する未来を想像だけするも、いつまでも現状は変わらない。不安がある人のほど、現状維持バイアスが強く、行動に移すのは難しい。それでも行動しなければ半地下の薄暗い部屋で大きな家を持つ夢想をして、人生を終えることになる。
見えないというのはとても不安定で、無限にある選択肢の中でなぜのその選択をするのかと見えてる側からは理解ができない。
こんな家を手にしたいと言葉するも、家政婦やアルバイトで得た収益で、バイキング料理に行くのでは無く、偽りのプロフィールを本当にする為にお金を使う行動は出来なかっただろうか。
ピザの箱を折るぐらいなら、ピザの箱を折らせる側になる行動をしたり、自分には見えない世界を見えてる人へ、どんな風に経験し、思考し、選択をしてきたのか境界線を越えれなくても見ようとする行動は出来なかっただろうか。
周りにヒントやチャンスは溢れているのに、言われたことだけを行い、気に食わないことは不満そうにする。
何が問題なのかがわからない。
問題解決をするための問題自体が見えない。
だから問題は相手にあると衝突や殺人が生まれてしまう。
映画の話ではあるが、実際現実社会にも溢れている問題でもあり、少しでもこういう衝突が減らすためにどうしたら良いのかと改めて考えさせられる作品でした。
偶然がすぎる
数ある映画レビューでも共通して書いてあることは、「ネタバレだから言えないんですけど、とにかく驚きの展開で最後は想像もしないことになるんですよね」って、たいていの映画はそうだろう。
アカデミー作品賞を獲得し、完全に後乗りで見に行った。すでに見た人は、自分の見識の高さにさぞ鼻が高いことだろう。夕方の回だというのに、そこそこ席が埋まっていた。これからロングランでヒットするんじゃないかと思う。それで見終わった感想は「正直どうしてこの映画がアカデミー賞で評価されたのかぜんぜんわからない」というものだ。
出来るだけネタバレを避けて感想を綴る。
劇映画のカタルシスは例えば敵対する二人が最後に決着をつけるといったストーリーの中にある。それは必然の流れであり、多少無理があったとしても観客もそれを望んでいるのだからそうなるように話を持っていく。
それでこの映画、偶然が3つも4つも重なってストーリーが進行していく。それがどうにも歯痒い。
例え話なのでストーリーにはぜんぜん関係のないことにはなるが、校長先生が誰にも内緒で裏金を作り、その事は誰にも発覚しないままある日いきなりクビになったとしたら、その金を学校に残しておくだろうか?
これがひとつ目の偶然。
後釜の校長にも、実は後ろ暗い背景があり、校長同士が本音で話しの出来ない関係のままでいる。ある日、学校行事で先生生徒が留守の中、校長室で家族と派手にピザパーティーを繰り広げている最中、前任の校長が突然訪ねて来たら、校長室に入れるだろうか?あわててピザを片付けながら。家族をロッカーに閉じこめながら。
これが2つ目の偶然。
そして初めて金庫の中の裏金に気付き、前任の校長が洗いざらいぶちまけ、土下座しながら「見逃して下さい。お金が必要なんです」と、情に訴えて来た時に、タイミング悪くロッカーの中の家族が倒れこみ、仕事そっちのけではしゃいでいたのが前校長にバレたとして、そのことをネタにゆすられたとしたら、相手の言いなりになるだろうか?よく考えたら、相手の方が不利だ。そんなことにも気付かずに、校長室を散らかした罪悪感に苛まれるのだろうか?
これが3つ目。
以後、なし崩し的に話が転がっていき、裏金は発覚しないまま次の校長もクビになったら、次の校長はなんとかして裏金を取りに戻るだろうか?
こんな調子で話が転がって行ったら、途中でアホらしくなって見る気を失うだろう。
偶然が過ぎる。
でもネタバレ禁止だから書けない。奥歯に物が挟まったような物言いになる。好意的なレビューの正体はこれだ。
格差社会を痛切に皮肉った内容で、『万引き家族』『アス』などに通じる。とか、アカデミー礼賛の書き込みが今後続くことが予想出来る。願わくば誰も何も知らない状態で、予備知識なしで見たかった。
アカデミー会員の忖度をうまく利用した韓国エンタメ産業のロビイストたちの勝利だと、半分以上本気で思う。日本映画界には逆立ちしたって出来ない芸当だ。
最後に、行政の失策を棚に上げて、こんな格差社会にあぐらをかいている大統領が、祝福のコメントを発表したのはギャグを通り越して背筋が寒くなった。
誇りに思うだって?
恥を知るの間違いだろ!
全編通して只々面白い!ポン・ジュノのクセを抜いて上手さが強調される...
全編通して只々面白い!ポン・ジュノのクセを抜いて上手さが強調されるつくりなのと、類似テーマの既往作品が幾つもヒットした後なので衝撃はあまりなかった。それでも無駄な場面が殆ど無い構成・伏線とその回収・演技・音楽・鑑賞後の味わいなど文句なしの出来でした。
逃走中見てる感じだった。ずっと追いかけっこしてるみたいでハラハラド...
逃走中見てる感じだった。ずっと追いかけっこしてるみたいでハラハラドキドキ面白かった。高低差を利用した表現が多く用いられていてそれぞれのシーンの意味を考えるとより面白かった。ただ、前半部分ちょっと全てにおいて上手く行きすぎだろ。笑 現実味に少し欠ける感じはあった。
まあでもテンポも良いしどんでん返し?もあるし見ていてワクワクする作品だった。金持ちの家の女の子がかわいい!
韓国の格差社会を始め、人間の表裏を上手く表現している
今回鑑賞2回目です。
初めて見た時はあまり良いとは思わなかったのですが、今回再び見て、色々と考えさせられる作品でした。
まず、作品全体を通して見ることで、韓国の学歴社会、格差社会がとてもよく分かります。
また、家族の会話からも、韓国の文化を感じられる点がいくつかあり、新鮮な感覚がありました。
ネタバレに触れそうなので、あらすじは省略しますが、
単純かと思いきや話が複雑に進み、最終的には上手く完結されている、見やすい作品だと思います。
そして、コメディタッチな部分があり、内容的には重く作ることもできそうなのに、重くならないテンポになっています。
主人公一家が起こす出来事は、良くないと思われることが多々あるのですが、憎みきれない、同情してしまう部分があり、
逆に寄生される側の家族は、悪い事をしているわけではないが、なんとなく好きになれない要素があったりと、
ほんとにうまく作られています。
人間のキレイな部分と汚い部分がよく表現されています。
最後の最後まで楽しめました。
まるで、ジェットコースターのよう!
ゆっくりと楽しくのぼり、一気に急降下!幾度となく振り回されて、最後はゆっくりとエンディングを迎える。
前半は、ある半地下に住む貧乏家族全員で、ある金持ち家族に寄生していく。これは、楽しく見れた。そこから一転!元家政婦が訪れた辺りから、急展開を迎える!なんとこの家には、驚愕の秘密が隠されていた!そして、エンディングもクスリと笑えるジョークあり!
普段、怖いのでサスペンスは見ないのだが、一気に引き込まれてしまった!私の心にも寄生したか!恐るべし、パラサイト!
完璧な映画。コメディ秀逸。
完璧に近い映画。あえて私見で欠点挙げるなら物語にあまり深みは感じなかった。あと終盤、父が逃亡後の流れがもっと面白ければ完璧。ここで面白さが減速した為。だが息子の登山からラストまでが秀逸なので欠点箇所は3分間くらい。そして刑事と医者が秀逸でツボるのでそこ引いて2分くらい?約2時間の映画で欠点2分となるがそのたった2分内で物語の流れを端的に描写して、この映画、無駄な場面は皆無と感じる。そして別に欠点というか単に私の志向に過ぎないので。韓国嫌いな為つい欠点探してしまうのだ。
桁外れの面白さ。韓国映画を避けてた私的には初めての韓国映画だが、今後観る映画全部これと比較してしまうかもしれない。本作観た後だと他の映画の欠点に気づきやすくなりそうな気が。映画の模範のような出来ゆえに。思わず巻き戻してリピートしちゃうほど出来の良い場面が多い為なかなか先に進めないという、私的にはもどかしい映画でもある。
コメディ、ミステリー、スリラー、バイオレンス等ジャンルが散らばってるがコンセプトはブレてないしスムーズに視聴者誘導してて全く違和感がない。ジャンル盛り込みは駄作への道になりがちだが、よくこんだけ上手くまとめたな。コメディ比率が高いゆえ何度も観たくなる中毒性ある。視聴者飽きさせない事に最も主眼置いた純然たる娯楽映画と感じるが、同時に丁寧さとこだわりも全編通して感じる。何といっても映像美と構図、音楽の使い方も好み。演出やカメラワークのような基本は言うまでもなく上手いと思える。
■ 地下室の夫
リスペクト!の言い方と言ってる時の体の動きが絶妙。日本語吹替も字幕版と互角の絶妙さしっかり再現してて満足。ここ面白く言えるよう声優は練習したんだと思う。この地下室の夫は顔もそこそこ良いのがいい。リスペクトの言い方絶妙でも不細工なら好きになれない。この人表情も上手いから余計面白い。本作は数回観てるが毎回リスペクトの直前あたりで来るぞ来るぞ・・とソワソワが止まらないほど。そして巻き戻してリピート。この人バナナの食べ始めは少ししか齧らない。後で一気に食べる為だ。こんなしょうもないところまで気づいてしまうくらいリピートしてしまった。あと声が妙に可愛い。
■ 出演者
英語以外がアカデミー作品賞とった事に驚いたのが本作観たきっかけだが、今では男優女優賞もふさわしいとすら思える。全員知らない役者だが皆良い顔してるうえ凄い味がある。半地下一家は皆哀愁漂う顔してて年齢性別関わらず味わい深さ醸してる。そこ日本映画との差を感じる。全員リアルな演技ゆえ物語に没入できるから面白さが余計増す。本作は韓国嫌いを覆(くつがえ)す威力ある。もしくは逆に半地下一家の非倫理性や図々しさに韓国人らしさ感じて嫌悪増すという両極端。しかし一家が職を乗っ取るところ超ご都合主義で進んでいく為コント色が強く、だから図々しさがむしろ笑えるし、ここ笑う以外あるのかと。監督無能でご都合主義になった訳じゃなく効果狙ってあえてご都合主義にしてる。ご都合主義は笑わせる効果絶大なのだ。コメディなら非倫理的で当然で、倫理的にしてしまうと笑えないどころかご都合主義にもうまくハマらなくなってしまう。非倫理性も図々しさもコメディには必須で、どちらか欠如したコメディは全く面白くない(私見です)。
すがすがしいほどの図々しさに笑いを禁じえない。しかも描写も演技も秀逸でこんな一級品コメディ久しぶりに観れて大満足。
前半完全にコメディに振り切った潔い本作がアカデミー作品賞とはアカデミー賞も捨てたもんじゃない。見るべき所をしっかり見てる。
■ 本編
この映画は冒頭から面白いが特にユーモアのセンスが私の好みに合致しすぎてる。些細な場面でもいちいち面白い。ギャグ散りばめすぎでは。もしくはギャグのつもりじゃないかもだが。勝手に笑っちゃうだけで。
半地下一家は意外と有能揃いで、特に兄妹は若いから就職できそうだが「警備員1名募集に大卒500人殺到」らしいから有能兄妹でも就職困難かもと韓国就職事情の悲惨さに少し衝撃。
笑えるのは、上のおばさんのWiFi繋がらない→代わりにカフェのWiFiキャッチ。自宅でWiFi難民か…ここ笑うべきじゃないかもだが、貧困表現のついでに笑わせに来てる気もして冒頭からクスクスが止まらない。まあ韓国諸事情に無知な自分が韓国映画を真に理解できるとも思えないから気楽に観れる。これが邦画なら心痛めるかもだが。夫をフルネームで呼ぶのかとか息子に「息子」呼びするのかとか文化の違いを実感。
スマホでピザ時代探してる時の兄貴の表情とか4箱に1箱不良品と言われた後の父の全身とかツボる場面多い。背景のエキストラの配置が好きだ。さり気なさが上手い。半地下の窓からの景色も、窓の外の人間の有り様も風情あって良い。窓の外で水かける場面も美しく音楽も美しい。好きな場面多すぎてこの監督の美意識に惚れる。美しいのみならず職を得た一家の心がそこに表現されてて感動する。窓使った描写が上手い。構図と映像美とコメディを全部ハイレベルで堪能できる貴重な映画である。
WiFiの電波を祝って(笑)台詞がいちいち面白い。この父の幸せそうな表情上手いなぁ。ちゃんと心に響く演技をする。ミニョクに食事じゃないと言う父。そして演技。これは笑う。貧困を面白おかしく描く作品は多いが本作は笑いにちゃんと落としてくれるのが良い。というか単に私のツボというだけかもだが。あと、この父の演技が見事だから面白さが増してる。ミニョクに対してあえて平然とする演技、ピザ屋と妻に私じゃありませんみたいな演技。絶妙なさじ加減でコミカルさを演技に混ぜてくる。そのさり気なさが凄い上手い。だからついリピートしてしまうのかな。
そして父ほどではないが富豪一家の奥様も上手いと思う。奥様のとぼけたみたいな表情が最高に面白い。筋書き知ってるコント師みたいな表情するからコント感が増して笑える。監督の狙いもそこにあると思ったがどうなんだろ。父と奥様の連携プレーでガッツリ笑わせに来る気満々なのがもう耐えられない。全編観た後だとミニョクが「奥様はヤング・アンド・シンプル」と言う場面だけで笑いが込み上げる。
この映画は好きな台詞も多い。文書偽造学科はないのかとか、入浴してるギジョンの「テレパシーだ。サンキュー」という台詞が何故か分からんがめちゃくちゃ好き。地下室の夫の台詞はほぼ全部良い。
あと何といっても、血つけたティッシュ持って振り返る時の父の顔。これアカデミー男優賞ものだろう。この演技顔上手すぎるし面白すぎる。笑いのツボ的確におさえてくる役者と監督。次は奥様がショックのあまり目閉じてうっとり顔。確実に笑わせに来てる。この奥様も笑わせる表現力秀逸で私的にはこの奥様あってこそと思う。奥様はもちろん上手いが加えて監督有能で役者の技量を存分に引き出せるのかも。この数分前からの家政婦解雇作戦の一部始終、演出が凄い。音楽での盛り上げ、カメラワーク、スローモーション等々全部最高で何度もリピートした。特に父の演技顔は目に焼き付く程リピートしてしまい全然先に進めない。
富豪一家が留守中の豪邸でくつろぐ半地下一家。インターホン鳴った時の緊迫した空気がリアルだから集中して観れる。モニターに映る元家政婦がニヤニヤ顔なせいで不審さ際立って軽くホラー。地下室への長い階段が、折れた形状で先が見えないのがホラー。音楽と、元家政婦の叫びと、後を追う妻の「家政婦さん!」の声で更に緊迫感が増す。不気味な空気感の演出上手い。
テーブル下から脱出中の父が電気ついて途中で止まるところ。あそこ別にいらんだろ(笑)ストーリーになんら影響与えてないよ。そう思うとますます笑えてくる。あんなの入れてくるのがコントなのだ。あの場面は無駄に思えても笑わせる為には必須。いちいち監督がユーモア仕込んでくるうえセンス秀逸だからこの映画大好きなのだ。
階段を這い上がってきた元家政婦を妻が的確なタイミングで蹴り落とすところ。息子に尾行刑事に気づかせる方法として刑事にコケさせるところ。コント色強くて笑える。それどころか、こういった場面をダラダラと平凡に描写せずユーモア巧みに利用してスパッと一瞬で端的に表現し物語をテキパキと進めるのが凄い好きだ。好みゆえめちゃくちゃ有能な監督に思える。
手術後の息子がずっと笑ったまま時が経過。スマホで父のニュース閲覧中に首ポキっと鳴らせてるから息子の悲嘆は特に明確には描かれてない。息子の傷心描写する絶好ポイントなのに。ラストの息子の哀感強調する為にあえてここでは描かないのかな。安易に泣かせにかからないのは好感持てる。とはいえここで普通に息子悲嘆してくれたら物語に深み出そうに思えるし、私的に映画ベスト5以内に確実に入るので少し残念さもある。首ポキっは意外。
「日差しが降り注ぐから、父さんはただ階段を上がって下さい」こんな詩的な美しい台詞、普通のコメディ映画じゃ出てこない。この台詞好き過ぎる。やっぱコメディは本作の単なる1ジャンルでしかないのだ。
そして、「その日までお元気で」とは言いつつも、息子の表情や空気感で実現不可能な夢想と分かる。その日など永遠に来ない雰囲気醸してるゆえ救いも希望も描かずに物語は終了する事になる。何とも言えない哀愁漂っててこの映画にぴったりの幕引きだった。もし夢想の実現で幕閉じてたら私的に本作の評価下がるので、夢想シーン観た時ハッピーエンドかよと一瞬落胆したが。さすがこの監督はラストでもヘマはやらかさず、方向性が的確で完璧。というより単に私の好みの問題かもだが。仮に夢想の実現可能をほのめかすラストなら、格差は変えられるという希望のメッセージが伝わり名作っぽい雰囲気で終了し、もしかして本作の一般的な評価も更に高まるかもしれないが、安易にそれをしないのが好きだ。そんなハッピーエンドだと私的に本作の魅力だいぶ薄まってしまう。ラストだけ浮くから。
歌がエンドロール途中で流れるけど歌詞や歌声が息子が歌ってるように思えて、ここで初めて涙腺弱まった。歌聞いてると息子の不幸な境遇に思いを馳せてしまうから。のんきな歌声なのがまた良い。逆に心に刺さるから。誰歌ってるかは知らないが。なのでこんな最後まで私的にほとんど完璧な映画だった。
この映画良すぎるから書ききれないほど感想出てくるし初見の段階でリピート地獄だった。巻き戻さないで一気に観たい気持ちとの戦いだった。最初は韓国語聞くの嫌で吹替にしたが絶対字幕のが良い。韓国アレルギー治った気もするので他の韓国映画も観る気満々だが本作をつい再生してしまう。役者が全員魅力的なのも観る気にさせるし演技も全員上手い。こんな何度も観れる映画は私的には貴重だ。半地下一家の自宅の間取り図が欲しいし一家の普段の日常とか観てみたい。というくらいこの映画にハマってしまった。モノクロVer.も観かけたが映像は当然鮮明な為モノクロの良さあまり感じず中断。
2021/01 | VOD
格差社会を
見事な切り口で表現。
貧しい者が富めるものを騙し、豪邸のなかへと家族ごと取り入っていくのだが、男の子が、半地下家族に、共通する、染みついた匂いに気がつくあたりが秀逸。
金を持った大人や甘やかされた高校生の女の子はわからないが、むくな男の子には、根源的な人間の貧しさが感じられたのかな。
ハラハラさせる設定も随所にあり、見応えがあった。
まさに寄生
前半がタイトルを物語っていたと思います。
家族もろともなんて。
前半はほんとなんやねんって感じで面白かった。
後半に入ってから、さらなる強者が出てきたところまではよかったが、ラストの展開は私的に好きではなく評価がさがりました。
やはりいくら厳しくても、犯罪や人を欺く行為は、ゆくゆく我が身を滅ぼしかねないと感じた映画でした。
わたしも馴染めない派だ
いつか見ねば、と思いつつ、偶然のTV放送にてようやく鑑賞。
長男が、ガーデンパーティを前に自分はここに馴染んでいるか、
と問いかけるシーンが全てを象徴しているように感じた。
出自が拭ってもとれぬニオイとなり、
しみついて逃れられぬ不条理には「共食い」を思い出し、
持つ者と持たざる者の間で起きた事件に、
昨今の無差別連続殺人事件犯人が抱く動機のようなものを重ねて鑑賞する。
本作はそこへさらに同階層同士、生存をかけたつぶし合い、足の引っ張り合いがあり
このひとひねりにきれいごとではなく、今を生きる事に追い詰められた人のリアルを感じてしまった。
格差はどの地域でも深刻なのだと思わずにおれない。
でなければ賞を取るほども、話題になるほども興味を持たれないだろうから。
面白可笑しく、やがてグロ恐ろしく悲し気な結末が突飛と思えないのは、
自身にもしみついたニオイがあると自覚するからだろう。
あの媚びた笑みと、羨ましいからこそ憎くて仕方なくなる瞬間に、ドキリとさせられる。
やけっぱちの「リスペクト」へも、確かにその通り、と頭で理解しつつ戦慄しっぱなしだった。
もちろん社長一家は一家で自分たちの人生を生きているだけで、何ら悪い事はしていない。
だからこそどうすべき、どうあるべきだったのか。
テンポよくサクっと見られて、最後にずしり、考えあぐねる良作だった。
なるほど
半地下ってサブタイトルが強烈だったので、韓国の貧困層を描いた映画なんだと、誤解しながら見始めてしまった。
なるほど、パラサイトなのね。
臭いに対する表現がリアルで、臭いだけは取れなくて、最後にそこで自分の立場を思い知らされて、自制が効かなくなってという落とし方は面白かった。まあ、ストーリー展開はかなり強引だけど、それでもしっかり見せるのはうまい証拠なんだろうね
人格や品格と結び付かない貧富の差
映画としての完成度はさほど高くないが、考えさせられるストーリーだった。
色々となあなあで片付けられた部分も多く、あれはどうなったの?とモヤモヤが残る。重いテーマを扱う作品ではきちんと罪と罰まで清算してほしいところだ。
さて、本作では富裕層の登場人物たちも嫌味がなく個人的には好感が持てるキャラクターだったが、賢かろうが愚かだろうが、魅力があろうがなかろうが、稼げる人間と稼げない人間の間には埋められない溝がある。
どんなに金銭欲が強くても金に縁がない人間もいれば、特に何も考えず生きてもお金が舞い込んでくる人間もいる。
しかし富とは、不思議なものだ。
カラーテレビ、洗濯機、携帯電話、パソコン、米
時代が時代なら お金持ち と称される生活を、今の時代では 貧困 と言われている人たちも、ほとんどが享受している。
大画面、高画質、ドラム式洗濯機、洗剤自動投入、AI搭載、最新機種、薄型、ハイスペック
富の象徴は変化していく。
結局、我々が欲しいものはなんなのだろうか。
周りと比べて裕福な暮らし
なのか
必要なものが揃っている暮らし
なのか
惨めじゃない暮らし
なのか。
ラストの主人公家族の父親の選択は、とても胸が痛くなるものだった。
諦観していて、欲を持ちながらも卑屈さが無い好人物。
だが、朗らかで温厚な彼がなぜあのような選択をしたのか、充分に理解できる。
彼がどうしても受け入れられなかったもの。
身勝手だと分かっていても、衝動に駆り立てられるほどの、奥に秘めたもの。
行動や思想や、発言などではなく、自覚すら難しい。けれど明確に、あちらとこちらを区分されてしまうもの。
まるで細胞の隅々まで否定されるような気分だ。
少しずつ少しずつ感情が奥で増大していく役者さんの表情がなんとも巧みで、下手な役者であれば え!? となりそうな展開でも見事に辻褄を合わせていた。
仲の良い家族がいて、それなりに笑って生活できていれば幸せなんじゃないか。
彼らは貪欲だったのだろうか?
そうでもない。
何があれば、自分たちを幸せだと思うことを、世間は認めてくれるのだろうか。
幸せ少し頂きます
強烈
他の映画では濁すようなところもしっかりと描き切っている
登場人物は
富裕層と、半地下+地下の貧困層
ギウの一家が家庭教師を皮切りにパラサイトとなっていく様はテンポも良くコメディチック
しかしパク家を前家政婦が訪ねてきたところから雲行きが怪しくなり、、
所得格差による差別が根底にあり不穏な展開になっていく
臭いによる無意識な差別、着々とキムの心に闇を落としていき
地下の住民の凶行をきっかけに決壊する
キムは家を出た時に自分がどこへ行くべきか分かったと言う
結果新たな地下の住民となり寄生は繰り返される
家を買い戻す流れが想像で終わる救いのなさ
下手なホラーより怖い
金はシワを伸ばすアイロン
水石は罪悪感、楔
計画への依存、失敗しない無計画
匂いで表現される生活の格差
ギウのセリフ
「自分はここに馴染んでいるか?」
知識や性格、人となりでは何ら変わりのない
ただし確かに差別は存在する
その違いは何なのか
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