屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ

劇場公開日:

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ

解説

「ソウル・キッチン」「女は二度決断する」のファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害した連続殺人犯の日常を淡々と描いたサスペンスホラー。第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女が集まるバー「ゴールデン・グローブ」に足繁く通い、カウンターで酒をあおっていた。フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。フリッツは誰の目から見ても無害そうに見える男だった。そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れ、「ある行為」に及んでいたことに、常連客の誰ひとりも気づいておらず……。2019年・第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。

2019年製作/110分/R15+/ドイツ・フランス合作
原題または英題:Der Goldene Handschuh
配給:ビターズ・エン ド
劇場公開日:2020年2月14日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第69回 ベルリン国際映画祭(2019年)

出品

コンペティション部門 出品作品 ファティ・アキン
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(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

映画レビュー

4.0絶望する現実

2020年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画の主人公は、最近の言葉で言うと「インセル」に近い存在ということになるだろうか。とにかく、自分がモテないことが腹立たしい、だが女性に対して敬意は持っておらず、ひたすら性的欲求を満たすものとして扱う。気に入らなければ暴力に走り、最後には雑に殺してしまう。
本作は僕は『ジョーカー』とどうしても比べたくなってしまう。『ジョーカー』もまた社会にはじかれ、殺意に目覚めてゆく男だったが、彼がそうなっていくわかりやすい理由が描かれていた(最後のシーンでそれは全てウソかもしれない可能性が示唆されるが、ここでは考えないことにする)。しかし、フリッツ・ホンカがなぜあのような人物になったのかは明確な理由は示されない。理由がわかれば、それに対して解決策を示せるが、理由がわからなければどうしようもない。ホンカには救われる道はあったのだろうか。どうすれば『ジョーカー』を生み出さずに済むかはわかっても、『フリッツ・ホンカ』に対してはどうすればいいのかわからない。しかし、フリッツ・ホンカこそ実在の人物なのである。

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杉本穂高

4.0タイトルなし

2024年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

逆「ヴェニスに死す」。

とにかく醜い人間(見た目も中身も全てが)ばかりをかき集め、醜い生き様をそのまま差し出した形。
しかし、エンドロールを見ると再現度が凄まじいっぽい。あれは凄い。

それから、70年代の実在する事件をそのままやっているのだけど、現代性があるというか、ナ・ホンジンも「チェイサー」で同じネタ、つまり売春婦(この世に不必要な醜い人間)を殺しても誰も通報も捜索もしない、という現実を描いていて、もはやこれは普遍性なのか、人間の。

また感心したのが、2時間弱醜悪な人と出来事しか出てこないのだけど、「男はつらいよ」の寅さんや「北の国から」の純君や「隠し砦の三悪人」の馬鹿たちを見続けるよりよっぽどストレスもなく楽しめた。演出力なのかな?または「馬鹿で人に迷惑かけるけど、笑って許してやってよ~」という甘えがないというか。"そのまま見せる"人間に対する姿勢が良いのか。見ていて気持ちがいい。

それから、自分がお酒飲むのやめた事もあって、一度断酒と真っ当な生活に戻ることを決意した(殺人後なんで全然遅いけど)主人公に出会う人出会う人みんな酒を勧め、挙げ句一度酒を断ったの知ってるはずの好きな女性にまで勧められ、苦笑いでアル中殺人の世界に舞い戻るくだりが切ない。人間って弱いのよ、助けてやってよ、と思いました。

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kazuyuki

3.0愛されるすべを持たない男の狂気!

2024年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

実在するシリアルキラーを描いた映画は幾度か見てきましたが、本作ほど娯楽性を一切取り除き、すべてが不快で不潔に実在の殺人鬼を描いた映画は今までに類を見なかったでしょう。あまりにもフリッツの言動がリアルに描かれているので、殺害ドキュメンタリを観ている感覚に陥いりました。

フリッツを、実在に似せイケてない不幸でブ男にし、言動すらイケてなさを表現することで嫌な人間味をリアルに感じてしまいます。愛されるすべを持たないフリッツが選ぶ女性も、誰が見ても見た目も精神状態もイケてない年配の女性ばかりですが、弱者である彼女ですら手こずるフリッツがこれまた妙にリアルです。感情に任せた無計画な殺害も不快感を一層引き立てました。

屋根裏部屋の家の作りや雰囲気も実在とうり二つに作られているらしいですし、行きつけのバー「ゴールデン・グローブ」も実在のお店での撮影ということで、雰囲気も抜群でした。癖のある常連客もフリッツに対して敵でもなく味方でもない、微妙な関係性も何とも言えない距離感でした。フリッツ自身はこの店でちゃんと認められた存在なのですよね。

そんな不快さのリアルを追求した映画の中で、唯一といってよい娯楽性(花?)を描いたのが、女学生のペトラの存在でした。一瞬にして彼女に惚れてしまうフリッツですが、結局手を出すことが出来ず映画は終わってしまうのです。フリッツの人生を象徴するかのような、醜さと対照的に描いた花が決して手が届かない存在としてなったのではないでしょうか。

さて、結局のところ映画全体の感想ですが、面白いと思うような要素は全く無く嫌な気持ちにさせられますが、実在したシリアルキラーの心理面が手に取るようにわかる映画でしたので、見ごたえ十分な作品でもありました。でも、2回は絶対に観たいと思わない映画でもありますね…。

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だいふく

4.5ヒッッデェ話なのに笑っちゃった。サイコパス的な怖さかと思ってたら、...

2023年10月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ヒッッデェ話なのに笑っちゃった。サイコパス的な怖さかと思ってたら、なんつーかもう…。

ノーサンキューってドイツ語だとネインダンケなんだね!

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まるぼに

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