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「シャイニング」と呼ばれる超能力が引き寄せる恐怖を描いたスーパーナチュラルホラー『シャイニング』シリーズの第2作。
あの展望ホテルでの惨劇から40年。大人になったダニーは父と同じアルコール依存性を治療しながら、終末期ホスピスの職員として穏やかな日常を過ごしていた。時を同じくして、強力な「シャイニング」を持つ少女アブラは人ならざる者たちが少年を殺害する光景をテレパシーでキャッチする。シャイニングにより繋がったダニーとアブラは、共にその悪と立ち向かう決意を固めるのだが…。
原作はスティーヴン・キング。
子供の生気を吸い取り生きながらえる魔物、ローズ・ザ・ハットを演じるのは『ミッション:インポッシブル』シリーズや『グレイテスト・ショーマン』のレベッカ・ファーガソン。
大人になったダニー・トランスを演じるのは『スター・ウォーズ』シリーズや『美女と野獣』の、名優ユアン・マクレガー,OBE。
強い生気を持つ野球少年、ブラッドリー・トレバーを演じるのは『ルーム』『ワンダー 君は太陽』のジェイコブ・トレンブレイ。
原作は2013年に刊行された同名小説。「シャイニング」(1977)の36年ぶりの続編であると話題を呼んだ作品である。
キングがキューブリック監督作品『シャイニング』(1980)のことを心底嫌っていたのは有名であるが、その原因としては、
①キングが自伝的要素として作品に忍ばせていた「アルコール依存性」の描写をオミットしたから。
②ジャックの狂気を、超常現象ではなく彼の内側から呼び起こされたもののように描いたから。
の2点が考えられる。もっとも、今でこそホラーの古典的傑作として扱われる『シャイニング』だが公開当時の評価は散々であり、キューブリックはその年のラジー賞で最低監督賞にノミネートされている。当時の状況を思えば、キングがこの映画を嫌がったというのは別段おかしなことではない。
監督のマイク・フラナガンはキングのファンであり、かつキューブリックの『シャイニング』も大好き。そのため、本作は原作のエッセンスはそのままに、キューブリック版『シャイニング』の続編としての機能もしっかりと果たしている。両巨匠への抜かりない気配りにはキングもにっこり😊
しかし、「私がオススメします!」と原作者自らが太鼓判を捺したにも拘らず興行的には伸び悩み、同じキング原作で同年に公開された『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019)が4億7,000万ドルを超える大ヒットを記録したのとは対照的に、約7,200万ドルしか当たらないというショボショボな結果に終わってしまった。
まぁこの興行成績も宜なるかなというか、キングとキューブリックの両方にええ顔をした結果、『シャイニング』のパロディ満載のヴァンパイア映画という、帯に短し襷に長しな作品になってしまった。キングの原作に寄せるならキューブリックの影は完全に消してしまうべきだし、『シャイニング』の続編をやりたいのであればヤングアダルト小説の敵キャラみたいな悪者なんて不要である。
『シャイニング』がクローズド・サークルものだったことへの反動か、本作ではとにかく登場人物が移動しまくる。フロリダ州に始まり、ニューヨーク、ニューハンプシャー、アイオワ、そしてあのホテルがあるコロラド州まで、敵も味方もアメリカを横断する勢いでチョロチョロチョロチョロ…。この映画、なんかずっと車で移動してた気がする。ニューハンプシャーからコロラドまで3000kmくらいあんだぞっ!?
舞台がコロコロ変わる上、時間も150分オーバーの長尺であるため、なんかドラマシリーズの総集編を観ている気分になってくる。こういうバトル・ホラーものはダラっと長くするのではなく、描くべき焦点を絞ってコンパクトに纏めて欲しい。
ズッコケたのは敵のヴァンパイア集団「トゥルー・ノット」のあっけなさ。子供を拉致拷問して殺すという吐き気を催す邪悪であるが、鹿狩り用の猟銃でほぼ全滅の憂き目にある。不老不死の存在なのに鉄砲は効くのかよっ!!よくあの爺さん、古代ローマの時代から生き延びてこられたよなぁ。
リーダーのローズ・ザ・ハットにしたって、大物ぶっているだけで終始アブラにいい様にやられていたし、コイツら全然強くないよね。完全に詐欺られたスネークバイト・アンディがただただ哀れである。
つーか、ローズとアブラならアブラの方が強いわけだし、わざわざ展望ホテルに誘い込まなくても普通に勝てたんじゃ…?後半の展開は、双子の少女とか血の洪水とか氷の迷路とかおコンバンワな扉の割れ目とか父と子の微笑ましい追いかけっことか、そういう『シャイニング』オマージュをやりたいという監督の欲が先走り過ぎている。『ホット・ショット』(1991)じゃないんだから、正統続編なら正統続編らしく、堂々とオリジナリティのある画面で勝負すべし!
エンタメ要素が多いので退屈するような作品ではないのだが、あのサイコ・ホラーの傑作の続編としてははっきり言って力不足。というか『シャイニング』なんて1本で完全に完結している作品なんだから、そもそも続編など不要だと思う。こんなんで喜ぶのキングだけや!
誰も望んでないんだから大コケするのは当たり前。企画の段階で気付けよっ💦