ふたりの女王 メアリーとエリザベスのレビュー・感想・評価
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メアリー・スチュアート
メアリー(シアーシャ・ローナン)がスコットランドに女王として帰国したところから始まる。
イングランドにはレディアンの娘、エリザベス(マーゴット・ロビー)が君臨していた。
二人はイングランドとスコットランドの王位をめぐり、宮廷の権力闘争も加わり、泥沼状態の関係が続く。
エリザベスには子供がいなかったので、メアリーの息子が両国の国王となり、今の英国王室はメアリーの直系ということになる。
この時代の話はとても興味深く、特にこの二人はドラマになる。
シアーシャとマーゴット
ふたりの女優が適役で素晴らしかった。ケイト・ブランシェットのエリザベスとは全く違う。でも、視点も歴史観も全く異なる作りだからそれぞれいい。それが映画の良さだと思う。
旧教vs.新教、信頼できないアホな男達vs.孤独に毅然と生きて産んで死ぬ女王たち、二人のファッションセンスの違い、二人の素晴らしい知性・外国語能力と教養。たとえ男性社会であっても、血の正統性の前にはそんなこと言ってられず、女が王になれた国。二人の間だけにはおそらくあった共感。
ルターの宗教改革から何十年もたっているのに、あれだけ新教側がエクサイトして悪口雑言のアジテーションが行われたということに、教皇がターゲットだったとしても、キリスト教の残酷さをみた気がする。一神教のもとで育っていない私には理解できないパワーだ。
ヨーロッパとひと括りにしないで、一つ一つの国、地域を丁寧に見ていくのは本当に面白い。イギリス、フランスがテーマになることが多いが、スペイン、イタリア&神聖ローマ帝国なども映画で見たい。
マーゴットを見たのはこれで三本目の映画だが、どれ一つ同一人物と思えない(トーニャ、シャロン・テート、エリザベス)!
UK
現在の英国王室の源流となる話。
史実としてのメアリーの人生そのものが起伏に富んでいて面白いのだが、それをコンパクトに、メアリーそのものの人物像にストーリーの焦点を合わせながら進む。「誰が誰だか分からなくなる」とか、「これって結局、誰の話をしたいの?」というような大河物にありがちな状況を避けている。
中心に御座するシアーシャの存在感としなやかな演技。かなり自己主張が強かったらしいメアリーを、闊達で魅力的な女性像へと投影している。対局にあるエリザベス、自分を殺して役割に徹する。マーゴット自体が自分の魅力を封印しているようでもある。女性としての生き方について問題を投げかける展開である。
そして話は、当代を代表する若手女優の対峙シーンへと向かう。待ってましたとこっちが緊張する。そして期待を裏切らぬお芝居に熱くなる。大満足でお腹いっぱい。
素晴らしい衣裳や照明、厳しいスコットランドの風景など、手抜かりのない緻密に仕上がった出来映え。歴史物として敬遠されがちかもしれないが、あらゆる面において映画としての完成度がかなり高い作品である。
二人の女王の運命
国を守るため継承していくため、あらゆる手段を使う子ともあるかとおもえば、女王といえどやはり女の弱い部分もあり、私と変わらず普通の女性なんだってことがよくわかった。
運命に翻弄されても女で有り続ける意志の強さ、素晴らしい!
一級品の歴史大河
16世紀英国が舞台。スコットランド王メアリーとイングランド王エリザベスの二人の女王の間の王位継承権を巡る争いと交情を描く歴史物語。あいにく、作品の史実の部分とフィクションの部分を見極める程の眼力は持ち合わせていませんが、当時の時代・風俗を肌で感じることのできるような素晴らしい演出だったと思います。女性が時代を動かした歴史の一コマを堪能することが出来ました。
二人の女優の対決おもしろい
最近、女王ものが流行りですね…なんて思いながら観に行った。当然だけど、全然、違うわね…。「女王陛下のお気に入り」は、女王陛下に支える二人の侍女の直接対決だったのに対し、「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」は、女王同士の対決だけど、直接対決もなく、メアリーが主役の作品って感じでした。でも、どちらも好きな作品でした。今作品のメアリー役のシアーシャ・ローナンも、エリザベス役のマーゴット・ロビーも好きなんだよね。二人とも、すごい女優さんだよね。直接対決はなかったけど、出会うまでの二人の葛藤も、すごく上手く表現されてたと思う。世の中には、いつの時代でも、女性上位の世界もあるのね…、日本とは大違いですね…なんて思いながら観てました。男に利用されたりして、可哀想と思うこともありましたが、とても強くて、素敵な女王でした。最も、妊娠、出産すると、守るべき子供が出来たりすると、女は弱くなりますね。守るべきものが出来るとって話は、男にも言えることなんでしょうけど、母性は捨てられない人が多いからなぁ。最後のテロップで、息子ジェームズが王になったとあったから、育てることはできなかったけど、母の意を汲んでくれたのなら良かったのかな…なんて思いました。
女優さんがいい
女優さんがいい。
シアーシャ・ローナン。
彼女の出演作を見たのは今回が初めてだったけれど、馬に颯爽と乗って男に混じって戦闘に赴く姿に清々しさを感じた。声もかわいいし。アイルランド出身ということですが、なまりは強くなく普通に聞き取れます。
この時代の英国は権力闘争が激しくて残酷だし、未だに真実がはっきりしていない部分もあるので、映画を作るうえで何を大事にしてどの立場に立脚して描くかというのは、結構大事なことだったりする。
この映画では、誰よりも血統的な正当性を持ちながらも民衆から理解されず支持も得られず、結局は周りにいる陰謀を企てる者たちの言いなりにならざるを得ずに断頭台へと消えていく悲劇的な女王としてメアリー・スチュアートを描いた。才気闊達で情熱的で若く美しく魅力的に演じられていたので悲劇性は強まり、上手く描けていて、成功していると言える。
それにしてもこの作品で女性が権力を掌握するというのが内にも外にもどれだけ大変でえげつない争いを生じさせることかということが分かる…。男系の伝統を誇る日本に生まれてよかった。令和万歳。
甘い映画❗
星🌟🌟🌟映像が凄く綺麗で良かったのですが…メアリーがお兄様に騙されても何回も許すおかげで反対に窮地に陥れられる、史実ではもっと計算高い女性だったのでは…メアリーを好い人に描こうとしてちょっとつまらない作品になっていると思います❗あと戦闘のシーンでも兵隊少ないしラストのシーンもメアリーは40代なのに若いまま…メアリー役のシアーシャ・ローナンもエリザベス役のマーゴット・ロビーも良かったのにいろいろ詰めが甘い作品になっていると思います❗脚本しっかりしてれば良い作品になったのに残念です❗予算あんまりなかったのかな…⁉
女性の幸福も母性の幸せも無い王位
イングランド王ヘンリー8世の庶子の長女として生まれたが故に、女性の幸福を捨て、結婚も子供を産み育てる幸せもなく、イングランドを守り、国民を守ったエリザベス1世。
一方、ヘンリー8世の姉の子供であるスコットランド王ジェームズ5世の長女であるが故にフランス王妃から2年でスコットランド女王として戻ったメアリー1世。彼女もその地位故に愛情なき結婚、出産、そして幼い息子との別れ、夫の暗殺、そして幽閉され、断頭台へと、女性として母としての幸せは全く無く、男達の政治家の中でスコットランドを守りイングランドと戦った悲劇。エリザベス女王がメアリーとの密会で言う言葉「私は男になったのよ」が彼女の本心であろう。女性監督だからこそ描けた今までにない視点。Virgin Queenなどというのは周囲の男達の政治家が勝手に称したものなのだ。二人の女王の悲劇は、メアリーの息子がジェームズ6世としてエリザベス女王の後継者としてイングランドとスコットランドの両王になることで終わる。
メアリー・スチュアートそういう人だったんだ
メアリー・スチュアートは名前しか知らなかったから「そういう人だったんだあ」と勉強になるね。
シアーシャ・ローナン可愛いんだよね。ちょっと可愛すぎて、冷酷な決断をする王女って感じがしないの。
物語は展開は解るものの、今ひとつピンとこないの。英国史知らないからなんだよね。日本の歴史ドラマも海外の人が観たらピンと来ないかもな。
エリザベスは何にも持ってなくて、メアリーは美貌や才能や色んなものを持ってる。でも、その持っているもののせいで、皆が離れていってしまうっていうテーマは良かった。
人間はバカ
愚昧から人を遠ざけるものの一つに、誇りや矜持がある。
この映画は人間全般が絶望的に愚かであることを隠しもしない。メアリーの振る舞いはそこに差しかけられたほんの一条の光のようだ。(しかし暗さが勝る印象だ。)
"that's matter than love."という台詞が面白かった。
王国制国家と、王族の人間性。
衣装は目を引くものがある。史実このようだったのだろうか。
メアリーの2度目と3度目の結婚式の衣装の差や、黒衣で統一された会合シーンなど良かった。
すごいマウンティング
タイプの違う二人の女王。宗教戦争も絡んでるのに、登場人物の王族貴族と宗教指導者ほとんどが神を信じてるとは思えない言動で、駆り出される庶民が気の毒すぎる。景色や衣装が壮大で美しく、比較して一層メアリースチュアートと取り巻く男性たちの浅はかさと器の小ささが醜くみえてグッときました。
王の血統を持つ人物を演じるという事
個人評価:4.0
映画「エリザベス」と対にして見ると、とても感慨深い。
最後は悲運の中でも高貴に斬首されるメアリー・スチュアート側の視点で描かれているので、この王位争いがより悲しい闘いであった事がわかる。2人の王女の争いというよりも、周りの男達に翻弄され、悲運な道に突き進む。エリザベス自身が自分を男と称し、生涯結婚せず男として強く生きたのも納得できる物語がここにある。
レディ・バードで未熟で純粋な少女を演じたシアーシャ・ローナンが、本作では王の血統を持つメアリーを力強く演じ、見所の1つだ。
ただの歴史上の人物ではなく、王族の人物を演じるには、その役者の演技力はもちろんだが、内から溢れる気品と血の強さが必要だ。他作品だがエリザベスを演じたケイト・ブランシェットのように。
本作のシアーシャも、その血の強さを感じ、他のハリウッド女優よりも頭1つでている女優だと感じる。
秀作であるが故にの溜息
メアリースチュアート役にシアーシャ・ローナンを持ってきたところから、こっちを美女として描きたかったのは予想できたけど、ここまでエリザベス1世って容姿が酷かったのかなぁとの疑問もあります。元々シアーシャってレディバードで好演していて気に入っていたんで、最後のシーンには溜息が出たな。隣の見知らぬおばちゃんと溜息のタイミングが合っちゃったよ
メアリーが美しい
メアリー・スチュアートが美しく、周りの人たちがみんなひどく見えた。ブラッディ・メアリーなんて言うけど、実際は世間知らずで魅力的で、ただ周りの野心家たちに翻弄されただけの女性だったのかもしれない。
時代に興味がわいた
シアーシャ・ローナン最高!
翡翠の瞳に白い肌、無邪気な笑顔かと思えば、冷徹な目で人を見据え、はたまた激情をほとばしらせ相手を罵倒する。これで24歳とは、これから更に楽しみな女優さんだ。高貴で美しく獰猛でもあるメアリー女王役にぴったりだ。「レディ・バード」の不安定なティーン・エイジャーとは全く違うが、どちらも彼女が演じて違和感無いのは、演技力だろう。
東のローナンに対して、西の演技派はマーゴット・ロビー。
争いの絶えない中世にあって、女王としてイングランドをまとめ、思惑入り乱れる枢密院を、ある時は声高に説得し、ある時は許容し、国のために全てを捨てて必死に舵とりをする等身大のエリザベス女王を、葛藤や心の疲れなどの弱さを抱えた表情が、見ていて辛くなるほどだ。「アイ・トーニャ」の激しく強いが不幸な女性の姿に重なる。こちらも28歳とは思えない、堂々たる風格だ。
この2人が盤石に演じる舞台として、中世の城やスコットランドの荒々しく美しい自然や城が綺麗で、次第にこの時代にトリップした感覚になる。美しい舞台の上で、魑魅魍魎のような男たちが権力争いを企てる、どす黒い人間模様が描かれる。そうした背景からも、暗く猥雑になりがちなこの時代の画が、丁寧で細やかな作りで、見やすく清潔にまとめられている点、監督のジョシー・ルークの手腕だろうか。ゴージャスというのは少し違う気がするが、劇場の大画面が似合い、見終わった後に得した気分になれる作品だ。
先日公開の「女王陛下のお気に入り」は、この時代から100年ほど後のことのようだ。これまであまり興味は無かったのだけど、この映画を観て、少し歴史を紐解いてみようかという気になった。
エリザベスを造ったのはメアリー?
この時代の歴史の知識がないので、取っ付きにくかったけど、中盤から謀略と裏切りと暗殺のドラマが盛り上がってきます。主人公のメアリーが自己チューのわがまま女にしか見えず感情移入しにくいけど、メアリーに押され気味だったエリザベスの存在感が、後半からグングン出てきて圧倒されました。あのインパクトある造形もメアリーの裏返しのように見えました。
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