グリーンブックのレビュー・感想・評価
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監督の力量が冴える傑作
脚本、映像、演技、申し分ない傑作。
黒人役の主役の方、笑顔が上手くできない人の演技が凄すぎた。たった一つのシーンで本当にこの方の辛く険しい人生を感じてしまった。
時折入るコメディ要素も、クドくなくて絶妙。例えばフライドチキンの骨は笑って車から投げ捨てるけど、コップは拾いに戻るシーン。映っていたのは車のタイヤだけでも、二人の会話が想像できて微笑ましかった。
他にも最後のシーン、豪華絢爛な美術品に囲まれた孤独な部屋と、貧乏だけど笑顔に溢れた部屋の対比も、まさに見事でした。
そして何より、初めは黒人が使ったコップを捨てるほど差別主義だった荒くれ者の主人公が、旅を通じて分かり合い、差別に憤りを感じる様になる心の変化を、分かりやすく、かつ、嘘くさくなくこの短時間で描ききったことに脱帽でした。
日本映画でもこのレベルが出来ることを期待する。
旅が終わる寂しさ
心あたたまるロードムービー。
◇白人運転手トニーと黒人ピアニストのシャーリーのロードムービー、バディムービー。
◇トニーはゴロツキだ。腕っぷしが強くて口も達者、悪知恵も働くからトラブルもよく解決すると評判だ。そこをシャーリーに見込まれてコンサートツアーの運転手になる。おしゃべりなトニーと割りと無口なシャーリーとの車内でのやり取りが楽しい。粗野なトニーと品行方正なシャーリーは衝突するが、対照的な2人が少しずつ近付いていく感じが良い。
◇トニーは黒人のことも黒ナス呼ばわりする人種差別ヤロウだが本人はあまり自覚してないように見える。しかし人種差別が色濃く残る1960年代の南部、トニーは差別されるシャーリーを目の当たりにする。ある時、トニーはカッとなって殴ってしまうが、シャーリーに 「暴力では何も解決しない」 とたしなめられて自制するようになっていく。トニーの変化していく過程が面白い。変化はもちろんシャーリーにも表れて、2人の間に友情が芽生えていくのが心あたたまる。
◇最後のほうでトニーの妻ドロレスがシャーリーに言うセリフにニヤリとさせられた。
☆アカデミー作品賞は当然である。♪ヽ(´▽`)/
2022/3/23(水) 🌤️☁️ 青梅
人種差別を越えて絆を深める二人の男
車に乗った白人と黒人という地味なフライヤーからは予想できない、全編、心地良く鑑賞できる実話ベース作品だった。大事件は起きない。台詞に無駄がなく緻密なストーリーで二人の男の旅路で起きる出来事を丁寧に描いていく。自然に作品世界に入ることができる。緻密なストーリーが奏功して観客の気持ちは徐々に高揚していく。そしてラストは心温まる感動に浸ることができる。
本作の舞台は1962年のアメリカ。主人公は、高級クラブの用心棒トニー・リップ。彼は、クラブの改装中に、黒人ピアニストのドクター・シャーリーの運転手に雇われる。そして、二人は人種差別が激しいアメリカ南部への演奏ツアーに旅立つ。人種、性格、価値観が全く異なる二人は、衝突しながらも徐々に親密になっていくが、人種差別の壁に直面していく・・・。
従来作とは異なり、粗野な白人ドライバーと雇い主は黒人天才ピアニストという設定が効いている。シャーリー役のマーシャラ・アリは人種差別の被害者である黒人ピアニストの孤独と苦悩を流石の演技で表現している。一方、粗野だが心優しく人間味溢れるトニーは当初、人種差別に無意識だったが演奏ツアーでシャーリー側から見た人種差別の実態を知る。被害者側の苦悩を知る。
当時、人種差別は合法化されていた。例えば、本作でも登場するがレストラン、トイレなどは豪華な白人用、粗末な有色人種用に分かれていた。故に白人にとって人種差別は普通のことであり加害者意識は希薄だった。加害者意識の希薄な加害者と差別に苦悩する被害者。どんな差別にも当てはまる普遍的な構図である。
演奏ツアーを通して、トニーは次第に覚醒していく。シャーリーの苦悩を理解できるようになる。人種差別に真摯に向き合うようになる。トニーは己の無意識に気付きシャーリーと徐々に絆を深めていく。そして、二人は人種差別を越えて、相互理解、相互信頼できる友と呼べる存在になる。
作品全体としては、日常的な出来事を巧みに積み上げて見心地、後味の良い感動作に仕上げている。人種差別シーンもあるが喜怒哀楽のバランスが絶妙である。実話ベースの緻密な脚本の賜物だろう。作品賞とともに脚本賞受賞も納得の良作である。
本作は美談=良い話だが人種差別の現実はそう簡単には変わらない。本作のような話が日常的になり、人種差別という言葉が死語になる、人種共生の日がいつか必ず到来することを信じて止まない。
黒人ピアニストと白人の付き添いによる米国内ツアー
気軽にストーリーを楽しみながら人種差別についても考えられる機会になる映画。
普段日本で生活していると、人種差別について考えることはほぼほぼない。世界全体で見るとやはりまだ白人至上主義が残っていて、黒人だけでなく自分達アジア人も差別を受ける側の人種である。
黒人のピアニスト、ドクターシェーリーがアメリカの各地に招かれてコンサートを行うが、演奏以外は差別を受ける。トイレも使わせて貰えず外で用をたせと差別されるシーン、バーで突然殴られ脅迫されたり、レストランで食事させて貰えなかったり。
付き添いのトニーリップは最初、黒人嫌いしていたが、ドクターシェーリーと旅を続けるうちに2人の間に友情が芽生えて差別主義者ではなくなる。
自分も鑑賞しているうちに、改めて人種差別について考えさせられた。人種ではなくて、その"人"を見て、接して関係性を築いていきたい。
p.s
・ドクターがフライドチキンの骨を投げ捨てるシーン、トニーが捨てた飲み物のゴミを取りに戻らせるシーン面白かった😆
・KFC食べたい
・楽しめたし心動かされる映画だった
シンプルだけど、良い映画だった
大人向けの良質な映画
1960年代の人種差別が根付いている頃の物語
人種差別により、黒人だからブルーワーカーだ。黒人だからホテルには泊まれない。黒人だからホテルのレストランを利用できない。黒人だから不当に逮捕される、
この様や理不尽なルールが色濃い時代の、心温まるヒューマンドラマの映画。
映画の良さは、自分が体験できないことを疑似体験できる、行ったことがないところ、行けないところに行くことができることにある。
宇宙に行きたいな〜と思えばゼログラビティを見る。
冒険したいな〜と思えばインディージョーンズをみる。
また、百聞は一見にしかず。
聞いたことあること、読んだことあること、などを
それを映画を通して体験できることにある。
つまりは映画を見ることにより人生においての知識を養うことができる。
改めて映画の意義や良さを感じさせてくれた作品でした。
内容は、皆さん書かれている通り。とても素晴らしい作品。
私の所感は、人種差別下の黒人と白人の立場において、ボスと雇われ者が入れ替わっていて、まさにこの時代、差別が横行している時代に生きる2人が清くも素晴らしく、とても温かく思えた作品でした。
最高傑作。学校で子供たちに見せるべき
最高傑作です。これは世界的にも名を残す名作です。
100人鑑賞したら95人は「最高の映画だった」と感じるでしょう。観客の心を鷲掴みにするとはまさにこのことなんだろうテンポもよくドライブ中の二人の掛け合いがたまらない。クスッと笑える部分もありつつ、考えさせられる部分もある。最高だ。
育ちや人種、性格も正反対な二人が仕事をきっかけに一緒に長い時間を過ごし、よき相棒となっていくのは微笑ましかった。
好対照な凸凹コンビだし、だからこそ奇跡的に生まれた絆がより一層輝く。
そしてこの映画の完成度には驚いた。黒人差別を違和感なく伝えていた。黒人が使ったコップをさりげなく捨てたり、なんとなくて白人から袋叩きにされたりなど。現実にこんなことがあったと思うと胸が苦しくなる。
私は実際に見に行ったことがないので確信ではないが、昔よりも今は黒人差別はなくなっているという。今の時代はLGBTや人種差別など多くの差別問題がある。そういう不平等をなくすにはこのような映画が必要だと思う。
全世界の老若男女が見るべき最高傑作である。
見る映画がなくて迷っている人だけでなく、見たい映画を後回しにするほどいい映画である。
ぜひこの感想を見た方には見ていただきたい。
バディー×ロードムービー×社会問題
文句なく素晴らしい映画
示唆に富み、すべてが珠玉のエピソード
示唆に富み、旅先で起きることのすべてが珠玉のエピソード
2人のキャラクターが生き生きと、見事なコントラストで描かれていて、全く飽きさせない。これはロードムービーの傑作だ
実在する人物ということで、もちろん脚色や誇張もあるだろうが、セリフのひとつひとつに磨き込まれた重みがある
使用された音楽も当時のヒットチャートをふんだんに盛り込んだ豪華なラインナップ。たたし、ピアノの演奏シーンが、思ったほど見事じゃなかった、合成か?どうも身体から首だけが浮いているように見えて仕方ない。残念だ。それから、当時パワーウインドウの車があったのなら、それを自慢するセリフがないと不自然だ。ま、瑣末なことはどうでもいい
『最強のふたり』によく似たテイスト。あの映画もハリウッド・リメイクを果たした
見終わった他の観客の反応はもうひとつだったようだが、これ以上何を望むというのだろう
確かにどっちが主役なのか、あいまいではあったと思う。マハーシャラ・アリが助演男優賞を獲得したのでヴィゴ・モーテンセンが主役ということなのだろう。名前のクレジットの順番もそうなっているが、映画さながら主従関係が複雑。トニーが主役というのなら、彼がどれだけ苦労してこのツアーを成功に導いたかというお話になる。それってどうなんだろう?
ところで、ある映画評に、「このロシアで学んだ黒人ピアニストには、もうひとつ秘密がある」みたいな書き方をされていたので、わざわざ命がけで南部に出かけていく目的が他にあって、それはきっとスパイ行為かなんかだろうなと勝手に想像力を働かせてしまい、身構えて見ていたので完全にスカされた。余計なこと書かなきゃいいのに
2019.3.1
日本人には分かっているようでわからない、「肌の色」の差別
初めての鑑賞
「良い映画を見た」と思う
物語の舞台は1962年のアメリカ南部とのこと
『ジャズ・ジャイアンツ』と呼ばれる名プレーヤが、たくさんの名作を残した時代だったと初めて気づいた。
黒人のジャズピアニスト、ドン・シャーリーとイタリア系白人のドライバー、トニー・バレロンガの物語
トニー自身、黒人作業員が使ったコップをキッチンのくずかごに捨てるなど、黒人を差別していたが、行動を共にする中で意識が変わっていくという物語
ドンがYMCAで逮捕されたシーンは「ゲイなのか?」と想像するしかなかったが、見終わった後に調べると、当時はそういう人たちもYMCAを利用していたと知って納得した
「人間の肯定」を魅せてくれる傑作
ジャズピアニストとして名声を得た育ちの良い黒人シャーリーと、粗野なイタリア系白人ドライバーのトニー。
正反対の個性を持つ二人が、実に人間味のある友情関係を築いていく。 プロセスの描き方が自然で、後味の良い感動にひたれる。 アカデミー作品賞と脚本賞の受賞は、文句なしで納得。 何度観返しても楽しめる、極上のロードムービーだ。
激しい差別が渦巻く南部のツアーに乗り込んだシャーリー。
世間知らずで頼りなく見えるが、様々な災難に遭っても挫けない。 彼を守っているのは、信念を貫く強さ以上に、人間を信じる純粋さだ。
一方のトニーは、場数を踏んで現実を身につけた男。
無学で無頼。 時には、暴力で問題を解決する。 そんな彼がシャーリーと信頼関係を築いていくことになるのは、人間に対する肯定感で通じ合っているからだろう。
優しさで人間を否定しないシャーリーに対し、暖かい家庭と多くの経験の中で多様性を身につけた大人のトニー。 様々なエピソードを観るうちに、この二人が、違うようで実は同じステージに立つ同類だということが分かってくる。
鑑賞後の後味が良いのは、いつまでも忘れずにいたい「肯定的な感動」を味わえるからだと思う。
ピーター・ファレリー監督の「いとしのローズマリー」を観た時、 作品に関わったスタッフ全員のチームワークの良さを強く感じた。 同監督の映画創作の根底には、「人間を肯定的に描きたい」という強い思いがあるのではないだろうか。 グリーンブックは、そんな監督のこだわりが見事に結実した完成品である。
バイアスを問いかける
この作品は全編を通して視聴者に問いかけをしてくる。
黒人は手でチキンを食べないのか?イタリア人はパスタとピザが好き?男だから男を好きなのはおかしい?
そしてこの作品を通してもう一つのバイアスが作られている。警察官は粗暴で嫌なやつだと。
そんなバイアスがまたできていないか?
警察官にも良いやつはいる。そんな皮肉のように視聴者を誘導して訴えかけてくる。
日常にそんなバイアスが溢れているが、惑わされないように、目の前の人や情報をしっかりと見定めて生きるべきだ。
そんなバイアスを持たないトニーリップとドクの友情が深まっていく描写には非常に説得力があり、感動すら覚える。
上流階級の人種差別
使用人の人種差別は他の映画でも観てきたが、金や名誉がある黒人でもこんなにかと痛感しました…
ゲストとしてもてなしているのにトイレは絶対ダメなんですね…は〜…こんなにか〜…
でも、同性愛までぶっ込んでくるとは予想外!!
"黒人"と"警官"は同じ
この映画で最も印象に残ったのは最後にNYに帰る道中のシーン。
ハイウェイで警官に止められてしまう。
トニーも視聴者もてっきり黒人の外出についてまた難癖をつけられるのだと思っていた。
しかし警官が二人の車を止めたのは、車の故障を気にかけたことだったのだ。
警官は二人に丁寧に声掛けをし、修理の間の交通整理も手伝ってくれる。
最後にはドクとトニーの二人にメリークリスマスと声をかけ、送り出してくれた。
まだまだ黒人への風当たりは強い時代だったが、全ての人間に根底から差別意識があるわけではなく、時代を変えていくのは偏見のない思いやりのある一人一人の行動なのだと感じさせられた。
トニーはドクと少しずつ交流を深めていくことによって自分も成長していった。
黒人だから〇〇、警官だから〇〇。このような考えに囚われないということは社会的に価値あるということだけではなく、自分の人生を豊かにしてくれるのだ。というメッセージを感じた。
人種差別を正面から捉えた傑作
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