グリーンブックのレビュー・感想・評価
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スッキリ見れるバランスの良い作品。ただし人種問題については一歩引いてみた方がいい。
ゴロつきのイタリア人と妙に上品な黒人との組み合わせ。
何しろ脚本がよい。色んな意味でバランスよく描かれている。細かいところにちゃんと伏線が貼ってあるので、人の対比だけでなく、時代背景もイメージしながら見れる。
人種問題を扱う映画はどうしても深い闇を描かれがちで、心してみないと重くなってしまうが、この作品は2人のキャラでいい感じに留まるので、比較的安心してみてられる。
しかし逆に言うと、こんなもんじゃない、という意見はありそうなので、あくまでも入り口、一つの視点、くらいに思った方がいいだろう。
個人的にはバーでピアノを弾くシーンはヒヤヒヤした。(それも制作側は予見してなのか、バーを出た後のドクのちょっと浮かれた感とニックの対応が、その感覚を消化させてくれた。こういうところも脚本が上手い)
ロマンチスト
ドクターとトニーの共通点は、ロマンチストなところだろうか。。。
いろんな差別とか、お互いの境遇とか一通り共有して仲良くなるのは想像できたけど…このロードトリップはトニーにとっても、ドクにとっても満ち足りていたと思う。
トニーは尊敬する友達が増えて、手紙の書き方を覚えた。
ドクはトニーから、寂しい時は自分から先に働きかけることを学ぶ。
トニーの妻はドクから手紙を教わってることをお見通しという!笑
差別打破へ女性への期待が込められたラストシーンか…
以前、やはりTVで観たが、
民放の短縮版だったような記憶がある。
その時の私の感性が低下していたのか、
そうではなかったのかは分からないが、
当時は余り感情移入出来なく、
短縮化に罪深く無理栗な編集があったものと
勝手に思い込むほどの今回の鑑賞になった。
結果として、
アカデミー作品賞他の受賞や
キネマ旬報第5位(読者選考第2位)の
評価に値する名作と納得出来た。
この作品は1962年の物語。
1964年の公民権法成立前で、
白人黒人二人の立場のひっくり返り以外は
従前からの差別環境そのもので、
二人の世間から浮いた感じは如実だ。
黒人ピアニストは仕事を通じて
古い差別慣習の打破を目指しながらも、
一徹さだけでは済まない現実的な対応も
あり得ることを知り、
己の孤独心も雇われ白人と
彼の家族の存在に癒やされるようになる。
一方、雇われ白人は
黒人の人間性と
彼の差別環境を目の当たりにして、
己の偏見を正し、彼を己の家族に招き入れる
ことに幸福感まで抱くようになる。
主役の二人のお互いに良い刺激を与え合い
成長する姿は、
心理学者の島崎敏樹さんの
“愛とはお互いの人格を高め合う行為”
との言葉を思い出す。
また、直前にヴィスコンティの「家族の肖像」
を観たが、“孤独と家族への想い”の観点では
同じテーマ性も感じた。
ラストシーンの印象深い名画も数多いが、
この作品も見事だった。
黒人ピアニストを抱擁しながら、
夫からの手紙が彼の作文と見抜いていた
雇われ白人の妻が
「手紙をありがとう」と囁くラストは、
女性の洞察力の鋭さを示すだけではなく、
肌の色の違いを乗り越える見識を持った存在
であることを示唆しているようで、
差別打破への監督の期待が込められた
見事な描写に思えた。
『ニガー』と言うな!
上流階級の人間に、庶民の文化をわからせる話や、
黒人と白人の友情の話は、色んな映画で出てくるが、
本作は、主役の2人が演技が上手く、非常に魅力的だった。
名ピアニスト、ドクターが、雨の中で叫ぶ。
「黒人社会も知らない、男性ではない、俺は誰なんだ。」
その特殊な人物が、ツアーの運転手に雇った粗雑なイタリア系白人運転手トニーと
心の交流を重ね、次第に属性を離れ、人と人として、惹かれ合う。
当時、アメリカ南部では、VIPな黒人であっても白人と同じレストランで
食事できないと言うことが、印象的だった。
色々と考えさせられる
とにかく色々と考えさせられる一本。
黒人の中で一流のピアニストとしていること、その上更にマイノリティであることの生きづらさ。
クラシックピアニストとして活躍したいと思いつつ、違うエンターテイナーとしての道が提示されていること。クラシックの世界はその後どれだけ変われているのか。
南部でツアーをやると決めたドクの思い。
そしてどこまで我慢して、どこまで自分の信念を貫くか。
レストランで食事を許されず、最後の演奏の演奏を蹴った後、木枯らしのエチュードを弾く姿が印象的だった。
何よりも良かったと思ったのが演奏を見守るトニーの表情。その表情がドクの才能の全てを伝えていたように思う。
トニーの妻のドロレスも素敵な女性だった。
勇気が人の心を変える
傾向と対策をチェックする本と云えば赤本ですが、海の向こうにも、あったんですね。
先日、アメリカ中間選挙前の様子を、テレビで見ました。意見の異なる人々が、議論を交わせる時代が終わり、対立する時代になってしまったことに、失望するヒト、ここから更なる進化を目指すヒト。様々なヒトが、よってたかってアメリカなんだなぁと。
「アメージング グレイス」
「それでも夜は明ける」
「グローリー」
「デトロイト」
枚挙に暇がないとは言ったもので、対立と融和を模索する歴史が、アメリカの歴史とでも云いましょうか?。
差別はダメ。ヒトは皆、平等。それが当然と、学校で教わったような気もしますが、それよりも、差別はある。対立もある。ただ、それを超えて行ける知恵と勇気が、君らの宿題だと、学校で教えたほうがいい。
差別?。クールじゃねぇな。ヒトを見かけで判断するあんたの目は、節穴か?。くらいのノリで成長したいものです。
アジア系のヒトが暮らしにくくなったとか、選挙の話を気軽にできなくなったとか、いろいろありのアメリカですが、そこから成長できるポテンシャルもまた、アメリカなのかも。解り合えなくても、解り合おうとする。たとえそれが、大いなる幻影だとしても。
お騒がせな元大統領が、再びお騒がせな2年間にしそうですが、未来を悲観するくらいなら、今を変える勇気を探す。その手掛かりとなるグリーンブックは、案外この映画なのかも。
分断と対立の種は、一つだけではありません。多様性と民主体制を体現する試練は、これからも続くようです。と云うか、試練の連続が成長であり、勇気の証なのかな。
お手元のグリーンブックに、皆様はどんなメッセージを残します?。
何度見ても良い!
変化していくトニーが柔軟でいいよね。
1960年代ってこんな差別があったんだ!ってびっくりしたし、今はいい時代になったんだなぁって見てて思う。
最後の演奏の日、バーで楽しそうにドクがピアノ弾くの見てジーンってなる。いい友人ができて良かったね😭
黒人に対する差別意識の変化
最初は黒人作業員のグラスを捨てるほど黒人に対する嫌悪を示していたのに、最後にはニガーという発言を注意したり、ドンを親戚一同に紹介していたシーンが印象的だった。
こっそりグラスを捨てる冒頭のシーンと、親戚一同に紹介する最後のシーンは、家庭内という共通の場面の中で、ヴァレロンガの心境の変化を妻の視点から対比させ描いているように感じた。
ストーリーの中で、黒人ピアニストのドン・シャーリーを、ピアニストとして歓迎する一方で、黒人として差別的な態度(同じ席で食事をさせない、同じトイレを使わせない等)をとる人々に矛盾を感じた。
孤高とは
黒人として生まれたら、単純作業か肉体労働しかさせてもらえない世の中で、超高等教育を受け、VIPな生活をしている、ドクター・ドン・シャーリー。孤高だ。黒人差別が激しい南部に、トラブル覚悟でツアーに出ようとは、志が高い。自らの姿を晒し、闘うこと、諦めないこと、希望を持つことを訴える。その姿は美しい。
トニーのがさつぶりが対照的でおもしろかった。骨を投げ捨てちゃダメだよ!
BSフジの放送を録画で鑑賞。
人種差別を題材にした映画を観るのが初めてだったら、好きな作品になっ...
人種差別を題材にした映画を観るのが初めてだったら、好きな作品になっていたと思います。
ただ同じ題材の他の映画と比べ、真新しさがあるかといわれるとないです。
よくいえば王道、悪くいえば想定内の内容に感じました。
カッコ良すぎて涙したw
とんでもなくかっこいい映画ですね。
60年代前半の黒人差別がひどかった時代。NYのクラブのバウンサーとして働く黒人嫌いのイタリア人。
スノップな超一流黒人ピアニスト。
その2人がツアーの旅に出ることに。
なんか嫌いなマフィア映画か?と思わせる序盤。
しかし!イタリア人の奥さんがピアニストのレコードを買ったときのアホアホなくだりで魅了されましたww
笑いのセンスが良い!というか私好み!!
人種差別が出てくる映画だと途中からどーんと重くなりがちですが、この映画、生きるための知恵と誠実さでチョイチョイ感動させながら最後まで行ってくれます。
さらりとしているのにこの感動。
すごい映画です。
心地良くも奥深い作品
劇場公開以来の久々の鑑賞だったけど、やはり素晴らしい作品だ。
人種差別が色濃かった1960年代において、黒人ピアニストと白人運転手の交流をシリアスさを若干抑えつつ、ユーモアと温かい友情で描いている。これが個人的には絶妙なタッチで心地良かった。
ただ、アカデミー作品賞を受賞するも舞台となったアメリカで一筋縄ではいかない意見や問題が噴出したとか?多民族国家での人種問題は奥が深い…
王道で満足
こうすると映画って面白くなるよねという、アメリカ映画が培ってきたセオリーに忠実に沿ったような王道のような映画。
セリフ回しの魅力や、主人公の豪快なキャラクターや、そもそも白人と黒人の友情を描くという点もアメリカ映画のテッパンセオリーと言えるだろうと思う。
これは決して批判的な見方をしているわけではなく、普通に狙い通りに私は泣いたり笑ったりとこの映画を最初から最後まで楽しんだ。
僕はドンシャーリーの音楽を聴いた事もなければ、この映画が実在したミュージシャンを描いているという前提知識も無い状態で楽しんだのだが、
シャーリーが登場し、ミュージシャンだとわかり、上品な人物像が把握できてきて、あのピアノとチェロとベースのトリオという珍しい編成で演奏されるクラシックでもなくポップスでもない音楽に驚くという、リップスが味わったであろう感動がしっかりと味わえた。
強いて難点を挙げるなら、このクオリティの映画にしてはチェロとベースの役者さんの弾き真似がちょっとレベル低かったことぐらいか。
黒人リッチマンに雇われた白人運転手のロードムービー
2人に愛と絆が芽生え、友人になるまでの
ロードムービーです。
黒人差別の色濃い南部を演奏旅行する黒人ピアニスト。
その運転手の白人が雇用主の黒人エリートのピンチを
何度も助けるうちに芽生える絆と厚い友情。
友情に黒人も白人もない。
あるのはお互いを必要としていること。
Dr.ドン・シャーリーは博士号を持つインテリのjazz ・pianist。
ドン・シャーリー・トリオはピアノのドンとベースとチェロの編成。
(この編成はかなりクラシック寄り)
クラシックを学んだドンらしく、上品で高度のテクニックの
洗練されたトリオだ。
この映画は映画館で字幕で観ました。
今回は配信・吹き替えで3年以上ぶりに鑑賞。
アカデミー賞作品賞に輝いただけのことはあります。
友人の役割。
友情は家族と同じか、時にそれ以上のことさえあります。
ドンを守り助けるトニー。
トニーのピンチには、時にドンの機転も出動する。
警官に暴力を振るったトニー。
(理由は、ドンを雨の中、車から引きずり出したから・・・)
ドンが留置場から電話で頼った相手は、
なんと司法長官のロバート・ケネディ!!
(胸のすくシーンだ!)
最後の町。
アラバマ州バーミンガムは、差別が酷かった。
彼らはその日の主賓のピアノトリオ。
そのリーダーが黒人というだけで、会場レストランの白人と
同じテーブルでドンは食事が出来ない。
楽屋は物置の片隅。
遂に切れるドン。
演奏会をキャンセルして向かったダイナーには、
生演奏ステージがあった。
ウェートレスにせがまれて弾いた一曲目。
ショパンの「木枯らしのエチュード」
素晴らしい!!
そしてそのステージ専属の黒人j Jazz musicianとのセッション。
心震えるシーン、生演奏だ。
一番の問い?
ドンは北部(ニューヨーク)での王侯貴族のような扱いから、
敢えて差別濃い南部での演奏旅行を決めたのだろうか?
それも稼ぎときのクリスマス・シーズンに。
黒人専用のモーテル。
トイレも会場の外のトイレを使う様に言われたドン。
往復40分かけてモーテルに戻る。
そんな理不尽と戦うことが目的だった?
黒人に魂の音楽を届けたかったのか?
子供の観客がいない世界に、
教育と啓蒙はあり得ないと思うのだが・・・
どうもハッキリと分からない。
もしかしたら、
自分の原点。
差別される自分。
その現実を忘れないため、
そして自分を甘やかさない為だったかもしれない。
そんな事はどうでも良い。
このロードムービーを楽しみ、
トニー一家のクリスマス・ディナーに訪れたドン。
殻を破ったドンと共に、
「Merry Xmas」を!!
最高に気持ちいい映画だ。
スノッブな白人観客
旅には人生を変える、不思議な力がある。
一人ではなく他の誰かと旅をすると、
そして、その期間が長ければ長いほど、不思議な繋がり(絆に近いもの)が生まれる。
出自や価値感の違う二人、黒人ピアニストのドクターと、白人用心棒のトニーが主人公。
舞台は1960年代のアメリカ。
黒人が泊まれるホテル「グリーンブック」を頼りに、南部を音楽ツアーで周る。
当時は今以上に黒人に対する差別が酷かったようで、映画の中にはさまざまな差別がでてくる。
おそらく映画だからマイルドな表現で表されているけど、実情はもっと酷かったんだろうな。
ドクターは、黒人差別に勇気を持って立ち向かうために、差別の強い南部をツアーで周る。黒人差別をしていた用心棒のトニーも、ドクターと旅をする中で絆に近いものが生まれ、黒人差別に対して抗うようになる。
「相手の立場に立って考える。」
よく耳にする言葉。
でもそれが本当に難しい。
差別って、その人が育ってきた環境の影響が大きいと思う。
それは大きく言えば社会であったり、身近に言えば親であったり。
だから差別をする人にすれば、差別をすることはいわば普通の、当たり前の行為であると思う。
そこに罪悪感というものは、ない場合が多いんじゃないかな。
そういう意味で言えば、差別は骨の髄まで染み込んでいるものだと思う。
僕はこの映画を観て、自分はスノッブな白人観客側なんじゃないかと思った。
「差別はダメだと思いました。」
そんな小学生みたいな感想じゃ駄目なんよな。それじゃ外野で観てるだけ。
なにも変わらない。
僕らひとりひとりが、差別に対してどう行動していくかが大切。
人々の骨の髄まで染み込んでいる、差別に対して。
僕になにができるだろう。
僕はどう行動すればいいのだろう。
などと考えた映画でした。
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