ラストレターのレビュー・感想・評価
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映像で表現する人
3ヶ月ほど前、原作を読んだ時は何かだらだらつまらない話で、岩井さんの小説ってヘナチョコだ、と、がっかりでしたが映画を観てびっくり。素晴らしいじゃないですか! やはり映像表現の人なんですね。
クレーン多用の美しいカメラワーク、それを邪魔しない小林武史さんのピアノ、無意味な誇張の無い役者陣の演技。特に柱時計のチクタク音だけをバックにした長台詞にはしびれました。
「人の人生なんて、ちゃちな本に収まるものじゃ無い」と罵られ落ち込んだ鏡史郎が、自著にサインを求められ再生していく終盤も好感が持てました。
[追記]
エンドロールの「カエルノウタ」があまりにも良いのでspotifyで早速ダウンロードしました。ちょっとスワロウテイルっぽくてお勧めです。
ロケと設定は良いが、物語展開は...
夏の宮城の川や森が涼しげで、微妙に揺れる手持ちカメラや編集のリズムが穏やかな気持ちにさせる。姉になりかわる前半の松たか子がメインのパートは、夫や義母のエピソードを含め、コミカルさもあって快調。
しかし、福山雅治が宮城を訪ねてきた以降の展開は、?マークが次々と浮かんでくる。中山美穂と豊川悦司のやさぐれさは、思いどおりにならない人生の苦さを示すものだとしても、見たくないものを見せられた感じ。最後の広瀬すずの語りも、母が福山を想い続けていたことに熱く共感していたが、父である豊川に対する屈託なりを一切見せないことに違和感があった。
森七菜のピュアな演技が素晴らしく、これからが楽しみ。
「誰かが想い続けていたらその人は生きていることになるんじゃないでしょうか」
自殺した姉、その姉を忘れられない元恋人、その男を憧れていた妹、そして姉の娘。姉以外の三人それぞれの群像劇をシームレスに溶け合うような構図で描き出す、岩井俊二ワールドに満ちた映像で溢れる作品である。
岩井監督作品で印象に残るのは『リップヴァンウィンクルの花嫁』であった。今作品はロケ地が出身地ということで思い入れもひとしおなのだろうと想像する。
兎に角、キャストが豪華だ。監督のキャスティングであるならば、その力は凄まじい。まぁ、それだけではないだろうけど、誰もが主役を張っている俳優や、ミュージシャン、話題の人物達をチョイスできるだけでも驚く。庵野監督を引っ張り出した自体で何か別の力が働いたんじゃないかと訝しく感じる程だwもし、日本アカデミー賞にキャスティング部門なるものがあったならば間違いなく今作だと断言できる。音楽に小林武史を引き入れたのも特筆だ
そして、ストーリーも又ハードでアダルティだが、そこはきちんと優しさでオブラートしている作りでバランスを保った仕上げである。
何より、久しぶりに福山雅治の“自信がない人物役”を観れたことが興味深い。普段の尊大な役柄が常の彼が、これ程の矮小な役を演じていること自体、希有なのかも知れない。松たか子のコメディエンヌ振りや、トヨエツ&中山美穂のヤサグレ感の安定も、確かにデジャヴ感と言ってしまえばそれまでだが、しかし基礎がシッカリできてるからこその盤石の布陣と呼べるのであって、芸能界で長い間一線で活躍してきた人の凄みを感じずにはいられない演技である。そんな布陣だからこそ、敢えてチャレンジをした役柄の福山が一際目を惹く演出に応える事が出来たのだと思う。一方、広瀬すずも堂々たる演技だ。脚本の作りも絶妙で、敢えて自死の前のDVを受けていた頃の姉を登場させないことで、一番不幸で心身共にボロボロの状態を周りの情報のみで伝えた事で、鑑賞者それぞれの想像として落ち着かせたことが或る意味ナイスアイデアだと感じた。これならば輝いていた頃の姉として、広瀬を二役に演じさせることが出来る。メインストリートがシッカリしていれば、多少同時並行の脇道が多分に破綻していても何とか力任せに駆動はできる。まぁ、妹の手紙の嘘が又繰り返されるのを、お見通しで文通することや、同時に姉の娘との文通も始まることで違和感を覚えるだろう事への説明がないことの不親切感も、原作として岩井監督が発表しているのかは定かではないが、その辺りの綻びは多分制作側の編集優先があったのだろうから、致し方ない。姉がなぜトヨエツ演じるDV男に転がってしまったのか等々、説明不足も散見される中、それでもきっちり悲しみの涙を流させる演出力は大したものである。
ドローンによる空中からの俯瞰撮影の多用等、意図を訊いてみたいカットもあるのだが、それでも、トヨエツと福山の酒場での圧巻の会話劇のシーンや、クライマックスの霊前でのシーン、些末だが印象的なそれぞれのヒロイン達からサインをねだられるカットなど、心に残る画力を紡ぎ出す岩井監督の映像作家としての実力に感服させられる。
劇伴の効果的な挿入にも感服する、監督の健在さをアピールされた堂々たる作品であった。
PS.“なかたがい”高校っていうセンスも光っていたよw
切ない
今を大切に生きること
一昨年に情報解禁されてから、ずっと楽しみにしてた映画!公開初日(1.17)に観に行けた🥺
神木隆之介くんファンで、演技上手な神木くんを期待し 観にいった私だけど、俳優陣全員の演技が本当に自然で驚いた。
すごく立派な映画なんだけど、どこかホームビデオをみているような…親しみやすさもあり、すごく感情移入しやすかった。
ただ、神木くんの登場シーンは思ったよりすこし 少なかったけど。。😞笑
情景も 自然溢れて本当に綺麗で、つい見入ってしまう。
SNSに囲まれた現代の生活はとても便利だけれど、手紙だからこそ伝えられるもの 残るものがあるなと思った。自分も何か大切なことを伝えたい時は 必ず手紙を使っていきたい。
そして、タイトルでもある 作中のラストレター。。📮_____💌.
あの文章を通して感じさせられたことは、いまを大切に生きないとな ということ。
高校生でいられるのはいましか無いから、いまを大事にしたい。
本当にいい映画をありがとうございました!高校生のうちにこの作品に出逢えてよかったです。
これから歳をとっていったら、見方が変わるのかな。
人生を通して、何回でも観たい。
心がきゅーっとなりました
さすが岩井さんですね、心がきゅーと締め付けられて、ジワジワ泣けました。
初恋の人を大人になっても忘れられず、思い続けるっていいなー💕
という私も未だ忘れられず、たまに会うたびやっぱり好きだなーと思ってしまうので、リアルに自分に重ねてしまいました。
すずちゃんと、七奈ちゃんがまた可愛い。
マスクをとった瞬間、一目惚れするのとかもわかるー!
すずちゃんが生徒会長というのも、すごくハマってた。
この時代だからこそ、ネットではなく手紙のやり取りというのがまたノスタルジックで素敵です。
大人になった福山さんに、学生時代の神木くんがダブって見えた時があって、普通に見たらあまり似ていないのにすごいなーと思った。
妹が先に乙坂を好きになってるのに、乙坂が姉を好きになったことを応援しようとしちゃうとか、切なすぎる!
生物部の活動で妹と乙坂の雰囲気よかったのにな。
予想していた設定とは違っていたのがびっくりでした。私は妹はずっと大人になっても乙坂が好きで独身のままなのかと思ったら、違うのかー。
でもあんな旦那さんはやだな💦
まあ、あれがないことには、文通は始まりませんが(^^;
姉の大学時代に何があったのかも描いて欲しかった。高校時代だけだったから、気になります。
豊川さんの役ハマってたけど、どんな大学生で、姉はどこに惹かれたんだろうなー?
乙坂がカメラを構えて、姉妹のそれぞれの子供2人を撮るところがなんか好きでした。
違わねえよ
岩井俊二作品の最新作、かなり楽しみにして、原作も読んだ上での鑑賞でした。岩井俊二作品で初めて見た、リップヴァンウィンクルの花嫁の時のザワザワ感を思い出しました。独特のカメラワークや作られていないのに完璧な世界観、耳に残る音楽は健在で、映画館で観られたことをとても嬉しく思いました。
役者陣の演技も素晴らしく、特に森七菜さんと広瀬すずさんの、"そこに存在する"姿は大袈裟でなく心にささりました。広瀬すずさんの物憂げな柄も真の真っ直ぐ通った表情と森七菜さんの闊達ながらも寂しさを感じさせる表情は印象的です。また特に異彩を放っていたのは、阿藤演じる豊川悦司さんでした。「違わねえ。俺のせいだ。」のセリフが強烈でした。登場こそワンシーンですが、未咲がどんな日々を送っていたのか、阿藤の振る舞いと言葉遣いで、その光景が目に浮かぶようでした。
しかし、原作を読んだ時から若干感じてはいたのですが、岩井俊二作品にしては単純で、よく言えば沢山に人に愛される作品かもしれませんが、リリイシュシュのすべてやスワロウテイルに感銘を受けた私としては、どこか物足りなさを感じてしまいました。love letterを見た時の胸の高鳴りやザワザワもそこまで感じることができず、少し残念でした。
中山美穂
広瀬すず
リップヴァンウィンクルの花嫁、花とアリス殺人事件がとてもよかったので期待して鑑賞
手紙にまつわる物語、脚本がよいですね
演出も丁寧な印象
役者もみなさんよかったです。前半は松たか子、中盤の福山雅治、この人たちはベテランなんで上手くて当たり前。
なんといっても終盤の広瀬すず!二の腕!
は冗談で、表情から雰囲気から大したもんですよ。
しかーし、文字通りのラストレターが乗れなかったです
〇〇宛の手紙の内容があれじゃああまりに救われないのでは⁉︎
(原作だともう少し詳しく書いてあるんですかね?)
回想の中のあの人と、現代でとる行動にギャップがありすできてゾッとしてしまいました。どんだけ高校時代に囚われているんだろうか…と
あと音楽は小林武史感あんまりなし。主題歌は森七奈?あまり上手じゃなくて少し残念でした。
「ラストレター」のメッセージは伝わったか。
美しい余韻を残す作品である。恋心の描き方が巧みである。物語は高校時代と現在との二元で進行していく。高校時代の初恋はピュアで切なく瑞々しいものに、時を隔てて現在に蘇った初恋はピュアだけどおかしみがある。二つの時代の恋心を若い広瀬すずと森七菜と、ベテランの松たか子が魅力的に演じる。広瀬の安定感は相変わらず抜群だが、森の瑞々しい演技には心奪われる。手紙のやり取りが物語の中心にあるが、その行き違いで発生する気持ちのズレみたいなものが面白く描かれている。そのズレがラストで感動的なシーンにつながっていく所がとてもいい。「ラストレター」のメッセージも納得できる。
作品全体の雰囲気はとてもいいが、話の内容は疑問点満載で、少し気になるため若干評価は辛めになった。具体的に挙げると・・・
・乙坂は同窓会で会ったのが、未咲ではなく裕里だと知っててなぜ分からないふりをしたのか。
・乙坂が未咲と学生時代に交際することになったのは、いかなるいきさつがあったのか。
・乙坂に告白した裕里との関係はその後どうなったのか、裕里の気持ちを後押ししたかに見えた未咲はその後どうしたのか。
・未咲はなぜクズ男の阿藤と結婚したのか、母娘で暴力を受けながらなぜ別れなかったのか。
・裕里が未咲と疎遠になったのはなぜか、お互いに相手を思いやる姉妹だったはずなのに。
・未咲の自殺がそもそも疑問。可愛い一人娘を残して死ねるはずがないのでは。
・別れた後に、乙坂が送り付けてきた小説「未咲」の原稿を、大切そうに何度も読む未咲の心情が理解不能。
細かいことは気にせずに、監督の描きたかった美しさだけを鑑賞すれば、とてもいい作品なのかもしれない。
心地良い透明感
キャストや手紙や一人二役など、「Love Letter」のピースが散りばめられた作品。
とてもわくわくするキャスティングですよね。
中山美穂と豊川悦司、二人をこんな形で再会させるのも何とも憎らしい。
そこに「四月物語」の松たか子、福山雅治、神木隆之介。
そして一人二役の広瀬すずと森七菜。
この二人の澄んだ感じが本当に素晴らしいんですね。
作品の透明感は、この二人から生まれてるんじゃないでしょうか。
本当、全編を通して心地良い風を入れてくれます。
二人の「普通な」芝居も良く、二役もとてもスムーズにできていたと思います。
それにしても監督は女性、特に少女の美しさを切る取るのが本当にうまいですね。
少し青みがかった映像もきれいで、田舎の自然美を見事に写しだしていました。
家の中のしっとりとした空気もとても良かったです。
作品はとてもゆっくりとした流れで、何だか水の流れのよう。
ただちゃんと緩急もついており、少女達のいたずらで流れは急に速くなります。
なので一辺倒な感じはありません。
間々に学生時代のカットを挟み込む構成も良かった。
思い出をとても大事にしている感じが伝わってきて、物語にスッと入り込みやすかったです。
脚本や設定などには所々「ん?」ってなったりもするんですが、そういったところも何だか「らしい」ですね。岩井監督ならでわって感じでしょう。
でもラストに近づくとそんな事はどうでも良くなってて、再びゆっくりとした流れになり静かに物語は終わります。
あえて泣かせようとする演出が無かったのも良かったですね。
鑑賞後にはふわっとした心地良さだけが残りました。
とても素敵な作品です。
また、岩井監督がメガホンを取ったもう一つの「ラストレター」、「チィファの手紙(2018)」も秋に日本公開だそうで、こちらも楽しみです。
それに劇中で出てくる小説も実際に監督が執筆しているようなので、こちらも出版される事を期待しています。
慕情
実に不思議な気分だ。
清らかな清流が人の骸をコロコロと運んでくるような。それに驚くでもなく慄くでもなく、ただただ目の前を通り過ぎてくのを眺めてる。
なんでこんな感想なのかはよくは分からない。この状態にどんな呼称があるのか分からない。だから、分からないから一生懸命書いてみようと思う。
ノスタルジックな青春の幻影の話なのかと思ってた。それはそれで、おそらくはそのまま進んでも心に残る作品になったと思う。
だけど、監督はまるで白紙に墨汁をぶち撒けるように破壊する。その過去の幻影に逃げこもうとする観客の胸ぐらを掴んで、人混みの喧騒と雑踏の中に引き戻す。
「どおして??」
そんな物語にしなくても良かったじゃない!そんなものが見たいわけじゃないんだよ!
軽く発狂しそうになる。
夢など見せてくれなかった。
作品は不思議な交錯をしていく。
未来への憧憬と過去への憧憬が交錯していく。まだ何者でもなかった頃、何者にかになるであろう将来に想いを馳せる。
もう何者にもなれないと現実と向き合った時、あの頃は良かったと過去の時間に想いを馳せる。
結局のところプラスマイナス0のような事で、唖然とする自分に今気づく。
確かに時間は流れていて、過去の自分とは違う自分がいたりもするのだが、距離って概念はあっても時間って概念はあるのだろうかと疑問を抱いたり…。
いや、あるよね。
間違いなく僕らは老いていく。
でも、心はどおなのだろう?
形骸化しない心というものにも、果たして時間の概念は当てはまるのだろうか?
…どっちでもいいよね。
風化した方が幸せな事もあるし、忘れられないもしくは忘れたくない事もある。
緩やかにでも記憶が曖昧になっていく事を思えば心にも時間の概念は当てはまるのかもしれない。
道のりを見てるようであった。
ズタボロだな、とも思った。
片道切符とか。
どこまでも行ける片道切符を持ってるけど、その列車がどこに向かうのかは知らされない。
…なんかそんな言葉をどっかで聞いたな。
思い出される情景は、いつも暖かな日差しの中だったなぁとか。
今の情景はどこか陰鬱で、生活臭が蔓延してて暗かったり閉塞感があったり。
子供達に別れを告げた時は雨の中だった。
でも嫌な感じじゃなくて、洗い流してくれるかのような清潔感があったな。
若かりし頃に抱いた「夢」は中身は何も変わらないのに、いつから「欲」と名前を変えたのだろうか?
色々と…モヤモヤとした問い掛けばかりが頭に浮かぶ。
吐き出される言葉は多いものの、何を語ろうとしてるのか、よく分からない。
豊川氏が醸し出す負のオーラみたいなのはえげつなかった。出来れば今後の人生において対面したくないと思う。
中山美穂の枯れた感じが、この作品の象徴とも思えてゾワっとする。よくぞこの役を受けてくれたし、キャスティングしてくれたと絶賛したい。
広瀬さんのギャップが表現する事も多いと思う。あんな可憐な少女…いや、実際にはもう女性という年齢なんだけど、そんな彼女に降りかかり続けてる不幸とか、生い立ちとか。
「迎えにきてくれる」と告げたシーンなんかは可哀想で可哀想そうで、見てられなかった。彼女の母は選択を間違えたのかもしれないが、彼女には選択権がない。
健気というか、気丈というか…屈託なく笑う笑顔は実は一生懸命笑ってたんだろうなぁと思える。
木内みどりさんに会えたのも、俺的には幸運だった。染み出す仕草に祖母の半生を感じたりする。
松さんがアレをやってくれたから、この作品を最後まで諦めずに見れたような気もするし。ホッと出来るというか、なんなんだろう?
許されてるというか、包容力に近いものを感じてたような気がする。
そして森七菜さん。
絶品だった。
素朴な感じに癒される。
まるで付け合わせのポテトサラダのような感じで…メインディッシュで頼む事はないんだけれど、なんの料理を頼んでも必ず盛り付けられてるポテトサラダ。いつしかそのポテトサラダが食べたいが為に、その定食屋に通うような。
ホントにホントにあなたがいてくれて良かった。おいくつなんだろう?14歳と言われても俺は全く疑わないと思う。
海町ダイアリーで広瀬さんを見た時には、まるで太陽のような印象だったのだけれど、今作の森さんには森林浴をしてるような清涼さと静けさを感じてた。
その2人を見つけた福山氏
俺的には気に入らない。
あんな程度のリアクションなのだろうかと頭を捻る。いやもう誰に感情移入してるのか分からない程入り組んでるから、俺の感情が先走ってた感はする。
それでもだ!もっと狼狽えてもいいんじゃなかろうか…興を削がれた感じがして残念だった。
切り取られる絵は、常に儚げで美しく岩井ワールド全開だったんだけども、今作はコントラストと言おうか、敢えて影をぶつける事でノスタルジックな淡く眩い瞬間を際立たせたような印象だった。
人の死もそうだけど、いくら懸命に手を伸ばそうと金輪際届かないものはある。
過ぎてきた時間もその一つで、それを切り離すか、自らの経緯と捉えるか、それによっても「今」は変わるような気がする。
何の躊躇いもなく経緯と捉えられる環境にいるならば、それだけでこんなに幸運な事はないと思う。
なんだろう?
きっともう一度会いたいと思うだろうなとの予感がする作品だった。
雨の中、傘をさして佇む広瀬すずと森七菜のカットがなぜか懐かしく、失くしちゃいけない何かがあるような気がしてならない。
…俺ってロリコンなのかなぁ。
福山氏の何かとリンクしたんだろうなぁ。
未来の幸せ、不幸、過去があってこそ
この監督の映画は初めてなのですが、キャスティングと内容が気になって観に行きました。
亡くなった姉と妹、似ていると思いました。
高校時代に誰よりも輝いていた姉は未来においてもそうなのか、そんな姉をもつ妹は結婚して子供もできて幸せなのかと思ったら、夫はなんとなくですが、トヨエツ演じる男に似ていない事もないなあと思ってしまいました。
未来において夢を叶える人もいればそうでない人もいる、現実は厳しい。
でも、あの時は楽しかった、嬉しかったという気持ちがあれば人は前を向いてこうという気持ちになれるんだと思わせてくれます。
トヨエツ演じる阿藤の台詞が辛辣です、真実なので何も言えない、ただ、聞くことしかできない乙坂、でも、女達も同じです。
映像も綺麗でロマンティックな気分に浸ってしまいました。
岩井監督の映像を堪能。
『Love Letter』以来25年ぶりに岩井俊二監督作品を映画館で鑑賞しました。
やはり映像は監督のこだわりが随所に現れていて、非常に楽しめました。
本作だけで捉えれば、果たしてここまで物語の筋を複雑にする必要があったのかな?と思わなくもなかったのですが、学生時代の記憶、手紙、文通といった要素を使って作品世界を構成する、という、『Love Letter』以降岩井監督が追求してきた主題の変化がうかがい知れて、一種感慨深いものがありました。
豊川悦司と中山美穂の共演という点でも、『Love Letter』との強い繋がりを感じます。ただこの二人、本作でも非常に人間味のある役どころだったので、もう少し物語に絡ませて欲しかったな、とも感じました。
改めて映像を映画館で観て、岩井監督の映像の美しさに心打たれました。
岩井監督の映像は、決して「きれいな風景を撮ったらきれいに撮れてしまった」といったものではなく、非常に細かい計算の上に成り立っています。
例えばホテルでのパーティーの場面、日陰を移動する場面など、それぞれ色味が異なるはずの映像で、あえて色味を調整しすぎず、できるだけその場の光を取り入れています。色味を調整しないと、昔のホームビデオのように場面ごとの映像的な一貫性がなくなってしまう危険性があるため、破綻をぎりぎりで回避するためには、かなり神経を使って個々の映像を調整していく必要があります(逆に調整しすぎると、場面ごとの光質が表現できなくなり、平板な映像になる)。岩井監督の一見自然に、美しい映像の背後にはこうした細やかな心遣いがあるんだな、と実感しました。
また、人物の顔に直射日光を当てない、という点についても徹底しています。木漏れ日の差し込む空間で、人物があちこちに動き回ったり、日差しの差し込む玄関の入り口に人物が佇む、といった情景でさえ、カメラの位置、画角、カット割りで人物の顔に光を当てず、最も肌が美しく映るように捉えています。これは神業だな、と感銘を受けました(二、三のやむを得ない例外はありましたが)。
本作鑑賞後、改めて『Love Letter』も見直したくなりました!
学生時代の宝物
前半、ちょっと笑ってしまうような会話がとても自然で、頷きながら観てました。
すずちゃんと七菜ちゃん二人の演技も自然で、布団の上でのシーンが微笑ましかったです。
「母の宝物です」
そこで、じーんときました。
手紙って良いなぁ♥️
松さんが手紙を読み上げ、福山さんが届いた手紙を開くシーンでも、手紙を書きたくなりました。
私も高校生の時に文通していて、4年ちょっとで150通のやりとりをしていく中で、確かに彼に恋してました。
彼が大学生になって彼女ができたので、会う前に片思いは終わりました。
学生時代の宝物の一つは、その手紙かもしれません。
携帯の便利さから、手紙や年賀状からも遠退きつつあるこんな時代だからこそ、手紙の持つ不思議な力を忘れたくないなと思い出させてくれた作品でした。
小説版の刺々しさを優しく包み込んだような映画
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