ナイチンゲール

劇場公開日:

ナイチンゲール

解説

イギリス植民地時代のオーストラリアを舞台に、夫と子どもの命を将校たちに奪われた女囚の復讐の旅を描き、2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞ほか計2部門を受賞したバイオレンススリラー。19世紀のオーストラリア・タスマニア地方。盗みを働いたことから囚人となったアイルランド人のクレアは、一帯を支配するイギリス軍将校ホーキンスに囲われ、刑期を終えても釈放されることなく、拘束されていた。そのことに不満を抱いたクレアの夫エイデンにホーキンスは逆上し、仲間たちとともにクレアをレイプし、さらに彼女の目の前でエイデンと子どもを殺害してしまう。愛する者と尊厳を奪ったホーキンスへの復讐のため、クレアは先住民アボリジニのビリーに道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る。主人公クレア役はドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のアイスリング・フランシオシ、ホーキンス役は「あと1センチの恋」のサム・クラフリン。ビリーを演じたオーストラリア出身のバイカリ・ガナンバルが、ベネチア映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。監督は「ババドック 暗闇の魔物」のジェニファー・ケント。

2018年製作/136分/R15+/オーストラリア・カナダ・アメリカ合作
原題または英題:The Nightingale
配給:トランスフォーマー
劇場公開日:2020年3月20日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第75回 ベネチア国際映画祭(2018年)

受賞

審査員特別賞 ジェニファー・ケント
マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞) バイカリ・ガナンバル

出品

コンペティション部門 出品作品 ジェニファー・ケント
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映画評論

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(C)2018 Nightingale Films Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Screen Tasmania.

映画レビュー

3.5暴力の歴史

2020年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

オーストラリアがイギリスの植民地であった時代の物語だ。原住民のアボリジニに対する差別や、女性差別が描かれる。主人公はアイルランド人の女性であるが、ここで歴史を押さえておく必要がある。この地域を支配していたのはイングランド人だ。アイルランド人は同じ白人であってもイングランドから差別される対象だった。主人公が囚人であることもポイントだ。オーストラリアに入植した白人の大半は、最初のころは囚人たちだった。オーストラリアは流刑地だった。主人公は女性という点で弱者であり、島流しにあった囚人としても弱者である「二重の弱者」だ。
これはそんな彼女が夫と子供を殺された復讐を果たす物語だ。道案内にアボリジニの青年を連れていく。弱者同士の連帯も描かれるが、安易な形ではない。アボリジニにとっては彼女もまた侵略者でもある。2人の奇妙な緊張関係が物語を引っ張る原動力となっている。
全編強烈な暴力が描かれる。しかし、これが人類史なのだ。どうしようもなく人類の行ってきたことだと強烈に印象づける。

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杉本穂高

3.0タイトルなし

2024年10月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

主人公に苦痛を与えた男たちは漏れなく、肉体的な尊厳についてもっと容赦なく奪われ最悪な結末を迎えて欲しかった。
主人公が当初の目的からブレるのはいいが、そこに報復は負の連鎖であるとする葛藤も見えなかったのでそれであるならば単純に復讐劇のカタルシスは得たかった。

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よす

3.0題材と舞台は変わっているがストーリーは普通

2024年7月5日
スマートフォンから投稿

なんで4:3なんだろう?
アボリジニ役の役者は良かった。
主役にヒキがない

色々詰め込みすぎでややとっ散らかっている印象。もっとシンプルでよかった

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ペーニャ

4.0むごい話だが歴史の一端だ

2023年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

うっすらとオーストラリアでもアボリジニが迫害を受けた歴史があったとオリンピックの時に聞いたような気がした。
こういう実情だったのかと初めて知った。
アボリジニに限らず、権力に酔う輩にとって同じ白人であっても人間とは見ていない。
そんなものどもが、精霊のいる森を、善良な人々を、穢して踏みにじっていくさまは目を覆いたいものがある。
もはやあんな殺し方では手ぬるいんじゃないかと言いたいくらいだ。

夜に悲しい歌を歌うナイチンゲールは夜明けを迎え、崇高な魂を持った戦士も自分の太陽を得た。
立場は違えども同じ地球上で同じ朝日を穏やかに迎えることが、人間同士できるはずなのだとこの映画は訴えている。

映画祭では気分を害して席を立ったものも多かったと言われる問題作扱いだが、問題作などではない。
正面から、見る者へ人間としてどう生きていくべきなのかと問うてくる意欲作だ。
迫害する者、される者、中間にいてどちらも認める者、様々な道を選んでる者をこの作品の中だけで描いている。

ビリーの目を見るだけで泣けてくる。あんなにも悲しみと慈愛をたたえた瞳があるだろうか。

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こまめぞう