THE GUILTY ギルティ(2018)のレビュー・感想・評価
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ワンシチュエーションスリラーの傑作
まんまと監督の意図に乗っかってしまった自分に照れくささを覚えるも、演出と演者と脚本だけで、ここまで人を引き込めるのだと、数百億の映画を鼻で笑うような傑作でした。
何を言ってもネタバレになれそうだから、敢えて言えば…沈黙が多く、耳を研ぎ澄ます場面が多いので、睡眠不足の時に劇場は行かない方がいいw一瞬でも逃すと、とんでもなく後悔しそう。
緊迫した事件に向き合う主人公の心の葛藤を描き切った秀作!
勤務中の不祥事が原因で現場を外され、緊急ダイヤル当番に甘んじていた警察官アスガーが主人公。偶々受けた電話がきっかけとなって、誘拐事件と思しき事件に深く関わって行く過程を、電話のやり取りだけで描く心理サスペンス。肝心の事件は刻々深刻の度を増して行くのですが、オペレータールームで得られる情報だけではなかなか全容が掴み切れません。その緊張感とアスガーの焦りにも似た葛藤を本作は見事に描き切っていました。電話番の役割から言えば、さっさと現場の警察署に引き継いでしまえば彼の仕事は終わりなのですが、彼は周囲の忠告にも耳を貸さず進んで事件に首を突っ込んでしまいます。それは、元々第一線のバリバリの警察官であった彼なりの矜持だったのかも知れませんが、その結果、期せずして自身の醜い部分を曝け出してしまうことになろうとは... 痺れるような緊張感溢れる90分間でした。
想像は現実を超える
想像の世界はIMAXを超える
個人評価:3.9
IMAXや、4K.8Kと映像技術が進む中、本作の広がるスクリーンは見る側の頭の中にある。
相手の声や周りの音だけで、向こう側で起きている事件や状況を頭の中で想像する。
観客と主人公とが同じ状況下に置かれる事が面白く、主人公と同じ体験をリアルに感じる事ができる。
場面が1つだけで物語が進み、その他は電話の音だけで場面を想像させる。安いCGや演出などよりも、自身の想像なので、周りの風景や、俳優の演技なども100%のクオリティといえるだろう。しかし演出やストーリー展開にセンスがないと、途端に嘘の世界観になってしまう。
力量のある監督でないと出来ない手法だろう。
事件としては単純で、また伝えたい筈の主人公の心情の作り込みが浅く、奥行がない物語。
同手法を用いた「オン・ザ・ハイウェイ」の方が作品性が高く感じられる。
しかし、初の長編監督デビューという監督のセンスは素晴らしく、2作目も見たいと思わせる。
残り数分の驚愕。
警察にかかってくる緊急電話を受け付ける部署だけで進む緊迫の90分。はじめ、仕事に不熱心なアスガーが、おそらく警察官を志した頃に持っていた本来の正義感がふつふつと湧き出てくる。
ただ、そんなありきたりの筋書きでは終わらない。
事件を解決しようするアスガーが、こちら側の想像力を試すように刻々と変化していくのは見もの。画面から伝えられる情報は、アスガーの姿と態度。綺麗に散髪された清潔感はむしろ潔癖に見えて、異質を毛嫌いする性格が垣間見える。指にはめる指輪は未練か。じゃあテーピングは怪我か?、、見える情報は、むしろ雑音にも思えて、見えているものこそが間違っているのでは?と疑心が生まれる。そう、電話から得られる事実に関しては、けして間違ってはいなかったのだから。
見終えてどっと疲れが襲ってくる。なにごと、信じ込むな、とアスガーに言いたい。遅いか。
シチュエーション映画はトレンドか?ギルティ=有罪 なのは誰だったのか
映画館で観てはいけない
ひぇぇ
人の内面をえぐるような
主人公と相手の会話が全てで、そこから先のストーリー展開を予想していくしかない。
限られた情報の中で全てが進んでいくのですが。
話が進んで行く中、早く彼女を助け出してあげてというもどかしさが、途中から少しずつ変わっていく。
主人公の明日ガーも助けてくれという彼女も決して善人ではないというところに共感を覚えました。
もしかしたら、こんな事件は日常で起こっていても不思議ではないかもしれない、ただ、表に出ないだけで。
彼女が認めた残酷な事実。
助け出そうと必死だった元夫は無力さと悲しさ。
主人公が下す自分への決断。
誰もが心に傷を持っていて、それをなんとかしようと必死になっているけど、うまくいかないもどかしさ。
全てがうまくいくわけじゃないとわかっていても、人は行動せずにはいられないんだと思いました。
そして主人公のアスガー、奥さんは出て行ったというけど、なんとなく、奥さんの気持ちがわかる気がしました。
制作側の挑戦
語りすぎず判らせる無駄のない作り。音も映像もなにひとつ無駄はなく、むしろ必要なものまで削ぎおとされているぐらい。それでいて飽きさせない。
こういった撮り方も、その発想自体は「すごく新しい」というわけではないと思う。しかしどこかで語りすぎたり画にしすぎたりしてしまうことなく、最後まで一貫されているところは、特筆すべき点であり、制作側の挑戦だ。
私は最後まで集中して観ることができたので、彼らの挑戦はきっと成功なのだろう。
ただ、事件そのものにはもうひとつ捻りがほしかった。
真相すべてと言わないまでも、主人公より先に気付くポイントがいくつかあった。主人公の性格を語らず判らせるという意味ではもちろん効果的だとは思うが。
それでもやはり、もうひとつ捻りがほしかった。
映画の可能性
主人公が苦手で乗り切れず
ネットから得られる情報で犯人を見つけ出す『Search』同様のワンテーマムービー。
こちらは電話からの情報ですが。
通話シーンばかりで、ずっとオッさんのアップ。
タイトル自体がネタバレなせいか、私は割と冒頭で全体像を把握出来ちゃったんで、謎解きには早々に見切りをつけ、その見せ方に注目して鑑賞しました。
ワンテーマだけに、90分程度の短さは好印象で、緊張感のある演出だったんですが。
主人公の性格が苦手というか、嫌いなタイプだったんで、乗り切れず、そのまま最後まで「嫌だなぁ」と思って行ってしまった。
こりゃすごい。
息をひそめ見守る
DVDで十分…
日本で言うなら110番の電話番をしている警察官の会話と表情だけで進む作品。
主人公同様、電話越しに聞こえてくる声色、音だけで状況判断を迫られる緊迫した雰囲気を味わえます。
どこの国でも警察組織は縛りがあって、本来有り難い熱血漢もウザがられるのか…?と思いきや。
むしろその逆、取り返しのつかないことをした罪悪感のために、暴走していたと。
独断と偏見で大丈夫…?と思ったら、やっぱりねという展開。
Tom Hardyの“Locke”みたいな感じですが、映像は本当に室内と主人公のアップのみ。
途中から他の場所も観たいなぁ…とさすがに少し飽きました。デンマーク語だから、字幕を読んでいるだけだし、映画でなくてもいいような…。脳内で勝手に想像した映像の方がショッキングで、そういう意味では上手い作りなのかも知れませんが。主人公役、鼻はKevin Costner、正面下から見ると少しKevin Bacon似だなぁと、余計なことを考える暇も十分ありました。
当たり前の共通前提が抜け落ちている論理的思考
観客自身に内包されている、
正義、慈愛、他人との距離感許容範囲、
心とか命とか当たり前の共通前提が抜け落ちている合理的論理的思考、
非論理的(論理外含)な言動への許容、狡猾さ、偏見、倫理などを、
自覚してその気持ちを登場人物にどう按分するか?
それによって観客それぞれのサスペンスの割合、
ヒューマンドラマの割合、そして作品への評価は変わる。
メインプロットは、SOSの通報→事の収束、以上。
サブプロットを観客自身に委ねるチャレンジ的傑作。
サブプロットを観客に委ねる?
どういうこと?
簡単な一例、
軽い(と推測はできるが詳細不明)ケガをした女性からのSOSコールのシーン。
の主人公に対して。
〇軽傷で電話してくるな!毅然とした主人公の態度は適切!
〇軽傷?なぜ詳しく聞かない?主人公は信用できないやつ。
〇人間は誰でも清濁両方持っている、あるいは、今はそれどころではない、続きを冷静に観る。
観客の主人公を観る前提に微妙な差異が生じる。
これが狙いでもある。
おそらく、シナリオと芝居と演出の
細かなチューニングの軌道修正を現場で繰り返していたのだろう。
主人公の正義感の源泉は?
父親を見放した存在は?
母親が怯えているのは?
娘、息子達の背景を想像して号泣した人もいるでしょう。
作品のリメイクもされるだろうが、
こういう技術を複数の役者でも大きな現場でもできるのであれば、
ハリウッドデビューも遅くないでしょう。
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