THE GUILTY ギルティ(2018)のレビュー・感想・評価
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唸るほどではないが
起こっている事柄が音だけで一切映像に出てこない。ココが全てであるし、だからこその展開。お見事でした。
「見落としはないか?」ではなく「聞き逃しはないか?」にグイグイ引っ張っていきながらの、してやったり感満載です。
イマイチ
設定は面白そうだなあと思ったんだけど、主人公に共感できませんでした。
よく言うとすごく熱い人なんだなあと思うけど、暴力的だし職務外のことを勝手にやっていくし。
本人は正義感でやってるんだろうけど、空回りしててイタイです。
情報は声のみ = 主人公 & 話し相手と同じ。つまり……?
警察のコールオペレーターが声だけで事件を追うワンシチュエーション・サスペンス。こりゃ面白いな!
音、言葉、想像力のみで80分間の緊張感を持たせるのがすごい。
アイディアもさることながら、伏線やミスリードを誘う演出/仕掛けが至るトコにあるのが面白いです。
実は事件より主人公側の変化、そして鑑賞者の意識の変化にこそ面白さがあるのかもしれません。
最初と最後じゃ作中の色んなモノの見方/感じ方が変わってる“体験”にやられました。
メインは声のみ。それは揺るぎない。
でも主人公の表情や汗。ぼやけてみえる隣の同僚。水を飲む動作……すべてが我々受け手の意識/無意識を刺激してくる感覚。
電話のやり取りがすべてなので集中する必要はある。
でも理解が難しい話ではないです。
聞いたもの”そのもの”で”理解”はできる。
ただ聞こえたことが真実だとは限らない。
真実がどうなってるのかは想像するしかない。
この絶妙感。
鑑賞者の情報は声のみ。
それは主人公との一体化でもあり、話し相手にやっていることと同じ関係性にもなる。
と僕は解釈しました。
気持ちのいい後味の悪さでした。
正義
現場にいないのはSearchと同じ。こちらは音が話に引き込む。映画館の環境であれば集中できる。主人公の行動に微妙な違和感があり、それが拡大する。その動機は説得力を持つ。主人公の孤立感は音に頼る環境の中で増幅される。救われない中で孤立を深める登場人物達。罪を被せられる人と罪を見逃される人。現在社会の皮肉。正義が保証してくれない。和解はあるのか。
見せ方は斬新だがストーリーは普通
見せ方の手法は映画「search」によく似ているが、ストーリーは異なる。
基本的に音による演出がメインであるが、デンマーク語を理解できる人以外は字幕に頼らざるを得ないため、結局はスクリーンに集中することになる。
舞台だったらもっと面白かったかもしれない
声と音だけで推理するシチュエーションサスペンスと思ってたが、大した推理はしていなかった気がする。主人公の暴走も結構ひどく、通常の職務を軽視してるシーンも。なんだこいつ!って感じで主人公の印象は悪い。
ただ、オペレーター室だけで展開する脚本の潔さはなかなか。なかなか面白い展開だった。
舞台の芝居だったらかなり評価が高くなってたと思うけど、映画なのでそこまでの高評価にはならない。さらにモヤモヤするのは主人公の過去。あんなに正義感を振りかざしてるのに、容疑者の少年を殺した理由がしょうもなさすぎる。
途中で気づきます普通に
母親が先に観に行ったんですが、「あたしゃ途中で気づいた」とのことで。わたしはあまり頭の回転が良くなくて、そういった手の話は最後のほうでやっと気づいたり、母親の解説を聞いてやっと点と点がつながったりするのですが、この物語はわかりました。途中で。これは今思えば、の話ですが、誘拐された女性がそもそもあんなにずーっと電話していられるわけないなぁとか。
もっとすごいどんでん返しみたいなのがあるかと思いましたが、そこまでじゃないです。見終わった後に「THE GUILTY」のタイトルがずーんときます。
最後、結局あの女性は助かるのですが、あれはわたしは死んでしまったほうがいい意味で観客の心にグサっと刺さるのでは、と感じました。正直「あ、この人助かるんだ。へぇ。」みたいなのもありましたね。
狭い正義が罪へと至る
2019年アカデミー賞外国語映画賞の最終選考にまで
残り、ハリウッドリメイクも決定したデンマーク発の
サスペンススリラーが公開。
主人公が緊急通報センターのオペレータということで、
観客は主人公アスガーと同じく進行中の誘拐事件の状況
を聴覚のみで把握することを強いられるわけだけど、
やっぱこういう手法はサスペンスフルで良いっすね。
受話器の向こうの人物は無事なのか? 周囲に危険は
無いのか?
聞こえてくる息遣いや沈黙が怖い。
突然電話が切れた時のクリフハンガー感も怖い。
……と、褒めておきながらいきなり盛り下げる
ようなことを書いてしまうのだが、サスペンス映画
としての本作の手法そのものは決して「超斬新!」
と呼べるほどのものではない。
恐らく皆さんもご存知の通り『フォーン・ブース』
『ザ・ウォール』古くは『裏窓』など、聴覚や視覚
などの手掛かりを極端に制限することで緊張感を
生み出すスリラー映画というのは散見される訳で、
それに本作の場合、"音"そのものをヒントに事件の
手掛かりを得ていく演出もあまり無いし、プロット
だけ聞けばハル・ベリー主演の『ザ・コール/
緊急通報司令室』にそっくりだったりもする。
だがこの映画がユニークなのは、
まず"警察官の主人公VS誘拐犯"というシンプルな図式で
勧善懲悪ものを匂わせておきながら、実は主人公の方が
無自覚な“罪人”になっていくという点。そして、情報
を限定する手法で緊張感を生み出すだけに留まらず、
手法そのものが物語のテーマにも繋がっている点だ。
...
主人公アスガーは、女性や子どもといった弱い立場の
人間の為に懸命になれる、正義感の強い人間ではある。
だが問題は、彼が自分の判断を疑うことをしない人間であること。
電話を受けて「一刻も早く被害者を救わなければ」と
考えるのはもっともだが、そこから先がおかしい。
不祥事を起こして捜査権限を持たない身でありながら、
彼は独自に事件を解決しようと躍起になる。なんでも
独断でコトを進め、周囲とも殆ど情報共有を行わない。
協力を要請された同僚や司令室側が「何が起こってる?」
と訊いても、彼の返事は基本「とにかくやれ」である。
いくらなんでもここまで情報制限する人っておるかね?
とは思うが、「報告したら自分で捜査ができなくなる」
「自分なら最速最善の方法で事件を解決できる」
とでも考えていたんだろうか。
だが彼はその“捜査”で次々にミスを犯す。
イーベンの娘マチルデに幼い弟の無惨な姿を見せて
しまったことなどは最悪のミスだ。怒り任せに容疑者
へ直接電話をかけたりもするし、彼はおよそ冷静な
判断というものができていない。あれらのミスは、
極端に限られた情報を、彼が自分の先入観のみで
解釈したために起きたものだ(『助けを求める側が
被害者』『元犯罪者の話は信用できない』など)。
各所と情報を共有して、関係者宅に捜査員を送って
いれば、もっと穏便に事を運べたかもしれないのに。
最後にアスガーが起こした不祥事についても判明するが、
それも独り善がりな考え方から起こしたものだった。
イーベンの事件で次々とミスを犯すまで、
彼はずっと自分の先入観のみに基づく正義を
疑ってもいなかったんじゃなかろうか。
主人公だけにフォーカスした極端に狭い視野の映像、
ブラインドを下ろした狭く暗い部屋などは、そのまま
主人公自身の狭くて暗い頭の中だったのだと思う。
...
前科者だろうが警察だろうが、立場に関わらず人は
罪を犯す。特に本作が描いていたのは、自分の行為
が正しいと信じ込んだ結果、罪を犯してしまう人。
『地獄への道は善意で舗装されている』なんて諺が
あるが、良かれと思って為したことがかえって悪い
結果を招くことが、世の中では往々にして起こる。
ニュースで流れる事件や歴史的な犯罪を思い返しても、
勝手な正義や思い込みで恨みつらみを募らせたり、
自分の意のままに他人を従わせようとして、結果的に
重罪を犯した人がどれほど多いことか。彼らはきっと
自分が犯罪者になるなんて思ってもいなかったろうし、
未だに鉄格子の向こうで『自分は正しいことをした』
と考えてさえいるかもしれないのだ。
土壇場で自分が罪人であると気付けた主人公は、
最後にようやく人の命を救うことができた。
「あなたは良い人ね」というイーベンの言葉は
彼にとって最大級の皮肉だったかもしれないし、
彼がイーベンにとってようやく“善人”になれたとて、
それで彼が犯した罪が帳消しになる訳ではない。だが、
きっとそんなことは主人公自身が一番分かっている。
最後に彼が電話を掛けた人物は明かされないが、あれは
冒頭で連絡してきた事件記者に、自分の事件について
洗いざらい話すつもりだったのではと考えている。
...
主人公の行動がいくらなんでも極端過ぎたり、もっと
聴覚を使ったギミックで緊張感やミステリ的面白さを
持たせてほしかったと思う部分はあるけれど――
他人の意見を聞かず信じず、「自分は善だ、正義だ」
と頑なに信じて疑わない者こそ、最も重い罪への道を
ひた走っていることがあるかもしれない。
ソリッドシチュエーションスリラーとしてのエンタメ性
をしっかり持たせながら、そんな戒めも思い浮かばせる
佳作でした。3.5~4.0で迷ったが、4.0判定で。
<2019.02.23鑑賞>
悪くはないけど、期待値は低めの方が良いかな
アメリカの映画レビューサイト「ロッテン・トマト」で満足度100%と書かれると“ロッテン・トマトがなんぼのもんじゃい!”とひねくれた印象を持ちながらも、満足度100%って言うのに謳い文句に牽かれて鑑賞しましたw
で、感想はと言うと…一言で言うとアイデアの勝利とやったもん勝ちかな~と言う感じ。
面白くない訳ではないけど、満足度100%は謳い過ぎですw
自分的にはまあまあw
ストーリーは至ってシンプルで、オーディオブックやサウンドホラーゲームなんかに有りがちな感じで、ゲーム世代にはさほど目新しさは無いかな。
ですが、この手の物は有りがちであっても、意外と誰も手を付けてないと言う事が多くて、作ったとしても、そこにどうプラスアルファ付けるかがキモになります。
そのプラスアルファがどうなのか?と言う事ですが、ほぼ主人公のアスガーの一人舞台ですw
密室劇の様に進んでいって、外との様子は音だけで進行するのは評価が分かれるかな?
アスガーに掛かってくる電話を通じて、事件が展開していくのはアスガーは勿論、観る側にも想像力が試されます。
それがこの作品のキモなんですが、ネタばらしをすると単純でも殆ど人は終盤まで騙されるかな。
それがドキドキに変わる訳です。
警察の緊急通報番号と言うのは退っ引きならない事件が殆どと思いきや、実はたいした事の無い通報も多くて、それでもイタズラで無い限り、邪険にも出来ないので、オペレーターの方はホントストレスが溜まるかと思います。
アスガーは自分の担当範囲を大きく逸脱していく事で、結果として事件を解決に導く訳ですが、それに掛かりっきりになって、暴言も多数w
▼“何杯くらい飲んでる?”
▽“1~2杯かな?”
▼“じゃあ、車の運転は大丈夫だな♪ …ホントは何杯だ?”
▽“5~6杯かな”
▼“じゃあ、慎重に運転しろ”
アウトな会話ですw
▽“接触して、膝を打って痛いの!”
▼“今、忙しいんだ!後にしろ!(ガチャン)”
緊急通報の意味がありませんw
こう言った会話に笑いそうになりつつも物語は進んでいき、アスガーの抱えた悩みも徐々に明らかになっていきます。
ホラーではなく、サスペンスでラストのオチも怖いのを想像してたら、意外とハッピーエンドな感じ。
結構実験的な作品なので、もう一捻り欲しかったです。
映画としてはかなり単調なので、ホント観る人の好みと言うか、評価が分かれる作品で、個人的にはホントにまあまあな感じ。
ワンシチュエーション的な作品では過去に「CUBE」と言う名作もありましたし、最近では「カメラを止めるな!」もある意味ワンシチュエーションなので、あれぐらいの当たり感を期待してたから、ちょっと残念。
とはいえ、こういう実験的な作品は嫌いじゃ無いのでちょっと辛口ですが、珍味系を食べた様な満足感はありますw
発想が既に斬新で面白い
電話のやり取りだけで容疑者・被害者を想像させていくという発想がまず面白い。ずっと画が変わらないのに緊迫感が続いて飽きさせないのも凄い。
まんまと騙されたし、誰が罪人なのか、タイトルを噛み締める観賞後のじっとり感も良い感じ。
ただ、どうしても画面が動かずずっと薄暗いのと怒涛の会話ラッシュのため、コンディションによっては睡魔が襲うので注意。
騙された-露わになる二重構造
騙された。犯罪捜査もので、優秀な捜査官の技術的手腕に感嘆させるためのサスペンスだと思って観たが、全く違う映画だった。
主人公のアスガーは捜査官としてはまるで駄目だ(劇中場面における彼は捜査官ですらなく、緊急ダイアルのオペレータだが)。
ストーリーが進むほど、彼の人間的な弱さ・未熟さが露呈されていく。
犯罪サスペンスのフレームを借りて見る、社会に適応できなかった人びとの肖像。この構造は面白かった。
イーベンの家族のままならなさ。アスガーからイーベンへの電話は徐々に懺悔の色を濃くしてゆく。
彼は罪を償う決意を固めたようだが、そうして自分と向き合うことが、このように「弱い」人たちが苦しみを逃れるための最初の一歩なのだ。
また映画として面白いのは、ほぼ「音」のみでストーリーを動かした点だった。
映像はオペレーションルームのアスガーから一度も切り替わらない。一貫してこの方法をとったのは大胆だ。
しかしアスガーに聞こえる音から、観客の眼前にはまざまざと現場現場の光景が浮かんでくる。雨を降らせたのも良かった。読書の様な体験だった。
ストーリーとしても、誘拐事件の緊迫感に加え、アスガーの公判について等の謎を配置することで、うまく観客の注意を引き続けている。
マチルデは今後どのようにして生きていくのだろう。病気の母と元犯罪者の父をもって。死んだ弟を思って。
アスガーが最後に電話をかけた相手は誰か?最後に残されたこの問いをもって映画が終わる。
私は彼の妻がその相手だったのではないかと思っている。
もう一声、欲しかったです。
場所はコールセンターのみ、情報は電話の音声のみと、ハードルの高い凝った設定がいいです。とは言え、 緊張感の盛り上げ方にムラがあり、ストーリーのパンチも今ひとつ弱く、自己チューな主人公のキャラにもイラッとします。もっと面白くなったような気がして残念。
超低予算ながら良作。
映像に出てくる主要な登場人物は1人で、あとは声だけの出演。
舞台も通信室とその隣の部屋の2部屋だけという、明らかに超低予算な映画。
その限られた舞台設計でなかなかの展開をしてきます。やはりワンシチュエーションはシナリオが命ですね。
ストーリーのあらすじは映画に慣れてる方なら読める人もいるでしょうが、この映画の肝は最後のどんでん返しではなく、主人公の心理描写をいかに表現できるかなので、主演のヤコブ・セーダグレンの演技を楽しむスタンスで観た方がより面白く観られると思います。
ワンシチュエーションなので細かなところで物足りなさはありますが、ハリウッドでリメイクされるそうなので肉付けの仕方に注目です。
あまりやり過ぎるとこの映画の魅力が無くなってしまいそうですが。
声と音のみで進む世界
今までにないタイプの音だけで物語が展開していく映画。映像がシンプルで音だけに集中して見れたので、気がつくと引き込まれていた。
アスガーが次々と電話をかけて話が展開していくが見ていておもしろかった。また、アスガーの選択が悪い方向に展開していくので、悲壮感が漂っていくが最後に絶望かと思わせての救われる展開で良かった。
展開自体はそこまでインパクトがあるものではなかったので、もう一つ二つどんでん返し的なものがあっても良かったかも。
面白かった
音と声だけを頼りに展開するストーリー。映画は観るものと思っていたので、聴覚にフォーカスした設定が斬新に感じました。面白かったです。
断片的な情報から少しずつ全貌が見えてきて…というのが楽しみかと思うのですが、
同行者は先の展開が大体読めてしまったとの事で…推理をどこまで楽しめるかは個人差がありそうです。
ワンシチュエーションスリラーの傑作
まんまと監督の意図に乗っかってしまった自分に照れくささを覚えるも、演出と演者と脚本だけで、ここまで人を引き込めるのだと、数百億の映画を鼻で笑うような傑作でした。
何を言ってもネタバレになれそうだから、敢えて言えば…沈黙が多く、耳を研ぎ澄ます場面が多いので、睡眠不足の時に劇場は行かない方がいいw一瞬でも逃すと、とんでもなく後悔しそう。
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