ジュディ 虹の彼方に

劇場公開日:

ジュディ 虹の彼方に

解説

「オズの魔法使」で知られるハリウッド黄金期のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する半年前の1968年冬に行ったロンドン公演の日々を鮮烈に描いた伝記ドラマ。「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズのレニー・ゼルウィガーが、ジュディの奔放で愛すべき女性像と、その圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつける姿を見事に演じきり、第92回アカデミー賞をはじめ、ゴールデングローブ賞など数多くの映画賞で主演女優賞を受賞した。1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。共演に「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のフィン・ウィットロック、テレビドラマ「チェルノブイリ」のジェシー・バックリー、「ハリー・ポッター」シリーズのマイケル・ガンボン。「トゥルー・ストーリー」のルパート・グールド監督がメガホンをとった。

2019年製作/118分/G/イギリス
原題または英題:Judy
配給:ギャガ
劇場公開日:2020年3月6日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第92回 アカデミー賞(2020年)

受賞

主演女優賞 レニー・ゼルウィガー

ノミネート

メイクアップ&ヘアスタイリング賞  
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(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

映画レビュー

4.02時間の演技ににじむ40数年の栄光と悲愴

2020年3月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 ジュディ・ガーランドは母親の意向で2歳から舞台に立っており、MGMとの契約後はダイエットのためアンフェタミン、副作用で眠れなくなると睡眠薬を常用させられていた。娘を商売道具としてしか見ない母親と薬物と、彼女の才能に相応しい扱いをしないMGMによってぼろぼろになった彼女の、亡くなる直前のロンドン公演の様子を描いたのがこの映画だ。劇中で精神的に不安定な彼女の様子が多く描かれるが、それもやむ無しと思わせるほどの過去がある。
 子役時代のエピソードが回想シーンのように挟まれ、自由のないスケジュールや薬物を摂らされていること、MGM社長に小児性癖があることが暗示されていたが、冷酷な母親の描写は少なかった。冒頭で社長から、ショービズの華やかな世界で生きることと目立たない地味な人生と二択を迫られるシーンがあったが、おそらく現実にはこの段階で既に彼女には選択の余地はなかっただろう。
 映画で描かれた時期に至る前の辛く重いエピソードの数々を漂わせる人間像を、レニー・ゼルウィガーは演じた。疲れと弱々しさを感じさせる猫背で不安定な立ち姿。舞台に立って歌いだすまでの、本当にちゃんと歌えるのかとはらはらさせる感じ。そして歌い始めたら一転して目に光が宿り、太い声で朗々と歌い上げる、生まれついての舞台人としての姿。
 歌唱シーンが思っていたより多く、ミュージカル映画ではないが、ジュディ=レニーの歌をたくさん楽しめた。歌われるナンバーは明るい曲や励まされる歌詞の曲が多い。「虹の彼方に」のシーンは実話とのこと。この作品がただ悲しいばかりでなく、何故か力付けられる気がするのは歌の力によるところが大きいと思う。
 ゲイカップルとのエピソードは、ジュディがLGBTに理解があり「虹の彼方に」がレインボーフラッグの由来になったため外せないが、あえて言えば母親の話と同様ちょっと端折ったかなという感じがあった。
 何しろジュディの人生が盛りだくさん過ぎるので、晩年の生き方に繋がるエッセンスを入れた上で2時間程度に収めるには説明を多少端折るしかない。十分お腹いっぱいです。

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ニコ

3.5The Woes of Stardom

2021年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

Judy is last year's Respect. The story of Judy Garland, who's elegance was employed by an industry eager to the feed the entertainment needs of many, eventually leading to her drunken downfall. A sad tale of a female star in the same vein as the Amy Winehouse documentary. More dramatic and sad than what we would like to think of the real actress. I'd personally have liked to seen more optimism.

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Dan Knighton

4.0同情ではなく、ある種の憧れが

2020年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ジュディ・ガーランドの晩年を、まるで、魂を絞り出すように演じるレネー・ゼルウィガーのオスカー演技は当然、見応え充分。しかし、断片的ではあるが、ジュディの子役時代もそれ以上に見ものである。幼くして才能を見出され、MGMミュージカルのスターとして脚光を浴びる陰で、会社から睡眠薬と興奮剤を交互に与えられ、まるで歌って踊るAIのように扱われたジュディ。やはり会社の都合で本当の誕生日よりも早く宣伝用のバースデイ・パーティがセットアップされ、同じく人気子役だったミッキー・ルーニーとの楽しいデートまでが、PRに使われてしまうジュディ。すべては、彼女を徹底的に管理し、洗脳しようとするMGMの首脳、ルイス・B・メイヤーの"子役飼育手段"だったのだ。しかし、舞台袖でルーニーに手を引かれながらも、客席からの拍手喝采に本能的に惹きつけられてしまうジュディは、たとえどんなに辛くても、人々をハッピーにするスターという職業に生きがいを見出してしまった、神から選ばれし人。そこに、同情ではなく、ある種の憧れを感じてしまうのは、筆者だけではないはずだ。

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清藤秀人

4.5レネイの人生に重なる要素も。子役ダーシ・ショウにも注目!

2020年2月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

楽しい

「オズの魔法使」の世界的ヒットで、十代にしてトップスターになったジュディ・ガーランド。だが後年は薬物・アルコール依存で生活が荒れ仕事を干され、借金苦で子供を元夫に預ける羽目に。そんな彼女が再起をかけて臨んだロンドン公演の日々を中心に、回想シーンを適宜挿入する構成になっている。

「ブリジット・ジョーンズの日記」や「シカゴ」で全盛を誇ったレネイ・ゼルウィガー。だが40代になると役が限られて評価が下がり、6年間の活動休止中には顔の激変も報じられ(美容整形が疑われた)、“終わった人”の烙印を押されかけた。そんな彼女が見事なカムバックを果たしたのだから、ジュディとレネイの人生と重ねて鑑賞した人も多いはずだ(「レスラー」のミッキー・ロークもそうだった)。

若い頃のジュディを演じた新人ダーシ・ショウは、子役時代のジェニファー・コネリーにも似て、無垢な美しさと大きな瞳が印象的。今後の活躍が楽しみだ。

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高森 郁哉

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