スターリンの葬送狂騒曲

劇場公開日:

スターリンの葬送狂騒曲

解説

1953年の旧ソ連を舞台に、独裁者スターリンの死によって巻き起こった政権内部の争いを辛辣かつコミカルに描き、ロシアで上映禁止となって話題を集めたブラックコメディ。粛清という恐怖で国を支配していた絶対的独裁者スターリンが急死した。厳かな国葬が執り行われる一方、その裏では次期最高権力者の座を狙う側近たちが熾烈な争いを繰り広げる。出演は「ファーゴ」のスティーブ・ブシェーミ、「ハングオーバー!」シリーズのジェフリー・タンバー、「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、モンティ・パイソンのマイケル・ペイリン。エミー賞受賞とアカデミー賞ノミネートの経歴を持ち、テレビシリーズ「官僚天国 今日もツジツマ合わせマス」など政治風刺作品に定評のあるアーマンド・イアヌッチが監督・脚本を手がけた。

2017年製作/107分/G/イギリス
原題または英題:The Death of Stalin
配給:ギャガ
劇場公開日:2018年8月3日

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(C)2017 MITICO - MAIN JOURNEY - GAUMONT - FRANCE 3 CINEMA - AFPI - PANACHE -PRODUCTIONS - LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE - DEATH OF STALIN THE FILM LTD

映画レビュー

3.5ソ連の独裁者スターリンのことは知っていても、その死後に起きた権力争...

2018年8月31日
PCから投稿

笑える

怖い

知的

ソ連の独裁者スターリンのことは知っていても、その死後に起きた権力争いのことは詳しくないので、映画を観てから調べてみた。決して史実通りではないが、大方こんな感じであったことは確かなようだ。

製作側も決して史実の完全再現を目指していないことは、役者たちの見た目を現実の人物に寄せようとしていないことからも明らかだと思う。史実をもとにした風刺的なブラックコメディという点では、ジョージ・オーウェルがロシア革命以降のソ連の姿を動物が主人公の童話として戯画化した『動物農場』の試みにも似ている。

とはいえ現実の政局や権力争いはバカげたコントでは収まらないし、スティーヴ・ブシェーミみたいに分かりやすく小悪党なルックスでもない。しかし一歩引いてみればバカげていることは変わらないので、政治に嫌気がさした時にこの映画のロクでもないキャラたちを当てはめてみると、少し冷静な視点を取り戻せるような気がする。

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村山章

4.0笑いの後に襲い来る、ヒヤリとした恐怖

2018年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

本作をめぐり生じるのは二つの感情だ。一つは目の前で起こるドタバタ劇に対するバカバカしさ。そしてもう一つはそれが史実に基づいているという恐怖だ。この両極端の感情が二枚貝のように共存することで、本作の怪物性は鮮烈に解き放たれていく。

ブシェミの妙演にふっと笑みがこぼれ、彼は決して非情になりきれるはずはないと心のどこかで線を引いてしまう自分がいる。しかし彼もまた歴史上の有名人であり、そんなコミカルな表情だけで乗り切れる問題でもない。歴史は小説よりも奇なりと言われるが、スターリン死後の権力闘争はまさにその言葉が相応しいどころか、言葉の意味さえも飛び越えるナンセンスな混沌がそこには存在する。

イアヌッチ監督は過去にも政治コメディで絶賛されてきた人。皮肉なのは、世界における現実の政治ショーが、今や破竹の勢いで本作のナンセンスぶりを凌駕しつつあること。コメディならば早くこの夢、覚めてほしいものだ。

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牛津厚信

3.5笑える、けど笑ってイイのか?

2023年12月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画はブラック・ユーモアに溢れている。あまりにブラック過ぎて、コーエン兄弟の映画を観ているのかと思った。ブシェミも出てるし。

序盤のラジオ・コンサートと深夜の夕食会が交錯するシーンが全てを物語っていると言って良いだろう。
腹相撲(?)に興じるフルシチョフとベリヤ。スターリンの電話一本に翻弄される国民たち。
一方は多分シベリア送り、もう一方はコンサートの再録。両方を描くことでコミカルさが強調されているのがいい。

「スターリン・ノック」が横行する深夜のモスクワは、笑っちゃうくらいどんどん人が死ぬ。笑っちゃう、のだが笑ってはいけないような気持ちになる。何たってこれが歴史の事実なのだから。

孤独で、猜疑心に満ちたスターリンの死はだいたい史実通りだ。晩年のスターリンは暗殺を恐れ、どの部屋で眠るのかさえ直前に決めるほどの念のいれようだったらしい。
スターリンの大粛清を一番恐れていたのはスターリン自身だったのかもしれない。

彼の死後、覇権を賭けたサバイバル椅子取りゲームが始まるのだが、これまたルール無用の壮絶なバトルロイヤルだ。
昨日通用した処世術は、今日の生き残りに何の役にも立たない。さっきは権力の中枢にいても、すぐに滑り落ちる。滑稽にすら思えてついつい笑ってしまうけど、本当に不謹慎。
とにかく皆自分のことしか眼中になく、潔いまでの日和見を繰り出すのだから仕方ない。

この映画を観るのに、大して知識は要らない。スターリンが独裁者であること、気に入らなければ「人民の敵」として粛清されてしまうこと、そしてそれが確かに歴史上存在したことさえ解っていれば充分だ。
ボスへのおべっかなんて、平和ボケした日本にだってある。違いは死ぬか死なないか。それだけ。

歴史の教科書によく出てきた風刺漫画、あるじゃない?あれの映画版だと思うとちょうどいい。
思いっきり誇張して、純粋な事実とは言えないかもしれないが、これを笑って観られる現代は幸せだ。

ベリヤとフルシチョフの立場がだんだんと入れ替わっていく辺り、最高に興味深い。あまり有能すぎるのも考えものなのかもしれない。
狙われないためには凡庸な方が良い、とはなんて皮肉!

歴史は繰り返す、という。こんな歴史が繰り返されることの無いよう、というメッセージだけはちゃんと頭に入れておかないとね。

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つとみ

1.5ロシア語でやってもらいたかった

2022年4月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ブラックコメディーとして見ることが出来るので、まぁ良いと許せる。
しかし、ロシア語でやってもらいたかった。英語で汚い言葉はロシア人とはどうしても思えない。
全体主義国家とは、一部の人達だけが特権を持って、自由に振る舞える国家では無く、一人の人だけが独裁して振る舞い、その周りに人が集まり、運命を共同するが、反面、その中で秘密裏に裏切りがある。そういった国家だと思う。

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マサシ

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